サン=サーラ...   作:ドラケン

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軋む歯車 永久の箱庭 Ⅲ

 明けない夜の街中、スラムの東の端の廃ビル『ジェイルハウス』。そこに旅団の神剣士は集結し、腹拵えしていた。

 内容は塩握り三つに沢庵三枚、スキットルに充たされたミネラルウォーター。

 

 全員が永遠神剣を召喚したまま、ドラム缶の中で焚かれた篝火に照らされている。

 瓦礫に腰掛けて食べる望と希美に沙月、ソルラスカとヤツィータ、ユーフォリア。崩れた壁面から突き出た鉄骨に背をもたせかけて食べる空にルプトナとカティマ、タリア。空中に浮遊するユニット内で食べるクリスト五姉妹。

 

「--作戦は単純だ、この世界の中枢たる『セントラル』を落とす事と……」

「『浄戒』の神名を、セントラルより奪還する事じゃ」

 

 そんな一行の中央に立つサレスとナーヤ。そして、『その存在』に向けて空は、沢庵を噛みながら疑わしげな眼差しを向けた。

 

--命からがら、ものべーに帰還して先ず知ったのは、ほぼ同時刻にものべーがミニオンらしき存在の襲撃を受けたという事。そして……『蒼穹のスバル』と『疑氷のショウ』が敵、更にガーディアンの筆頭格だったという事だ。

 その二人こそが『浄戒』の神名の一部を持ったアンドロイドで、この世界は『セントラル』という演算機械によって制御されているとの事。

 

 そして、その情報を齎したのが……彼女。銀色の髪を頭頂で一つに纏めた赤い瞳、黒い衣装の--

 

「その為の手引きを、私が勤めましょう」

 

 レーメと同じサイズの黒い天使……暁絶の第五位【暁天】の守護神獣である『堕天使ナナシ』は、怜悧な声で言い放った。

 

「いきなり出て来てハイそうですかと従えると思ってんですかい、『敵さん』?」

 

 故に空は、琥珀色の瞳に篝火の煌めきを映しながらその言葉を口にする。"家族"ではないのだ、彼が信頼する要素は一切無い。

 

「信じて頂かなくても結構ですが、この世界を出る為には必要な事。私は指令を全うしたい、貴方達はこの世界を出たい。利害は一致している筈です」

 

 それに答え、ナナシも赤い瞳に篝火の煌めき映しながら答えた。動揺も不服の色も無い、ただそこには決意の色だけしか無い。

 

「……じゃあ、最後に聞かせろ。それは--暁の為か?」

「……私の為です」

 

 迷いなき言葉と眼差しに、先に目線を外したのは空。スキットルから水を煽ると、後は腕を組んで眼を閉じ、もう言葉を発する事は無かった。

 

 

………………

…………

……

 

 

 走り抜けるドブの戸板が鳴る。進行ルートとしては、南側の道を選んだ空とソルラスカ、ルプトナ、ナーヤ、タリア、ミゥ、ポゥ、ワゥ、ユーフォリアの九人。

 北側の道には望と希美、沙月、カティマ、サレス、ヤツィータ、ゼゥ、ルゥの九人だ。

 

「敵だ、ソル、ルプトナ! A2フォーメーションでいくぞッ!!」

「「応!!」」

 

 遥か前方で、神剣魔法の詠唱を発動する赤。それを先に撃ち消(バニッシュ)すべく【是我】を突き出しながら駆け抜けようとした十字路の小路から、黒が飛び出した。

 既に黒の刀の柄に手が掛かり、後は抜き放つだけ。

 

「黒い月……見せてあげるよ」

「クソッタレ……ッ!」

 

 繰り出された横一閃の月の弧を描く居合『月輪の太刀』を辛くも【夜燭】で防ぐ。そしてその刃先をソードブレイカーのように使い黒の神剣を搦め捕り、その動きを押さえ込んだ。

 

「邪魔するんじゃねェ! せいや--猛襲激爪ッ!!」

「あはっ……あはは…………きゃはははは…………」

 

 その隙へ、ソルラスカが爪撃を見舞う。紫の霧に変わり消滅する黒、しかし当初の目的だった赤の妨害に失敗した。

 

「……疾く駆けろ、灼熱のマナよ--ライトニングファイア」

「させないっ、バニーッシュ!!」

 

 撃ち出された焔の槍。その神剣魔法に対抗して紡がれたルプトナの『アイスバニッシャー』。

 

「根源力を、分かつ--エナジーリーク」

「へにゃ? ううーっ、ボクに何したのさっ!」

 

 その対抗魔法に向けて青の対抗魔法が紡がれた。青マナを急速に拡散され、ルプトナの神剣魔法は無力化させられてしまう。

 

「レストアス!」

【了解、オーナー!】

 

