憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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早速だけど、変な話しをするよ!
どーでもいいって人はスルーしてね!

実は僕…最近、変な夢を見るんだ。
あの歩く死神と言われてる探偵(見た目は子供のやつ)の世界に、なぜか最原君がいるという謎のクロスオーバー事件。
こうも頻繁に見てるとさ、何かの暗示なんじゃないかって考えて……今日、答えが出たんだ。

きっと、誰かがそんなクロスオーバー小説を書くんだ!っていう答えが!!(とか言いながら、そうだったらいいなという願望)



愛も青春もない旅立ち①

「おい、モノクマーズ!」

 

まだ朝のアナウンスには早い時間に目が覚めたアタシは、モノクマーズを呼び出そうと大声を上げた。

正直まだ眠いけれど、春川と王馬を巻き込んだあの作戦を実行するためには、モノクマーズをモノクマ側からコチラ側に引き込まないといけない。

話し合いで駄目なら、発明品を使った洗脳…なんて危ない考えをしながらモノクマーズ達を待つが、やってくる気配がない。

 

あれ?

 

「おーい…モノタロウ、モノキッド、モノスケ、モノファニー、モノダム??」

 

纏めて呼んだのがいけなかったのか?なんて思って、1体ずつ名前で呼んでみる。

それでも、モノクマーズが出てくる気配がない。

どうなってるんだ?

 

「はいはーい、呼んだー?」

 

やっと来た!なんて喜んだアタシだったけれど、部屋に姿を見せたのはモノクマだった。

 

「チェンジで」

 

「ちょっと、ボクを見るなり嫌そうな顔するのやめてくんない?それから、アイツラはもういないよ!」

 

「あん?モノクマーズがいないって、なんでだよ?」

 

いなくなるような理由なんて、何も思いつかない。

そもそも、ゲームと違って学級裁判が起きてないんだし、クロの処刑の巻き込まれ(?)みたいな形でモノクマーズがジャンクと化す事なんてないんだし……いない理由が分からない。

 

「うぷぷ…分からないって顔をしているね」

 

だって、マジで分からねーし。

 

「ほら、アイツラって最近ボクに反抗的だったじゃん?」

 

そうだったか?と記憶を辿ってみる。

……うん。分からん。

アタシからすれば、物分かりの良い子達(深い意味はない)だったけどなぁ?

 

「入間さんなら分かると思うけど、アイツラって勝手に百田クンの薬を渡しちゃったんだよね?それだけで、十分ボクからしたら勝手な事をした反逆行為なんだよ。おかげで、百田クンはピンピンしてるし、それを動機にしたコロシアイも起きそうにないし…」

 

いや、知らねーよ。

 

「だからね、罰として処刑しちゃったから…もう、いないんだよね」

 

罪に対して罰が重い。

アタシがモノクマーズだったら、確実にグレる。

 

それにしても…そうか。

モノクマーズがいないなら、アタシがする事は今の所はないな。

 

「いねーならいいわ。じゃーな」

 

ヒラヒラと手を振りながら、部屋を出ようとしたアタシに「ちょっとー!」とモノクマが立ちふさがった。

危なっ、危うく蹴る所だったじゃねーか!

 

「なんなのさ、ボクを呼びつけておいて用がないなんて!」

 

「いや、モノクマを呼んだ覚えはねーし」

 

行き先を塞ぐモノクマに思わず頭を抱えながら、アタシはどう対象しようか…と考える。

朝のアナウンス時間になれば、勝手にいなくなるとは思うけれど……どうしようか?

