憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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最近は、ホームとマイページしか開かなかったので、久しぶりに小説検索のページでダンロンの小説をあさってました。
そしたら……知らない間に、V3の小説が増えているじゃないか!
嬉しすぎて、衝動的に書き殴ってしまったよ!!
もっと増えていいんだよ、てか増えてください(土下座)

書き殴ったせいで、今回の学級裁判の話しの展開早い気がするけど、そこはあえてツッコミはなしでお願いします。
ほら、あれだよ…作者の都合ってやt((殴


さよならダンガンロンパ④

どんどん下へと降りていくエレベーターの中で、アタシはフッと思い出したように隣にいるキーボを見た。

今では武装を解いていて、いつも通りの姿だ。

そんなキーボに「ちょっとだけ、ジッとしてろよ」と声をかけてから、キーボの腕にペタッと小さなシールを貼ってやった。

 

「あの…これは?」

 

「ん?お守りみたいなやつだよ」

 

まぁ、何かなんて嫌でもいずれ分かるさ。

ガタガタと音をたてて止まったエレベーターから、みんながゆっくり降りて裁判場に足を踏み入れていく。

 

裁判場には、すでにモノクマ達の姿があった。

アタシ達16人が用意された証言台の前に立つのを確認すると、モノクマは「うぷぷ…」と不敵に笑い出す。

 

「まさか、オマエラ全員揃ってここに立つ事になるなんてね…。で、それなりの手掛かりは得たんだろうね?オマエラがずっと捜していた首謀者と学園の謎の手掛かりを!」

 

モノクマにそう問われた事で、みんなの表情が強張る。

だけど大丈夫。

手掛かりは…必要なコトダマはある。

みんながいる。

それが何よりも、今のアタシには心強い。

 

「それじゃあ、早速なんだけど…何について話すの?」

 

「あっ、だったら俺からちょっといいっすか?」

 

議論を始める前に、天海が手を上げた。

誰も止める事はしないので、天海はそのまま話し出す。

 

「やっと、俺の才能が分かったんすよ。知らない人もいると思うんで言うっすけど…俺の才能は『超高校級の生存者』なんすよ」

 

「確か…天海さんは前回のコロシアイを生き残った『超高校級の生存者』なんでしたっけ?」

 

一緒にビデオメッセージを見ていた茶柱がそう言った事で、「前回のコロシアイ?」とゴン太が首を傾げた。

 

「うむ。じゃが、その時の記憶は失ってしまっておるがな」

 

「どうせ、モノクマが奪ったんだろ」

 

百田がそう吐き捨てると「そうだけど、それがどうかした?」なんて返事がモノクマから返ってきた。

 

「それで、天海君には生存者特典としてビデオメッセージと生存者特典のモノパッドが与えられていたみたいなんだ」

 

「生存者特典…ですか?」

 

何も知らないキーボや他のみんなに、天海が生存者特典のモノパッドを見せる。

 

「このモノパッドはみんなのモノパッドと違って、図書室の隠し扉や研究教室といった場所の地図に、コロシアイを終わらせるヒントってのがあったっす。だから俺は、最初の動機の時には既に隠し扉の存在を知っていたんすよ」

 

各々納得していく中で、アタシは「じゃ、次なんだけどよ…」と言って、モノクマにモノチッチの写真を見せた。

 

「あら、お父ちゃんソックリで可愛いわね」

 

「なんや、その写真」

 

「…オラ、知ラナイ」

 

「オイラ知ってるよー、そいつは同じモノクマーズでモノチッチっていうんだー」

 

「なんで知ってんだよっ!?」

 

真っ先にモノクマーズが喋り出した事で、喋るタイミング逃した。

ちょっと今だけ黙ってモノクマーズ。

 

「こいつの撮った映像は、マザーモノクマを経由してモノクマに送られる…。だったら、首謀者は隠し部屋にいる時は、オレ様達の行動を知っていたんだな?」

 

「うん、そうだね。今もオマエラの事を見てるよ」

 

「…隠し部屋じゃなくて、オレ様達と同じコロシアイ参加者として見ているんだろ」

 

そう言った瞬間、周りの温度が下がった気がした。

というか、絶対下がった。

 

「首謀者がこの中にいるっていうのは、本当なの?」

 

「そんな訳ないよ!今もマザーモノクマを通して見てるだけなんじゃないの!?」

 

春川と白銀が、ハッとしたように発言する。

アタシはモノクマの様子を窺ってみるも、話し出すような気配はない。

 

「今、マザーモノクマは壊れている。モノクマ、それでも首謀者は隠れたままだって言うのかよ?」

 

もう少し押せば話すか?

だけど、押し黙ったままで何も言ってくれない。

 

「ねー、首謀者って何のことー?」

 

「アタイ達の知らない話しね」

 

代わりとばかりに話し出したのは、モノクマーズだ。

ちょっと悪いんだけど、ややこしい事になりそうだし黙ってほしい。

 

「みんなも知ってると思うけど、図書室から隠し部屋に入るには、隠し扉でカードキーを使わないといけない。前に、カードキーに埃を詰めてみたら使われていた痕跡があったんだ。この中の誰か…なんて出来れば考えたくないけど、その可能性はあるよ」

 

タイミング的には遅いけれど、最原からの賛成を貰った。

よしっ、どんどんやってみよう。

 

「可能性はあるじゃなくて、実際そうなんだよ。マザーモノクマも言ってただろ?オレ様達が捜している人物は頻繁に訪れているって」

 

「へー…。じゃあ、本当にオレ達の中にいるんだ?うわー、誰だろう!」

 

なんで、王馬はそんなに楽しそうなの?