 身に纏ったレストアスの一部を高い魔法防御力を有する氷河の鎧『グラシアルアーマー』と変えてで守りを固め、同じくレストアスの一部を纏った【夜燭】を焔槍を打ち砕きつつ振り抜けば--勢い良くアスファルトの剥げた路面に勢い良く、零下の波が放たれた。

 

「【夜燭】の凍炎、耐えて見せろ--アイスウェーブ!!」

 

 実態化したレストアスは、そのプラズマの躯で二体を包み、凍り腐らせて焼き尽くした。

 

「うわーん、ボク、ちっとも良いトコ無かったじゃんさー!」

「日々精進だよ、ルナお姉ちゃん!」

 

 そこに、他のメンバーが戻ってきた。他も他でミニオンと交戦、撃破している。

 空は、凍気で痺れる両手を揉み解しながら口を開いた。

 

「ッたく……この世界のミニオンはやたらと統率がとれてやがる」

「全くだぜ……牛歩は趣味じゃねーんだがな」

 

 毒づくのも仕方あるまい。高速道路『アッパーレイヤー』へ登る『ヘヴンスステア』まで進軍するのにも一苦労という程に敵の層は厚い。しかもどれもが高度な防御陣形を使って来るのだ。

 中間地点である、シティ唯一の入口『サーヴィランス=ゲート』までこの厚い守りが延々続くかと思えば、気が遠くもなろう。

 

「あれはミニオンではありません。正式な名称は『ガードナー』、ガーディアンの下位種です」

 

 そんな空に声を掛けた彼女は、少し離れた位置から戦闘の推移を見守っていたナナシ。彼の目の前まで移動すると、レーメとは違い優雅に浮遊している。

 

「別にどうでもいいけどアンタさ、望の方に居なくて良いのか?」

「私は、レーメに嫌われていますので。近くに居て、気を逸らしてしまうよりはマシです」

「なるほどねぇ。喧嘩っ早い性格だからな、ジャリ天の奴は」

「『ジャリ天』……ああ、レーメですか。中々的を得ていますね」

 

 思わず納得した堕天使は物憂げに眼を細めて遠くシティとスラムを隔てる壁、そこからひょっこり頭を出しているセントラルタワーを眺めた。

 

「浄戒を奪取しない限りこの世界からの脱出は叶いません。そして世刻が浄戒を手にする事は貴方にとっても有益でしょう、巽」

「…………」

 

 ナナシの呟きに空は答えない。答えないが、怒りの篭った眼差しを向ける。

 

「奸計の神が振るった神名を貶る神名、対処出来るのは神名を破壊する神名のみ。それを可能とするのは--」

「……んで、暁の『滅び』は近いのか?」

「…………」

 

 それを意に介さずに続けようとしたナナシ、しかしその言葉に、今度は彼女が怒りの篭った眼差しを向けた。

 

「復讐の神が囚われる滅びの未来、神名に命を--」

「……判りました、お互い無用な詮索は止めるのが懸命なようです。このままでは、貴方を消したくなりますので」

 

 意趣返しに、それを意に介さず続けようとした空を遮り、ナナシは一方的に話を打ち切る。

 

「自分から喧嘩を吹っ掛けて来といてよく言うぜ……けど、まぁ、そんな場合でも無いか」

 

 視線の先には北のルートを選択した仲間達の姿。これより彼等はアッパーレイヤーに乗り--途中の、汚水の流れる廃液に満ちた川『タールコースト』で立体的交差をしている、もう一本の高速道路『ミドルレイヤー』へとショートカットを行う事になっている。

 

「揃ったな、では行くぞ……第一目標は、これに乗れば一本道だ」

 

 打ち砕かれた転落防止用の外壁を背にするサレスの言葉に、一行は歩を進める。

 

--しかし順調だな。今のところ交戦したのはガードナーのみ、望達も同じらしい。ガーディアンやスバルさん、ショウに警戒してた分、拍子抜けだ。

 

 見下ろす先にはミドルレイヤー、その先には黒いタールの川。

 

「というより巽、普通に着地して大丈夫なのですか?」

「大丈夫だよ、黒ジャリ天。レストアスをクッションにするから」

「……念の為に聞いておきますが、その『黒ジャリ天』というのは私の事でしょうか?」

「お前はジャリ天と対なんだろ? だったらあっちは白、お前は黒で分かり易い」

 

 と、隣に浮遊していたナナシが話し掛けてきた。それに返した空の言葉にナナシはジトッと不愉快そうな眼をする。

 

「そうですか、巽とレストアスは切っても切れない宿縁で結ばれているのですね……そういった関係を『ヒモ』と言うのだと聞いた事があります」

「悔しい……反論出来ないッ!」

 

 そうこうしている内に皆の準備が整った。一斉に飛び降りる皆に合わせて、足にレストアスを纏う。

 

「--巽、下に……っ!?」

「ッうお!!」

 

 ナナシが叫んだ瞬間、柱の真上の筈の足場が崩れ落ちた。体制を崩し跳躍出来なかった空はミドルレイヤーを逸れ、タールコーストに向け落下する。

 

--しまった、あの川に落ちたらかなりのタイムロスに……つーか、アレに落ちるのは絶対に嫌だ! 人間として!

