八幡side
渋谷で買たい物し終わった後、浅草へと行くために俺たちはまた地下鉄へと戻り、電車に乗った。やはり好奇の視線が突き刺さる。
シルヴィア「なんか嬉しいな。」
八幡「ん?何がだ?」
シルヴィア「だって八幡くん、ヘッドホン首にかけてるとはいえ、お揃いみたいで嬉しいんだ♪」
八幡「そうか……音楽を聴くのも良いが、シルヴィの声が聞こえなかったから意味無いからな。」
シルヴィア「えへへ♪」
俺がこう言うと、シルヴィが嬉しそうに笑いながら抱きついて来る。俺も前まではこういう事されたら、人目を気にしてたが、もう慣れちまったな。
シルヴィア「八幡くんは浅草行ったことあるの?」
八幡「いや、無いな。雷門っていう観光スポットがあるのと、並んでる店が全部老舗みたいな感じらしい。」
シルヴィア「へぇ〜そうなんだ。八幡くんならまずどうする?」
八幡「そうだな……取り敢えずシルヴィと一緒に雷門の前で写真でも撮るとかだな。写真を撮られるのは好きじゃないが、シルヴィとなら別だからな。」
シルヴィア「っ!えへへ〜嬉しいなぁもう///」
腕を絡ませてる中、今度は手も絡ませてきた。腕に抱きついている中、手を繋いでいる状態だ。
俺はそんなシルヴィの頭を優しく撫でる。そうしたら安心するように頭を俺の肩に預けて来る。
渋谷から浅草は少し距離あるからな。のんびりしてても大丈夫だろう。
ーーー浅草ーーー
シルヴィア「着いたのはいいけど、なんか古風って感じの風景じゃないね。」
八幡「取り敢えず奥の方に行ってみるか。雷門あれば、店並びも変わってくるだろうしな。」
道を歩くとすぐに大きな道に出て、雷門が見えた。まだ朝だというのに遊びに来た人や観光客が大勢いた。
シルヴィア「あったね雷門!あんなに大きいんだ〜!」
八幡「あぁ、迫力あるな。」
シルヴィア「でも、あの中で写真を撮るのは難しそうだね。撮った拍子に誰か変な事するかもしれないし。」
ホントいるんだよな〜。この場合では少し違うが、カメラ向けられたら傷跡残そうとする奴。あれと一緒だ。
八幡「取り敢えず行かないか?」
シルヴィア「うん!」
ーーー雷門前ーーー
シルヴィア「どうやって撮ろうか?」
八幡「自撮り棒とかあったら便利そうだが、無いから俺の分身にでも頼むか。幸い俺たちが来たら、なんか知らんが周りの人たち退いてくれたし。」
シルヴィア「別に撮影してるわけじゃないからいいのにね。」
俺たちは周りの人たちのためにも、そそくさと写真を撮り終えて、奥に進んだ。
シルヴィア「おぉ〜此処が有名な浅草の商店街かぁ。色んなお店があるねぇ!」
八幡「菓子に雑貨、着物や刀剣と色んな物があるな。」
シルヴィア「あっ、八幡くん!人形焼きっていうの食べてみようよ!」
八幡「お、おい。」
シルヴィがはしゃぐ時は大抵こんな時だ。お祭りとか自分の好きな物があると、こうして楽しそうにする。
シルヴィア「お姉さん!人形焼き1つください!」
店員「はい、分かりまし……っ!?」
多分シルヴィアを見て驚いたんだろう。世界の歌姫が自分の目の前にいるんだから当然か。
シルヴィア「……どうかしましたか?」
店員「っ!!し、失礼しました!お1つ300円です!」
八幡「割り勘にするか?」
シルヴィア「いいの?」
八幡「シルヴィの手元に150円があればの話だがな。」
シルヴィア「ちょっと待ってね………あ、あったあった!」
俺たちはそれぞれ150円ずつ出した。店員さんもこの行為に驚いていたが、俺たちが付き合ってる事を知ってるみたいだから、すぐに納得したような表情に戻った。
店員「ありがとうございました!」
シルヴィア「あ〜むっ!……んん〜美味しい♪」
八幡「来て早々楽しんでるな。」
シルヴィア「うん♪」
八幡「んじゃ俺も食べてみるか。」
シルヴィア「あ〜ん♡」
八幡「………いや、別にいいんだが、それシルヴィの食べかけだよな?」
シルヴィア「………いや?」
八幡「いや、全然。」
シルヴィア「ならいいよね?あ〜ん。」
八幡「………あむ。」
シルヴィア「やった♪」
………周りの皆さん、何見てんの!?俺だって恥ずいよ!
