はい。
今回も安定の裏話ですね。
シリアスは暫く休憩なので気軽に読んで下されば幸いです♪
読者の方からご指摘がありました時刻についてなんですが次のお話から訂正しますので今回はそのままになってます。
では、どうぞ。
「提督。今日からは私の寮になりますね。」
「すまない。迷惑をかけるよ。間宮。」
提督今日から私の寮で泊まることになった。
正直まだ大半の艦娘の皆さんは提督の事を苦手…もしくは嫌っていますが私は悪い人には見えないです。
提督を男性の方だと思っていた頃からそう思っていました。
まだ、男性の方は怖いですが…。
「電ちゃんから秘書艦も担当して欲しいと言われましたので教えて頂けますか?」
「もちろん。構わない。」
そして、私は初めて秘書艦を勤めます。
給油艦である私が勤めるのは余りないと思われますが一度してみたかったのでちょっとワクワクしてます。
「そう言えば、食堂は誰が担当するんだ?」
「電ちゃんと鳳翔さんに伊良湖の三人が中心に回すらしいですよ?」
「そうか。それなら心配は要らないな。」
「はい。」
提督には悪いですが今回の工事で今の状態になったのに少し感謝してます。
だってお料理は好きですがたまにはこう言うしたことの無い事もしたいですから。
私は悪い艦娘なのでしょうか…。
そんな事を考えながら執務室に入ります。
「すまないな。狭いが少しだけ我慢してくれるか?」
「大丈夫ですよ。狭いところは嫌いではありませんから。」
「そうか。ありがとう。」
長門さんもそうしていたと言うことで私は提督が座る椅子に腰かけます。
凄くふかふかで気持ちいいですね♪
提督は隣にパイプ椅子を設置して座ります。
「じゃあ、教えるぞ?」
「はい……あの、一つお願いしてもいいですか?」
「ん?いいぞ?」
頭では分かっていてもやはり男性の格好をした方が隣に居ると考えると少し動揺してしまいます。
ですから我が儘ですがお願いをしてしまいました。
「お、女の子の格好になって欲しいです!」
「…理由を聞いてもいいか?」
「や、やっぱり、その…まだ男の人は怖くて…その…。」
嘘ではありません。
……少し大袈裟にいいましたけど。
「声だけ戻すのではダメかな?」
「ダメ…ではないですけど、えっと…。」
「リスクもあるから服装は難しいかな。」
「そう、ですか…。」
やっぱりそうですよね…残念です。
でも、少し困った様な表情をした提督はフッと微笑みました。
「ちょっと待ってね。」
「…え?」
そうしたら提督は帽子と上着とウィッグを取って簡易的に女の子に戻ってくれました。
「…これが限界かな?」
「ぁ…ありがとうございます!」
そんな提督の優しさに嬉しくなってつい大きな声でお礼を言ってしまいました。
やっぱり悪い人ではないと思います。
「これから少しずつ頑張ってくれる?」
「ぁう…は、はぃ…。」
提督はそのまま私の頭を撫でてくれました。
いつもは甘えてくる駆逐艦の皆さんを受け止めている私は頭を撫でられる何て初めてでしたから照れてしまいます。
「とりあえず教えるから一緒に頑張ろっか。」
「はい!」
提督の一言で執務を開始します。
提督は丁寧に一つ一つ教えてくれて簡単に覚える事が出来ました。
「どうですか?」
「………うん。記入漏れもないし、大丈夫だよ。」
「やった♪」
「ふふっ。お疲れ様。」
提督が確認して不具合もなく秘書艦の執務は終わりました。
そこで駆逐艦の皆さんが頑張ったらご褒美に頭をよく撫でてあげるのですが…先程の撫でて貰った感触が忘れられずに自分で頭を触ってしまう。
「よく頑張ったね。」
「……はい♪」
提督はまるでお姉さんみたいにクスクスと笑いながら私の頭をまた撫でてくれました。
その小さな手の中には優しさが沢山積め込まれてて胸がじんわりと暖かくなりました。
「じゃあ、次は私の済ませちゃうね?」
「あ、はい♪」
次は提督の執務の番ですので場所を交代して私は提督が執務を進める姿を見つめます。
提督は私が手持ちぶさただと思ったのか話しかけてくれました。
「間宮。質問いいかな?」
「はい。なんでしょうか?」
私は提督の丸っこい文字を見ながら返事をします。
「食堂での不具合なんかない?」
「そうですね…あ、そろそろ包丁とか古くなってきて幾つか交換したいです。」
「ん、わかった。そこの棚から申請書取ってくれる?」