 

 廃液の川を見遣って、空は遮二無二ミドルレイヤーに向けて左手を伸ばす。だが虚しく(くう)を斬ったその手を--ソルラスカとルプトナ、ユーフォリアの三人に掴まれた。

 

 掴まれた、その瞬間--脳裡に浮かんだ滄海(あお)の波紋。同時に、世界が『歪』んだ。

 

 汚濁した川面を見下ろして、空は汗を拭う。

 

「間一髪、でしたね」

「本当にな……」

 

 転落する空に右の手で鷲掴みにされたナナシの不服そうな眼差しが間近にあった。バツが悪そうに手を離せば、彼女は浮遊しながら昇っていく。

 空も三人に引き上げて貰って、ミドルレイヤーに復帰した。

 

「えっと、黒……じゃなかった、ナナシさん。いや、さっきは本当にすんません……」

 

 黙り込む堕天使に彼は、流石にこれは謝っておこうと謝罪の言葉を向ける。

 しかし、帰ってきたのは。

 

「……どういう事、ですか?」

「……はい?」

 

 返ってきた言葉は困惑。それもそのはず、今ミドルレイヤーには『彼ら五人しか』居ないのだ。

 

「……先程、確かに浄戒の神名を利用した『時間流操作』が行われました。ですが私達には何の影響も無い……」

 

 そこに有ったのは、怒っているのではなく、彼女にしては珍しい当惑しているナナシの顔だった。

 

「時間流操作って……それなら、皆は!?」

「別の場所に巻き戻された筈です。規模から測定するに、恐らくは『クロスロード』の辺りまで」

「……マジかよ。でも、何で俺達は影響を受けなかったんだ?」

「判りません……効果範囲の中であったのも確かなのですが……」

 

 同じく困惑しているルプトナとソルラスカの言葉にナナシは思案しながらそう返す。

 

「……なんですか、四人とも?」

 

 そこで、四人はユーフォリアを見つめた。小首を傾げて頭の上に『?』マークを飛ばす、この中で最も神剣の位が高い少女を。

 

--だって、そうとしか思えないだろ。コイツの【悠久】の抵抗力が『浄戒』の強制力に打ち克った、それくらいしか思い付かない。

 

「……仕方ねぇ、一旦戻るか」

 

 空は頭を掻きながら、情けなさを振り払う。一体何度、この娘に助けられているのかと。

 

「それが賢明でしょう。こいつらを抜く事が出来ればの話ですが」

 

 ナナシの緊迫した声に、後ろを振り向けば……いつの間にか前後に立っていたガーディアン達。

 

「グルルルル……」

 

 サーヴィランスゲートから歩み出て進路を塞いだのは、炎と熱のフィールドにその身を包む守護者レクーレド。

 その真正面、アッパーレイヤーの影から歩み出たのは--

 

「お兄ちゃん、あたしね……あのガーディアンに物凄く見覚えあるよ」

「寄寓だな、俺もだ……ッたく、これだから爬虫類は……」

 

 再生したばかりの瑞々しい左腕、曲がった翼。毒のフィールドを纏い、周囲の大気すら死滅させる緑の躯。

 そして烈しい憎悪を映す陰湿な黄色い隻眼を見開き、巨大な剣歯(けんし)の無数に立ち並ぶ顎を拡げて。

 

「グルァァァァッ!!!!」

 

 足場を支える柱を砕いた張本人、退路を塞ぐように立ちはだかる守護者プロリムタが咆哮した。

 

 

………………

…………

……

 

 

 クロスロードまで巻き戻された一行は、もう一度ヘヴンスステアを目指して進行していた。

 その最中、望はサレスへと問い掛ける。何故こんな事になったのかを。

 

「恐らく浄戒による時間流の操作だ。だが何故、ソルラスカと巽、ルプトナとユーフォリア、ナナシはその影響を受けなかったのか」

 

 しかし、サレスの答えも要領を得ない。巻き戻しについては理解できている、

 だが何故あの五人だけがそれを逃れられたのか。それだけは理解出来なかった。

 

「ナナシが何かしたのではないのか? もしくはユーフォリアが、意念の光を打ち消したようにまた奇跡を起こしたか。あとイノシシやボクッ娘か? あの二人なら、神名の強制くらい気合いで何とかしそうだ」

「あのな、レーメ……幾ら何でも気合いは無いだろ」

「では天パが何かしたとでも言うのか? それこそ有り得んだろう、アイツの幸運のランクは、負の方向にEXだぞ」

 

 思案に暮れるサレス。その眼は遠く、見えないモノを見るような眼差し。

 