あぁ…いいや。今はそれよりも議論を進めないと。

 

「つー訳でだ。最初の動機のタイムリミットの時…変なBGMが鳴ってる時に何をしていたのか、オレ様に暴露しやがれ!」

 

あちこちから「なんで!?」って声が上がったけれど、いいから喋っていけって。

意味も言わずに言ったせいか、みんな言うのを渋っていたけど「しょうがないなー…」と赤松が困ったように話し出した。

しょうがないってなんだよ。

 

「えーっと…私は最原君と1階の空き教室で見張りをしていたよ」

 

「俺は自分の部屋にいたな」

 

「ボクも自分の部屋で過ごしていましたけど…」

 

「実は、オレも部屋にいたんだよねー」

 

「ゴン太は、モノクマと戦う為に百田君達と一緒にいたよ」

 

「他には、ハルマキに茶柱、夜長、夢野、天海、入間もいたな。天海と入間は途中で図書室に行ったけどな」

 

「わたしは食堂にいたよ。東条さんと真宮寺君も一緒にいたけど…途中でトイレに行ったよ。食堂近くのトイレは使えなかったから、2階に行ったけどね…」

 

上から赤松、星、キーボ、王馬、ゴン太、百田、白銀が証言していく。

渋ってたわりには、いい感じに進んでいるかもしれない。

それじゃ、ちよっと突っ込んだ話しにしていこうか。

 

「なぁ、白銀…テメーが食堂を離れたのは、本当にトイレに行く為だけだったのか?」

 

「え……?」

 

アタシが行った言葉が理解者できないのか、少し青ざめながらも「どういう意味?」と白銀が聞いてくる。

でも、アタシが何かを言う前に「そっか…」と春川が口元に手を当てながら呟いた。

 

「あのBGMが鳴っている時に、校舎1階の女子トイレに行こうとするなんて…偶然だとしても見過ごせないよね。だって、あのトイレには隠し通路があったんだし」

 

思い出したのか、星と百田が気まずそうに視線を逸らしていた。

あの時は、笑いそうになってごめん。

 

「その隠し通路は、どこに繋がっていたのかしら?」

 

「あの図書室の隠し部屋だったよ」

 

東条の問いに春川が答えると「ちょっと待ってほしいっす」と天海が慌てたような声を出した。

 

「そんなの、俺の生存者特典のモノパッドには書いてなかったっすよ…!」

 

「つまり、首謀者のみが知る抜け道って事だネ…」

 

真宮寺にそう言われた事で、天海の顔からサーッと血の気が引いた。

もしかしたら、最悪な結果になった場合の事でも考えてしまったのかもしれない。

…そうならなくて、今は本当に良かった。

 

「でもでもー、なんで1階のトイレは使えなかったのー?」

 

アンジーの疑問に、意外にも夢野が「入間の発明品じゃ!」と大声を上げた。

 

「ウチは、ただならぬ魔力を感じて近くにおったから見たんじゃ!入間の発明品が、誰もトイレに侵入できんバリアを貼るところをな」

 

あー…そういえば、あの時夢野に会ったっけ。

ていうか、え?たまたま通りかかったとかじゃなくて、見てたの?

うわっ、恥ずかしい。

 

「ま…待ってよ、そんなの偶然だよ!私は本当にトイレに行こうとしてただけだよ!それに、みんなも見たでしょ?私がマザーモノクマに新しいモノクマを作るように言った時に、みんなと同じで新しいモノクマが作られなかったのを!」

 

「そうですよ!男死ならともかく白銀さんは関係ありません」

 

がるるると威嚇する茶柱に思わず苦笑いしそうになった時、「待って」と赤松からストップがかかった。

 

「でも、白銀さんは『作れ』って言っただけで『産め』って言わなかったよね…?」

 

その一言に、みんなの視線が一斉に白銀に集まる。

驚きとか、やっぱり…なんて視線ばかりがある。

 

「確か、マザーモノクマには声紋システムがあって、首謀者の声で『産め』と命令されないと、新しいモノクマを作らないんだったわね?」

 

改めて、東条がマザーモノクマの性能を確認してきたから、黙って頷く。

なんか、スムーズに進み過ぎて後が怖い。

 

「ねー、なんでつむぎは『産め』って言わなかったのー?」

 

「そ、そんなのは偶然で…」

 

震える声でそう言った白銀に「そう何度も、偶然が重なるのか?」と星が帽子を被り直しながら言う。

 

「それじゃあ、白銀さんがゴン太達をここに閉じ込めた首謀者なの?」

 

「その可能性が高いってだけで、まだ白銀と決まった訳じゃねーだろ!」

 

ゴン太の言った事を訂正するように百田が叫ぶ。

それに便乗するかのように、白銀も「そうだよ!」と大声を上げた。

 

「私は首謀者じゃないよ!きっと、首謀者は江ノ島盾子だよ!!ほら、今までのコロシアイだってそうだったでしょ!?」

 

「ですが、江ノ島盾子は既に消滅したはずです!」

 

キーボがそう言った途端、モノクマがなぜか「うぷぷ…」と笑った。

 

「そんなはずないよ!だって、江ノ島盾子は…」

 

「江ノ島盾子は?」

 

まるで、オウム返しのようにモノクマが白銀の台詞を真似る。

 

「だって、江ノ島盾子は…!」

 

「江ノ島盾子がなんなんだー!」

 

待ちきれないとばかりにモノクマが大声を上げた瞬間、どこからか出現した白い煙が白銀の姿を隠した。

 

 

「だって、江ノ島盾子は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここにいるじゃなーい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煙が晴れると、そこには白銀の姿はなかった。

代わりに、クマのヘアゴムを付けたツインテールの少女の姿があった。

 

超高校級の絶望、江ノ島盾子の姿が。

 

まぁ…白銀のコスプレなんだけどね。

 


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