八幡side
シルヴィア「あぁ〜良かったぁ〜。成功して本当に良かったよ!」
八幡「そうだな。結構練習したからな。」
水分を摂りながらさっきまでの歌の出来を話す俺たち。『The Asterisk War』1人で歌うなら楽だが、2人で歌うとなると結構難しかった。元々1人用なんだけどな。
シルヴィア「八幡くんも凄かったよ。界龍最初の頃は私も分からないけど、何とかやっていければ良いって感じだったんでしょう?」
八幡「まぁな。界龍……いや、六花に来た時はそんな感じだった。自分がこの世界でどこまでやれるのかが知りたかっただけからな。けど、界龍に来て数週間で変わっちまったよ。俺の目を気にせず、こんな俺にも優しくしてくれる連中が居るって分かったら、変わらずにはいられねぇよ。」
確かにうるさい奴(セシリーとかチビッ子とか陽乃さんとか)もいるが、それも引っくるめて全てが俺の日常になってる。いつからだっけな……こんな風に変わったのは。
シルヴィア「私に会ったのも六花に来た次の日だったんだよね。」
八幡「あぁ。あの時は確か……ナンパされていたのを俺が助けたんだったよな。」
シルヴィア「うん。あの時からもう運命だったのかもね。あの日から八幡くんの事が気になって仕方なかったもの。」
俺は別にそうでもなかったが、気になり始めたのは《王竜星武祭》の頃だったな。そして決勝に自覚したんだよな……初めて知った感情だった。異性を本気で好きになる感情ってのが。
シルヴィア「あははっ!休憩時間なのに昔話になっちゃったね!」
八幡「そうだな。だが思い出してくるのも事実だからな。」
でなければこんな話にはならないからな。
八幡「そういや最後の俺の歌が歌い終わった後のプログラムに???があったが、あれは何なんだ?」
シルヴィア「うーん……秘密かな。」
八幡「歌なのか?」
シルヴィア「それも秘密かな。」
八幡「おいおい、気になるな。教えてはくれないのか?」
シルヴィア「本番までのお楽しみにしてるからね。ダメで〜すっ!」
手でもばつ印を作って俺にアピールする。本番までのお楽しみって事か。
八幡sideout
めぐりside
………違った。私の知っている比企谷くんとは全くの別人だった。力強い目に堂々とした佇まい、意志の強さも感じる。昔の彼から感じた皮肉さはどこにも感じなかった。
何で気づいてあげられなかったんだろう。比企谷くんだってあんな事好んでする筈がないのに……。
だからこそ分かる。比企谷くん、君って本当は凄く強い人間だったんだね。文化祭や告白のために自分が犠牲になるんだもの、余程の覚悟がないとあんな事出来るはずがないよね。
そんな君に私は甘えていたんだね。それなのに、いざやり方が悪かったらあんな事を言って……本当、前のライブでも思ったよ。
めぐり「本当に不真面目で最低なのは私の方だよね。」
比企谷くんの事を分かってあげようともしてなかった。何か理由があってやったって事は私でも分かったけど、それ以上踏み込もうとはしなかった。その時点で私は君よりも不真面目だよね。
そして理由が分かったあの日、君が転校していなくなった日だね。あの日からずっと私なりに君を探してたよ。君に謝りたい一心で。理由が分かった時に動く私って最低だよね。
でも……そんな私でも、君にまた直接会って言いたいの。『ごめんなさい。そしてありがとう。』って。
めぐりsideout
比企谷母side
この日、私はたまたま有給を取っていたから休みを取れていた。だから幕張メッセまでは来ていた。でもチケットを予約していたわけじゃないから、外にあるモニターで映像を見ていた。
取材の時と同じで強い眼差しだった。1年前とは全く違うよ。
でも、私は充分だよ。あんたが日の光を浴びながら生きていってるだけでもう充分。あんたに会わせる顔なんてもう無い。というよりも、会うことがないわよね。
もうテレビ越しでしかあんたを見るしかないけど、私はもうそれでいい。
八幡、あんたが幸せでいてくれれば私はもう何も言わないよ。
……違った、言えないわね。もう会う事もないから。
比企谷母sideout
小町side
お兄ちゃんがシルヴィアさんとライブに出てる。そういえば付き合ってるんだったね。でも、嬉しいなんて感情も湧いてこない。それよりも大きい言葉が小町の心を支配しているの。
八幡『俺は今日この時間を以ってお前と兄妹の縁を切る!』
小町の頭と心にはこの言葉が焼き付いて離れない。シスコンのお兄ちゃんがここまでいうとは思ってなかった。小町は初めて思い知った。現実はこんなにも残酷なんだって。お兄ちゃんがいたから小町は幸せだったんだ。
ただお兄ちゃんが雪乃さんと結衣さんに謝って欲しいだけだった。でも、それがそもそもの間違いだった。
一番近い関係だったのに、今では凄く遠い人に感じる。でもそうだよね。縁を切るって言ってたから。
もう、戻れないのかな?
