白い司令塔(仮)   作:0ひじり0

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ひじりです。
皆さん分かるかもしれませんが今回は第拾参話の裏話…ロリコンながもん視点になります。
会話などは変わりません。

では、どうぞ。


第拾参話 ~裏・長門視点~

「さて、集まってもらった理由は分かっていると思う。」

 

幼い容姿からは想像も出来ない位に凛とした声が響く。

その声に耳を傾ける。

 

「本日から鎮守府の大規模工事が始まるわけだが業者の方々を紹介する。」

 

提督の言葉で工事をしに来た従業員一人一人に自己紹介をし始める。

やはり、仕方ないとは言え男を見ると嫌悪感が胸の中を埋める。

 

「終わったかな。最後に一つ伝えるよ。ここにいる業者の皆さんにはある誓約書を書いてもらってる。」

 

私や提督の正体を知るメンバーはどうも思わないがそれ以外の皆は不思議そうな顔をする。

当たり前だ。

普通は艦娘相手にあそこまでする方が異質なのだから。

 

「それは『艦娘に無理矢理手を出せばその場で死刑に処する』と言った誓約書だ。詳しく説明するから手元の書類を見てくれ。」

 

一応、私達が決めたのは秘密になっているから周りと同じように手元の書類を見る。

因みにこの書類は提督の手書きをコピーしたものだ。

理由としては提督はパソコンなどの機器でタイピングするより直に書いた方が早いからだ。

私の目に映る文字は丸っこくて可愛らしいがけして汚くはない文字が並んでいる。

 

「まず、この誓約はこの佐世保鎮守府に属する艦娘に直接・間接・精神的に何らかのダメージを与えた場合に執行される。」

 

周りがざわめくが私は提督の可愛らしい文字に夢中になってしまっていた。

 

「なお、この誓約は『お互いの合意がない場合』にのみになる。例えばだが…誰かと恋に落ちて恋仲になれば例外になる。」

 

しかし、文字に夢中になっていても提督の言葉は聞き逃さない。

ビック7を侮るなよ?

 

「最後にもしものために妖精さんに頼んで業者の方々を含めた全員にこの小型レコーダーを配布する。因みにちょっとやそっとの事では壊れないぞ。これは停止は出来ないし、データは妖精さんが管理してくれるから流出等は心配はいらない。」

 

一人の妖精が私によじ登り、頭にある擬装にレコーダーを取り付ける。

 

「ああ、忘れてたレコーダーがない場合は妖精さんや私が信頼する艦娘達との話し合いで状況判断するが…不利になることは免れないから気を付けてくれ。」

 

無理だとはわかっているが、どうせなら提督に付けてもらいたかったものだな。

 

「だが安心してくれ。業者の方々は私や代表の艦娘達の面接して信頼に足る人物と判断した上で迎え入れてるから。さて、質問はあるか?」

 

「私から一つ宜しいですか?」

 

少し攻撃的な声が食堂に響き、私より提督から少し離れた位置から手が上がる。

 

「大鳳。構わない。言ってくれ。」

 

「では、失礼します。先程、司令官の『信頼に足る者』と仰いましたが具体的な人物をお願いできますか?」

 

彼女は装甲空母 大鳳だ。

 

「なるほど…全員は答えられないが一人代表を教えよう。」

 

提督は大鳳の質問に私に目を向けながら答える。

そんな私を信頼しきっていてすがるような目で見ないでくれ。

持ち帰りたくなるだろう。

しかし、頼られてしまえば仕方ない。

私は立ち上がる。

 

「私がその一人だ。今回の…そうだな……陪審員とでも呼ぼうか。とりあえずその陪審員が誰か分かれば良からぬ事を考える輩出てこないとも言えないからな。だから極秘にさせてもらう。」

 

「それもそうですね。わかりました。」

 

ああ、そんな子犬みたいな無垢な目で私を見ないでくれ。

抑えが効かなくなる。

…ダメだ。

あの計画を実行に移すか。

 

「ありがとう。長門。さて、他に質問はないか?」

 

提督がお礼言ってきたので頷いて答えるが

私の頭の中は計画の事では頭が一杯だった。

 

「では、次の議題なんだが…これは次の資料を見たら分かると思うが仮設寮の部屋割りだ。事前に申請してもらったメンバーでどの寮なのかを書かれてるだけだからこれを元に行動してくれたらいい。では、解散。」

 

提督の解散との言葉に皆はガヤガヤとざわめく。

しかし、私は計画の為に提督に近付く。

 

「提督。今日から一週間は私が班長を務める班の部屋で寝てもらうが構わないか?」

 

「もちろんだ。迷惑をかける。」

 

「なに…構わんさ。」

 

「すまない。感謝する。」

 

提督がすまなさそうに眉を曲げた顔が可愛くて自然と笑みが溢れてしまい、バレないように胸を張って答える。

提督の目線が私の胸元に釘付けになる。

こんなもの邪魔なだけだと思っていたが提督が見てくれるなら悪くはないな。

 

「む?どうした。提督。」

 

「いや、何でもない。」

 

「そうか。では、執務が終わる位に迎えに行く。」

 

「分かった。」

 

さて、第一段階は成功だな。

 

――――――――――

今の時間はヒトナナサンマルだな。

実はヒトナナマルマルには着いていたのだが真剣な表情で執務をこなす提督の横顔を飽きることなく窓から眺めたらいつの間にこんな時間になっていた。

 

「ふぅ…やっと終わったー。」

 

両手を上げて伸びをしている提督を見ていていたいがそんなわけにもいかないから執務室の扉をノックする。

 

「入っていいぞ。」

 

「失礼する。」

 

中に入ると提督が驚いており、その後に何かに気付いたような表情をした。

まずいな…見ていたのがばれていたか?

