憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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リアルが多忙、ざっけんな。
僕の夏休みはログアウトしました(そもそも、夏休みがない)


7日目②

どんなゲームでも、隠しルートや隠しキャラというのは存在する。

でも、それを解放するためには様々な条件があり時にはそれは厳しい条件だったりするけれど。 

例えば、定められた時間に特定エリアで焼きそばパンを数個獲得して、それで出現する騎士王を倒す事でサブストーリーが解放されたり、落とし物のライヴキャスターを拾って特定マスを踏んで、落とし主と連絡を何度か取り合う事で夢特性を持ちと交換してもらえるとか…。

 

…いきなりこんな話しをしてどうしたって思うかもしれないけれど、こんな事考えた事はファンならあるんじゃないか?

スクールモードのモノクマ、アイランドモードのモノミ…じゃなかっだウサミ。

 

どうして、あいつらにデートチケットは使えないのかって。

 

 

「入間さん、何か悩み事かしら?よければ相談にのるわよ」

 

アタシの切実な悩みはどうやら顔に出ていたらしい。

おやつのスコーンをわざわざ持ってきてくれた東条が、そう言って微笑んでくれた。

流石はみんなの斬美ママ、アタシの変化にもすぐに気づいてくれるなんて……!

 

「お母ちゃん!オイラも食べたい!!」

 

「これを売り飛ばしたら、ええ金になりそうやな!」

 

「もう、せっかくのオイルティーが不味くなるじゃない」

 

「オイルよりハチミツだろ!?」

 

「………」

 

 

まぁ、そんな感謝感激オーラはアタシの背後から現れたモノクマーズにかき消されたけれど。

 

「……随分と懐かれたのね」

 

「オレ様は何もしてねーのに!」

 

ある意味では長年の夢叶った役得だけど、本当どうしてこうなったと言いたい。

モノクマーズ相手にデートチケットなんて使ってない(そもそも使えない)し、攻略できるキャラとしてカウントされていないはずなのに……気づいたら、めっちゃ懐かれた。

なんか、ずっと側にいて離れない。

 

あれか、たまたま通りすがりにモノダムが虐められてるのを止めたからか?

それとも、その際にモノキッドのギターが壊れていることに気づいて研究教室で直してやった事か?

それとも、待ち時間にオイルで作ったオイルティーとハチミツでおもてなししてやったからか?

害のなさそうな発明品をモノスケに押し付けたからか?

なぜかお手伝いしてくれたモノタロウが可愛くて頭を撫でたからか?

 

………あげだしたら、全部な気がしてきた。

アタシが元凶かよ!

知らない内に隠しキャラ攻略ルート突入してたやつだ。

素直に喜んでいいのか分からないけれど、やったな!

 

「オレ様は今、身を持って知ったぜ…。あいつらが攻略対象にされなかった理由を……可愛いマスコットキャラは、存在が罪なんだ」

 

「ごめんなさい…。何がどうでそうなったのか私には理解できないわ。解るように説明して貰えるかしら?」

 

ごめん、東条。

説明とか上手くできる気がしない。

だってほら……いろいろぼかして説明するとか、アタシには無理だわ。

モノクマやマザーモノクマ経由で記憶持ちってバレる。

コロシアイが起こる本編じゃないのに、下手したら死体出てくる。

まぁ、簡単に言うと……アレだ。

 

「モノクマーズが可愛いすぎて辛いから、オレ様の子供として育てるんだ。もうモノクマのヤローの所になんて行かせねーからな!」

 

「「「「「お…お母ちゃん!!!!!!」」」」」

 

ガシッとモノクマーズを抱きかかえてヘラリと笑って見せると、東条は「大変な事になったわね…」と青ざめながら口元を押さえていた。

 

「これじゃあ、入間さんがモノクマーズに懐柔されたのか、モノクマーズが入間さんに懐柔されたのか分からないわ…。いえ、それよりも目を覚まして頂戴入間さん。モノクマーズは私達をここに閉じ込めたモノクマの仲間なのよ」

 

「違うよ!オイラ達はお母ちゃんの子供なんだ!!」

 

「オラ達ミンナ…オ父チャンニ、従ウノ止メル」

 

ヤバイ…語彙力ないけど本当にヤバイ。

モノクマーズが最推しになりそう。

 

「みんなで協力して、モノクマが支配するこの檻から卒業しような…」

 

「お願いだから、戻ってきてちょうだい。モノクマーズ達では卒業条件を満たせないのよ?」

 

………そ、それぐらい分かってるし。

忘れてねーよ?

 

「な、なんだよ……そんな顔しなくても分かってるよぉ…。オレ様がちゃんと面倒見て育てるから、ちゃんと相手にも認めて貰うからぁ……。それなら文句ねーだろ…???」

 

「モノクマーズが同伴となると、かなり厳しいわよ?……きっと、みんな反対するわ」

 

「認めてもらうようにするからぁ!!」

 

お願いママ、みんなを説得するのに協力して!と手を合わせると「…………………分かったわ」と長い沈黙の後、了承してくれた。

 

「マジで!?さっすが東条!」

 

「本当は反対したいのだけれど、モノクマーズを上手くこちら側につければ、条件とか関係なしで出してくれる可能性もあるもの。それに……一部の人は別の卒業相手を探すでしょうし」

 

最後のやつさえなければ、丸く収まる形だったのにな!




よくよく考えてみれば、このネタでスクールモード&アイランドモードやってみれば…苗木君はモノクマというか、モノクマを操作している江ノ島を落として、日向君はウサミを落とすという……希望×絶望、生徒×教師という構図になるんだなって考えて、1人で盛り上がってた。

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