嘘だけどねっ!!
1人、冷静になって考えてみる。
白銀が言っていたアレだ。
『最初の殺人に関しては学級裁判が起きない』
もし、本当に継続されたままならば…どうなるんだろう?
もし、誰かがそれに気づいたら…どうなるんだろう?
考えてしまっているうちに手が止まっていたのか、アタシは慌てたように再びプログラムの作成をする。
キーボードを打つ音だけが無機質に響く。
アタシにできるのは、本当にコロシアイを止める事だけ?
コロシアイが起きないように阻止するだけ?
本当に?
ホントニ?
ソレダケ?
「………」
しっかりしろ、アタシ。
アタシの目的はなんだ?
それを間違えるな。
首謀者も含めて、全員で…この学園から出る。
その本来の目的を忘れるな。
『キーン コーン カーン コーン』
才囚学園全体に響くチャイムの音に、アタシはいつの間にか自分が寝ていた事に気づいた。
モニターの映像から、モノクマーズが朝8時を知らせる。
まさかの寝落ち…。
「ふわぁっ…んー、どこまでやったっけ?」
欠伸をしながら、コンピューターを確認する。
えぇっ…と、確か凶器になりそうなものは消去して……そうだ、アバターのプログラムを作成してる途中だ。
「…あん?」
それなのに、だ。
いつの間にか、全員分のアバターのプログラムが完成していた。
なぜだ……。
手を動かして、1人1人のアバターを念入りにおかしな所などないかを確認していく。
だけど、どこにも『○○に触れられたら行動不能』だとか『物として扱われる』とか怪しいものはない。
でも、怖いものは怖い。
なんで完成してるの?
アタシの記憶違い?
「うぅ…気味が悪い」
靴を作ってる途中で居眠りした童話のおじさんみたいな事って、起きたらいいなと思ってても…実際はただのホラーじゃん。
他におかしな所がないか確認するも、他は特になさそうだった。
マジでなんなのぉ…?
あれか、モノクマの仕業か。
……てか、それしか思いつかない。
うん、間違いない。
モノクマorモノクマーズの仕業だ。
そう思えば怖くない。
「んー…とりあえず、次にやるのは……みんなで楽しめる事を考えねーとな」
コロシアイシュミレーターを楽しめるゲームにすると決めた以上、中途半端なものは許されない。
でもなぁ…みんな好きな事とかバラバラなんだよね。
共通する何かがあれば…。
「うーん…」
「何かお困りかしら?」
考え込んで唸っていたアタシに、コンピュータールームにやってきた東条が開口一番にそう言って微笑んだ。
その手には、何やらいい匂いのするランチボックスがある。
「入間さんの分の朝食よ。片手で食べられるパンを持ってきたわ」
アタシの視線に気づいた東条が、そう言ってランチボックスを差し出してきたので、すぐに開けて中を確認する。
コロネ、クロワッサン、ブリオッシュ、メロンパン、揚げパン…沢山のパンが入っており、アタシのお腹の虫がそれを見た瞬間に食べたいとばかりに鳴いた。
1つだけ手に取り、作ってくれた上に届けに来た東条に「いただきます」と一言言って咀嚼。
うん、美味しい。
嫁として迎えたくなる美味しさだ。
胃袋を捕まれて離さない…癖になりそうだ。
「味はどうかしら?入間さんの好みに合うように作ってみたのだけれど…」
「むぐむぐ……結婚して」
あっ、間違えた。
「んんっ…オレ様の好みをよく分かってるじゃねーか!さすがは東条だな!お陰で良い物が作れそうだぜ」
「なら、良かったわ。所で…さっきは何を悩んでいたのかしら?」
頬をリスのようにパンで膨らませながら食べていると、東条が「良かったら、力になるわよ」と言ってくれた。
メッチャ心強い。
「んぐんぐ……実は…」
「まずは、口の中の物を食べてからにしてちょうだい」
スミマセンデシタ。
よく噛んでから飲み込み、アタシは「実はだな!」と東条にコンピューターを見せた。
「こいつを使って、みんなで楽しめる……今よりもっと仲良くなれるようなゲームを作ろうと思ってるんだ!けどな、ほら…みんなの好きな物ってバラバラだろ?」
「それで、悩んでいたのね」
顎に手を当てて「そうね…」と東条が考え込む。
「動物と戯れるゲームなんてどうかしら?」
「動物?」
アタシが聞き返すと、東条は「えぇ」と真剣な顔で頷いた。
「動物には癒やし効果…アニマルセラピーというものがあるでしょう?楽しむのは勿論だけれど、みんなの不安を取り除く心のケアも必要だと思うわ」
「なるほどな…動物に癒されて、不安を忘れるってやつか」
それは盲点だった。
完璧に、ゲーム=遊びって考えだった。
そっか…癒やしか。
「犬や猫は勿論だけれど、小動物とかもみんな喜ぶんじゃないかしら?」
「おぉ…!」
これは…いい。
凄くいいぞ!
何より、動物と戯れるみんなを見てみたい。
採用決定だ!
きっと、みんな喜んでくれるはず。
口元に笑みを浮かべながら、アタシはまた一口パンを食べた。
みんなオレ様に感謝するはず。
そして、オレ様の事をもっと好きになるはずなんだ。
だって…オレ様の発明は世界を救う事ができるんだから。
だから、
だから、
こんな所で…
死ぬわけにはいかねぇんだ
ここから、何かの予告!
舞台は才囚学園…そこではモノクマによる超高校級達によるコロシアイが起き………「るわけないじゃん。嘘だよー」
「いいか、コレをやるのは…テメーだ、ダサイ原!」
「えっ?僕が?」
あるクエストに挑戦する事になった最原。
「私もさ、怖いよ。最原君がいなかったら、きっと震えてたと思う」
「なんで図書室なんかに行ったんすかね?」
「よし、まずは腕立て100回だ!」
「殺されたいの?」
いつもと変わらない日常…それでも、最原を確実に追い詰める数々のクエストの影が忍び寄る。
「最原ちゃんになら、何されてもいいよ」
「にゃははー。先輩の言う事は絶対だよー?」
「ここまで追いかけてくるとはな…」
果たして、彼が受けたクエストとは…?
「ひゃーっ、ひゃっひゃっ!なぁ、パンツは集まったか?」
「みんなの前で言わないでよ!」
パンツハンター最原の試練 ~集めろ、みんなとの絆~
という、エイプリルフールならではの遊びを前書きと後書きにしてみた。
つまり、全部嘘。