小町sideout
葉山side
男子1「ホントすげぇな!実力もあって歌も歌えるって……男版シルヴィアじゃん。」
女子1「本当に凄いよね〜!しかもあの2人って付き合ってるんでしょ?会見見てる時も思ったけど、凄くお似合いのカップルだよね〜!」
女子2「私もそれ思った!なんかさ、シルヴィアさんの比企谷さんを見る目がもう熱いんだよねー!」
女子「「キャーーー!!」」
男子2「女子は盛り上がってるなぁ。まぁでも、そう思わない方がおかしいな、そう思わないか、隼人くん?」
葉山「………まぁ、比企谷って人も思い切った事をしたとは思うよ。」
まぁ、比企谷に騙されているだろうけどね。でなければ陽乃さんやシルヴィアさんが彼に靡く筈がない。
比企谷、一体どんな方法で彼女に迫ったんだい?どうせ碌な方法じゃないんだろ?シルヴィアさんも本心では嫌々なはずだ。
《鳳凰星武祭》も準々決勝まではいい。けど、準決勝からは仕組んでやった事に違いない。そうでなければお前が勝てる道理なんて1つもないからな。
今度の《獅鷲星武祭》では、俺がお前を完膚なきまでに倒してやる!
葉山sideout
シルヴィアside
もうそろそろ休憩も終わりだね。
シルヴィア「八幡くん、そろそろ休憩終わりだから幕裏まで行こっ?」
八幡「あぁ、そうだな。」
ギュッ!
八幡「……エスコートが必要なのか?お姫様?」
シルヴィア「ステージ裏までお願いします。」
八幡「了解しました。」
シルヴィア「えへへ♪」
あぁ……やっぱり安心するなぁ、八幡くんの側にいると。
ずっとこの日々が続いてくれたら良いと思えてくるなぁ。
八幡「緩み切った顔だな。そんな顔してステージに出るのか?」
シルヴィア「そんな訳ないよ。君の前だけだよ。」
八幡「なら、しっかり拝んでおかないとな。」
シルヴィア「何の得も無いよ?」
八幡「俺にはあるんだよ。」
シルヴィア「どんな?」
八幡「絶不調でも絶好調にしてくれる太陽のような顔だ。」
シルヴィア「もう!調子に乗らないの!」
八幡「いや、割と本気なんだが……」
太陽かぁ……嬉しい表現だなぁ。
シルヴィア「よしっ!じゃあもっとご利益あるように抱き着いてあげよっか?」
八幡「いや、そうしたらライブに集中出来なくなるから、今は遠慮しておく。終わったらな。」
シルヴィア「じゃあライブの後に抱き締めるね!うん、決まり!」
その為にも頑張ろっと!
八幡「うし、じゃあ時間も良いから行くか。」
シルヴィア「歌い出しは任せたよ、相棒!」
八幡「シメのデュエットも任せるが、しくじるなよ、相棒。」
勿論!
いつの間にか色んなキャラ出てきてた……昨日の分の思考力ここで出てきちゃったか……1日戻して欲しいな。