 

「所で入間さん。昨夜は研究教室で春川さんと何してたの?」

 

「……は?」

 

なんでそんな事を聞いてくるんだと思ったけれど、すぐにエレクトボムを使ったから何があったのかは知らないのか…と納得した。

王馬の名前が出なかった事に、内心で笑いながら「ただの話し」と告げるとモノクマを無理矢理どかして個室から出て、そのまま寄宿舎から中庭へと足を運ばせた。

 

…後ろから、モノクマの不満げな声がした気がするけど、聞こえなかった事にする。

 

8時まで研究教室に引きこもろうか…なんて考えながら歩いていると、背中を思いっきりバシーンと叩かれた事で、一瞬とはいえ思わずフラついた。

 

「よー、入間!朝っぱらから、なーに難しそうな顔をしてんだよ!んな事するぐれーなら、体を動かしてみるか?」

 

背中の痛みに思わず涙目になりながらも、親指を立てて笑う百田を見ていると、何言っても無駄だろうな…という諦めがすぐに浮かんだ。

その後ろでは、止めようとしたけど止められなかったと、少し拗ねたように髪を弄る春川の姿もあった。

 

「なんでテメーは、そんな朝からやる気に溢れてんだよ」

 

「なんたって、俺は宇宙に轟く百田解斗だからな!」

 

そんなの理由になってない。

なんだ、そのメチャクチャな理論。

 

「入間、考えるだけ無駄だから」

 

春川にそう言われたので、言われた通り考えるのを止めた。

あれでしょ『考えるな!感じろ!』っていうやつか。

 

「よーし、入間!お前も今から俺の助手だ!何を悩んでるのかは知らねーが、ボスである俺に任せろ!」

 

「えっ、やだ」

 

助手の件は悪いけれど、お断りさせていただく。

夜時間のトレーニングとかやりたくないんで。

 

 

 

×××××

 

 

 

本日の朝食会は、モノクマがプログラム世界に置いた外の世界の秘密とは何だったのかという議論から始まった。

まぁ、結局は赤松の「外に出る事ができたら分かるんだし、みんなでどうやって外に出るか考えようよ!」の一言で、すぐに議論は終わったけれど。

その後は、朝食会に参加していない王馬の姿を、今日は誰も見てないなという話しになったけれど、夢野が「あやつは隠れんぼの達人じゃからなぁ…」と呟くと、妙にみんなが納得していた。

 

思わず、それでいいのか…と春川と視線を合わせてしまったのは秘密だ。

 

そして今、モノクマが持ってきたガラクタアイテムを使うオブジェの捜索という事で、アタシは校舎の5階をウロウロしていた。

周りには誰もいない。

所謂ボッチ状態だけれど、もうすぐしたら最原とかが来るだろと思いながら、暇潰しにモノクマメダルを指で弾いて遊ぶ。

コイントスをしようにも、裏表が変わらないから弾くだけの遊びになってしまうけれど、それでも十分な時間潰しにはなっていた。

そうやって遊んでいる内に、やっと最原が赤松と天海を連れて、アタシのいる巨大な扉のオブジェにやって来た。

 

「あれ?入間さんもここが気になって来たの?」

 

「入間さんがオブジェ捜索に参加してるって、珍しいっすね」

 

「いや、もしかしたら此処で王馬君を探していたっていう可能性も…」

 

アタシを見るなり、3人とも驚いたように目を丸くしただけでなく、言いたい放題に思った事を口にしていく。

なんか、グサッときたのがあったんだけど…。

 

「オレ様がどこで何をしていようが、勝手だろ!?」

 

「確かにそうだけど…。今は真面目にしてほしいというか…」

 

それ、普段は不真面目という事か?

そんな馬鹿な事あるわけない。

 

「オレ様、他の所行ってくるから…」

 

言葉で傷つきました…と落ち込んだフリをして、アタシはフラフラとした足取りで歩く。

せっかくここで何かしてあげようと思っていたのに、綺麗サッパリ忘れたわ。

 

因みに、赤松が「サボっちゃ駄目だからね!」とか背中越しで叫んでたのがトドメの一撃だったりする。

 

 

 

 

 

今回のオブジェ捜索では、思い出しライトは見つからなかったようで…代わりにと言ってはなんだけど、ずっと前にゴン太が見つけた『いは うま』という文字が書かれた石が、『このせかいはおうまこきちのもの』という文章になっていたという報告が白銀とゴン太から上がった。

 

…王馬の行動が速すぎて、何度春川と顔を見合わせたか。

 

