サン=サーラ...   作:ドラケン

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最終章 その全て 聖なるかな
悪心胎動 災厄の兆し Ⅰ


――永劫に輪廻(つづ)く筈だった刹那の微睡みより、虚無(ワタシ)の自我が浮上する。

 きっと空っぽの、伽藍洞の私の中に詰め込んだ"虚無(モノ)"の所為だろう。

 

 ギチギチと、死んでから……いや、"生まれ変わって"以来、動かしていなかった躯を動かしてみる。

 

 硬直した筋肉間接が軋み、とうに弛緩していた筋がぶらぶらと手足を揺らして、糜爛していた皮膚や肉は崩落(さいせい)しようとしている。

 今の状態はさしずめ――整備不良のマリオネットか。

 

 何とか眺めた……映すべき水晶体も無く見遣る掌。闇に盲いた瞳に、黒く焦げ付いた肌。

 『無からの蘇生』は、正気さえも代償にする程の苦痛と絶望を必要とした。

 

 同じように"世界の外側"から浮上した"零位の代行者"には、寄る辺たる"悠久の福音(ひかり)"が存在した。

 だが――ただ喰らい尽くすのみだった"その存在"にとって、そこは"闇の永久(とこしえ)"。

 

――嗚呼……やっと、ここまで復旧した。だってそうよね、()()()()()()()()()()()()だもの。例え霊魂まで壊されたとしても、私はもう……とっくの昔に壊れてたんだから。

 だから、絶対に。この私の願いは犯させやしない。この"虚無"にさえもね……うふふふふ……。

 

 深海よりも(くら)い闇の最果て、澱み粘つく臓腑のような圧力。虚無の体言者は混沌の深奥で誰に憚る事も無く遊ぶ。

 酒精にでも中てられたかのように、淡く青い石箱の敷き詰められた回廊を。

 

――虚無より湧き出づるチカラ。制限など無い、彼と同じ無尽蔵。でも……こうも違うなんて。

 同じ卵でも……あちらが有精卵なら、こちらは無精卵だもの。狡いわ、何処に区別が有ったのかしら?

 

 見上げた先には白髏の(あな)。己が堕ちて来た処、この無間地獄に穿たれた――決して届かぬ希望(ぜつぼう)(ヤミ)

 

「――やれやれ……そんな姿になってまで、よもや、()()()()()()()()()()()

 

 それに照らされて、六人……白銀の髪に青い瞳、黒い装束と巨刃剣(グレートソード)を携えた少女に率いられた五色の髪と瞳に、それぞれの永遠神剣を携えた永遠者の眷属が現れた。

 

「エターナルもここまで落ちぶれれば憐れなものよ。せめて、手ずから引導を渡してやろう――」

 

 何れも凡百のエターナルや神剣士を越える存在。だがそれも間もなく……この紅い瞳の毒蛾の鱗紛に呑まれよう。

 

「――――ふ、ふふふふふ」

「……何が可笑しい?」

 

 突如と言っていい哄笑に、少女――フォルロワは不愉快を露に問い質す。しかし、声は止まず――――背後に走った悪寒に従い、刹那の内に距離を取る。そして見やれば、そこに居た筈の五人は影も形も存在してはいなかった。

 

「この力……貴様、まさかナルを!」

 

 唯一の救いは、その彼女達が自我の薄い存在だった事。自分達が対峙したモノが何かを理解出来ずに済んだ事だけ。

 願わくば一秒でも早く。そんな彼女達に、速やかな(ゆるし)が訪れますように。

 

――……全てを"無"に。意味なんて何も無い、本当の" "に。

 さぁ廻しましょう、輪廻の輪を。くるくる、クルクル、狂狂と。

 

 『胃界の深奥』の顎門が、ガチガチと笑う。その用途に使用するには早い喉笛が、掠れた声を上げた――……

 

 

………………

…………

……

 

 

 風を切る神速の拳打、蹴撃。空間をも歪める裂帛の発剄と共に繰り出される一連の套路に音を上げて、大気が軋み激震する。

 

「――フッ、ハッ、ハァァッ!」

 

 最早、鬼や神さえ避けて通る域に達す程に卓越した我流武術。本来は剣術の型である『ミュラー・セフィス流』なる技術を八極拳や太極拳、詠春拳と言った中国武術に空手や合気道、テコンドー、ジークンドー、カポエイラ等の要素と組み合わせた独特な套路。

 

 基礎(たね)は師によって芽吹き、研鑽(くき)はこの旅で太く育ち、発展(はな)は【真如】との契約で満開となり、こうして究極()を結んだ。

 常人ならば発剄の余波だけで失神しかねない圧迫を放つその日課を終えたアキは、フゥ……と。何でもなさ気に呼吸を整える。

 