「--サレス様っ!」

 

 タリアの叫びに、眼を上げた先。目的地のヘヴンスステアには、この世界の住人達……数百人規模の武装したアンドロイド達で構成される軍隊とガーディアン……青の守護者ジルパースと黒の守護者ゼム、白の守護者エクルトア。

 

 そして--

 

「待ち侘びたぞ、異分子ども!!」

「…………」

 

 それらを指揮統率し引き連れる神剣士。第六位『疑氷のショウ』と、意志の見えない無機質な瞳をした第六位『蒼穹のスバル』の、二人が立ちはだかった。

 

 

………………

…………

……

 

 

 繰り出される、猛烈な勢いの竜の爪。灼熱を纏った爪は風を斬りながらユーフォリアを狙い、割り込んだソルラスカに止められる。彼の世界で信奉される神が持つという牙を象徴した防御、『神牙』によって。

 

「ッのヤロウ、俺をマジにさせたな!!」

 

 それで爪自体は無力化された。だが更に、レクーレドが身に纏う超高温フィールドの余波……焔風が二人に襲い掛かる--!!

 

「--んっく……チカラを貸して、ゆーくん!!」

 

 それをユーフォリアが展開した光の盾『オーラフォトンバリア』が相殺する。もし彼らが永遠神剣の契約者でなければ、どうなっていた事か。

 

「グォォォォォッ!」

「--クソッタレ!」

 

 プロリムタの毒爪を受ける事も出来ずに、ダークフォトンの加護『限界到達』により極限まで研ぎ澄ました見躱しで躱すしかない、この男のように--。

 

「--勝つ事を考えている場合ではありませんね。ただ、生き残るだけ……」

 

 物質化した、ダークフォトンの楯『相対防御』により吹き付ける毒風は無力化されている。

 だが、もしも当たってしまえばその反物質の楯も、強靭な腕と爪に砕かれてしまうだろう。

 

「加えて、即死モノの猛毒です。しかもこちらの攻撃は--」

 

 そこで突き出された竜腕をかい潜って、カウンターで【夜燭】の黒い刃を一番柔らかい腹部に叩き込む。反物質を纏った剣の一撃、『空間歪曲』を。

 耳障りな音を立て、数枚の鱗を断ち切って--表皮に切り傷一つ。寧ろ、剣を打ち込んだ空の腕の方がダメージを受けたくらいだ。

 

「--ほぼ無効。そもそも神剣士でも精一杯の相手に、多寡が人間が立ち向かえる訳が無い……」

「ああもう、耳元でゴチャゴチャ煩せェッ! 滅入る事言うくらいなら、ただ一言『頑張れ』とでも言っとけ!!」

 

 その耳元で冷静に分析していたナナシにツッコんだ瞬間に、振り下ろされようとした毒爪に三本の氷の矢が突き刺さる。

 

「あっぶな! 揉めてる場合じゃないだろっ!!」

 

 ルプトナの放った『アイシクルアロー』に怯んだ僅かな隙に前転で離脱。一旦距離を取れば、猟犬に追い詰められた羊のように四つの背中が合わさった。

 

「ううっ、これじゃ駄目です……どうしましょう……」

「ヤベェぞ……とんでもねぇ強さだ、コイツら」

「って言っても、これじゃあ逃げられもしないじゃんか」

「…………」

 

 二体のガーディアンに挟撃され、ミドルレイヤーが更に狭く感じられる。ジリジリとにじり寄って来る猛毒の竜と灼熱の竜に、思考が追い立てられる。

 

--考えろ……この窮地を脱するにはどうすればいい? 前は一体のガーディアンから逃げるだけで精一杯だったところを、二体同時だぞ……!

 

 弱気に押し潰されそうになった背中に感じられた温かみ。息づくその存在……『家族達』の存在に、『諦める』選択肢などあっさり切り捨てた。

 

--決まってるか。相手が竜でも神でも、俺の敵なら全霊を持って太刀(たち)向かうだけだ。

 たった一歩ずつでも、弛まずに。ただ真っ直ぐに空を吹き抜ける--俺は……天《あま》つ風だ!

