白い司令塔(仮)   作:0ひじり0

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ひじりです。

今回は二人の視点で書いております。
シリアスがもう少しだけもう少しだけ続きます。
ごめんなさい!

後、タイトル変えようかなーって、考えてます。
中々良いのが思い付かないんですが思い付いたら変えるかも知れませんのでご了承ください。


では、どうぞ。


第拾捌話 ~裏・鳳翔&大和視点~

「鳳翔。」

 

「はい。なんでしょうか?」

 

「すまないが今日から一週間は大本営に行かなければならなくなった。共に来てくれるか?」

 

「はい。わかりました。」

 

今日から樹ちゃんは私と共に寝泊まりをするので執務室に入ると直ぐにそう言われました。

 

「いつものでしょうか?」

 

「ああ、そうだ。」

 

そろそろとは思った矢先でしたので予想が当たってしまい少し困ってしまいました。

大本営から…いえ、大元帥からと言うことは多分そう言うことなのでしょうね。

もう一人の大きな娘が待ってるなら母としては放っておけませんからね。

 

「では、行こうか。」

 

「はい。」

 

えっと、確かじーぷ…とか言う大きな車が鎮守府の前に停止してるので乗り込みました。

 

――――――――――

 

日も落ちて辺りが暗くなった頃に大本栄に到着しました。

 

「失礼します。」

 

「おお、よく来てくれたな。」

 

大きな扉を開けて中に入ると樹ちゃんは大元帥とハグをしています。

大元帥は何度か会った事がありますがこの人は本当に樹ちゃんを親族の様に可愛がってくれるので私も安心できます。

 

「お久しぶりです。」

 

「そうだな。息災であったか?」

 

「はい。おじ様もお元気そうでなによりです。」

 

二人は積もる話もあると思われるがそこそこで切り上げてしまう。

 

「今回のも…やはりアレでしょうか?」

 

「ああ。そうだ。」

 

二人とも娘の事が心配なのでしょう。

こう言う小さな事の一つ一つに艦娘に対する愛情を感じます。

 

「すまんがまた頼めるか?いつもの部屋に居るからの。」

 

「分かりました。では、行ってまいります。」

 

「うむ。頼んだぞ。」

 

「任せてください。」

 

私が扉を開けて先には樹ちゃんが部屋を出る。

そして、私も一礼してから扉を閉める。

その時の大元帥はニコニコと笑いかけていた。

本当に優しい殿方ですね。

 

「では、行こうか。」

 

「はい。」

 

――――――――――

 

何度か訪れた事のある部屋の前に到着する。

樹ちゃんがノックした後にソッと部屋に入りますね。

 

「入るよー?」

 

「入りますね。」

 

中は真っ暗でした。

もぅ…こんな暗い部屋に閉じ籠るなんて体にも心にもよくありません。

 

「……。」

 

そんな部屋の隅で大きな体を小さく折り畳む様にしている娘を見つける。

 

「みーつけた♪」

 

「あらあら。また部屋を真っ暗にして…目によくありませんよ?」

 

「わひゃ!?」

 

樹ちゃんが自分より大きな妹を元気付ける為に明るく抱き締める。

私は部屋の明かりをつけます。

あら?部屋の掃除はちゃんとしているのですね。

感心ですね。

 

「なーに暗い顔してるの?大和。」

 

「本当ですよ?」

 

「……グズッ…。」

 

あらあら。

かわいいお顔をくしゃくしゃにして…手のかかる子ですね。

 

「ぅ…ぅえ……おかーさぁん…おねーちゃぁん…。」

 

ですがそんな所がまたかわいいので私も大概なのでしょうか。

 

「もー大和は泣き虫だなー。」

 

「ふふっ…仕方ない子ですね。」

 

「うわああぁぁぁぁん。」

 

大和ちゃんが大きな声で泣いてます。

こう言う時は抱き締めてあげるのが一番ですね。

だから私と樹ちゃんで包み込んであげます。

 

「どう?落ち着いた?」

 

「う、うん…。」

 

少しして落ち着いてきた大和ちゃんを樹ちゃんに任せて私はお茶を淹れに行きます。

その時には凄く寂しそうな目で私を見つめるので少し困ってしまいました。

 

「私達に会えなくて寂しかったのかな?」

 

「うん…寂しかったよぉ…。」

 

「あー前にここに来たときは居なかったもんね。」

 

部屋に備え付けられた台所から様子を見ると早速樹ちゃんに甘える大和ちゃんが見えます。

何度か勤務中で見かけた大和ちゃんからは想像が出来ないほどの甘えん坊っぷりですね。

 

「お待たせしました…って、あらあら♪」

 

「おかーさん。」

 

「はいはい。ちょっと待ってくださいね。」

 

大和ちゃんが私に手を伸ばすので体を寄せます。

そしたら私の手を握って甘えてきます。

本当に大きいのに小さな娘みたいでかわいいです。

 

「今日はもう遅いですから寝ましょうか。」

 

「そうだね。久しぶりに3人で寝よっか。」

 

「うん♪」

 

眠るときは必ず一人一組の布団ではなくて二組の布団で密着して眠るのが私達3人の決まり事です。

こうしてると樹ちゃんが夫、私が妻で大和ちゃんが娘みたいです…って、妄想が過ぎますね。

………そうなったら…幸せ過ぎてきっと泣いてしまいますね。

 

