憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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紅鮭団を書き始めてから、下書き中に謎の発狂を起こして「うわあぁぁ!!」って叫ぶ事が増えたけれど、今回は一番叫ぶ回数多かった気がする。

文才とネタが欲しい!!


2日目②

1つ何か作れば、今度はこれも作りたいとポンポン頭に浮かんでは消えていく。

研究教室に引きこもってからそれなりに時間も経っているのだし、アタシは一度手を止めると「ふぅ…」とため息を吐いた。

ちょっとした息抜きをしていると、『この後、誰と過ごそうか』という問題の脳内をしめた。

 

…まぁ、正直誰でもいいんだけどさ、やっぱり考えてしまうんだよ。

 

「とりあえず、ブラブラするか…」

 

アタシと同じようにボッチ状態な暇そうな人を見つけたら、誘えばいいんだし。

…都合よくいたらいいなぁ。

 

作りかけの発明品を片付けて、中庭の方へ出る。

中庭には、絶賛デート中なのか百田と春川の姿があった。

邪魔者でしかないアタシは気づかれない内に退散しようと思っていたけれど、こっちに気づいた春川が軽く手を振ってくれたので、反射的にアタシも手を振り返した。

 

あれ?春川って…こんな愛想いいやつだっけ?

いや、でも朝食の時とかもなんか…めっちゃ親切だったし……。

考えるの止めよう。

ほら…『いつまでここにいるの?』ってばかりに顔が険しくなってきてるし。

 

「うわっ…春川ちゃんオレの事すっごい睨んでる」

 

いつの間にかアタシの隣でしゃがみ込んでいた王馬が、怯えたような顔をしながら2人を見ていた。

……思わず驚いて後ずさったじゃねーか。

心臓に悪いわ。

 

てか、春川が怖い顔している理由は王馬であって、アタシじゃなかった…のか?

あれ?もしかして、どっちもとかだったりする??

だったら、アタシ達は退散した方がよくない?

 

「王馬…今、暇?」

 

「暇じゃないよ!」

 

…暇そうにしか見えないけど、とりあえず他の人を誘うか…と頭を切り替えてデートチケットをポケットから出しながら、その場から離れる。

誰かいないかなーと思いながらチケットを眺めていると、誰かがアタシの手からデートチケットを奪った。

…誰かというか、王馬だったけど。

 

「あっ、暇じゃないってのは嘘だよ。本当はすっごく暇なんだよねー。入間ちゃん、分かっててスルーしたでしょ?」

 

ナンノコトカナー。

 

 

 

×××××

 

 

お互いに暇だからという理由でデートチケットを使ったデートをする事になり、図書室に来た。

理由?よく分からないけど、王馬が「じゃあ、図書室に行こう」とか言い出したからだけど。

行き場所を選ぶ権利取られた…。

場所を選ぶの、アタシの密かな楽しみだったんだけどな。

 

「さっき最原ちゃんとここでデートした時に、オススメの本とかの話ししててさー」

 

そう言って本棚をあさる王馬を見ながら、アタシも本棚から適当な本を抜き取る。

…王馬は本日2回目の図書室デートなわけ?

飽きないの??

 

「で、さっき最原ちゃんと見てた本を入間ちゃんにも見せてあげようと思ったんだよね!」

 

渡された本を渋々受け取り、アタシは表紙を見て「うん?」と首を傾げた。

表紙を見た限り、世界の写真集みたいだけれど……なんでこれ?

こんなの見てたのか??

早く中を見てほしいのか、キラキラと目を輝かせた王馬が「それ、すっごくいいやつだったよ!」なんて言うから、アタシはその視線から逃げるように本を開けてしまった。

 

見た瞬間、閉じたけど。

 

「……エロ本じゃねーか!」

 

図書室では静かになんて暗黙のルールを無視して、アタシは本を床に叩きつけながら叫んだ。

くそっ、表紙に騙された!

なんて手の込んだ悪戯をしやがるんだ!!

 

「にししー。オレと最原ちゃんの2人で楽しんだ本なんて、簡単に見せるわけないじゃん」

 

いやいや、これ2人で読んでたやつだろ絶対!

どうせ『えっちな本でも読もうか』とか言った最原と、2人で仲良く読んでたんだろ!

……茶柱に投げ飛ばされてこい。

 

どっと疲れが押し寄せてきて、思わずその場にしゃがみ込む。

なんで振り回されなきゃいけないのぉ…?

 

「ねぇねぇ、入間ちゃんどう?ドキドキした?デートなんだからドキドキさせようとオレ頑張ったんだよ?」

 

「あぁ…うん。別の意味でドキドキしたわ」

 

こんなドキドキ(意味深)なデートとか、今後一生ないな。

てか、デート(仮)でエロ本見るとかなんなの?

うあー…思い出したら恥ずかしい。

 

あとさ、人の顔をじーっと見るの止めろ。

 

「なんだよぉ……」

 

「…入間ちゃんには、刺激強かったみたいだね。オレなりに楽しませるつもりだったのになぁ」

 

嘘だ。

絶対に自分が楽しみたかっただけだろ。

 

「そうそう、オレと最原ちゃんがいいなと思ったこの本のモデルの人はねー、金髪の巨乳の人なんだー」

 

「赤松逃げろ。マジで逃げろ」

 

嘘の可能性もあるけど、王馬のとんでもない発言に思わずアタシはここには居ない赤松の身を案じた。

 

……特別製の防犯ブザーでも作って渡すか??


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