 

「一つ聞いてもいいか?」

 

「なんだ?後、皆は仮設寮にいるし誰か来れば私が分かるから普通で構わない。」

 

「そっか。えっと…もしかして此処の前でずっと待ってた?」

 

「無論だ。終業時刻はヒトナナマルマルだからな着いたが提督は忙しそうだったからな。待たせてもらった。」

 

良かった。

見ていたのがバレたわけではないみたいだ。

 

「ごめんなさい…。」

 

「いや、構わんさ。」

 

「ありがとう。じゃあ、着替えちゃうからちょっと待ってね?」

 

「出ていようか?」

 

待て。待て待て待て。

そんな無防備に私の前で着替えるのか!?

り、理性が…まずいな。

 

「ん?長門が嫌じゃなかったら居てもいいよ?」

 

「そ、そうか。」

 

あ…あぁ…そんな。

普通の日本人ではあり得ない白く綺麗な肌が私の目の前にさらけ出される。

そして、体の至るところにある生々しい古傷は醜く等なくて白いキャンパスに彩られた絵の様で不謹慎だが綺麗だった。

 

「ん、しょっと…じゃあ、案内してもらおうかな。」

 

「………ハッ!?あ、あぁ…行こうか。」

 

見とれていた私は提督に声をかけてもらうまで飽きずに見続けていたが、我に帰る。

怪しまれたかも知れないが何事も無かったように寮まで案内する。

 

「ここだ。さぁ、入ってくれ。」

 

「うん。」

 

私の班は軽巡と駆逐艦を主としたメンバーだ。

 

軽巡

球磨

多摩

五十鈴

 

駆逐艦

雪風

夕雲

清霜

初霜

朝霜

 

以上9名だ。

彼女たちは私と仲の良い者達だ。

 

 

やはり、男(と思っている)がいると良い感情は芽生えないのか怯えたり警戒したりしている。

どうにか出来ないか考えたがやはりこれしかないのか。

 

「今日から一週間よろしく頼む。」

 

手の平に血が滲みそうになるくらいに拳を握り絞めながら言い放つ。

 

「そう警戒するな。何かある前に私が押さえるから心配はいらない。」

 

私の視界に艦娘達は安堵を提督は悲しみと諦めを孕んだ笑顔がそれぞれ映る。

何がビッグ7だ。

何も出来ないではないか。

不甲斐ない自分を殴りたくなるが必死に堪える。

 

「提督にはこの一週間は私と行動を共にしてもらう。構わないか?」

 

「もちろん。」

 

そして、ついに提督はこの一週間の最大のイベントとも言える事を口にした。

 

「じゃあ、私は風呂に入ってくる。」

 

「では、私も行こう。」

 

「え?」

 

「なに、私も入渠がまだだからな。」

 

そう、それは入浴だ。

皆は驚いているが考えていた言い訳をして皆は納得する。

提督の後ろを追いかけるように寮を出る。

私の目的は入渠施設ではなく隣にある提督が使っているお風呂だ。

そして、覚悟を決めて提案をする。

 

「提督。」

 

「ん?どうしたの?」

 

「今日は出撃も無かったから身を清めるだけだからそっちの風呂で一緒に入って構わないか?」

 

「へ?……い、いいけど…長門は嫌じゃないの?」

 

「私から提案したんだ。嫌なわけがないだろう?」

 

「そ、それもそうだけど…。」

 

緊張で口の中がカラカラだ。

目の前には驚いて大きなくりくりの瞳を更に見開いている提督がいる。

私の調べでは提督と特に中が良い電や鳳翔とはたまに一緒に入る事もあるようだし大丈夫だろう。

 

「じゃあ…一緒に入る?」

 

「ああ。無理を言ってすまない。」

 

「ううん。大丈夫だよ?」

 

戸惑いながらも了承してくれてついついガッツポーズをしてしまった。

恥ずかしいが気にしてもしょうがないか。

 

「あのお風呂は薄暗くて少し怖いし…。」

 

「なんだと?」

 

「あれ?聞こえてた?」

 

「ああ。薄暗いとはなぜだ?」

 

提督の独り言に反応してしまう。

入渠施設は早い段階で余りにも汚いと言って提督が呼んだ掃除業者に新品の様に生まれ変わったのだが。

提督が困った顔で理由を言う。

 

「えっと…元々使われて無かった風呂場を自分で掃除したの。湯は沸かせるんだけど小さな電球一つしかないけど入れるから気にしてないよ。」

 

「なぜそんな風呂を利用する必要があるんだ?建てればようだろう。」

 

「そんな無駄遣いはする気はないかな?勿体無いし。」

 

「……はぁ…変わっているな。」

 

「あはは…よく言われるかな。」

 

この提督は自分を犠牲にし過ぎる節がある。

最初の自己紹介の時もそうだが、色々と話を聞く限りでは昔から無茶ばかりしてたみたいだしな。

 

「もういい。ほら、行くぞ。」

 

「うん。行こっか。」

 

誤魔化す様に苦笑いする提督に手を差し伸べると天使の様な笑顔で私の手を握り返してくれた。

私の胸は激しく高鳴る。

私はこの少女の様な提督に心を奪われてしまったのかこの人の為なら何でもしよう。

ビッグ7…いや、この命にかけてもな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、今はこれから拝めるだろう楽園に私は身も心もゆだねようではないか。

 

―続く。




読んでいただきありがとうございました。

ながもん可愛いよね。
そして、ながもんの心は樹に奪われてしまいました(無自覚)

感想を書いていただけると嬉しいです♪

では、また次回お会いしましょー。

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