八幡「……美味いな。」
シルヴィア「だよね〜♪ねね、八幡くん!私にも食べさせてよ!」
八幡「御構い無しになってるな。ほれ、あーん。」
シルヴィア「あ〜ん♪……んん、さっきより100倍美味しく感じよ///」
お、おぉう……上目遣いでこの言葉はヤバイな。かなりグッとくる。
なんか周りの人も鼻押さえたりしてる人や急にコーヒーを飲んでる人、すごい人では鼻血を出しながら、GJサインを出す人もいた。
シルヴィア「ん?この細長い棒みたいなのは何?なんか先の方は上の方に曲がってるけど……」
八幡「それはキセルだな。今でいうタバコの役割をしてた物だ。先の丸い筒の部分に今でいうニコチンの成分を含んだ草を燃やして吸って吐く。金属タバコみたいなもんだ。」
シルヴィア「へぇ〜、じゃあこれは?」
八幡「小物入れだ。昔は小さくても棚が多かったらしいぞ。」
シルヴィア「これは……貯金箱かな?」
八幡「そうだな……賽銭箱風にした貯金箱だろうな。」
シルヴィア「これは知ってるよ!手裏剣だよね?忍者っていう頭巾を被ってて黒い服を着てる人たちが使ってる武器だよね?」
八幡「正解だ。だが、こんなに種類があったのは俺も初めて知った。」
シルヴィア「あっ!これは日本人の代名詞ともいえるよね!刀!お侍さんが腰につけているよね!」
代名詞なのか?まぁ確かに六花では使ってる奴いるけど……俺と刀藤と界龍の仕込んでる奴らくらいしか分からんかったわ。
シルヴィア「こうして見ると、日本の物って面白いね!昔の日本人はこんなのを作ってたんだね〜。」
八幡「今では模造刀、もしくは六花で戦うための武器として使われているからな。刀を初めて打った人には感謝だな。」
シルヴィア「八幡くんも刀使ってるもんね!」
シルヴィア「あっ!着物屋さんだ!」
八幡「そういや着物着てみたいって言ってたな。正月に着たのはレンタルの物だったからな。この際に買って帰るか?」
シルヴィア「良いね!うん、早速入ろっ!」
店員「いらっしゃいませ。」
シルヴィア「うわぁ……着物美人ってこういう人の事を言うんだね。」
八幡「お前は何入って早々に店員を口説いてんだよ。」
シルヴィア「そ、そんなつもりはないんだけど……なんか目の当たりにすると、ね。」
店員「ご購入ですか?それともレンタルですか?」
シルヴィア「あぁ、この際に買って帰ろうと思ってたんです。日本に来た記念として。」
店員「そうでしたか………彼女さんのイメージからすると、紫をメインカラーにして、柄を花にして色は白から薄紫にかけて……帯は黄色が良いですね。」
スゲェな……特徴だけでこんなに早く決められるのか。
シルヴィア「その柄が入った着物はあるんですか?」
店員「はい、ございますよ。よろしければご試着なさいますか?」
シルヴィア「はい、お願いします。」
店員「では、こちらへどうぞ。彼氏さんには申し訳ないのですが、お待ちして頂くことになるんですが、よろしいでしょうか?」
八幡「構いませんよ。俺も着物見て待ってます。」
店員「お手数をおかけします。では、少々お待ち下さい。」
………さて、俺もなんかないか探してみるか。
ん?あの着物、なんかに似てるような……
ーーー10分後ーーー
シルヴィア「八幡く〜ん!出来たからこっちに来て〜!」
八幡「あぁ、分かった。」
カーテンが開かれると、そこには紫色の着物を着たシルヴィがいた。両腕からは背中からショールを通していた。
八幡「すげぇ……よく似合ってる。綺麗だ。」
シルヴィア「あ、ありがとう///……八幡くんも着たの?」
八幡「あぁ……なんか見た事のある着物だったからついな。」
俺が着てるのは、黒い着物と青い羽織とスタンダードな着物だが、一年前くらいに夢で出てきた妖怪の着物に似てたからこれを着てみた。
店員「お2人共、良くお似合いです。よろしければ写真など撮らせてはくれませんか?外に専用の椅子と番傘がございますので。」
シルヴィア「八幡くん、してみない?」
八幡「折角だしな、お願いします。」
店員「ありがとうございます。では、こちらになります。」
外に出たら、周りからは驚きと感嘆の声が上がった。
その後、俺たちは店員さんにより写真を撮影されたが、周りの観光客もそれにつられて携帯で俺たちを撮っていた。
気付かれてるだろうが、まぁいいか。
八幡が着たのは、『ぬらりひょんの孫』の主人公、奴良リクオが着ている着物。
シルヴィアが着たのは、『ラブライブ』に出てくる東篠希の正月コスプレです。
アプリのコスを使ったのですぐに分かると思います。