ゴールデンウィーク…なにそれ?美味しいの?
状態な自分ですが頑張って生きていきます!(謎)
では、どうぞ。
ピチョン。
「ぅあ…う、ぅ…。」
水滴が私の顔に落ちて意識が覚醒する。
「ここは…?」
目を覚ました私の視界に入ったのはゴツゴツとした岩肌だった。
そこは薄暗くはあるが岩自体が淡く光を発しているのか真っ暗ではなくて辺りを見渡すことが出来る。
「……痛っ!?」
体を起こそうとすると右の腹部に鋭い痛みが走り起き上がれずにその場で呻いてしまう。
「アラ?オキタノネ。」
「誰!?」
奥から声が響いて私は大声を上げる。
腹部が痛んだが気にする余裕もなくてなんとか体を起こして声がした方を向いてそっちを睨み付ける。
「タスケテアゲタノニズイブンナイイカタネ。」
「あなたは…深海棲艦!!」
「ソウダケド…チュウカンセイキッテヨンデホシイワ。」
歯を食い縛り睨み付けるが彼女はどこ吹く風で肩を竦める。
「殺してやる!!」
「ハイハイ…ケガガナオッタラネ。」
必死に喚く私に彼女は手をヒラヒラと振りながら奥に歩いて行き姿を消す。
「はぁ…はぁ………いっ…た…。」
彼女が消えて段々冷静さを取り戻してきた私は今更腹部の痛みが再発して腹部を押さえて蹲る。
私が歩けるようになるまで一ヶ月を要した。
――――――――――
ここに一ヶ月居て分かった事はここが深海棲艦の住みかで中間棲姫がボスだと言う事だ。
ここは洞窟になっているが何処かから用意したかわからない古いベッドに寝かされて食事は彼女…中間棲姫が運んで来てその度に喚く私だが特に気にしない彼女は食事だけでは無く、怪我の看護や下の世話までも嫌な顔一つせずにしてくれた。
「ホラ。ケガヲミルカラヨコニナリナサイ。」
「………。」
パパとママを殺した深海棲艦が憎い。
でも、彼女は何でこんなにも私にしてくれるのかわからない私は腹部の包帯を取り替えてる彼女を見つめる。
「ドウカシタノ?」
「どうして?」
「ナニガカシラ?」
「どうしてここまでしてくれるの?」
きょとんとして首を傾げる彼女に問い掛けると彼女は小さくため息を吐いて作業を続ける。
そんな彼女を見つめる。
「オワッタワ。」
「答えてくれないの?」
作業を終えた彼女はベッドに座り話し始める。
「ワカッタ。ハナスワ。」
彼女は何かを思い出すように目を閉じる。
「マズヒトツメノリユウハメノマエデシナレルナンテユメミガワルイカラ。コレハアナタヲタスケルトキニハナシタワネ。」
「うん。」
「モウヒトツハ…アナタノハハオヤ…クラウディア二タスケラレタコトガアルカラ。」
「ママに…?」
「エエ。ワタシガアソコニイタノハタタカウタメジャナイ。クラウディアヲタスケルタメダッタノ。」
彼女が目を開ける。
その赤い瞳は家族に不幸があったかの様な悲壮の色があり、彼女の白く綺麗な肌に涙が伝う。
「ぁ…。」
「イツキ?フフッ…アリガトウ。」
「ぇ、いや…。」
なぜかその悲しい涙を無くしたくて指で拭う。
彼女はお返しにと私の頭を撫でて優しく微笑んだ。
微笑む彼女は綺麗で女の子の私が見てもドキッと心臓が高鳴った。
「アノヒト…センカンセイキハクラウディア二ゴウチンスンゼンマデオイコマレタ。」
「クラウディアトセンカンセイキハムカシカラインネンガアッタ…ソシテチヲチデアラウヨウナタタカイヲツヅケテキタ。」
「そんなことがあったんだ…。」
「エエ。デモソレハアノヒトガヨソウダニシナイカタチデシュウシフガウタレタ。」
彼女はそこまで言うと私を見つめる。