「はい……えっと、これですか?」
「うん。ありがとう。」
提督に教えてもらいながら棚から紙を一枚取ります。
そこには【備品調達申請書】と書かれていました。
それを提督に渡します。
提督はサラサラと申請書に書き込むと後ろにある金庫からお金を取り出しました。
今、チラッと見えましたが結構な額が入っていたと思います。
「料理の道具なら早い方がいいよね?執務が終わって買い物に行こっか。」
「え!?いいんですか!?」
「もちろん。お昼も外で食べよっか。」
「はい!!」
提督とのお出掛けが楽しみで一時間位かかった執務が凄く長く感じました。
「じゃあ、この書類を提出してくれる?私も用意するから正門前で待ち合わせしよ。」
「はい!いってきます♪」
「いってらっしゃい。」
提督から預かった書類を抱えて走ります。
今日は暖かったですし、少し汗をかいてしまいましたから簡単にですが汗を流したかった私は慌てていて躓いて転けそうになってしまいました。
――――――――――
「お、お待たせしましたぁ!」
「大丈夫だ。そんなに待っていない。」
汗を流しましたがお洒落な服を持っていないのでいつもの服装です。
出来るだけ急いで支度しましたが提督は先に待ち合わせ場所に着いていました。
「すまない。他の者には見せられないからな。今はこの姿で我慢してくれるか?」
「あ、はい…仕方ありませんもんね。」
流石に門兵さんやお散歩をしてたりする艦娘の皆さんに見られたらいけませんから…仕方ありません。
ですが残念です。
「着替えは持って来てるから安心して…ね?」
「っ!!はい♪」
やっぱり優しい提督は私だけに聞こえる様にそう囁いてくれた。
私はその優しさに自然と笑顔になってしまう。
「では、時間が惜しいな。行こうか。」
「はい!」
提督は門兵さんに声をかけてます。
私は提督の後ろに立ってそれを見つめます。
提督と私は鎮守府から歩いて10分位の所にある公園に来ました。
今は提督か公衆トイレに入って着替えています。
着替え終わった提督の服装は白いワンピースに丈が短めのデニムの上着を羽織り底がコルクの白を基調したサンダルで春らしい格好でした。
その格好は提督に凄く似合ってて可愛いです。
「お待たせ。」
「はぅ!?」
「間宮!?」
そんな可愛い格好にヒマワリみたいに明るい笑顔を受けた私は思わず仰け反ってしまいます。
こんな妹が欲しいです。
今すぐにでもお持ち帰りしたいです。
「だ、大丈夫!?」
「はー…ふぅー…大丈夫、です。」
ざわついた心を落ち着かせるために何回か深呼吸をします。
「やっぱり変だったかな?」
「そ、そんなことありません!」
提督はどこから諦めた様な表情でとんでも無いことを言います。
だから私は答えます。
否定します。
だって凄く可愛いですから。
「あ、ありがとう。」
「はい!!」
提督は私の勢いに驚かれてますが気にしません。
優しい提督にそんな悲しい顔なんてしてほしくないですから。
「まあ、とりあえず行こっか?」
「はい!」
提督の少し後ろを歩きます。
やっぱりこう言う所はちゃんとしないといけませんもんね。
「ふぇ!?て、提督!?」
「今は提督じゃないよ?だから、並んで歩こ?」
「わ、わかりました。」
しかし、提督はお気に召さなかったみたいです。
私の手を取って横並びになります。
手を握られた私は照れてしまいます。
そんなこんなしながら一軒目のお店に到着しました。
「わぁ…いっぱいありますね。」
「そうだね。値段は気にしなくていいから好きなのを選んでね?」
提督がそう言ってくださり私は一つ一つじっくりと商品を見ます。
どうせならちゃんとした道具で美味しい料理を出したいですから。
しかし、隣で同じ様に商品を見る提督に質問をする。
「提督も…んむっ!?」
「今は樹で、ね?」
提督の細い指が私の唇に触れてます。
その柔らかい指は目を閉じたら……その…き…きき…キスしてるみたいです。
そして、提督は悪戯っぽく笑ってます。
「い、樹…ちゃんは、料理はするのですか?」
「うん。するよ?でも、電やお母さんの方が美味しいから出番がないかなー。」
「そうだったんですか。」
「あ、もちろん間宮の方が私より美味しいよ?間宮の料理の味付けも私は好きだし。」
「す、好き!?」
