それでは、どうぞ!
まぁ、恋次が来るのは想定内だったけど……他は誰が来たんだろ。白哉?それとも他の人?冬獅朗が帰ってこないって事は誰か来たって事だから多分白哉かな。
『咆えろ 蛇尾丸!目の前にいんのはテメェの餌だ!』
こっちは……あ~あぁ……始解までしやがったよ……。
『餌じゃねぇっての。蒼天の大空を汚す者よ 我が力で浄化され 宙の星となって散れ……』
まぁ、これくらいならいいよね。巫女の方は温存しとく。
『なぁ……オメェほんとに裏切るつもりなのか?』
裏切るってさ……。恋次も話せば判るかな?
『まぁ、裏切るってのはちょっと違うな。お前こそ、ルキア殺されていいのか?』
『それが決まりだから仕方がねぇ』
あっ……だめだな。これは話が通じるとかそういうレベルの話じゃない。
『そうか……よっ!!』
『っ!』
思いっきり振り抜く。元々俺の方が一撃のキレも速さも重さも違う。
そもそも、俺は転生しただけだから闘えるはずはなかった。だから、京楽さん、浮竹さん、浦原さん、冬獅朗など色々な人に特訓をして貰った。それはそれは辛かった……何回走馬灯みたことか。けど、そのおかげで俺は剣技も上達したってわけ。それこそ隊長を任せれても良いくらいにな。
だから、今の俺と恋次とではレベルが違うってわけ。
既に、勝敗は決したな。
『もう諦めろ……』
恋次の首に刀を突きつける。まぁ、ここまでなら当然勝ったと思うじゃん?だけどそんなに甘くなかった。
気がつけば、俺の首にも刀が。
『背後にも注意だな』
『……砕蜂隊長っ!!?』
思わず唇を噛み締める。その後ろには……目が見えない人。
『お前達が裏切った可能性があるということでな、急遽私達も来たのだ』
『チィっ!!!』
咄嗟に飛び出そうとはしたものの、
『
俺の首になんか花見たいのが咲いた。
『雀蜂の能力は……解っているな?』
『弐撃決殺……でしょう?』
厄介だ……。はっきり言えば、想定外にも程があるくらいだ。恋次だけならなんとでもなった。だけど隊長二人を相手にしたら……今のままじゃ勝ち目は無い。
『なにもせずに帰ってはくれませんか?砕蜂隊長に……えぇっと…………東仙隊長』
思い出せたわ。こいつは東仙だ。
『我々も本当ならばこんなことはしたくない。だが、お前が裏切った事も事実だ』
『……』
話し合いは無理そう。てか、なんで東仙は黙ってんだろう。仕方が無い。今頃は藍染が殺されたと騒いでいる頃だから藍染とギンさんが俺のことを監視していないことを願おう。
チン
俺は刀を鞘に入れた。そして、俯いた。
『……?』
これは、本当なら藍染との闘いまで取っておきたかった。だから、可能な限り速く済またいと思う。
『…………卍解』
相手に聞こえない程の小声で式句を唱える。そして……
ビュン……チンッ……
二人にはこう聞こえただろう。ようするに、俺は卍解して全速で二人に向けて走り、同時に抜刀、そして浅く斬ってから納刀した訳だ。
『
俺が鞘に刀を納めた時には既に二人は物言わぬ氷の彫像と化していた。
殺した訳じゃない。あくまで氷に閉じ込めただけで恐らく痛みも無かっただろう。まぁ、今のは藍染に見られてたとしても仕方が無い。他にも技は色々あるからまぁいいだろう。にしても、この二人を置いとくわけにもいかないから……そうだ!浦原さんに送り返して貰おう!
