学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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10分休憩での話です。




憩いのひと時

 

 

八幡side

 

 

シルヴィア「あぁ〜良かったぁ〜。成功して本当に良かったよ!」

 

八幡「そうだな。結構練習したからな。」

 

 

水分を摂りながらさっきまでの歌の出来を話す俺たち。『The Asterisk War』1人で歌うなら楽だが、2人で歌うとなると結構難しかった。元々1人用なんだけどな。

 

 

シルヴィア「八幡くんも凄かったよ。界龍最初の頃は私も分からないけど、何とかやっていければ良いって感じだったんでしょう?」

 

八幡「まぁな。界龍……いや、六花に来た時はそんな感じだった。自分がこの世界でどこまでやれるのかが知りたかっただけからな。けど、界龍に来て数週間で変わっちまったよ。俺の目を気にせず、こんな俺にも優しくしてくれる連中が居るって分かったら、変わらずにはいられねぇよ。」

 

 

確かにうるさい奴(セシリーとかチビッ子とか陽乃さんとか)もいるが、それも引っくるめて全てが俺の日常になってる。いつからだっけな……こんな風に変わったのは。

 

 

シルヴィア「私に会ったのも六花に来た次の日だったんだよね。」

 

八幡「あぁ。あの時は確か……ナンパされていたのを俺が助けたんだったよな。」

 

シルヴィア「うん。あの時からもう運命だったのかもね。あの日から八幡くんの事が気になって仕方なかったもの。」

 

 

俺は別にそうでもなかったが、気になり始めたのは《王竜星武祭》の頃だったな。そして決勝に自覚したんだよな……初めて知った感情だった。異性を本気で好きになる感情ってのが。

 

 

シルヴィア「あははっ!休憩時間なのに昔話になっちゃったね!」

 

八幡「そうだな。だが思い出してくるのも事実だからな。」

 

 

でなければこんな話にはならないからな。

 

 

八幡「そういや最後の俺の歌が歌い終わった後のプログラムに???があったが、あれは何なんだ?」

 

シルヴィア「うーん……秘密かな。」

 

八幡「歌なのか?」

 

シルヴィア「それも秘密かな。」

 

八幡「おいおい、気になるな。教えてはくれないのか?」

 

シルヴィア「本番までのお楽しみにしてるからね。ダメで〜すっ!」

 

 

手でもばつ印を作って俺にアピールする。本番までのお楽しみって事か。

 

 

八幡sideout

 

めぐりside

 

 

………違った。私の知っている比企谷くんとは全くの別人だった。力強い目に堂々とした佇まい、意志の強さも感じる。昔の彼から感じた皮肉さはどこにも感じなかった。

 

何で気づいてあげられなかったんだろう。比企谷くんだってあんな事好んでする筈がないのに……。

 

だからこそ分かる。比企谷くん、君って本当は凄く強い人間だったんだね。文化祭や告白のために自分が犠牲になるんだもの、余程の覚悟がないとあんな事出来るはずがないよね。

 

そんな君に私は甘えていたんだね。それなのに、いざやり方が悪かったらあんな事を言って……本当、前のライブでも思ったよ。

 

 

めぐり「本当に不真面目で最低なのは私の方だよね。」

 

 

比企谷くんの事を分かってあげようともしてなかった。何か理由があってやったって事は私でも分かったけど、それ以上踏み込もうとはしなかった。その時点で私は君よりも不真面目だよね。

 

そして理由が分かったあの日、君が転校していなくなった日だね。あの日からずっと私なりに君を探してたよ。君に謝りたい一心で。理由が分かった時に動く私って最低だよね。

 

 

でも……そんな私でも、君にまた直接会って言いたいの。『ごめんなさい。そしてありがとう。』って。

 

 

めぐりsideout

 

比企谷母side

 

 

この日、私はたまたま有給を取っていたから休みを取れていた。だから幕張メッセまでは来ていた。でもチケットを予約していたわけじゃないから、外にあるモニターで映像を見ていた。

 

取材の時と同じで強い眼差しだった。1年前とは全く違うよ。

 

でも、私は充分だよ。あんたが日の光を浴びながら生きていってるだけでもう充分。あんたに会わせる顔なんてもう無い。というよりも、会うことがないわよね。

 

もうテレビ越しでしかあんたを見るしかないけど、私はもうそれでいい。

 

 