 

 強く、己の頬を叩く。虚勢でも構わない、覚悟さえ決めれば後は--彼の壱志(イジ)を貫くだけだ。

 『不撓不屈』、ただそれだけだ。この男の取り柄など。

 

 その琥珀色の瞳に燃え立つ気炎を見詰めて、諦めない意志を汲み取り。ナナシは溜息を落とした。

 

「……仕方ありませんね。時間を稼ぎなさい、私が援護します」

「出来るのかよ」

「不可能ではありません、貴方達の頑張り次第ですが」

 

 ナナシの瞳を見詰める。赤い瞳はどこまでも深くて、その真意を読ませない。

 

「どの道このままじゃ嬲り殺しか。オーケー、利用させて貰う」

「……一々癪に触る言い方をする人ですね」

「お前が言うな、黒ジャリ天……テメェら、往けるな?」

「……ヘッ、誰にモノ聞いてんだ? 俺は旅団特攻隊長ソルラスカ様だぜ!」

「むむっ、だったらボクは特攻総隊長ルプトナ様だいっ!!」

「勿論だよ、お兄ちゃん! さぁゆーくん、ここが正念場だよ」

 

 クルクルッと器用に【悠久】を回転させながら、高く掲げ上げたユーフォリア。その【悠久】の、中心部に嵌めらわれた紅い宝珠が煌めく。

 

「--あたしたちの全力、見せてやるんです!!」

 

 五人の足元に展開された魔法陣、精霊光(オーラ)は聖なる輝き『ホーリー』。その清浄な光は、この繰り越す夜の倦怠を斬り裂く暁光か。普段は感じられぬ精霊光の加護を視覚で感じて。

 

「……あ、いっけね。オーラ中和しちまった」

「ぶー、お兄ちゃんの意地悪っ」

「じゃれている場合ですか、全く……」

 

 こんな状況でもぷーっと膨れるユーフォリアに安堵を感じながら、レストアスを他の三人にも染み渡らせていく。

 雷の加護『エレクトリック』の上位スキル、神雷の加護『ボルトチャージ』だ。

 

 感覚強化と共に雷の属性付加、空にはあまり実感が得られないが、マナチャージの増加を与える。

 

「「オォォォォォ!!!」」

 

 同時に咆哮して、二体は一斉に竜爪を振るう。空とソルラスカとルプトナの三人はプロリムタを、ユーフォリアはレクーレドを相手取り一閃を躱した。

 

 勢い余って、互いに一撃を加え会ったプロリムタとレクーレド。緑と赤、守護者最大の物理攻撃力と魔法攻撃力だ。属性が相反するだけに効果は互いに抜群。

 しかしそれでも大した怪我にはならない。一瞬睨み合った竜二頭だったが、すぐに気を取り直してそれぞれの獲物を追う。

 

 ミドルレイヤーを疾走する空とソルラスカ、ルプトナは背後から繰り出されるプロリムタの猛毒の爪を避け、雷のような軌道でジグサグに移動する。

 対してアッパーレイヤーの支柱の隙間を縫って飛ぶユーフォリア、その支柱を剛腕で粉砕しながら追い縋るレクーレドの口腔に、赤のマナが充ちた。

 

「--ガァァァッ!!」

 

 撃ち出された竜の息吹。熱波によりその射線上に存在するありとあらゆるものを焼き尽くす一撃、『ファイアブレス』。

 

「--っ!?!」

 

 それはアッパーレイヤーの支柱を悉く薙ぎ倒し、ユーフォリアを巻き込んで崩落させた。

 

「「--ごふッ!!?」」

 

気を取られて反応が遅れて毒の爪を躱しきれなかったソルラスカと、しなった竜尾の鞭のような一撃を躱しきれなかった空。

 跳ね飛ばされた両方はそれぞれ外壁に衝突する。

 

 尾部の尖端の、(サソリ)の尾のような鈎爪に薄皮一枚、腹を斬られていた。それでも僥倖だ、もしも『ホーリー』を受けてない状態だったのなら全身骨折の上に胴を両断されていただろう。

 氷と雷による、炸裂式反撃装甲(リアクティブアーマー)である『スパークレシーブ』の反撃効果を受けて、プロリムタの尾は氷の破片に引き裂かれ電圧に焼かれてズタズタになっている。

 

【くっ--オーナー、先に謝っておきます!】

「ッぐ!」

 

 意志が意味を理解するより早く、レストアスが腹の傷ごと猛毒を焼いた。重ねられた痛みに呻くも、すぐにそんな場合ではない事に気付いて立ち上がり身を躱す。

 追撃の……否、決殺の爪を躱す為に。

 

 外壁を軽々と砕いたプロリムタの濁った隻眼の眼差しには、己に苦痛を与えた存在に対する怒りと……その存在を痛ぶる事への喜びを、色濃く映している。

 

--この野郎……ワザと、一撃で終わらせないように手加減をしてやがるな……。

 

 傷を撫でる。若干痺れた感じは有るが、動く事に支障はない。

 

 

「--巽、準備完了です。合図は貴方が出してください」

「オーケー、そんじゃあ……」

 

 雷神の鎧『スパークレシーブ』を解除した空は、低く腰を落して【夜燭】を居合の如く右の腰溜めに構えた。

 その構えに、ナナシがピクリと眉を動かす。実に不快そうに。

 

「征くぞ、レストアス--加減は無しだ、最大出力!」

【了解、オーナー! 斬り割いてご覧にいれます、我等の道の障害となる--全てを!】

 

