憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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本日2回目の投稿なので、間違えて此方を見ないように気をつけてくださいね。(僕、一回あったので…)
後書きってふざけたくなるんだよね…何かの病気かな?

兎に角、今回でチャプター1は終わりです。
次はチャプター2に入る……前に、ネタ話しを書きたいと思ってます。


私と僕の学級裁判⑥

「---さん。い--さーー」

 

ユサユサと、誰かがアタシの体を揺らす。

誰かがアタシの眠りを妨げようとする。

昨日徹夜だったんだから、あと5分だけ……。

 

「入間さんっ!」

 

「ひいぃっ!?」

 

耳元で聞こえた大声に驚いて、思わず体を起こした。

な、何っ!?

 

「ご、ごめん。そんな驚かすつもりはなくて…」

 

アタシの目の前で、大声を出した張本人であろう最原が消えそうな声で謝罪する。

なんだ、最原か……へ?

 

「な、なんで最原がここにいるんだよ!?」

 

「えぇ?昨日頼んだ物を貰いにきたんだけど…」

 

そこでアタシは、もう朝の8時を過ぎていた事に気づいた。

あぁ…だから、最原がアタシの研究教室にいるのか。

なるほど納得。

状況の整理終わり。謎は全て解けた。

 

「ちゃんと作ったぞ。はい、コレ」

 

そう言って、アタシはダンボール箱に入れておいた自動で撮影するカメラ3台を最原に手渡した。

最原はそれらを一つずつ確認すると「凄い…」と呟く。

 

「ちゃんと注文通りに、センサーが感知して自動で撮影されるカメラ2台と、センサーが感知すると受信機のブザーが鳴ると同時にカメラの撮影がされるやつを1台だ。フィルムの巻き上げは自動にしてやったし、巻き上げ音とシャッター音の音はちゃんと消してるからな」

 

「ありがとう。入間さん」

 

えっと、他に言うことは何だっけ…。

あぁ、そうだ。

 

「今はちゃんと撮影されないようにセンサーの電源は切ってるけど、一度電源を入れたら10秒くらいで立ち上がるからな。それから、カメラのインターバルとして、一度シャッターが下りると次にシャッターが下ろされるのに30秒かかるようになってるから」

 

とりあえず、これで言うべき事は一通り言った…かな?

それでも気になる事があるのか、「あのさ…」と最原が顎に手を当てて聞いてきた。

 

「これって、フラッシュの機能って残っているのかな?」

 

あぁ、言ってなかったけ。

肝心な事を言い忘れてたか。

アタシは注文の書かれた紙をヒラヒラと見せながら、最原にこう言った。

 

「フラッシュの機能をなくしてほしいなんて、書いてなかったからな。残ったまんまだぜ」

 

 

 

 

 

 

ーー嘘だけどね。

 

 

 

 

 

そのまま研究教室から出て行った最原を見送り、アタシは軽く体を動かした。

変な体制で寝てたのか、バキバキと音が鳴る。

うーん…これからの事を考えて、研究教室に簡易ベッドでも置くべきかなぁ?

…今度から、ガチャで出たハンモックでも使うか。

 

「それじゃ…オレ様も動くかな」

 

モノクマの動機の期限…タイムリミットは今日の夜時間。

みんなの生存ルートを辿ると決めた以上、アタシに失敗は許されない。

明け方にできたばかりの発明品を片手に、アタシは研究教室を出ると校舎に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

食堂の扉を少しだけ開け、赤松を除いた女子が全員いることを確認すると、アタシは一階の女子トイレの中に入った。

……今思うと、女子トイレの中に入るのなんて初めてだ。

ぐるりと、トイレを念のために確認して問題ない事を知ると、アタシは持ってきた発明品を床に置いた。

 

「…………」

 

緊張で指が震える。

もし、失敗したら…なんて、嫌な考えが浮かぶ。

ううん。その時はその時で別の方法を使うだけ。

何度もあらゆる可能性を考えて、その時での行動パターンだって…

 

「あぁ~!クソッ!」

 

グシャグシャと髪を掻きむしると、アタシは頭の中の考えを消すように首を振った。

赤松と最原に頼まれたあのカメラだって、ちゃんとできたんだ。

ちゃんと、思った通りに作れたんだし…。

 