「お疲れ様、お兄ちゃん。はいこれ、タオルとお水だよ」

「ああ……サンキュ、ユーフィー」

 

 それを見計らい、パタパタと駆け寄りタオルと水を差し出してくるユーフォリア。甲斐甲斐しく世話を焼く彼女の頭を撫でて木陰に腰を下ろせば、直ぐ隣に彼女も腰を下ろす。

 その肩にごく自然に、腕を回して抱き寄せれば……答えて肩に乗ってくる蒼い髪。

 

 心地好い、春先めいた風のそよぐ学園の中庭に根を降ろした世界樹(トネリコ)の大樹の木陰。

 大樹の幹へと立て掛けられているライフル剣銃【真如】、その近くに置かれている柄の長い杖の如き剣【悠久】。手入れされたばかりの永遠神剣二振りが、朝露の如く柔らかに陽光を照り返す。

 

「…………」

 

 ものべーの管理が行き届いている事と、アイオネアがよくこの大樹に与える『サンサーラ』の雫のおこぼれを吸った事で生命力に溢れ、この世の常春を謳歌する瑞々しい下生えが生え揃った人工にして天然の華と翠の絨毯。

 だが、その華々も目に入らない。心を奪うのはただ、腕の中に在る可憐な一輪の華の蕾のみ。

 

「……えへへ……こうしてると何だか、思い出しちゃうな……」

「ん……何がだ?」

 

 大樹の幹に寄り掛かって、華の(しとね)に座るユーフォリア。右腕でその幼く細い肩を抱きつつ眺めれば、時折視線が交わる事で照れながらも微笑みをくれる蒼い妖精(ことり)

 それが、『よいしょっ』の掛け声と掛けて腰の上に跨がった。所謂『対面座位』の状態で胸板に手を添え、照れながら見上げてくる。

 

「最初にお兄ちゃんと出逢ったのも、ここだったから……」

「そうだな……あの時とは、随分と色んな事が変わっちまったけど」

 

 絡め合った左の掌、互いの薬指に嵌められたルータの指輪の感触を感じながら。風にて葉が擦れ合い、ざわめく枝葉の合間より……雲の流れる架空の空を仰ぎ見て、安逸なる眠りの淵に揺蕩う。

 

 幻視するのは過去の同景。この大樹の木陰にて、ユーフォリアと初めて出逢ったその刹那。

 

――俺は、あの時から……一歩でも前に進めてるか……レストアス……。

 

 まだ人間でしかなかった自分に、そんな自分に協力してくれていた【夜燭】と神獣『レストアス』。魔法の世界を救った事で記憶喪失となった少女。

 

「正直に言うとね……実はあの時、とっても恐かったの。知らない場所で、知らない男の人の上で突然気が付いたから……」

「ハハハ……しかもソイツはヤンキーも裸足で逃げ出す厳つい大男だしな……そりゃあ、恐かっただろ」

「うん……でもね、直ぐに判ったんだ……だってお兄ちゃん、自分より先に……あたしの心配してくれたから。この人はとっても優しい人なんだって……」

 

 その全てが、今は違う。人の形の永遠神剣に……『人剣(ニンゲン)』とでも言えるモノになった自分、そんな自分と契約してくれている【真如】と化身『アイオネア』。

 

「そんな恰好良いもんじゃねぇよ。なんせ俺はあの時、お義弟(とうと)にダイビングパチギを決められて卒倒してただけだしな」

「ふふ……そんな臍曲がりなところも含めて……今更だけど、あたしはあの時からお兄ちゃんが好きだったのかもしれないんだ……」

「…………」

 

 そして……記憶を取り戻して、今や恋人になった最愛の女性。日光を浴びて透き通る蒼穹色の髪、陽光そのものの如く温かな体。

 

――……それは、どちらかと言えばこちらの台詞だ。もしかしたら、あの時からもう……俺はこの少女に心を奪われていたのかもしれない。

 

「……お兄ちゃん? 寝ちゃったの……?」

 

 不意に、込み上げてきたモノをやり過ごす。それで反応が遅れてしまったので、何と無く狸寝入りしてしまった。

 その朱鷺色の闇の中で、思い返すのは数時間前の事。幼い腰に回す右腕の中にすっぽりと収まる愛しい少女へ指輪を贈った日の事だ。

 

 その日の午後、修復を完了した物部学園を乗せてものべーは飛び立った。たった二日程の間に、だ。流石は『科学が進みすぎて、魔法と区別が付かなくなった世界』といった処だろう。

 

 その後、生徒会室に集まった神剣の担い手達と各クラスの代表者達を前に……改まったようにしっかりと、上が濃紺で下が黒地の男性物アオザイ風武術服を身に纏って。伍挺の拳銃を互い違いに交差して納めたガンベルトを巻き、原形はそのままで近未来的にリファインした黛藍(インディゴ=ブルー)装甲(カウル)……胸当ての胸鎧(ロリカ・セグメンタタ)から肘当てまでを含む篭手(ガントレット)と、膝当てまでを含む脚甲(グリーヴ)で武装。

