憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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暑いせいで、夏バテになり食欲が失せています。
それなのに…食事を沢山出す母親は鬼なのだろうか…

そうそう、昨日グランフロント大阪のダンガンロンパフェア行きました!
グッズ買えたし、同じくファンの人と少しお話しできて満足。
でもさ……僕、一応成人してるのに10代に見られるって何なの。
あれかな、チビって事なのかな…もう身長伸びねーよ


2日目・夜

カジノで入手した愛の鍵を使い、今日は誰かなーと1人でドキドキしながら扉を開ける。

だからこそ、部屋の中にいる人物を見た瞬間、アタシはこれから起こるであろう展開の全てを悟った。

…こいつ相手じゃ、アレ以外考えられない。

 

「今日も話しを聞きに来たんすか?ちょっと照れるっすね…」

 

照れくさそうに頬を掻く天海に、アタシは内心で『お兄ちゃん呼び絶対(強制)』という言葉を浮かべ、思わず苦笑いしてしまった。

ふざけて『蘭太郎お兄ちゃん』って呼ぶ事はあってもさぁ…こう、呼ばなきゃいけない時に限って呼ぶのを躊躇うんだよな…。

できるだけ、名前で呼ぶような事態にならないようにやってみよ。

 

話し…だっけ。

天海の中で、アタシはいつも何かの話しを聞きに来てるのか?

 

「えっと…今日は何の話しを聞かせてくれるんだよ?」

 

できれば面白い話しだといいなー…と思いながら天海に聞いてみると「そうっすね…。じゃあ、ノヴォセリック王国に行った時の事なんすけど…」と返事が返ってきた。

 

…ちょっとタンマ。

 

ノヴォセリック王国?

え?えぇ??

 

「行った事あるのかよ…」

 

「あるっすよ」

 

まじかー…それは是非とも聞きたい。

てか、聞かせてほしい。

めっちゃ気になるし。

 

「あれは確か…オレが知り合いの船に黙って乗り込んだのが始まりだったんすけど」

 

「悪い…前提がおかしくねーか?」

 

なんで黙って乗り込んだんだよ。

普通に許可貰えよ。

知り合いの船なんだよな?

 

「いや、その時は許可貰う時間も惜しいぐらい急いでて、ついやっちゃったんすよ。まぁ、バレて怒られたんすけどね」

 

それゃ怒られるわ。

てか、なんでそんなに急いでたのかは…聞かない方が良さそうだな。

 

「で…その船の行き先がノヴォセリック王国の近くだったんで、成り行きで行ったんすよ。そこで、前に旅先で会った人と再会して、マカンゴの事を聞いたんで…一度見に行こうと思ったんすよ」

 

これは…マカンゴの正体が、とうとう分かるのか!?

あの、正体不明のマカンゴが!!

動物だという事しか分かっていない、あのマカンゴが!

 

「それで、マカンゴについて聞いていたら、黄金のマカンゴっていう存在を知ったんで、それを探す事にしたんすよ。まぁ…結局は見つからなかったっすけど」

 

見つからなかったのかよ…。

いや、でも普通のマカンゴなら見た可能性が…。

 

「その…マカンゴって、どんなやつなんだ?」

 

「ええっと…なんか、こんな感じのやつっす」

 

そう言って、天海が身振り手振りでマカンゴがどんな物か伝えようとしてくれるけれど…ごめん、どう見ても寿司ざんまいのポーズにしか見えない。

なんでだ…。

 

「で…こっからが大変だったんすよ。なんでも育てたマカンゴが行方不明になるっていう事件に巻き込まれてしまって、犯人だと勘違いされたんすよ」

 

なんで話しが突然重くなるんだ。

妄想の中で危険を犯すな。

 

「まぁ、なんとか無実を証明したんで何もなかったんすけど…その行方を眩ませたマカンゴは所有者を困らせる為に自分から逃げ出したらしくて、要するにマカンゴの家出騒動だったっす」

 

「お…おう…」

 

思ってたよりも、小さな事件だったな。

いや…でも、そいつらにとっては大きな事件だったのか…?

って、これ妄想だって事忘れてた。

 

「なんか、その話し聞いてたらオレ様もマカンゴを見たくなってきたなぁ…。いつか育ててみるか」

 

「おっ、いいっすね。なんなら俺と入間さんでそれぞれマカンゴを育てて、いつか見せ合うっすか?」

 

「いいな、それ。面白そうだな!」

 

ていうか、呼び方いつも通りじゃん。

自分が天海にとってどういうポジションなのか、一気に分からなくなったぞ。

 

「入間さん…意味、分かってないっすよね?」

 

「あん?お互いに育てたマカンゴを見せようって話しだろ?」

 

アタシがそう答えると、なぜか天海から返ってきたのは苦笑いだった。

えっ、何か間違えた事言った?

ちょっと待って、今マカンゴについての記憶を思い出すから。

 

…ダメだ、黄金のマカンゴを特徴のない顔立ちのアンテナを生やした勇者が討伐するって話しのインパクトが強すぎて、他のやつについて思い出せない。

 

 

 

×××××

 

 

 

目覚めてすぐに頭に浮かんだのは、なぜかマカンゴだった。

なんでマカンゴ?

 

「えっと…確かこの辺に」

 

ベッドから起き上がり、図書室から持ってきた数冊の本の中から海外の観光スポットの写真集を引っ張り出して、読みながら寄宿舎を出て食堂に向かった。

食堂にみんなが集まるにはまだ時間があるし、いい暇潰しにはなるはずだ。

もうすぐで食堂…って所で、アタシの手から本が消えた。

っていうか、奪われたってのが正しいかも。

 

「いいの見てるっすね。けど、歩きながら見るのは止めた方がいいっすよ?」

 

そう言いながら、本を奪った天海はパラパラとページを捲りながら写真集を見ては「あっ、ここ行った事があるっす」なんて言っていた。

 

ちょ、アタシどこまで見たか分からなくなるから…返してください。

 


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