「うわぁ!!」
いきなりの不意打ちに手に取っていた鍋が私の手から離れます。
そんな無垢な笑顔で好意を伝えられたら誰だってドキッとしてしまいますよ。
「間宮。これ。」
「え?あ、はい。」
お会計をしていると提督がソッと店員さんから見えないように私に財布を渡してきました。
提督は見た目が小学生高学年位に見えますから私みたいな大人を差し置いてお金を払うと変な目で見られるからと私でも理解できました。
そして、そんな小さな気遣いに嬉しくなってしまいます。
「て…樹ちゃん。」
「ん?」
「これ。ありがとうございました。」
「ああ。うん。気にしないでいいよ。」
提督にお礼を言うと笑いながら私の手を引いて次のお店に歩いてくれました。
私が男性ならこんな可愛いくて気遣いが出来る優しい女の子は放って起きません。
「今は…ヒトゴーマルマルか。帰る前にちょっと休憩しよっか。」
「はい。」
提督はお出掛けが慣れていない私を気遣って最初に来た公園のベンチで休憩をしてくれました。
「今日は楽しかったです。」
「そっか。いつも間宮は休み無しで働いてくれてたから喜んで貰えて良かった。」
ベンチに座ってお話をしてると不意に提督が俯いてしまいました。
「ごめんなさい。間宮にはずっと無理させてるよね。」
「え?無理、ですか?」
そして、私に謝ってきたのです。
私はなぜか分からずに首を傾げてしまいました。
「だって、間宮は食堂の仕事をまともに休めてないでしょ?」
「ああ、そう言うことですか。無理なんてしてませんよ?」
「でも…。」
私は提督がしてくれたのと同じ様に提督の唇を塞ぎます。
「私、嬉しいんです。」
そう。
今、私は嬉しいんですから。
「この鎮守府が出来て直ぐに着任しました。でも、直ぐにあの人が言いました。」
あの人…前の提督の顔が浮かんで嫌悪感が私の胸の中を支配します。
「『兵器が生意気に食事をするな』って…。」
あの冷たくて絶望のどん底に突き落とすかの様な声は今も私の耳から離れてくれません。
「そこからは地獄でした。どんなに進言しても許可は下りずに補給の資材をそのまま出す日々でした。出されるそれを見て落ち込んで…悲しんで…泣き出す子も少なくなかっです。知ってますか?資材って凄く不味いんですよ?」
でも、今はその絶望に突き落とされても大丈夫です。
凛とした綺麗な声…樹ちゃんの声がソッと優しく救いだしてくれますから。
「でも、貴女が来てくれました。変えてくれました。助けてくれました。私に…存在する意味を再び与えてくれました。」
その声…その笑顔に私は救われました。
私達を気遣い…そして、私達を救う為なら自分をも傷付けてしまう樹ちゃん。
「だから…ありがとうございます。皆を…私を助けてくれて。貴女は私の恩人です。」
「間宮…。」
「私に出来ることがあったら何でも言って下さい。何でもします。」
そんな樹ちゃんが私達の提督になってくれました。
「じゃあ…一つお願いしていい?」
「はい。何でも。」
「私も頑張るから…笑って、幸せになって欲しいな。」
嗚呼、樹ちゃんの優しさが私の胸の中にあった嫌悪感をどこかにやってしまいます。
「………はい。」
私は今、幸せです。
樹ちゃんのおかげです。
ですから樹ちゃんも幸せになって欲しいです。
こんな戦えない…家事しか出来ない私でも樹ちゃんの幸せに出来るでしょうか?
神様にお願いはしません。
そんな不確かなのではなくて私自身で幸せにしたいです。
ですからこれは最初の一歩です。
多分、今の私は涙でくしゃくしゃな顔です。
でも、笑います。
幸せになりたいから。
樹ちゃん…貴女を幸せにしたいから。
―続く。
読んでいただきありがとうございました。
そして、UA10000&お気に入り100を突破いたしました!
皆様ありがとうございます!!
はい。
今回のイベント(仮設寮へのお泊まり)なんですが一応メインにスポットを当てられる艦娘は五話(メイン三、裏二)になってましてそれ以外は三話(メイン二、裏一)となってますのでご了承ください。
……だって…全員五話してたら合計五十話になってしまいます…(泣)
えっと、今回の間宮の裏話はちょっとだけいつもと書き方を変えてみました。
気付いてくれましたかね?
では、感想などあれば嬉しいです♪
次回もお楽しみにしててください!!