 

 そしてユーフォリアが二回も洗濯してくれた事で、なんとか着れる迄に回復した『神銃士』としての概念礼装。

 漆黒の装神具、『精霊光の聖衣』の概念を具現化した愛用の聖外套"零元の聖外套"に袖を通して空位【真如】をスリングで肩に担ぐ。

 

 一分の隙も無い完璧なエターナルとしての姿……"天つ空風のアキ"の姿を以て、一同を見渡すと――

 

『……俺とユーフィーは、元の世界に物部学園と生徒が帰還した事を確認して……この時間樹を"渡る"事にした。今まで世話になったな』

 

 つむじを見せる事のない、堂に入った礼をしつつ。実にあっさりした口調で。

 極めて優れた防刃性能・防弾性能を誇る聖銀(ミスリル)と対神力・対魔力を誇る魔金(オリハルコン)を耐熱・耐寒の零澪(アイテール)で編み上げた聖外套を翻し、その不退転の決意を口にした。

 

『……『渡る』……って、つまり …』

『この時間樹から出てくって事よ。神剣宇宙を渡り歩く、根無し草の放浪者になるって事』

『な、何でさ? 折角平和になったのに、どうして今なんだよっ!』

 

 沙月の疑問に答えたのは、同じく永遠存在であるナルカナ。それを受けて、勢い込んで立ち上がったルプトナがそう口にした。

 それに、嬉しそうに。嬉しかったその分だけ……一際、悲しそうに。同じく一分の隙も無いエターナル"悠久のユーフォリア"としての姿をしたユーフォリアが口を開く。

 

『……平和になったから『こそ』、なんだよ。あたし達はね、そこに存在してるだけで……戦いの火種になるから』

 

 無限に近い有限の神剣宇宙に存在するのは……"悠久のユーフォリア"や"時詠のトキミ"の所属している『神剣宇宙の永続』を目的とする『カオス・エターナル』のように善寄りばかりではない。

 得た神剣の能力を善悪の区別無く、利己の為だけに使う有象無象の『ニュートラル・エターナル』達も存在している。

 

 そして何より厄介なのが――物部学園を襲った"最後の聖母イャガ"や、ユーフォリアの両親と時深が闘った"法皇テムオリン"を筆頭に永遠神剣の本能に遵って宇宙開闢の壱振り……『原初神剣への回帰』を至上の目的とする永遠者の集団である『ロウ・エターナル』と、利害の一致から彼等と協力関係にある永遠神剣達……地位の永遠神剣総ての始祖【刹那】の威を借りる"刹那の代行者"であり、ナルカナの『楯の力"ナル"』を危険視して、この時間樹エト=カ=リファに封印した第一位永遠神剣【聖威】の率いる『地位勢力』。

 彼等は、効率のよいマナの回収の為に……文字通り『世界を壊す』。そして、それを邪魔をする存在を喜んで『殺す』。結局は、マナを回収出来れば良いのだから……何も迷わないし、躊躇もしない。

 

 エターナル同士の戦いに、実力差や神剣の能力、格の差は余り関係が無い。勝負を決めるのは担い手の精神力、彼等はその『強み』を持っている。

 失うのはただ己のみ。だからこそ彼等は強い。守りに徹した臆病者は、ただ奪い尽くされるのみ。

 

 莫大なマナをその身に有しているエターナル程狙われやすく、その周囲に居る者も含めて……全て獲物となる。

 安寧など無い。永遠を手に入れた代償は終わらない戦いだ。それに身を置く事を選びとった、或いは目先の不死(りえき)に飛び付いた道化気取りの賢者を気取る愚者……それこそを『エターナル』と呼ぶのだろう。

 

『解った……お前が、伊達や酔狂でそんな事を考える奴じゃない事はよく知ってる。お前達が選んだ道なら――俺は、止めはしない』

 

 ユーフォリアの語った話の内容に、室内に立ち込める重苦しい空気を切り裂いたのは望の言葉。

 

『ああ。俺は――……ユーフィーとなら、そんな生き方でも満足だ』

『うん、あたしも……お兄ちゃんとなら、そんな生き方でも満足だよ』

 

 それにユーフォリアの肩を抱き、一欠片の迷いも無く視線と言葉を返したアキ。応えた彼女もまた、一欠片の迷いも無い視線と言葉を返して二人見詰め合う。

 

『このバカップル』

『うるせーっての。自覚済みだ、放っとけ……』

『あぅ〜……ナルカナさん、ひどいです…』

 

 軽口を叩いたのはナルカナのみ。その余りにも救いの無い後生に、他の誰もが言葉を無くした中で……彼だけは――

 

