八幡side
八幡「失礼します。今日この学校に見学に来ました、比企谷八幡です。」
このくらい言っとけばいいだろう。見学ってのも間違いじゃないしな。俺もうこの学校の生徒じゃないし。
平塚「……………比企谷……なのか?」
八幡「それ以外誰がいるんです?目は変わってますけど、中身は正真正銘、比企谷八幡です。」
いや、この人たちからすれば、中身も変わってるよな。こんなハッキリ喋ってんだし。
平塚「何故……此処に?」
八幡「いや、校長から聞いてないんですか?今日俺たちが来たって。」
平塚「そんな事は聞いていない!聞いたのは今日この学校に見学者が来ている、それだけだ!」
校長先生、貴方もお茶目ですね。俺たちの事言わないなんて。
八幡「にしても1学年違う教室なのに、なんか懐かしい感じがするな。ここの席は誰なんだ?」
男子「え!?あ、その……比企谷くんが転校した後、事情を知ったんだけど、せめて机と椅子は残しておこうって決めたんだ。」
八幡「じゃあこの席は、俺の席って事でいいのか?」
男子「あ、あぁ。」
八幡「そうか……」
そして俺はその机に手を置いた。
八幡「実感ねぇな。1年前までここに居たなんて……でも事実なんだよな。」
次に椅子を引いてそこに座ってみた。
1年前だというのに、全く思い出せない。
八幡「もう忘れちまってるとはな……ここからの目線ってこんな感じだったのか……初めてでもないのにな。」
平塚「比企谷、少しいいか?」
八幡「はい?」
平塚「お前、此処へ何しに来たんだ?」
八幡「いや、さっきも言いましたけど、見学ですよ?それ以外にあると思います?」
平塚「………私がいうのもアレだが、報復しようとは思わないのか?」
八幡「は?誰が誰にです?」
平塚「お前がこのクラス全員にだ!お前は復讐してやろうとは思わないのか!?」
八幡「何で俺がそんな意味もない事をしなきゃならないんですか?第一、それで俺の気が収まってるのなら、とっくの昔にやってますよ。」
平塚「いや、それはそうだが……」
何?もしかして俺がそんな目的で来たと思ってるのか?だとしたら信用無さすぎだろ。
八幡「なら言わせてもらいますけど、俺はこの学年もといこのクラスのことは恨んじゃいませんよ?むしろ感謝してる方なんですから。」
クラスの面々はあり得ないという顔をしていた。まぁ当然だ。あれだけの事をやったのに感謝されているんだからな。
八幡「理由を言うなら、あの時あそこまで俺を追い詰めてくれなきゃ、俺はこの力を目覚めさせてないし、六花に行く事も出来なかった。あの罵声罵倒、誹謗中傷があったからこそ今の俺がいる。だから俺は、お前らの事を恨んでない。俺に六花へ行くきっかけをくれた奴らを恨めると思うか?」
捻くれてる。そう捉えられてもおかしくはない。だがこれは俺の本心だ。諺で『
八幡「だからもう気にすんな……つっても無理だろうな。こんな簡単に割り切れるんだったら、ここまで引きずらないよな。」
三浦「当たり前だし。あーしらはヒキオが戻って来るのをずっと待ってたし。ライブの時に覚悟決めて行こうと思ったのに、チケットは取れなかったから諦めてたら、突然来てもう気にするなって言われても納得出来ないし。」
八幡「……でも意外ではあったな。言っちゃ悪いが、俺の事もう忘れてんのかと思ってたのに。」
平塚「何を言ってるんだ。お前がやった善行はこの学校の2年と3年の全員が知っているんだぞ。忘れるわけがないだろう。」
八幡「偽告白が善行だとは思えませんけど?」
平塚「その事はもう知ってるし、理解もしてる。冗談でもそんな事を言うな。」
ホントこの先生カッコ良すぎるだろ。何で彼氏出来ないの?ホント不思議。
八幡「分かりました。俺はもうどうとも思ってないが、お前らはどうしたら気が済むんだ?言っとくが殴るなんて言うなよ?
そんな理由でシルヴィと別れたくないしな。
三浦「ヒキオはなんか無いん?」
八幡「あったらこんな事は聞いてない。」
三浦「………」
八幡「だって俺明日にはもう帰るんだぞ。それなのに何をしてもらえってんだよ。」
三浦「………確かに言えてるし。」
実際やってもらいたい事なんて何もない。だってそんなの期待してないし。むしろ期待しても無駄だって分かってたし。
平塚「比企谷もこう言ってる事だから、もういいんじゃないか?お前らが納得出来ないのも分かるが、これでは平行線だ。ここは両者妥協案で行こうじゃないか。」
俺は別にそれで良いんですけどね。
平塚「それで比企谷、今年そっちへ向かった奴らはどうだ?」
八幡「由比ヶ浜は言えませんが、全員元気でやってると思いますよ。2ヶ月前に戸塚と戸部と海老名に会いましたけど、変わりなかったですからね。」
平塚「そうか……それは何よりだ。」
三浦辺りが黙ってなさそうだ………
三浦「ヒキオ、葉山は?」
八幡「……まだ会ってない。ガラードワースにいるのは知ってるが、それだけだ。」
三浦「ヒキオはどう思ってんの?葉山が何かするとか、企んでるとか。」
八幡「………まぁ、確実に何かはあるだろうな。そうでもなきゃ六花に来ないだろ。まぁ、この学校に居場所が無くなったからってのもありそうだけどな。」
まぁあいつの事は、フェアクロフさんとガードナーが何とかしてくれんだろ。
三浦「……結衣は?」
やっぱりか……
八幡「……さっきも言ったがそれは言えない。三浦と平塚先生だけならいいが、他の奴らに話すには重すぎる。ここではというより、この面子では話せない。」
教室の空気が重くなった。何かあったというのは感じたのだろう。
平塚「……比企谷、この授業が終わったら聞いてもいいか?それは恐らく、由比ヶ浜と雪ノ下だろう?」
八幡「まぁ、平塚先生ならそういうと思ってましたよ。それに、雪ノ下も関係してるのは事実です。」
平塚「………そうか、なら聞かせてくれ。場所は部室でいいか?」
八幡「えぇ、それでいいです。」
三浦「ヒキオ、あーしも聞きたい。結衣が何をしたのか。」
八幡「……いいんだな?後悔するかもしれないぞ?」
三浦「………うん。」
八幡「分かった、この話はこの2人にしか話せない。悪いがお前らは身を引いてくれ。」
クラスの生徒は頷くことしか出来なかった。
八幡「じゃあ俺はもう行く。あまりこのクラスに居過ぎても邪魔になるからな。じゃあ平塚先生、三浦、部室で待ってます。」
そして俺は2-F組を後にした。
中途半端ですが、まだ続きがありますのでご安心を。
さて、次はシルヴィアとめぐりさんです!
ではまた明日!