憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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こんな自己満足な小説に、お気に入りと評価してくれてありがとうございまぁぁぁぁす!(確認したのは、実は今日が初めてだったりする)
僕の自己満足に付き合ってくれるなんて……なんて優しい人達なんだろうと思いました。

そしてあわよくば、誰か僕に文才分けてください(切実)


私と僕の学級裁判②

 

さて、アタシから絶望的に残念なお知らせです。

第1回目、絶望のデスロード~初見でも超高校級がこれだけいるんだし(略)~に挑戦した所、気絶者に軽傷者続出という結果になってしまった為、一時撤退ということになりました。

尚、再開の目処は立っていません。

 

なんて数分前の出来事を、脳内で眼鏡をかけたどこぞの絶望みたいに言ってみる。

はい、察しの通り無理でした。

 

 

「あ…あれ?私…そっか、気絶しちゃったんだ」

 

真っ先に罠に掛かって、気絶していた赤松がゆっくりと身体を起こす。

でもそれだけで、それ以降は誰も口を開こうとせずに沈痛な雰囲気に支配された空気だけが漂う。

 

「うわー、みんなボロボロねー?可哀想。同情しちゃうわー」

 

だからこそ、モノクマーズの1体であるモノファニーの声がよく響いた。

それに釣られるように他のモノクマーズも姿を見せ、モノクマまで出てきた。

 

「チッ…ゾロゾロ出てきやがった。気付かれちまったみてーだな」

 

舌打ちを隠そうともせずに見せつけながら、百田が真っ先にモノクマから目を逸らした。

 

「オマエラがここから脱出しようとして失敗する事ぐらい、ボクにはお見通しだったけど?」

 

予想通りになったのを見て、愉快だと言いたげな楽しい声でモノクマが告げた。

 

「最初から知ってたって事は、やっぱり、これって罠だったんだね」

 

「出口なんてなかったんですね!」

 

罠だと気づいていた春川がモノクマを睨み、茶柱は騙された事がよほど気に入らなかったのか大声を上げると、モノクマーズがモノクマを庇うように2人の前に出た。

 

「出口ならちゃんとあるわよ」

 

「みんなで頑張って協力すれば、きっと辿り着けるんじゃないかな!」

 

身振り手振りで出口は存在するアピールをするモノクマーズと、アタシ達一人一人の顔をモノクマは眺めながら「うぷぷ…」と笑みを零した。

 

「そういうわけだからさ…せいぜい頑張ってみるといいよ。納得するまでトライすればいいよ!アーッハッハッハッハ!」

 

最後に嫌な笑い声を上げながら、モノクマはモノクマーズと共に姿を消した。

 

「完全に出口を塞ぐんじゃなくて、わざと小さな望みを残しておくことで…精神的に追い詰めようって魂胆っすね」

 

「だからって…諦めるわけにはいかないよ」

 

小さな希望を信じる…赤松の目にはそんな強い思いが宿っていた。

だけど、アタシは知っている。

その希望は嘘で作られていて、真実が残酷なのを。

まぁ、誰にも言うつもりはない。

 

「もう1回…ううん、何度でも挑戦しようよ。それで、みんな揃ってここから出たら……友達にならない?」

 

赤松はきっと、ここにいる全員で集まって馬鹿騒ぎしているような…そんな素敵な未来を思い描いているんだろう。

それはとても平凡で、とても素敵な事で…みんなの志気を上げるには充分だった。

 

「フン…悪くねーかもな」

 

「それなら、なおさら…ここはなんとしてでも突破しないとね」

 

「うん、みんなで頑張ろう!さっきは失敗したけど、次こそ上手くいくよ!」

 

「あぁ、やっぱり人間っていいネ。困難に立ち向かう姿もまた美しいヨ」

 

強い意志を持って、再びトンネルに挑もうと意気込むみんなを見て、アタシはフッと自分の手を見つめる。

ひ弱な力しかない手だけれど、発明品を作れる手だ。

 

今すぐは無理だとしてもいい。

自分に出来ることをやろう。

 

「入間さん!早くしないとみんな行っちゃうよ!」

 

「うるせー、赤松!言われなくても分かってるっての!」

 

握った拳は決意の再確認で、みんなとの結束力。

 

アタシ達はもう一度、絶望のデスロードに挑む為トンネルの中へと入って行った。 

 