そして私を引き寄せて抱き締める。
「ソレハアナタ…イツキガクラウディアノナカニデキタカラ。」
「私が…?」
「ソウ…アナタガデキテクラウディアハシアワセソウダッタワ。」
彼女は抱き締めたまま優しく私の頭を撫でる。
その手はママの様に慈愛に満ちており、私は気付いた。
「ワタシハイツキガデキタトキ二チョウドクラウディア二タスケラレテイテ、ワタシハアナタガウマレルマデイタワ。」
この人は敵じゃない。
この人はパパやママと同じ。
「フフッ…イツキノオムツモカエタコトガアルノヨ?」
家族なんだ。
「イツキ…?」
「………ごめんなさい…。」
私はしがみつく様に抱き着く。
そして彼女の胸に顔を埋めるようにして涙でクシャクシャになっているであろう顔を隠す。
「ドウカシタノ?」
「ごめんなさい…私…貴女に酷いことをした…。」
「イイノヨ。イツキガワタシタチヲウラムノハシカタナイモノ…。」
私は謝る。
彼女に沢山酷いことをしたのだ。
ある時は彼女を罵倒し。
ある時は彼女に石を投げつけて。
ある時は彼女に刃物を刺した。
それでも彼女は私を許してくれる。
「ぅ…うぇぇ……うわぁぁぁぁん!!」
「イツキ…ワタシコソクラウディアヲタスケラレナクテゴメンナサイ。」
泣いた。
彼女に抱き締められ私は泣いた。
彼女ももしかしたら泣いていたのかもしれない。
――――――――――
「オチツイタカシラ?」
「うん。」
あれから暫く私は泣き続けてやっと泣き止んだ時には彼女の部下達が集まり、私達を見ていた。
「ミンナタタカイヲコノマナイワタシノタイセツナナカマタチヨ。」
「よ、よろしく。」
皆は其々に挨拶をして持ち場に戻って行った。
「ねぇ…。」
「ナニカシラ?」
彼女は私を見つめてくれる。
「お姉ちゃんって…呼んでいい?」
「オネエチャン?」
家族に貴女なんてよそよそしい呼び方なんて私には出来ない。
だから私は前から欲しかった姉を彼女に求めたのだ。
「ダメ…かな?」
「デモ…ワタシモアナタガニクイシンカイセイカンヨ。」
悲しそうに目を伏せる彼女。
「確かに深海棲艦だけど…お姉ちゃんは違う。」
「…エ?」
そう。
お姉ちゃんは家族だから。
家族になりたいから。
「お姉ちゃんは優しくて温かい。だから…。」
「ダカラ?」
「私と…家族になって………下さい。」
「!?」
お姉ちゃんは驚いて、そして戸惑う。
「デ、デモ…。」
「お願い…なって…。」
「…イツキ。」
パパもママも居なくなった私は孤独な身。
そしてお姉ちゃんもママが死んでしまい悲しみにくれている。
そんな二人が家族になってもいいんじゃないかと幼い私は考えた。
「……ワカッタ。」
「お姉ちゃん!」
私は嬉しくてお姉ちゃんに体重を預けると押し倒してしまった。
「ぁ…ごめんなさい。」
「イイノヨ。ワタシモウレシカッタカラ。」
謝る私にお姉ちゃんは微笑む。
大切な家族を失った私に新しく家族が出来た。
それを証明出来るものは何もないけど私とお姉ちゃんは十分だった。
深い絆が出来たからだ。
「ふふっ。」
「フッ…。」
私達は笑い合う。
私がお姉ちゃんに甘えてもお姉ちゃんはそれを受け入れてくれる。
幸せだった。
「…ウラギリモノメ。」
あいつが来るまでは。
―続く。
読んでいただきありがとうございました。
さてさて、今回は昔話(前編)な訳ですが、カタカナが多くて読み辛いとは思いますが許して下さい。
次回は後編になりますのでよろしくお願いします!!
感想お待ちしております♪
では、次回お会いしましょー。