 刃に集束していく青いプラズマ塊が、眩ゆく光り輝く。余りの力の昴ぶりに、さしものプロリムタも本気で殺す為に--口腔にマナを集束させた。

 

「そうそう動き易いようにはさせないね--ステイシスッ!」

 

 そこに距離を取ったルプトナの冷電波『フローズンステイシス』が放たれ、『ネイチャーブレス』のマナチャージが阻害される。

 たった一瞬の、ほんの数秒の隙。それが致命となるのが実戦だ。

 

「--今だ、ナナシッ!」

「勝手に名前で呼ばないで下さい--無限回廊、発動します!!」

 

 プロリムタの周囲の空間が歪み、無限の回廊と化した。空間ごと捩切る一撃だ、

 普通なら耐え切れる筈も無い。『普通』なら。

 

「くっ……なんて馬鹿力……!」

 

 それをプロリムタはなんと腕力で防いだ。元より『浄戒』で強化されているガーディアン、抵抗力は尋常ではない。

 

 そのガラ空きの胴に、反動加速によって雷光の速度で肉薄した空が繰り出したのはオーラフォトンを纏う水平の一太刀--!

 

「常世への道を照らしてやる!」

 

 それすらも、プロリムタは右腕一本で止めた。だが、決して無事ではない。掌の中程までを、刃が裂いている。

 その煌めく黒刃の峰の中程に、『ファイナルベロシティ』で加速したソルラスカの剛拳連打が打ち込まれる--!

 

「隙間無くくれてやる! 堪えてみろ--獣牙断!」

 

 プロリムタは堪らず左腕も使い、押し止めた。隻眼に映るのは、軋む空間と両掌を割く雷煌刃……そして--

 

「食らえーっ!」

 

 十分に距離を取っていた分だけ、充分加速しながら勢い良く蹴り込んで来るルプトナ--!

 

 

………………

…………

……

 

 

 味方の危機を察し、レクーレドはユーフォリアの生死を確認せずにそちらに翼撃く。先にも述べたが、一瞬の隙こそ致命となるのが実戦。

 

「--源初より終焉まで、悠久の刻の全てを貫きます!」

 

 瞬間、星天を横一文字に割いた青い閃光を見る。目で追う事すら出来ぬ速度でそれは--真っ直ぐ、レクーレドへと迫る蒼い流星と化した。

 

「全速前進、突っ切れぇーっ!」

 

 それが、この守護者の見た最後の光だった。

 

 

………………

…………

……

 

 

 左足で繰り出す三連発の前蹴り『グラシアルジョルト』に、反動を利用して再度繰り出す三連後ろ回し蹴り『レインランサー』が、【夜燭】の峰の湾曲した切っ先に打ち込まれる。

 

「ガァァァッ!」

 

 プロリムタは--腕の中程まで斬られながらも、その凄まじい迄の物理防御力で堪えきった。

 

「知ってるかよ、爬虫類。物質と反物質はな、対消滅するんだ」

 

 その瞳が、見詰めた結末。剣の刃を覆うレストアス製の擬似的なオーラフォトンに空の体から湧き出たダークフォトンが混じり合い、薄い金色の光と化す。

 

「テメェの小さい脳みそでも理解出来るよう例えてやるよ。反物質1グラムの対消滅で得られる熱量はな--スペースシャトルの外部燃料タンク23本分だ」

 

 つまり、それがこの量。そして元より人知を越えたエネルギーであるオーラフォトンで行えばどうなるのか。語るまでもあるまい。

 

「さぁ、征討(いく)ぜ、蛇野郎--シャイニングブレイカー!」

 

 偽物ではあるが、金色の創世光(ビッグバン)に、プロリムタは--なんと、【夜燭】の刃に噛み付いて堪えきった。

 だが、それにより牙は全てへし折れている。もう、あと一撃にも耐え切れまい。

 

 その瞳が、見詰めたもの。

 

「往くよじっちゃん--ルプトナキーーック!」

 

 バク宙で跳ね退いたルプトナが右足に蒼氷の鏃を形成し放つのは『クラウドトランスフィクサー』、彼女の最大の必殺技。

 

「「「--ハァァァッ!!!」」」

 

 それに合わせて空とソルラスカが、ルプトナと同時に最大の力を篭めた。

 

 

----!!!!