意を決して発明品の電源を入れると、アタシは慌てて女子トイレから飛び出すと扉を閉めた。

そのまま近くの壁にもたれかかって、心の中で発明品が起動するまでの時間を数える。

念のために余分にカウントをしてから、ゆっくりと扉に手をかける。

そして、力を込めて……

 

 

 

ガタガタッ、ガタッ

 

 

 

押しても引いても開かない扉に、アタシは無事に成功したんだと実感して笑った。

 

「んあ?入間よ、こんな所で何を笑っておるのじゃ?」

 

通りすがりの夢野が、トイレの前で笑っているアタシを見て首を傾げていた。

…不思議がっているんだとは思うけれど、表情に出ていないから分かりにくい。

 

「聞いて驚け。世界規模の大発明のテストをしてるんだ。これが上手くいけば、消臭と清掃が一気にできるんだぜ」

 

まぁ、それはカモフラージュとして作った機能でしかないけれど。

それでも、夢野は興味を持ったのか「ふむ…そうか…」と何度も頷いてくれる。

 

「その発明品が出来れば、ウチは面倒な掃除をしなくて済むのじゃな…」

 

あっ、そうだ。

この子めんどくさがりだった。

 

 

 

 

 

×××××

 

 

 

 

時間はあっという間に過ぎていき、刻々とその時が迫ろうとしていた。

図書室から借りたままの本を片手に、アタシは校舎の中を落ち着きなくウロウロする。

そのせいか、たまたま近くにいた天海に「ちょっと落ち着くっす」と笑いながら言われた。

 

「落ち着けって言われてもよぉ……」

 

「そんなに心配なら、入間さんもこの後の百田くんの作戦会議に参加するっすか?聞いた感じだと、心強いメンバーが集まってるらしいんで」

 

アタシを安心させようとしているのか、笑いながら天海がそんな事を提案してくる。

まぁ…確かに、この後の事を考えるとそれはいいかもしれない。

 

「おっと…そろそろ時間っすね。玄関ホールで集まる事になっているんで、俺は行くっすけど…入間さんはどうするんすか?」

 

「オレ様、今は役に立つような発明品は持ってねーけどよ…行ってもいいのかな?」

 

「まぁ、人は多い方がいいっすからね」

 

そう言って歩き出した天海を追うように、アタシは本を胸の前で抱え直すと、小走りしながらその隣に並び立つ。

それからは何も言わず、お互い無言のまま集合場所である玄関ホールまで向かって歩いき、玄関ホールの近くまで来た時だった。

 

突然、校舎の至る所から不気味な音楽が鳴り出した。

聞いて思わず気分が悪くなるようなこの音楽は、コロシアイ催促のBGMだ。

 

思わず耳を塞ぎながら玄関ホールまで辿り着くと、すでに百田、ゴン太、春川、夢野、アンジーの姿があり、みんなして玄関ホールにあるモニターを見ていた。

 

「チッ、こんな映像なんか見せやがって…。おーし!とにかくこれでメンバーは揃ったな!」

 

声をかけられて来た訳ではないアタシが居ることに、百田は気づいていないのか…それとも忘れているだけなのかは分からないけれど、この場に集まったメンバーを見て満足そうな顔をしていた。

 

「よしっ。作戦会議だけどな…ここじゃなんだし、ゲームルームでするか」

 

そう言って歩き出した百田の後をみんなでゾロゾロと歩く。

 

「…最初から集合場所をゲームルームにしておけばよかったんじゃない?」

 

「春川の言う通りじゃ。まったく、メンドーな事をするのぅ…」

 

「別にいいじゃねーか!急に思いついたんだしよ…」

 

みんなの後ろの方でそんな会話を聞きながら、アタシは本を持つ手に力を込めた。

自分で微かに震えているのが分かる。

 

階段を降りて目的の地下のゲームルームにみんなが入っていく中、アタシは誰かの視線を感じて階段の方を振り向いた。

階段の陰に隠れるようにして、誰かが此方を見ていた。

まぁ、誰かっていうか最原だったけど。

 

何も見なかったフリをしてアタシが最後にゲームルームに入ると、「さて、作戦の方なんだが…」と百田が仕切り出した。

意見を出し合うみんなを見て、作戦会議ってこんな感じでやってたのか…なんて思いながら、アタシは未だに不気味な映像と音楽を流すモニターに目をやった。

 