八幡、あんたが幸せでいてくれれば私はもう何も言わないよ。

 

……違った、言えないわね。もう会う事もないから。

 

 

比企谷母sideout

 

小町side

 

 

お兄ちゃんがシルヴィアさんとライブに出てる。そういえば付き合ってるんだったね。でも、嬉しいなんて感情も湧いてこない。それよりも大きい言葉が小町の心を支配しているの。

 

 

八幡『俺は今日この時間を以ってお前と兄妹の縁を切る!』

 

 

小町の頭と心にはこの言葉が焼き付いて離れない。シスコンのお兄ちゃんがここまでいうとは思ってなかった。小町は初めて思い知った。現実はこんなにも残酷なんだって。お兄ちゃんがいたから小町は幸せだったんだ。

 

ただお兄ちゃんが雪乃さんと結衣さんに謝って欲しいだけだった。でも、それがそもそもの間違いだった。

 

一番近い関係だったのに、今では凄く遠い人に感じる。でもそうだよね。縁を切るって言ってたから。

 

 

もう、戻れないのかな?

 

 

小町sideout

 

葉山side

 

 

男子1「ホントすげぇな!実力もあって歌も歌えるって……男版シルヴィアじゃん。」

 

女子1「本当に凄いよね〜!しかもあの2人って付き合ってるんでしょ?会見見てる時も思ったけど、凄くお似合いのカップルだよね〜!」

 

女子2「私もそれ思った!なんかさ、シルヴィアさんの比企谷さんを見る目がもう熱いんだよねー!」

 

女子「「キャーーー!!」」

 

男子2「女子は盛り上がってるなぁ。まぁでも、そう思わない方がおかしいな、そう思わないか、隼人くん?」

 

葉山「………まぁ、比企谷って人も思い切った事をしたとは思うよ。」

 

 

まぁ、比企谷に騙されているだろうけどね。でなければ陽乃さんやシルヴィアさんが彼に靡く筈がない。

 

 

比企谷、一体どんな方法で彼女に迫ったんだい?どうせ碌な方法じゃないんだろ?シルヴィアさんも本心では嫌々なはずだ。

 

《鳳凰星武祭》も準々決勝まではいい。けど、準決勝からは仕組んでやった事に違いない。そうでなければお前が勝てる道理なんて1つもないからな。

 

 

今度の《獅鷲星武祭》では、俺がお前を完膚なきまでに倒してやる!

 

 

葉山sideout

 

シルヴィアside

 

 

もうそろそろ休憩も終わりだね。

 

 

シルヴィア「八幡くん、そろそろ休憩終わりだから幕裏まで行こっ?」

 

八幡「あぁ、そうだな。」

 

 

ギュッ!

 

 

八幡「……エスコートが必要なのか?お姫様?」

 

シルヴィア「ステージ裏までお願いします。」

 

八幡「了解しました。」

 

シルヴィア「えへへ♪」

 

 

あぁ……やっぱり安心するなぁ、八幡くんの側にいると。

 

ずっとこの日々が続いてくれたら良いと思えてくるなぁ。

 

 

八幡「緩み切った顔だな。そんな顔してステージに出るのか?」

 

シルヴィア「そんな訳ないよ。君の前だけだよ。」

 

八幡「なら、しっかり拝んでおかないとな。」

 

シルヴィア「何の得も無いよ?」

 

八幡「俺にはあるんだよ。」

 

シルヴィア「どんな?」

 

八幡「絶不調でも絶好調にしてくれる太陽のような顔だ。」

 

シルヴィア「もう!調子に乗らないの!」

 

八幡「いや、割と本気なんだが……」

 

 

太陽かぁ……嬉しい表現だなぁ。

 

 

シルヴィア「よしっ!じゃあもっとご利益あるように抱き着いてあげよっか?」

 

八幡「いや、そうしたらライブに集中出来なくなるから、今は遠慮しておく。終わったらな。」

 

シルヴィア「じゃあライブの後に抱き締めるね!うん、決まり!」

 

 

その為にも頑張ろっと!

 

 

八幡「うし、じゃあ時間も良いから行くか。」

 

シルヴィア「歌い出しは任せたよ、相棒!」

 

八幡「シメのデュエットも任せるが、しくじるなよ、相棒。」

 

 

勿論!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いつの間にか色んなキャラ出てきてた……昨日の分の思考力ここで出てきちゃったか……1日戻して欲しいな。


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