 

 

 『家族』の助けに、勢いを取り戻して振り抜かれた【夜燭】。

 のけ反ったプロリムタには、腕の前半分と顎から上が無い。

 

 だが、それも刹那の事。抵抗を止めた体躯は『無限回廊』で原形すら留めない程に捻り潰された。

 

 反転して、真横に衝き出す左の逆手で【夜燭】を衝き立てる空。その柄を握る拳に打ち合わされた、ソルラスカの【荒神】と握り拳。器用にも柄尻に片足で着地したルプトナの【揺籃】と、しゃがみ込んで合わされた握り拳。

 

「「「--よっしゃあっ!」」」

 

 歓声を上げて一斉にその親指を立ててサムズアップした瞬間--猛烈な勢いでレクーレドがシティとスラムを隔てる壁に激突する。

 

「ガ……アァァ……ア……」

 

 レクーレドは助けを求めるように虚空へと手を伸ばし--ガクリと力尽きた。

 

「やったね、みんな! えへへ、大逆転だよ!!」

 

 限度を無視した加速を得ての、突撃。『神の杖』や『ファルコンHTV2』を思わせる『ドゥームジャッジメント』。

 それを成した、ユーフォリアと【悠久】が帰還する。そして少し背伸びして【悠久】を携えた右手でのサムズアップを重ねた……

 

 

………………

…………

……

 

 

 カティマの『北天星の太刀』とタリアの『フューリー』。サレスの『ページ:レイジ』と、ポゥの『イミネントウォーヘッド』に、ルゥの『フリーズアキューター』で致命的な刀傷を受け、断末魔と共に倒れた守護者ジルパース。

 これによって守護者は残り二頭。アンドロイドやガードナーも、大半が破壊されてもう三分の一も残っていない。

 

「--糞ッ! 何故だ、何故!」

 

 忌ま忌ましげにそう吐き捨てたショウ、彼自身も神剣士との戦闘により負傷している。

 その脇に立った、やはり戦闘で負傷したスバルが--ショウの肩を掴んだ。

 

「ショウ……もう止めよう、彼らは敵じゃない」

「スバル、お前……セントラルの調律が……!」

 

 その瞳は、澄みきった意志の光を燈したモノ。そして、友の憐れな姿に悲しみを映している。

 

「……何故だよ。俺達は、今まで上手くやって来たじゃないか……この世界が滅びたあの日から……ずっと! この世界を救う為に、シティとスラムの調和の為に!!」

「でも、それは夢なんだよショウ。この世界はもう終わってる! 自然の摂理から外れた、在ってはならない世界なんだよ!!」

 

 再び断末魔、打ち倒されたのは守護者エクルトアだ。ヤツィータの『ライトニングファイア』と、ナーヤの『インフェルノ』、ワゥの『ナパームグラインド』とゼゥの『シャドウストーカー』を一斉に受けて黒焦げと成り、果てる。

 

「違う、まだだ……! まだ俺達の可能性は死んでいない!!」

 

 スバルに突き付けられた現実に目を背け、ショウは表情を歪めて叫ぶ。手負いの獣のように、歯を剥いて。

 

「ショウ……?!」

 

 その手刀が、スバルの胸に刳り込まれた。金属骨格を貫き、そこから--『光』を掴み出す。

 

「そうだ、二つに分けているからいけない……コレを……『浄戒』を一つにすれば、もっと強大な力で異分子どもを……!」

「ショ……ウ……」

 

 友に預けられていた力すらも、奪い取ったその瞳に映るのは--濁りきった狂気。

 

「……スバル? おい、スバル! 誰だ、誰がこんな事を……?!」

 

 それが、薄らぐ。僅かに正気を取り戻したショウの目に映ったのは、無惨に横たわるスバルの姿。

 ショウは取り乱して、スバルを抱き起こす。それを成したのが己だとは覚えていない。

 

「待っていろ、直ぐにセントラルに連れていってやる……大丈夫だ、この程度の損傷なら修復出来る……『血の渇き』!!」

 

 指揮すらも投げ出したショウは、スバルを肩に担いで、召喚した【疑氷】の守護神獣『血の渇き』の足に掴まりシティへと撤退して行く。

 

 それに気を取られた守護者ゼム。見捨てられた事に気付き、自身も撤退しようと竜翼を開いて--望の『カタストロフィ』と希美の『ショットブレイカー』、沙月の『ヘヴンズジャベリナー』とミゥの『ストラグルレイ』を受けて、粉砕された。

 

 その他の神剣士にガードナーとアンドロイド達も一掃されている。元々、神剣士には脅威とはなり得ない存在だ、アンドロイドは。

 

「手間取ったが、今なら『浄戒』の巻き戻しも使えまい……行くぞ、サーヴィランスゲートへ!!」

 

 サレスの指示に、一行は休む事無くヘヴンスステアを後にした。

 

 

………………

…………

……

 

 

 サーヴィランスゲート前で傷の応急処置を終え、空は取り敢えず黒の外套を羽織った。服はまたも破れたので、上着は脱いでいる。つまり諸肌脱いだ状態で直に着ているのだが……。

 

「……お兄ちゃん、何かその恰好は嫌な感じがする……眼鏡だけは外してよー」

「眼鏡が何ですか、ユーフォリア殿? ふふふ、流石は第三位の神剣の持ち主ですなぁ、勇者殿」

「なんでそんな、ねちっこい言葉遣いするの~~っ!」

 

 ユーフォリアが妙に嫌そうな顔をしていたが、あまり気にしない事にした。

 

--ッて言うか、コイツはマジで未知数だな。俺達が四人掛かりで仕留めたガーディアンを、一人で倒しやがった……て事はあれか? もしかして緑のガーディアンも足を引っ張ってた俺が居なきゃ、倒せてたのか?