『だったら……別れなんて必要無いだろ。俺達はどんなに離れても、どれだけの刻が流れても……ずっと"家族"だ』

 

 そう笑って、彼等の背中を押してくれたのだった…………。

 

 燦々と揺らめく水面のような、木漏れ日が差し掛かる事で朱鷺色に染まった視界が暗く変わって、一際甘い花の香を感じる。

 

「……んーっ……」

 

 その変化に目を開けば……閉じた瞼の繊細な睫毛を震わせながらも、さくらんぼ色の小さな唇を寄せているユーフォリアの顔のアップが飛び込んできた。

 

「……本当、不意打ちが好きだよな、お前は……」

「ひゃわっ、お兄ちゃん?! お、起きてたの……?」

 

 後もう少しで触れるというところで声を掛けられて、既に寝ているものとばかり思っていた彼が目を開いていた事に驚いた声を上げる少女。

 はしたない事をしようとしていた自覚は在ったのか、一気に真っ赤に染まって慌てふためくが……一層強く抱き寄せられてしまう。

 

「『お兄ちゃん』、か……ユーフィー、俺はいつまで『お兄ちゃん』なんだ? そろそろ、兄妹(きょうだい)は卒業したいんだけどな」

「ふぇ……で、でも……だったら何て呼んだらいいの?」

「そうだなぁ……うん、俺とお前は対等だ、呼び捨てにしてくれよ」

 

 更々の長い髪を手櫛で梳いて、蒼い薔薇の蕾を愛でる。自分が今抱いている少女は、自分の意志ではなく……生まれた時からエターナルだった少女。

 

「えう……だって……呼び捨てなんて……恥ずかしいよぉ」

 

 なればその身に罪は非ず。一切の存在、神ですらも彼女に……その罪は決して問えず。

 生まれながらに無垢なる彼女に、殊更深い愛情を抱きながら。その無罪の魂魄の眩さに心惹かれる。本来は透明な……さながら、(から)の如き少女に。

 

「……愛してるぞ、ユーフィー……だから……ほら。呼んでくれ……な」

「うにゅぅ〜っ……そ、そう言えばあたしが言いなりになると思ってるんでしょっ……!」

 

 しっとりと耳元でそう囁けば、ひくんっと強く少女の羽根が反応する。愛らしく、批難するように睨みつけてぷくーっと頬っぺたを膨らませた。

 見詰めたのは、微かにすら深意を映す事の無い琥珀色の瞳。心なしか瞳孔が縦長に広がっているような、抵抗する事を許さない……鷹か龍を想起させる、強い瞳だ。

 

「言うんだよ……ほら、な? 言え、ユーフィー」

「あうう……あの……その……お兄ちゃあん……いぢめないでぇ……」

 

 無理強いをする眼差しに晒されて、ユーフォリアはおどおどと怯え始める。だがそれは恐怖からではなく『年上の男性を呼び捨てる』という恥じらいから来るモノ。

 ちらちらと許しを請う彼女の瞳。だが、それは『性癖・ドS』の彼にとっては……逆効果中の逆効果。是が非でも、何が何でも言わせる決意を固めさせただけだ。

 

「……うう、あ……あ……あき……」

 

 そして――遂に屈服する。彼女はもじもじと恥じらい、ぷるぷると恥辱に震える可憐な唇でもって、やっとそれだけを音にした。

 

「うん……? 何だ、ユーフィー?」

「あうぅ〜っ……ぐすっ……いぢわる……お兄ちゃんのいぢわる……嫌いだもん……大嫌いだもん……」

 

 火照った頬っぺたを押さえて鼻を鳴らし始める。流石に虐めすぎたかと苦笑して、彼女を抱く腕に力を込めた。

 

「……ごめんごめん、許してくれよユーフィー……俺は餓鬼だからさ。好きな女の子ほど、虐めたくなるんだよ」

「くすん……もう、しない……?」

「いや? またお前のこんな可愛い姿が見たくなったら迷わずする」

 

 即答だった。完全な鬼畜だった。少なくともユーフォリアと、余りのバカップルっぷりに辟易しつつ聞いていた【悠久】と【真如】が絶句してしまうほどには。

 彼が他人に生き方を説くとすれば『汝の望むところを行え』、だ。有りのままの姿で在ること、則ち『是我(ゼーガ)』の境地、究極の一ツ。徹底的な自己の生涯の完全肯定、『それも(よし)』。

 