大和ちゃんと出会えて本当に良かったです。

人間…特に男性の方は……正直、私も少し苦手です。

きっと素敵な方もいらっしゃるのでしょうが…あの惨劇を見てしまった私は男性の方が怖くなりました。

何故こんな酷い仕打ちが出来るのか…と。

 

――――――――――

 

一年前 樹20歳

 

「艦娘達の救助、ですか?」

 

「そうだ。この前解体した鎮守府の艦娘の救助に一緒に来てほしい。」

 

その日はよく晴れててお洗濯日よりな気持ちいい一日でした。

そんな中で大元帥は暗い顔をしていました。

 

「鎮守府が解放されたのが昨夜のことなのだが…一つ問題が出てきてな。」

 

「問題?」

 

「ほとんどの艦娘は自由を喜んで救助されたのだがな…一人だけ…まだ出来てないんだ。」

 

私は樹ちゃんの背中を見つめます。

ブラック鎮守府ではなく樹ちゃんと出会えた私はきっと幸せ者なのでしょうね。

 

「まあ、見てもらった方が早いだろう。」

 

大元帥が部屋を後にして外で待ってた車に乗りました。

それに私達も続きます。

 

「こっちだ。」

 

着いたのはそんなに大きくはない鎮守府でした。

外観は普通でここで酷いことがあったなんて思えません。

ですが立ち入り禁止のテープで入口を封鎖していました。

そのテープがここでおこなわれていたと物語っているようで少し気味が悪かったです。

私を含めた3人はそれをくぐり中に入ります。

 

「いいか…彼女の精神は限界を越えている。くれぐれも気を付けてくれよ?」

 

「わかってます。」

 

いつもとは違う厳格な声で大元帥が言います。

それがまた一段とここが本当にブラック鎮守府だと嫌でも理解させてきます。

 

コツン。

コツン。

 

無機質なコンクリートの階段を降りていきます。

明かりはなくて大元帥が持つライトのみが頼りになっています。

 

そして、一段…また一段と降りていく度に強くなる異臭。

先程までの普通とは世界が違うその雰囲気に飲み込まれそうになり、それでも私は樹ちゃんを守ると言う使命が正気を保ってくれる。

 

この先にあるのはきっと地獄…。

狂気と憎悪しかない場所。

私は口に溜まった唾を飲み込み後に続きました。

 

――――――――――

 

大和視点

 

「なんてこと…。」

 

「クズね…。」

 

声が聞こえた。

多分…女が2人。

でも、足音は3人だと思う。

そんなことはどうでもいい。

こんな場所に来るのはアイツ位だから…私は自分を守るだけ。

 

この場所の臭いも慣れた。

硬いコンクリートの上で寝るのも首を締め付ける枷も自由にならない両手に両足…全て諦めたら………慣れた。

 

「彼女は大和だ。」

 

男の声が私の名前を口にする。

汚らわしい…。

私の名前を呼ぶな。

 

「…入っても?」

 

「近付けば彼女は攻撃してくるぞ?」

 

「構いません。」

 

一人の女が中に入って来る。

その女は白いの軍服を着ていた。

なんだ…こいつもアイツの仲間なのか。

 

「………。」

 

私はその女を見る。

お前もなのか?

お前も私を殴るの?

蹴るの?

刺すの?

締めるの?

罵倒するの?

犯すの?

 

私を…私を……殺すの…?

 

女は止まらない。

 

「ちかづくなああぁぁぁ!!!!」

 

目の前が真っ赤に燃え上がった。

憎い…憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎いニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイ。

 

そしたら言葉を発するのを放棄していた喉から信じられない程の叫び声が飛び出た。

喉が痛い。

口の中が血の味がする。

 

「………。」

 

女は私を抱き締めた。

 

「やぁぁめぇぇぇろおおおぉぉぉぉぉ!!!」

 

きっと酷いことをする。

だから拒絶する。

やめろ…やめて…これ以上私を苦しめないで。

 

「ああぁぁぁあああぁぁぁぁ!!」

 

「ぐっ!?」

 

噛みつく。

手も足も動かせないから女の肩に噛みつく。

女の血が私の血と混ざる。

 

温かい。

 

不思議だった。

女の体も血も温かかった。

 

「ごめんなさい…。」

 

耳元で小さな声が私の鼓膜に響く。

どうして謝るの?

 

「大丈夫ですよ…私達は貴女を傷付けたりしません!!」

 

もう一人の女が反対から私を抱き締める。

そして、叫んでいた。

でも、アイツが喚き散らしていた汚い声ではなかった。

 

「はなせぇぇ!!はなせええええええ!!!」

 

ダメだ。

頭が痛い。

何も考えられない。

だから叫ぶ。

やめて…苦しい…。

 

もう…殺して。

 

そこで私の意識は暗転した。

 

枯れていた涙が…流れていた。

 

―続く。




読んでいただきありがとうございました。

あー…自分はシリアスを書かないとやっていけない病気なのかも知れません…。
ストーリーを考えてると先にシリアスが浮かんでしまいますから…。
辛いよぉ…。

感想などお待ちしております。

では、次回お会いしましょう♪

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