 

「どうしたの、お兄ちゃん? 急に遠くを眺めて」

「いや、別に……軽く、欝入っただけだから。にしても『浄戒』の巻き戻しを無効にするとは、恐れ入ったぜ」

 

 軽く落ち込みつつ礼を述べた空だったが、返ってきたのは--

 

「え、あたしそんな事してないよ? ゆーくんも『知らない』って言ってるし」

 

 ただ、当惑した答え。そんな事は知らないと彼女は心から言ってのけた。

 幾ら高位の神剣とはいえ時間樹エト=カ=リファに入った時点で四位以上の実力になる事は無い。『神名』の強制力は絶対。それは弱者に対しては強化だが、元来の強者に対しては『枷』となる。

 

「……は? いや、でも……」

「よぅ、怪我の手当ては終わったかよ、兄弟ィ!!」

 

 『それ以外に考えられない』と言いかけた時に、周囲を警戒していたソルラスカとルプトナの二人が戻ってきた。実に清々しい表情をしている。

 

「……御機嫌だな、お前ら」

「ふっふーん、そういう空だってニヤついてんじゃん気持ち悪ー」

「放っとけってのバカヤロー」

 

--ニヤつきもするって、あんなに上手くいくとは思わなかった。自軍のマナチャージを強化しつつ敵のマナチャージを減少させ、隙を見出だせば全力を叩き込む作戦が。

 幾ら強力な技を持とうとそれを行う為のマナが無ければ、意味を無しはしない。戦車が強力な兵器でも、燃料も砲弾も無ければただの硬い箱。神剣士も同じだ、マナが無ければただの硬い人。本来は対ベルバルザードに考案した戦術だったけど、これは大分応用の幅は広そうだな。

 

「っと、そうだ……丁度五つか」

 

 ベルトの後ろ側に付けたバッグを漁って、空は皆の前に掌を差し出す。そこに載っていたのは五つの甘露飴。最後の五つだ。

 

「わーい、飴玉だ♪」

「お、なんだ? くれんのかよ」

「うわぁ、空が食べてるのは見た事あるけど、貰うのは初めてだ」

 

 早速三人が頬張る。そして自分の分と--

 

「そら、遠慮せずに貰ってくれ」

「嫌がらせのつもりですか?」

 

 ナナシの分を差し出した。飴玉とは言え、彼女にとってはサイズ比率的にバスケットボールくらいはあるだろう。不愉快そうに、眉を潜めたままで--飴を圧縮して口に含んだ。

 

「ところで巽。先程の剣戟ですが……零点です。二度と使わないで下さい」

「あー……やっぱり本家にはバレちまったか」

「当たり前です。マスターの太刀筋はもっと鋭く、もっと正確ですから」

 

 ポリポリ頭を掻いて苦笑いする。『シャイニングブレイカー』の見本となった技を見抜かれた事、パクってまで三流だった事に。

 

--『攻撃の意を感じ取れない為、防御しようという気が起こらず、必ず受けてしまう』と謳われた『復讐の神』の『無常の太刀』。神世で一度だけ見た技だったが、やっぱり猿真似は猿真似か……。

 

「つーか、いやはや……目の前で惚気られちまったぜ。コレだからデキてる奴らは……」

「だっ、誰がデキてる奴らですか、誰がっ!

 

 そこで気を取り直して、咳払いしてナナシはいつもの澄ました顔に戻る。

 思いの外に防御が薄かった事に笑いを堪えながら、己の分を口に含む。

 

--しかし、望と言い暁と言い。なんでこうすぐ近くの幸福の青い鳥に気付かないモンかねぇ?

 あそこまで思われたら、気付くだろ普通……。

 

【……オーナーにそれを言う資格は無いかと】

(何故? つーか聞いてたのかよ恥ずかしい! 休眠してるのかと思ってたぜ)

【あのガーディアンから、大量にマナを得る事が出来ましたので。もう一戦くらい全力でいけます】

 

 言うだけは有り、【夜燭】から蒼雷が立ち昇っている。だが妙に、その色が薄い気がする。

 

--……気のせい、か?

 

 声を掛けようと思ったが、そうこうしている内に一行が合流した。治療と休憩を行う事に決まった為、先に治療を終わらせていた空も手伝いに回る。何せ合計五体もの竜を討ち、数百のアンドロイドやガードナーを亡ぼしたのだ。皆が疲労困憊。

 しかし、長い休憩は敵にも態勢を整える時間を与える事になる。直ぐさま、一行は進軍する……。


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