いつの間にか、画面の映像は切り変わってモノクマが高笑いしている姿になっていた。

その周りに、皆殺しまであと1時間というテロップが流れる。

 

「すみません百田君。俺、ちょっとトイレに行ってくるっす」

 

そう言って、みんなから離れようとする天海の通路を塞ぐような場所に立っていたアタシの姿に、天海は「ちょっと、どいてもらっていいっすか?」と苦笑いを浮かべながら言う。

でも、アタシはそれを聞かずに「なぁ、百田!」と声を上げた。

 

「どーした、入間?」

 

「あのさ、図書室に行ってもいいか!?この本を本棚の上に戻したいし……それに、役に立ちそうな本を探してやるから!」

 

図書室という単語に反応した天海が、一瞬だけ怖い顔をしてアタシを見た。

すぐに元の苦笑いに戻ったとはいえ、怖すぎる…。

 

「だから、少しだけ待ってろっ!」

 

後ろからの制止も聞かず、アタシはゲームルームから出ると隣の図書室の前まで走り、一度呼吸を整えながら扉を開けた。

 

そのまま迷うことなく脚立を登って、階段のような形で綺麗に整頓された本の山の上に、持っていた本を置いた。

その後はアタシの右側に摘まれた本を適当に手に取って、ペラペラ捲っては中を見た後、左側に置くという作業をする。

こうする事で、本で作られた階段はどんどん崩れていき、ただ本が乱雑に置いてあるだけのものになる。

そんな時、図書室の正面入り口から天海が入ってきた。

 

「…本当に本を探しているだけだったんすね」

 

そんな事を言いながら、モノパッドを片手に持った天海が下からアタシを見上げた。

やっぱり本当かどうか疑ってたのか…。

まぁ、アタシでも多分そうするし当たり前か。

脚立からゆっくり降りると、アタシは天海の前に立った。

 

「お前、トイレに行くんじゃなかったのかよ?それとも、オレ様が心配でついて来たのか?」

 

最後に至っては別に言う必要はなかったかなと思ったが、天海は何でもないかのように「そうっすよ」と答えた。

 

「正確に言えば、入間さんがここで何かしようとしているんじゃないか…って心配っすけど」

 

……こいつ、図書室の動く本棚の事を隠す気あるのかな?

 

いや、もしかしたらアタシにカマかけてるだけかもしれないし…。

うーん…気にするだけ無駄か。

 

「オレ様を疑ってたのかよ…」

 

「いや、それはホント悪かったっす」

 

できる限りで睨んでみるも効果なしで、むしろ宥められた。

年下みたいに扱いやがって…もう知らん。

拗ねたフリをして動く本棚の近くまで行くと、アタシはまた本を抜いて読んでいく。

未だに疑ったままなのか天海はアタシを見ていたが、小さな声で何かを言った。

 

「…今、何か言ったか?」

 

大音量のBGMのせいで上手く聞き取れなかった為、天海の方を振り向いてみると、天海は何故かアタシの方を指差していた。

 

…ん?どういうこと?

 

「だから、ちょっとどいてもらっていいっすか?」

 

よく分からないままアタシは本棚から少し離れると、天海は動く本棚の前まで行き、ゆっくり動かそうと……えっ、動かすの!?

 

「えっ……えぇ?」

 

「まぁ、ちょっと見ててほしいっす」

 

困惑するアタシの前で、天海が本棚を動かす。

本当に動かしやがった…。

全開にまで天海は本棚を動かすと、未だに混乱しているアタシと本棚から現れたモノクマを連想させるような隠し扉を見比べた。

 

えっ、この人は何を考えてるの…?

こんな展開になるなんて、予想してなかったんだけど。

 

「なんでって顔をしてるっすね。それは--」

 

天海の言葉を遮るかのように、突然図書室の扉が勢いよく開いた。

それと同時に赤松と最原、その後ろから百田と茶柱が図書室に入ってくる。

 

 

「えっ…。天海君に…入間さん?」

 

入ってきてすぐ、赤松が信じられないとばかりに目を丸くした。

あっ、これ絶対首謀者だと疑われるやつだ…。

 

「オイオイ…どーなってんだよコレ」

 

動く本棚と隠し扉に気づいた百田が、状況を上手く飲み込めないのかそれを凝視する。

アタシにも誰か説明プリーズ。

 

「あの…図書室に行くと言っていた入間さんは分かるんですけど…天海さんはここで何をしてるんですか?」

 

