憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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ネタが思いつかず、考えながら書いていった結果こうなった。


3日目②

トレーニングしたせいで喉が渇いたから食堂で飲み物を…と思って来てみたけど……

 

「それで、その時に妹達が……」

 

「へぇ…僕の姉さんはネ……」

 

気づいたら、目の前で天海と真宮寺のシスコントークが始まっていた。

興味のないフリをして、ジュースを飲みながらどのタイミングでこの場から離れようかと必死に考える。

…もう、一気に飲み干して出て行こう。

 

「入間さんはどうかナ?姉さんの友達になる気はないかイ?」

 

「俺の妹達ともどうっすか?」

 

いきなりこっちに話しがきた。

なんでだよ。

アタシはジュース飲んでただけで、お前らの話しを真面目に聞いてないんだから、そんな事言われても困る。

というか、真宮寺は遠回しに『死んでください』って事じゃねーか。

やだよ?

 

「……ノーコメントで」

 

そう言って、一気にジュースを飲み干す。

だけど、その場から離れる事はできなかった。

主にシスコンコンビのせいで。

 

「選べないのかナ?だったら、僕が姉さんがどれだけ良い人なのか教えてあげるヨ」

 

「妹達について語るなんて、俺も余裕っすよ」

 

違う、そうじゃない。

 

アタシを挟むように座ったシスコン達に、思わず頭を抱えそうになる。

この短時間で『姉さん』とか『妹』って単語をどれだけ言ったら、気が済むの??

 

「…何してるんだ?」

 

そんな最悪のタイミングで食堂に来た星は状況をよく解っていないのか、『仲良しなんだな』みたいな目をアタシ達に向けている。

アタシは関係ない。

被害者だ。

というか、今すぐここから離れる事をオススメする。

 

「あぁ…実は今、入間さんに姉さん達の魅力を語っていた所なんだヨ」

 

「星君もどうっすか?」

 

星のアタシを見る目が、一瞬にして同情の色に変わった。

そんな目で見るくらいなら、助けて。

「遠慮しておくぜ…」なんて言いながら、1人で出て行こうとしないで……って、そうだ!

 

「ちょ、待てよ星!オレ様と一緒に時間潰そうぜ!!」

 

デートチケットを星に押し付けるようにしながら、アタシはそのまま食堂を出た。

目指すは、食堂以外のデート場所だ。

すれ違うように食堂に入った最原とキーボは、運が悪いとしか言いようがない。

 

 

×××××

 

 

思わず星をデートチケットを使ってAVルームに誘ったけれど…ここからどうしよう。

…せっかくだし、何か見よう。

 

「星は、何か見たいやつあるか?」

 

「いや、特にないな。あんたの好きにすればいい」

 

それはテニス関係でもいいって事か?

でも、アタシは生憎テニスについての知識はないからなー…。

「うーん…」と唸りながら何にしようかと考える。

まぁ、アタシの好きにしていいって言ってたし、猫特集の映像でいいか。

デッキにセットして準備を済ますと、スクリーンに映像が流れるのをのんびりと待つ。

 

「なかなかいいのを選んだな」

 

そして、スクリーンに子猫の姿が映りだすと星はそう言ったきり、映像を眺めて……その…凄く、気のゆるんだ顔をしてた。

普段のクールはどこに行った。

 

「猫って、いいよな…」

 

だけど、映像に映る猫達の姿にアタシも気のゆるんだ顔をしているんだろう。

あぁ……癒される。

 

「なんだ、あんたも猫が好きなのか?」

 

「マンチカンとか、オレ様のツボ…」

 

「マンチカンか…確かにいいと思うが、ロシアンブルーもくるものがあるぜ」

 

「確かにな」

 

そんな話し合いを最後に、アタシ達はスクリーンの画面に釘付けになって黙り込む。

……まぁ、どういう原理かピコピコ動く星の帽子の耳みたいな部分も少し気になるけど。

…触ったら怒られそうだし、やめとこう。

 


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