八幡side
よし、陽乃さんとセシリーを含めた水派の星仙術と陰陽術の扱いが長けた人材は全員OKしてくれた。
だが、陽乃さんが受けてくれたのは意外だったな。あの人だったら身体動かしたいって言うと思ったんだが……
八幡「まぁいいか、さて少し休む「おぉ、此処におったか八幡。」……どうした星露?」
後ろから星露が、何やら包みを持ちながら此方へと歩いて来た。
星露「何、お主に餞別をやろうと思ってのう。折角の学園祭なんじゃ、格好もそれらしくせんとな。」
八幡「格好?何のことだ?」
星露「八幡よ、これを着てみるのじゃ。」
星露が俺に手渡してきたのは、何やら白い羽織みたいな物だった。黒のラインが入っていてその中には黄色のラインも入っていた。
よく見ると星露が身につけているものと似ていた。
八幡「星露、なんだこれは?」
星露「見て分からんか?お主も師と呼ばれるようになったのじゃ。それにこの機会じゃからちょうど良かろう。それを贈ろうと思っていたのじゃ。」
八幡「別にいらん。それに俺の制服じゃこれは着れないだろう。左腕の方は直裾何だしよ。そうした奴は目の前にいるけど。」
星露「良いではないか。しかしお主の言う通りじゃのう。その袖ではそれは着れなんだか。なら八幡よ、お主新しい制服でも「いや、要らないから。」釣れんのう、弟子たちに良い格好をしてやろうとは思わんのか?」
弟子じゃねぇし。そしたら俺どんだけ門下生いるんだよ。この学院のほぼ全員じゃねぇか。
星露「まぁこんな機会なんじゃから、学園祭の間だけでも着てみんか?中の服の方は漢服であれば何でも許す。どうじゃ?」
八幡「………お前からの好意は滅多に無いしな。これ以上断るのも良心が痛むな……分かった、学園祭の期間はこれを着よう。」
星露「おぉ!分かってくれたかえ!妾は嬉しいぞ!」
八幡「あぁ。だが、この学院に漢服はあるのか?出来るならそれを拝借したいんだが。」
星露「済まんが制服の余りは無いんじゃ。卒業した者でも制服を置いていくなんて者は居ないからのう。」
そりゃそうか。自分がそこで過ごした証でもあるからな。置いていくなんて奴はいないか。
八幡「いや、ならいいんだ。後は俺が何とかする。」
星露「そうか、迷惑をかけるのう。その代わり、学園祭は楽しむといい、ではの。」
そして星露は来た道を戻って行った。
八幡「しかしどうするか……漢服が売ってる店は調べれば分かるだろうが、あんまり金は掛けたくないな。」
京華「あっ!はーちゃんだっ!!」
沙希「ん?比企谷?」
柚珠奈「あっ、尊師!」
今度は川崎姉妹と椎橋か……そういや、川崎は裁縫とか得意だったな。少し聞いてみるか。
八幡「ようけーちゃん、それに2人共。なぁ川崎、少し聞きたい事があるんだが、いいか?」
沙希「何?」
八幡「裁縫って得意だったよな?服とかって作れるか?」
沙希「小さいのなら何とかなるけど、あたしたちくらいのサイズは作った事ないよ。」
八幡「そうか……ありがとな。」
柚珠奈「ですが急にどうされたのですか?そのような質問をされて……」
八幡「星露にこいつを渡されてな。俺の制服じゃ着れないから替えを用意しようと思ってるんだ。この学院には余りが無いし、川崎は経験者だが、サイズに難ありだからな。」
沙希「そういう訳だったんだ。でもゴメン、役立てそうにないね。」
八幡「いや、気にするな。学園祭の期間だけ着る事にしてるから大して問題ない。」
柚珠奈「えぇっ!?それは勿体無いですよ!!普段から着ましょうよ〜!」
喜んで遠慮させて頂きます。
京華「あっ!京華ね!中華服がいっぱいあるお店、知ってる〜!!」
八幡「おっ、川崎と一緒に行ったのか?」
京華「んーんー、ルーお姉ちゃんと!」
八幡「……あいつ何してんだよ。」
童女と幼女の2人で本当に何やってんだ?1人は万有天羅だから大丈夫だけど。
京華「あのね!建物がい〜っぱい並んでる所で人も沢山いて〜、看板とかが沢山ある場所〜!」
建物か……商業エリアか歓楽街、後は可能性低いが、新開発エリアだな。まぁ新開発エリアはないだろう。星露がそんな所に連れて行くとは思えない。
京華「後ね〜!お店の前にお洋服が沢山あったの〜!色んな服があったよ〜!」
八幡「そうなのか。ありがとなけーちゃん。服の専門店みたいだな。その店は大きかったのか?」
京華「うんっ!エレベーターで一番高い所まで行ったよ〜!」
これでかなり候補が絞れたな。京華の情報がかなり役立ったな。
八幡「よし、何とかなるな。悪いな、休みの日に邪魔しちまって。」
沙希「別に。京華もあんたと話せて嬉しそうだし。」
柚珠奈「私も嬉しいです!」
京華「はーちゃん!また空手ごっこしてね!」
………うん、それはまた今度ね。あれには本当に驚かされたし、もう受けたくない。本当に痛かったしな。
けーちゃんの言ってた店は……商業エリアの少し南にある【エべックス】って店か。品揃えも良さそうだし、まずはここに行くか。
八幡「だが、こんなの着なくてもいいと思うんだけどな〜。」