それにしても、作戦の話し合いの際に『首謀者を演じる準備とかしながら、誰にも会わないように動けよ』なんて言っておいたアタシの言葉を本当に実行してくれるとは…。

なんか、てっきり「あんなの嘘だよー」とか言って出てくるんじゃないかっておもったりしたけれど、余計な心配だったようだ。

 

たまには部屋でのんびり過ごそうと思い、寄宿舎の個室の扉を鍵を使って開ける。

 

 

 

「あっ、入間ちゃんお帰りー。ご飯にする?お風呂にする?それとも…オレ?」

 

 

 

すぐに見なかった事にして、鍵をかけ直したけどな!

なんでアタシの部屋にいるんだよ!

ピッキング!?ピッキングなのか!?

 

 

バンッ!と勢いよく扉を閉めたタイミングで、個室から出てきた真宮寺が「どうしたんだイ?」と怪しく笑いながら近づいて来る。

見られた?

王馬が部屋で寛いでいるの見られた?

冷や汗を流しながら「いや、何もねーぞ?」と笑って誤魔化す。

 

「その割には、随分焦っているみたいだケド?」

 

…相手が悪かった。

人間観察が趣味みたいな真宮寺を誤魔化すのは、やっぱり厳しいのか!?

あれ?その考えでやると、最原が来たらもっと面倒な事になるんじゃない?

 

「フム…何やら怪しいネ」

 

「テメーに比べたら、マシだっつーの!」

 

真宮寺を指差しながら、思わず反論する。

アタシは、あんたと違って怪しい人間じゃない!

 

 

「真宮寺君に入間さん?何してるの?」

 

 

はい、ここで自由行動として部屋から出てきた探偵が合流ー。

なんて嫌なタイミングで来るんだ。

 

「あぁ、最原君…。何やら、入間さんが挙動不審になっていてネ。その理由を探っていたんだヨ。まるで、何か見てはいけないモノを見てしまったような…ネ」

 

「見てはいけないモノ?」

 

口元に手を当てて考え込む最原と、アタシの行動から何があったのかと色々口にする真宮寺の姿に、思わず泣きそうになる。

なにこのタッグ。

確実にアタシの精神追い詰めてくる。

 

「うーん…。さっきからチラチラと部屋の方に視線がいってるし…入間さん、部屋に何かあったの?」

 

さ、さすがは探偵の最原…痛い所をついてくるじゃねーか。

だけど、アタシは黙秘権を行使する!

 

「部屋から出る時に一瞬だけ見た感じだと…まるで、『なんで?』とばかりの驚いたような表情だったネ」

 

……これヤバイ。

黙秘権使っても、バレる気がしてきたぞ?

なんでか、学級裁判で追い詰められてきたクロの気分なんだけど?

ねぇ、この話し合い終わらない?

止めよう?

 

「入間さん…もしかして、部屋に誰かいたんじゃないかな?」

 

それは、ブレインドライブで導き出した答えなのか?

いくらやる機会がないからって、こんな時にしなくていいから。

 

「となると…王馬君じゃないかナ?彼、ピッキングができるんだシ」

 

もう、このコンビやだ。

正解に辿り着きやがったよ。

この流れを変えるには、あれしかない。

ほら、王馬がよくやるやつ。

 

「そんなヤバイやつじゃねーって!ただ…部屋に置いていた発明品が誤作動してて…ほら、オレ様って天才発明家だろ?自分の失敗を受け入れるのができなかったというか…そのぉ…」

 

もっと、マシな嘘は浮かばなかったのかアタシ!

偽証にすらなってないじゃん!

こんなんじゃ、この2人を誤魔化す事なんて…

 

 

「そうなんだ…。勝手に勘違いしてごめん」

 

「ククク…そういう事なら、これ以上の詮索は止めるヨ」

 

 

 

できたわ。

「ま、紛らわしい事して悪かったな!」なんて引きつった笑みを浮かべながら、アタシは心に誓った。

 

 

このコンビは組ませちゃいけないと。

 


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