茶柱、アタシもそれ聞きたい。

なんでこんな事をしたし…。

 

「あのさ…2人はここで何をしようとしていたの?まさか2人が……」

 

帽子の下から覗く最原の目が、アタシと天海を鋭く射抜く。

ていうか、状況的に言い訳が思いつかないし…かなりヤバイ事になってきた。

 

「最原君達の言う首謀者は俺達じゃないっすよ…。まぁ、信じて貰えなくても構わねーっす。でも言わせてもらうと、俺らはモノクマに交渉しに来ただけっすから」

 

さりげなく、アタシまで頭数に入れた天海に驚いて口をパクパク動かすも、何も言わないのを良い事にして、そのまま天海は話し続ける。

 

「本当は俺と入間さんだけの秘密だったんすけど…まぁ、バレちゃ仕方ないっすね。あの奥の部屋にも入れないんで」

 

恨めしそうに扉の横にあるカードリーダーを見る天海に、百田は頭をガシガシと掻きながら「あのなぁ…」と呟く。

 

「そーいう大事な事は、今度からちゃんと言いやがれ!」

 

話しを信じ込んだ百田がそう言うと、「次は気をつけるっす…」と苦笑を浮かべて天海が謝った。

それでも、状況が良くなったわけではない。

 

「あの…みなさん……それよりもですね、転子はさっきから気になる事が…」

 

そう言って茶柱が恐る恐る赤松の足元を指差す。

みんながそれに釣られるように視線を下にやると……

 

「ありゃ、バレちゃった?」

 

いつの間にか、モノクマがそこにいた。

驚きのあまり声も出ないアタシ達に、モノクマはアタシと天海に目を向けると「でさぁ…」と怪しく笑ってみせた。

 

「ボクに交渉しに来たんだっけ?」

 

「そうっすよ…」

 

天海は一歩モノクマの前に出ると、モノクマに目線を合わせた。

 

「だって、モノクマも本当はこんな形で終わらせるなんて事…望んでないっすよね?」

 

確信を持っているように話す天海に、モノクマは何も言わずに固まったまま動かない。

もしかしたら、言葉の意味を探ろうとしているだけかもしれない。

 

「そ、それに…コロシアイって、ある意味ではモノクマとオレ様達のチーム戦みたいなもんじゃねーか。コロシアイをさせたいモノクマと、コロシアイをしたくないオレ様達……あっ、絶望させたいモノクマと、絶望に屈したくないオレ様達って言った方が言いのか?こんな形でオレ様達を終わらせるって事は、オレ様達の絶望に屈しないっていう思いが勝ったって事になるんだぞ?お前はそれを望むのかよ?」

 

下手したら逆鱗に触れそうな言葉を並べてみると、モノクマは突然「ぶひゃひゃひゃ!」と大声をあげて笑い出した。

えっ、もしかしてアタシ変な事言った?

 

「うぷぷ…そうだね。確かにそんな展開になるのはボクも望んでないし……いいよ。皆殺しの件はなかった事にしてやるよ。それに、誰かさんのせいでボクの製造機も使えないから、どうしようかと困ってたんだよねー。という事でオマエラ、次の動機が発表されるのを楽しみにしておくんだね……アーッハッハッハ!!」

 

最後に高笑いだけを残して、モノクマはアタシ達の目の前から姿を消した。

 

「私達…助かったの?」

 

 

 

赤松の、助かったという言葉が心に響く。

 

助かった。

皆殺しが……なくなった…。

 

 

 

アタシは、最初のコロシアイの阻止に……成功、したんだ。

 

 

それを実感した途端、へにゃへにゃとアタシはその場に座り込んだ。

あっ、やばい……腰抜けた。

 

 

 

『キーンコーン…カーンコーン』

 

夜時間を告げる鐘と共に、モニターに昨日までと違ってモノクマが映る。

そして……確かに皆殺しを止めたという事を告げて、モニターは真っ暗になった。

 

 

「入間さん、立てますか?」

 

座り込んだアタシに、茶柱が手を差し伸べる。

その手を取ろうとして手を伸ばした瞬間、緊張が解けたのと徹夜という事もあって睡魔がアタシを襲い……そのまま意識を手放した。

 





ここから先は、ただのおふざけなので見なくても大丈夫です。
えぇ、遊び心なんでスルーしてください。





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