 かつて、ツァラトゥストラがかく騙りき――神さえも越えゆく超人にのみ実現可能な理法(ことわり)である……"永劫回帰(エターナル・リカーランス)"。

 又の名を『捩れた神樹の両刃剣(ミ ス ト ル テ ィ ン)』。これより後の神剣宇宙に於いて、決して避けられず、止められず。決して打ち消せず、逸らせない彼の切り札である12.7㎜銃弾……"無限光"を集束した.50BMG型の高精度狙撃用のライフル弾。エターナルですらも一撃で完全に消滅させる、絶対的防御無視たる『透禍(スルー)』の銃弾が永遠者どもの間で冠する事になる神弑しの渾銘である――……

 

「……だから、こーんな事も平気でしちゃうからなー、うりうり」

「ひにゃああうっ、お兄ちゃんっ?! も、もう〜っ!」

 

 その呆気に取られた彼女の頭の、隙だらけの羽根。それをむんずと握る。勿論、敏感な身体の部位を握られた彼女は悲鳴を上げた。

 

「んー……相変わらず抜群の手触りだな。永遠にでも触ってたい」

「ふにゅうぅ……ひゃあっ、んくぅ……あっ、ふぁぁ……はぁ」

 

 もにもにと羽根を按摩されて、ユーフォリアは頬っぺたに当てていた手を口元に移動させてやたらと熱っぽい吐息混じりの声……所謂喘ぎ声を漏らす。

 直ぐ『止めて』と言われるだろうと思っていたというのに、語尾にハートマークが付きそうなくらいに艶やかな声を漏らして……堪えるだけだ。

 

「いいよ……あふっ、くすぐったいけど……お兄ちゃんは……んきゅ…………アキさんだけは、好きなだけ触ってもぉ……いいんだよ……んんっ……」

 

 流石に『昼間から何やってるんだ、俺は……』と正気に戻った瞬間、信じられないくらいに健気な言葉がその正気を消し飛ばした。

 

「――……ユーフィー……!」

 

――ヤられた。今のは俺の何かロリコン的なものにクリティカルヒットした! 畜生、一々可愛いなぁもう!

 

 背筋に走った、寒気の如き衝撃に矢も楯も堪らなくなってしまい、手を止めざるを得ない。

 それによって、どこか不服そうな色を滲ませて自分を見上げてくる艶っぽい眼差しと……鼻に掛かった甘い声に。

 

――知った事かよ、『物部学園のマスコットを汚すな』とか『皆の妹、ユーフィーちゃんを返して』とか。果たし状的な味気無いモノからファンシーな便箋まで、多種多様な呪いの手紙が一日に数十通届いたり、靴に画鋲がテンコ盛りにされてたりした事が昨日だけで二十回は有ったけど……一体それがどうしたってんだ!

 誰に憎まれようが不興を買おうが真性ロリの烙印を捺されようが、俺は……俺はユーフィーが側に居てくれさえすればそれで良いんだ!

 

 破滅的に後先を考える事も億劫となり、可愛らしい嬌声(うたごえ)を囀るその甘そうな唇を塞ごうと近付けて――

 

「――真っ昼間から、しかも屋外で! イチャイチャイチャイチャと何やってんのよ、このパブリック・エネミー・ロリコンーーっ!」

 

 がつーーーん!と、物凄い風鳴りと衝突音を上げて振り下ろされた【悠久】……沙月の【光輝】によりコーティングされて威力を増した、『プチコネクティドウィル』の変則バージョンを無防備な頭頂部に打ち噛まされた。

 当然、担い手ではない沙月に技を使用する事など出来る筈が無い。つまりは、【悠久】が力を貸したという事だ。

 

「――アンタはァァッ、禿げたらどうしてくれんだよコラァァッ! そしてまたお前が立ちはだかるのか、お義弟……!」

「禿げ散らかしなさい、この外面も中身もプリン頭! さっきっから何度も呼んだのに反応返さないで……どれだけ二人だけの世界に没入してるのよ、見てるこっちの方が恥ずかしくなったでしょっ!」

「何を失礼な! 俺をそんじょそこらの低脳ヤンキーと一緒にしてんじゃねぇ! 俺のは天然、プリン頭なんぞにはならねぇ! アンタのせいで苺ソースの掛かったプリンに成りかけたけどな!」

 

 憤慨する沙月に【悠久】で強かに打たれた頭を摩りつつ反駁する。その脇では『ぶーっ』とばかりに唇を尖んがらせているアイオネアの姿が在る。

 

「あぁ……兄と親友が付き合うようになって兄には親友を、親友には兄を取られたような気がして嫉妬してしまう妹……いいものです」

「説明長っ!?」

 

 そしてその更に隣で、うっとりした眼差しをアイオネアへ向けるカティマとその彼女にツッコんだルプトナ、苦笑する希美と望、絶。呆れ顔をしたナーヤとナルカナ、イルカナ、ソルラスカとタリアの姿が在った。

 その全員が、キッチリと物部学園の制服を着ている。

 