というわけで、俺は浦原さんの所に向かった……。
『……というわけなんだ。お願いします』
『分かりました。二人は私が送っておきましょう。けど……ほんとにあなたは味方なんスか?』
『味方じゃなかったらここまでしないがな』
(いくら卍解したとはいえ……隊長二人を相手にしてこの強さ。一体俊弥さんは何者なんだ……)
『それもそうスね』
俺は、二人を渡して卍解を解除した。途端、物凄い頭痛が俺を襲った。そうなのだ。卍解をすると、している間はならないのだが、解除した途端に物凄い頭痛に襲われる。
『グァァァッ!!!』
『っ!!俊弥さん!!!大丈夫スか!?』
あぁ、駄目だ。意識が暗転した。
気がついたら俺は布団の中にいた。
『っ……ここは……』
どっかの和室。そうだ。俺は浦原さんの何処で倒れて……てことはここは浦原さんの駄菓子屋だ。
『目が覚めたんスね……』
浦原さんが出てきた。なんか、物凄くだるい。
『俺って
『約三日っス』
やっぱり。だからこんなに体が動かないんだ。
『……悪いお知らせがあります』
『……なんですか?』
『俊弥さんが倒れた翌日、今度は藍染隊長、朽木隊長、雛森副隊長など総勢六人の隊長格が来ました。それで……朽木ルキアさんは連れ去られ、日番谷隊長は重症を負いました』
『……そうですか』
予想はついてた。俺が隊長二人を倒したことはもうバレていただろう。なら、もっと大勢でやってくるのは当然だ。
『すみません……アタシも善処はしたんですけど……』
『浦原さんのせいじゃありませんよ』
仕方が無い。いくら浦原さんと冬獅朗がいても勝てるはずがない。
『冬獅朗は?』
『今は寝ています』
『なら、俺は一回尸魂界に行ってきます』
『なっ……それはいくらなんでも無茶っス』
『闘いに行くんじゃありません。仲間を増やしに行きます』
『それでも……』
まぁ、そりゃそうだよな。今一人で行ったら捕まるのは当然だ。だから……
『だから、一週間で一護、冬獅朗を強化して下さい。そして一週間後、尸魂界に乗り込んできて下さい』
『っ!!!』
今回、俺が転生したことが原因なのか隊長格はかなり強い。今のままじゃ一護は役にたたないし、冬獅朗もまだ体がキツいだろう。
『……分かりました。アタシが全力で一護サン達を強化します。絶対に死なないで下さいよ……』
『分かっています。それじゃあ門の用意をお願いします』
『わかりました……』
トンッ
俺は再び尸魂界の大地を踏むことが出来た。この後の流れは半ば賭けだ。京楽さんと浮竹さんの元へ行って説得を試みる。その後、一週間でできる限りの準備をこなす。万が一説得に失敗した場合は……俺一人でもルキアを助けに行く。
『じゃあ、まずは京楽さんのとこ……八番隊の隊舎だな』
俺は、霊圧を可能な限り消して、移動を開始した。
八番隊の隊舎に到着し、上手く副隊長やらを躱して隊長室に向かうと、まだ京楽さんがいた。京楽さんは物わかりがいいからいきなり斬り掛かってくるなんて事はないだろう。……無いと信じたい。
俺は、意を決して隊長室に突入した。
『あれ?俊弥くんじゃないか』
幸い、京楽さんは斬り掛かってくる事も無く、普通に話し掛けてきてくれた。
『京楽さん、話があります』
俺がそう言うと、京楽さんは少し難しそうな顔をした。だけど、応じてくれた。
『……きみが危険を犯してまで来たって事はなんか大事な事なんだろう?なんだい?』
『その前に、ここに浮竹さんも呼んで貰いたいんです』
すると、京楽さんは少し驚いた顔をしたが、またもや応じてくれた。
その後、10分位して浮竹さんもこの場に揃った。さぁ、ここが腕の見せ所だ。
『それで、話ってのはなんだい?』
『お二人は、今回僕達が“裏切った”と思いになっておられますか?』
『そりゃあ……きみがそんなことするとは思ってなかったけど……結果としてはそうなるね』
『じゃあ、お二人はルキアの双極の刑について疑問は感じませんでしたか?』
ここて、ようやく二人は俺の話の結末を理解してくれたようだった。
『確かに、疑問は感じていた。だが、それがどうかしたのかい?』
ここからは、原作の入れ知恵だ。
『これは、現世で浦原さん、夜一さんに聞いた事です。お二人には信じられないかもしれません。ですが、これは事実だということを理解して聞いて下さい』
そこから、俺は中央四十六室のこと、大昔の藍染の虚化のことなど全て説明した。後は、理解してくれて味方になってくれることを願うのみだ。俺は、俯いて次なる言葉を待った。
『そうか……あの時にそんなことがあったのか』
『それは誰も思い至らなかったな~』
『ですが、事実なのです』
二人は、顔を見合わせていたが、遂に理解してくれたようだった。
『確かに、今回の四十六室には疑問を感じていた。それに、真面目な俊弥くんが嘘をついているとも思えない』
浮竹さんがいたわるような顔で俺を見ていた。
『大変だったろうね。事情は判った。僕達も可能な限り協力させて貰うよ』
『ありがとうございますっ!!』
これで、最初の難問はクリアだ。
『でも、具体的に俺達は何をすればいいんだい?』
『それはですね……』
こうして、俺と浮竹さん、京楽さんの作戦会議という名の長い夜が始まった……。
ほんとは、ここで卍解を出すかどうかは凄い迷ったんですけど……出さないと話が成り立たなくて……。なので、藍染戦に支障が無い程度にしてみました!
今回から、尸魂界でのお話になっていきます。
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