このまま、前までの更新ペースに戻れたらいいなぁ…。
むしろ、無理矢理にでも戻りたいです。現実逃避として!
ふわふわと身体が浮かんでいるような浮遊感。
目の前に広がる、みんなが笑い合っている風景。
すぐに、これは夢だと気づいた。
才囚学園じゃない、どこかの教室に超高校級の16人がいるなんて、夢じゃなかったら何なのだろう。
みんなが同じ制服を着ているなんて、夢じゃなかったら何なのだろう。
不意に、発明家がアタシに話しかけてきた。
それに続くように、ピアニストも話しに交ざる。
アタシは2人に返事をしようとして…止めた。
どうして、アタシはここにいるのだろう。
こんな夢を見てまで、もっとみんなと一緒に居たいと願ってはいけないのに。
泣き出したアタシを、2人が必死に慰めようとする。
それに気づいた他の人達も、何事かと集まってくる。
だけど、みんな声をかけてくるだけでアタシに触れる事はない。
アタシが手を伸ばしてみても、見えない壁があるのか誰にも触れない。
そりゃそうだ。
だって本来ならば、アタシ達がこうやって話す事すらできないのだから。
夢だから許される奇跡のような瞬間なのだから。
『それは違うよ』
そう思っていた時に、教室に入ってきた新たな人物がアタシにそう告げて微笑んだ。
「……ぅ…ん?」
何か夢を見ていた気がするけれど、よく思い出せない。
ゆっくりと身体を起こして、アタシは自分の周りを確認した。
えーっと、プレス機とエグイサル1体と塗装機と洗浄機。
それから…アタシに背を向けてゲームをしている王馬。
その近くには、アタシが背負っていた発明品とかを入れたリュックが無造作に転がっている。
状況と場所の確認はOK。
どうやら、エグイサルの格納庫に拉致られたようだ。
となれば、アタシがやることはただ1つ。
忍び足でリュックから必要な発明品を手に取ると、目の前にいる王馬めがけて…振り下ろした。
「おっと、危ない…。入間ちゃんやっと起きたのー?寝坊助さんだなー」
…すんでの所で逃げられた。
ゲームから目を離さずに避けるとか、お前なんなの。
「急に標的変えたテメーが、オレ様を罵るんじゃねー!」
だけど勢いのまま、発明品の『伸縮自在なハリセン』をフルスイングで振り回すと、今度はちゃんと当たり「スパーーーン!!」と良い音が鳴った。
ハリセン強い。
×××××
「で、入間ちゃんは1日中寝てたわけで…」
「だから、なんでオレ様なんだよ。あの流れだと絶対百田が拉致られる感じだったじゃねーか…」
暫くして落ち着いたアタシは、王馬から今に至るまでの経緯を聞いていた。
「だって殴られたくなかったんだよ。それとも、入間ちゃんは大人しく百田ちゃんに殴られたら良かったんだって言いたいの?そんなの酷いよ…」
「どっちがだよぉ…。テメーのせいで予定を色々狂わされたオレ様の身にもなれよな!」
お互い色々と伏せながら話しているせいか、微妙に会話になっていない。
それでも理解できるのは、共犯のような関係を結んだせいなんだろう。
……こんな形で相手の考えがなんとなく分かるとか、嫌だ。
「本当なら今頃、春川とあんな事やそんな事をしていたのにぃ…」
図書室の奥の秘密部屋に侵入したり、思い出しライトを製作する教室を調べたりするのが、アタシと春川がやるべき事だったんだけど…どーすんだよ、アタシが居ないならできないじゃねーか。
なんで百田を拉致しなかったんだ!
今頃、春川が「どうしたらいいの…」って困ってるじゃん!
「入間ちゃん…今の発言は、さすがのオレでも誤解しそうなんだけど」
うわぁ…って、なぜかドン引きしている王馬を見て、そんな反応をした王馬にアタシもドン引きする。
「お前、それどういう意味だよぉ…」
「えっ、オレの口からはとても言えないんだけど…」
顔を青くする王馬を見ていると、内心で笑っているような気がした。
こいつ、暇だからってアタシで遊ぶ気なんじゃないの?
その手に嵌まるのは最原とかのお人好しぐらいだろ。
「…折角だしエグイサルの魔改造でもするか」
王馬から意識をエグイサルに向ける。
道具は万が一、エレクトハンマーが故障した用として持ってきたものがあるし、それで多分大丈夫だろ。
道具をリュックから取り出そうと手を伸ばすと、なぜか王馬に奪われた。
ちょ、人の邪魔するなよ…。
「ねぇ、入間ちゃん…。オレさ、今暇なんだよね。入間ちゃんが起きるのを、ずっと待ってたんだよ?これは嘘じゃないよ。ホントだよ?だからさー、暇人な入間ちゃんの良い所を見たいなー」
「うん?だからエグイサル改造するって言っただろ?その間暇なら、さっきやってたゲームでもやればいいじゃねーか」
良い所=改造・発明だろ。
それを今からするから、その手に持っているものを早く返せ。
「分かってないなー。変な所でバカで、意味深な発言する入間ちゃんに分かり易く言ってあげると、この中に入ってた面白そうな発明品を使って暇潰しやろーって事なんだけど?」
いきなりディスられたぁ…。
あと、そのスライムみたいな顔止めろよ。
それは今やるべき表情じゃない。
勇者に退治されても、知らなねーぞ?
というか、ちょっと待った。
「お前、オレ様を拉致した理由が『暇潰し』とかじゃねーよな?」
さっきから暇って言ってるし、まさか…とは思うけれど聞いてみる。
いやほら、念の為ってやつ。
「えー、そんな訳ないじゃん!ホントだよ!嘘じゃないって!!」
うん、そう言われたら余計に嘘っぽく見えてきたわ。
重い溜め息を吐きながら、リュックを無理矢理奪い取る。
中に入っている発明品を1つずつ確認しながら、王馬の言う暇潰しになりそうなものを探す。
「ほらよ」
結局、どれなのかは分からなかったので、前に王馬の注文として造っていた発明品…というか、ゲーム機を出してみる。
どうやら正解だったらしく「そうそう、これなんだよー」って言いながら、2つあるコントローラーの内の1つをアタシに手渡してきた。
あっ、対戦相手か協力プレイって事か。
そっかー…なんで?
これさ、1人でも遊べるやつなんだけど?
「お…おい、王馬…」
「入間ちゃん始まるよー」
小さな液晶画面には無慈悲にも、スタートの合図が流れる。
待って、ソフトがホラーゲームとか聞いてない。
ゾンビ止めろ、追いかけてくるの止めろ、いきなり出てくるの止めろ。
それよりも、アタシの意思に関係なくスタートするの止めろ。
「もうっ、入間ちゃん下手くそだなー。嘘でも上手なんて言えないよ…」
「だから待ってぇ!?オレ様の話し聞いてよぉ!!」
作戦を急遽変更したうえに遊ぶとか、春川に知られたら怒られる所じゃねーよ!?
ボールペンとか、コンパスで磔にされるかもしれないんだぞ!?
「ちゃんと聞いてるってー!嘘だけどね!あっ、入間ちゃん。敵がそっちに逃げた」
「それ聞いてないって事じゃねーか!あぁ、クソ!」
何を言っても無駄だと思うと、どうでも良くなってきた。
……バレて怒られたら、土下座しよ。
王馬が飽きるまで仕方なく付き合う事になり、アタシがエグイサルに触る事ができたのはモノクマのいないアナウンスがモニターに映された後だった。
休題アンケートは、まだ活動報告の方で募集してますよー。