「呼んだって会長……何か用事でも有るんですか?」

「ええ、大有りよ全く。今直ぐに制服に着替えてから、体育館まで来なさい。ユーフィーちゃんも」

 

 なお、頭のダメージは発剄により得た副産物で……ベルバルザードの対物理防御『アイアンスキン』と対理力防御『スーパーアーマー』を再現したモノの複合展開により防いである。

 "最速"たる彼は、攻撃が命中した瞬間……肌が圧力を検知した瞬間にタイムラグ・ゼロセコンドで防御を展開する事も可能だ。

 

「はあ……それだけっすか?」

「そうよ、急ぎなさい」

 

 ピシッと人差し指を立てて、生徒会長モードで命令してくる沙月。それに微かな反抗心を抱いたが、これも最後だと思うとまぁ良いかと思えた。

 本当は元の世界に着いた直後に、誰にも気付かれないように二人で消えるつもりでいたがバレたのかと、ヒヤリとしたのだが。

 

「了解、じゃあ俺達は部屋に戻りますんで」

「ひゃうぅ……」

 

 そして立ち上がり――ひょいっと、ユーフォリアをお姫様抱っこで抱き上げて歩き始めて。

 

「べ・つ・べ・つ・の・へ・や・でに決まってるでしょ?」

「ちぇ」

 

 背中に剣状の【光輝】を突き付けられ、渋々ながら彼女を解放したのだった。

 

 

………………

…………

……

 

 

 言われた通りに制服に着替えて、ユーフィーとアイオネアの二人と合流して立ち尽くす、固く閉ざされた体育館の鉄扉。

 

「一体なんなんだろうね?」

「何でしょう……?」

「ふむ……何だろうな?」

 

 三人揃って首を捻るも、思い付く事はない。まさか、これから学園裁判でおおっぴらにロリコンの烙印を押されるとでも言うのか。

 

――自慢じゃないが、有り得そうで困るな。

 

 兎に角、いつまでもこうしていたところで何も変わりはしない。身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあるのだ。

 

「よし――行くか」

 

 心を決め、扉を開く。甲高く軋みながら開放される引戸。

 

 その先には――飾り付けられた館内に、整然と並んだ全校生徒達。

 

『――遅いわよ、あなた達。早く席につきなさい』

 

 スピーカーから響いた沙月の声に最前列を見れば、五つの席のうち二つにナルカナとイルカナの姿。勿論制服姿、そこで今から何が起こるのかを知る。

 

 そう、それは――

 

「お兄ちゃん……これって」

 

 ユーフォリアが、早くも瞳を潤ませている。一方のアイオネアは、まだ状況が飲み込めていないらしく目をぱちくりさせているのみ。

 

「ハハ――全く、余計な気ィばっか回しやがって」

 

 思わず、そんな悪態が口を衝いた。そんな事でも口にしなければ、別の言葉が出てきそうだったから。

 それは、唯一の心残り。恐らくはやり残す事になると諦めた……生涯抱こうと思っていた悔恨になる筈だったもの。だからこそ、掛け替えのない思い出になる筈だったのに、と。

 

『ほら、急ぎなさい。式次第が押してるのよ』

「――へいへい、まだ一年早いっすけどね」

 

 促され、不承不承席につく。壇上にはサレスの姿があり、いつも通りの不敵な笑顔を浮かべていた。

 アキの皮肉に、僅かに弛緩した館内。そんな空気を引き締めるように、マイクから声が響いた。

 

『――それでは、卒業式を執り行います』

 

 そんな、最後を告げる声が――……

 

 

………………

…………

……

 

 

 形式だけの、証書も無い卒業式が終わって夕焼けの天蓋が物部学園を覆う。この天幕が明日の朝日を映す時……それが巽空がこの時間樹(ふるさと)から旅立つ時。

 なので、その後始末として。仁義を通す意味も込めて、旅の始まりから使い続けた部屋に感謝の意を表し、片付けようと思いたった。

 

「……うわ、懐かしいなコレ。完全に忘れてたぜ」

 

…思いたったのだが、記憶の欠片達がソレを邪魔する。最初は鹵獲したノル=マーターの、次は未来の世界で入手したFN−P90に酷似する個人防衛火器(PDW)を見付けて整備し、収蔵して時間の無駄遣いをしてしまって。今度は剣の世界で手に入れた物……当時はまだただの行商人だと思っていた【空隙】のスールード……否、鈴鳴から押し付けられたパーマネントウィル。

 彼は知らないが、その青い金属のような質感と光沢を放つモノは……『想いの強さを力に変える』能力を有していた剣の残滓。

 

「もう、空さんったら。また手を止めて……」

 