 

 

 

×××××

 

 

 

2回目も駄目だった。

3回目も駄目だった。

その次も、その次も、そのまた次も…

何度も何度もトンネルの中に入っては、失敗してしまいマンホールの開いた空間に戻ってきた。

諦めずに『今度こそ』。

そうやっていく内にいつしか体力もなくなってきて、身体が悲鳴を上げ始める。

それはアタシだけじゃなかったようで、疲労の表情を浮かべていく人が増えていく。

 

「さすがに…もう無理だよ…」

 

白銀はそれだけ言うと、ペタリと座り込んだ。

それに続くように、アタシも近くの壁にもたれかかった。

 

「待ってよ。諦めちゃダメだって。次こそ…」

 

「……いい加減にしてよ」

 

座り込んだ白銀の側に寄りながらそう言う赤松を、王馬が俯きながら低い声で止めた。

 

「えっ?」

 

赤松が驚いたように目を丸くしているのも気にせず、顔を上げた王馬の表情は今にも泣き出しそうだった。

 

「無理だと分かっている状況で諦めちゃダメって言われても、しんどいだけなんだよ…。赤松ちゃんは、『諦めない』って言葉で仲間を追い詰めているんだよ!」

 

「わ、私は…そんなつもりじゃ…」

 

酷く狼狽えながらも、赤松は周りを見渡すと目を見開いた。

この場の半分がトンネルから出口まで行くことを諦めていた事に、赤松は落ち込んだかのように顔を伏せた。

 

「テメーら!ここから出られなくてもいいのかよ!?」

 

「別に無理しなくても…違う方法で出ればいいだけじゃない?」

 

百田の叫びに、即座に王馬がトンネルから出る以外の方法を示す。

…一瞬だけ、アタシの背中に悪寒が走った事は気のせいだと思いたい。

 

「まさか…コロシアイの事っすか?」

 

表情を堅くした天海に、王馬は「キミはそう解釈するんだね」と笑いながら答えた。

なんでだろ、また悪寒が…。

 

「やれやれだな。あっという間にバラバラじゃねーか」

 

少し前までの結束力が簡単に消えた事を、星が呆れたように告げる。

 

 

「ごめん…私のせいだね。本当にごめん…」

 

気持ちだけが先走ってしまい、周りを見ていなかった事を謝る赤松に、百田が「何謝ってんだよ!」と声を荒げる。

 

「私は赤松のせいだと思うけど」

 

「あぁ!?なんでだよ!?」

 

ぼそりと呟いた春川に、百田が苛立ったように理由を求めると、そのタイミングで『キーンコーン…カーンコーン』とチャイムが鳴り、近くにあったモニターから映像が流れ出した。

 

『才囚学園放送部からのお知らせやでー』

 

『午後10時になりましたー。今から夜時間だよー』

 

『良い子も悪い子も、おねんねの時間だぜッ!』

 

『夜時間は食堂と体育館が封鎖されるので注意してくださいね』

 

『…………』

 

『『『ぎゃはははは!クマすみー!』』』

 

そうしてモニターは、元の何も映らない真っ暗な画面になる。

 

「夜時間…っすか。ここは仕切り直した方がいいかもしれないっすね」

 

みんなにそうつげた天海に便乗するように、「オレ様眠い…」とアタシは欠伸をした。

 

「全員分の個室がある寄宿舎があったわ。あそこで休息を取るのはどうかしら?」

 

アタシがここで寝ないようにするためか、東条が身体を揺さぶりながら言う。

部屋まで寝るなってことか…。

 

「で…明日はどーすんだよ?」

 

眠気と戦いながら必死に明日の動きを確認する。

とりあえず、明日の朝は「8時に食堂に集合」という王馬の考えで決り、その場は解散となって寄宿舎にある自分の個室で休むことにした。

 

 

 

 

 

個室に入るなり、アタシはベッドに頭から倒れ込んだ。

憑依で頭を変に使ったり、絶望のデスロードで体力を使ったりと踏んだり蹴ったりな1日だった。

 

「たとえ、これが夢だとしても……」

 

 

 

全てが終わるまで、夢から覚めませんように。

 

 

そう願いながら、アタシは意識を手放した。





もうすぐバレンタインデーだけど、作るお菓子考えてないし……ロシアンルーレットのカップケーキとかでいいかな…。

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