 かつて、この時間樹の枝が触れる程に近い別の世界でユーフォリアの父親が携えた永遠神剣。

 彼女の父親を陰謀と戦乱の大地へ招き寄せた元凶であり、彼と共に『永遠戦争』を闘い抜き……しかし、最期に彼の願いを叶えて砕けて逝った戦友。評した言を借りれば"バカ剣"こと、第四位永遠神剣の破片『神剣【求め】の凍結片』。

 

「ん? なんだユーフィー、泣いた烏がもう笑ってるじゃないかよ」

「むぅ〜、またいぢめる〜っ」

 

 と、卒業式で感極まって泣いてしまったユーフォリアを可愛がる。彼なりの愛情表現で、だが。

 因みに、ユーフォリアの方は既に部屋の清掃を終えた後だそうだ。といっても、全てをアイオネアの繋げる"真世界(アタラクシア)"の内へと仕舞っただけらしいが。

 

「あれ、それって……もしかして、パーマネントウィルなの?」

「ああ……かなり昔のヤツだから、透徹城に入れるの忘れてた。試しに使ってみるか、ユーフィー?」

 

 と、口にした刹那。背後に感じる凄まじい悪寒(オーラ)に血の気がさーっと失せる。ユーフォリアも、視線の先の何かに脅えるように羽毛を逆立たせていた。

 ギギギッと、錆び付いたブリキの玩具のように振り向いて――

 

「……あ、アイオネア様……お使いに成られ賜うでござるか」

 

――思わず、吃って妙ちくりんな言葉を口走ってしまった。正直に言えば冷や汗が止まらねぇ。

 こんなに強大な威圧感を味わったのは、【夜燭】のダラバに背後を取られた時以来だぜ……!

 

「……私は、パーマネントウィルが失くたってスキルを覚えられますからっ」

 

 ぷいっと、不機嫌オーラ丸出し(物理的)でぶーたれるアイオネア。周囲はお供達ががっちり固めているので取り付く島も無い。

 近寄るだけでも彼らの宝石の瞳……見詰めた相手を物理的にも概念的にも撃ち抜く魔神眼(マシンガン)で蜂の巣にされそうだ。

 

――何せ、アイの瞳は他を逸する金銀妖瞳(ヘテロクロミア)の龍眼。邪眼の持ち主の中でも異例中の異例である存在、『複合同時付加(ツインエフェクト)』。只でさえ一方通行であり強壮無比な、外界へ干渉する能力"邪視"が二種だ。左の"聖なる銀瞳(ディスペル)"で効果対象の抗魔力を消滅させて、右の"魔なる金瞳(ギアス)"により対象の運命を律する天然コンボ技らしい。普通の人間ならば、その効果同士が打ち消し合うので無害なのだが……永遠神剣の担い手等の神威に護られた存在にこそ真価を発揮する『月虹の瞳』。

 詰まり、俺以外は無効にならない技。あらゆる矛盾(けんもたても)を『透禍(スルー)』出来る、この"天つ空風のアキ"でなければ。

 

「じゃ、じゃあ……俺が使ってみるとするかな。俺自身も、永遠神剣みたいなもんだし」

 

 言うが早いか、彼女の重圧を跳ね退けようと事の発端の凍結片を口に含んで――ガリボリと躊躇せず、思いっ切り噛み砕く。

 

――『アイアンスキン』で口の中を硬化したんで切る事は無いけど……当然だが、硬いし不味い。

 何か、あれだな……触手が出せる気がしてきた。あと何だか『誓い』って言葉が物凄く嫌いになった。何てーか、超砕きたい。

 

「あ、空さんは、新たなスキルを修得しましたー」

 

 と、彼と同じく現状の打破を願うユーフォリアの無理矢理花やいだ声に正気を取り戻す。その期待に応える為にアキは恥も何もかもをかなぐり捨てた。

 左手を前に突き出して水平方向。右手を前に突き出して垂直方向に90°曲げて。

 

「さ、サポートスキル『スーパーアマテラス光線EX』を修得だ! アンチインタラプト効果に加えてペネトレイト効果付き、敵全行動回数を−99! どんな巨大な怪獣も一撃で撃破、マナコストは30でマテリアルダメージ100%の最強スキルだ! ただし、行動回数1の上にリミテッドスキルだから一枠しか覚えれないんだけどな、びびびー!」

 

 師匠直伝の、対幼稚園児用スキルを発動した。

 

「…………」

「……び、びび……びー……いぃぃ……」

 

 それにクスリともせずに、魔金(オリハルコン)聖銀(ミスリル)の色違いの視線(エーテルシンク)を向けるアイオネアにバニッシュと精神的痛手(フォースダメージ)100%を与えられて。

 アキはガクリとうなだれて部屋の隅に移動し、紅潮して湯気が出ている顔を両掌で抑えてダンゴムシみたく丸まってしまう。

 

『お兄ちゃん、諦めたらそこでゲームオーバーだよっ!』

『だって、お前……アイに、優しいアイにあんなに冷たい目が出来るなんて……その上、よりにもよって俺が向けられるなんて……』

 

 駆け寄って、耳元で囁きながら揺さぶるユーフォリアの言葉でも『透禍(スルー)』に徹する彼には届かない。

 

『もう、立ち直れない……それでも立ち直らせたいならパーマネントウィル、『ユーフィーのキス』が必要です』

『うにゅう……空さんのえっちぃ……』

 

 そして……完膚なきまでに節操無しだった。

 

「……んむ〜〜っ……兄さまっ!」

「は、ハイッ!」

 

 そして、そんな二人の様子を見て更に不機嫌の度合いを増していくアイオネア。それに呼応したかのように、展開されていた薔薇窓の精霊光『トラスケード』が高速で回転して星間瓦斯の如き虹の燐光を放つ。

 伴侶どころかお供達さえも、そのチカラの昴ぶりに怯える程だ。

 

 そして、媛君は。

 

「――わ、わたしも……いぢめて下さいっ!」

「「『『『『『……は、ハイ……?」」』』』』』

 

 少なくとも、伴侶と心友。そしてお供達が呆気に取られるような事を口にした。

 

「ゆーちゃんばっかり狡いです……わたしだって!」

「へ……いや、ちょ……アイ? お、落ち着いて、な……」

「う〜、いぢめて下さい〜っ!」

 

 何とか宥めすかそうとするものの、聞く耳を持たずに地団駄を踏み始める。その仕種は、この上なく可愛い。

 可愛いのだが……次第にそんな言動を取らせた張本人(たつみあき)に周囲から批判的な目線が向けられ始める。

 

「それとも、兄さまは……わたしは……アイオネアの事は、お嫌いですか……ぐすっ……?」

「俺がアイを嫌いな訳無いだろ、好きだよ……でも、この『好き』は妹に対するのと同じでだな……」

「……うわき……」

 

 と、口にした刹那。またも背後に感じた凄まじい悪寒(オーラ)に血の気がさーっと失せる。

 再びギギギッと、錆びたブリキの玩具状態になって振り向けば――……たっぷりと涙を貯めた空色の瞳を向けながらぷーっと頬っぺたを膨らませて、意識してかどうかは判らないが青白い光を放つ精霊光『インスパイア』を発動。攻撃力を高めつつ招聘された双龍『青の存在 光の求め』とユーフォリアを認めた。

 

「浮気したぁ……お兄ちゃんが浮気した〜っ! 浮気浮気浮気〜〜っ!」

「いやいやいやいや、違うだろッ! 最後まで聞きなさい、俺がアイに抱いてるのは妹に向ける……」

 

 ぷりぷりと怒って両手を振り回す彼女に、慌てて向き直ろうと――

 

「先に兄さまと永遠を約束したのはわたしだもん……! それを横取りしたのはゆーちゃんの方だもん! わたしは返して貰ってるだけだもんっ!」

「アイちゃんのそれは永遠神剣の契約でしょ! あたしと空さんのは『だんじょのかんけー』なの! 赤ちゃんだって貰えるんだから、『こーのとりさん』が運んできてくれるんだってパパが言ってたんだからっ!」

 

 振り返ったその左腕をアイオネアが抱き絞め、珍しく棘のある口調でユーフォリアに叫んだ。

 それを受けたユーフォリアもまた、彼の右腕を抱いて、珍しく怒気の強い口調でアイオネアに反駁する。

 

「お、落ち着いてくれ二人とも! 取り敢えず、今のこの状況は俺のキャラじゃない! こういうのは、望の仕事だ!」

 

 ささやかな二対の双丘を両の二の腕に感じ……ている暇も無い。

 幻獣達の圧倒的冷たさの十五の瞳が、こちらに向けられている。

 

――普通こうなるぜ、どんな立ち回り方してんだ望……テメー、一体どうやって円満に事を運んでんだァァァ! スゲーなお前、俺なんて二人でこれだ! 初めて尊敬した!

 

「「むぅ〜〜っ!」」

 

 精霊光が鬩ぎ合う事でバチバチと本当にマナの火花を散らし合う、正真正銘の一触即発の四面楚歌。

 

「ちーっす! わざわざナルカナ様とその他が手伝いに来てあげたわ、下僕一号! 子孫末代まで光栄に思いなさいよ……って何これ、炉利修羅場?」

「誰がその他ですか、お姉ちゃん……あらまあ、炉利修羅場ですね。ところで……真ん中は私のモノですよね、兄上さま?」

「……どうやら、お前ともキチンと話し合う必要が有るらしいよな、ナルカナ……誰が下僕だよ。そしてイルカナ、火に油を注ぐな!」

 

 そこに、更なる昏迷を齎すだろうストレンジャー達が……ナルカナとイルカナが現れたのだった。


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