白い司令塔(仮)   作:0ひじり0

14 / 32
はい。ひじりです。

久しぶりに短い間隔での投稿です。
今回はシリアス少なめですよー♪

では、どうぞ。


第拾参話

「さて、集まってもらった理由は分かっていると思う。」

 

あの襲撃があった日から一週間がたち艦娘達には食堂に集まってもらった。

集まったのを確認すると声をかける。

 

「本日から鎮守府の大規模工事が始まるわけだが業者の方々を紹介する。」

 

時間はかかるが従業員一人一人に自己紹介してもらう。

これも人間不振な艦娘達を心配しての事だから我慢してもらう。

一時間かかったが総勢50名近くいる業者の方々の自己紹介が終わり、最後に一番大事な事を伝える。

 

「終わったかな。最後に一つ伝えるよ。ここにいる業者の皆さんにはある誓約書を書いてもらってる。」

 

艦娘の皆は訳がわからないと言った表情でこちらに目を向ける。

 

「それは『艦娘に無理矢理手を出せばその場で死刑に処する』と言った誓約書だ。詳しく説明するから手元の書類を見てくれ。」

 

業者の方々を含めた皆は配られていた書類に目を落とす。

 

「まず、この誓約はこの佐世保鎮守府に属する艦娘に直接・間接・精神的に何らかのダメージを与えた場合に執行される。」

 

艦娘達はざわめくが気にせずに続ける。

 

「なお、この誓約は『お互いの合意がない場合』にのみになる。例えばだが…誰かと恋に落ちて恋仲になれば例外になる。」

 

一応この誓約は私の正体を知っているメンバーで話し合って決めた事なのだ。

 

「最後にもしものために妖精さんに頼んで業者の方々を含めた全員にこの小型レコーダーを配布する。因みにちょっとやそっとの事では壊れないぞ。これは停止は出来ないし、データは妖精さんが管理してくれるから流出等は心配はいらない。」

 

皆に沢山の妖精さん達がちょこちょこと歩き回り一人一人にレコーダーを取り付けて行く。

 

「ああ、忘れてたレコーダーがない場合は妖精さんや私が信頼する艦娘達との話し合いで状況判断するが…不利になることは免れないから気を付けてくれ。」

 

私が話終わると皆沈黙している。

 

「だが安心してくれ。業者の方々は私や代表の艦娘達の面接して信頼に足る人物と判断した上で迎え入れてるから。さて、質問はあるか?」

 

「私から一つ宜しいですか?」

 

凛とした声が食堂に響き、艦娘達の中からスッと手が上がる。

 

「大鳳。構わない。言ってくれ。」

 

「では、失礼します。先程、司令官の『信頼に足る者』と仰いましたが具体的な人物をお願いできますか?」

 

大鳳の少しつり気味の切れ目が私を射ぬく。

 

「なるほど…全員は答えられないが一人代表を教えよう。」

 

私達の中でまとめ役を担ってくれている長門に目を向ける。

すると意味が伝わったのか頷いてから立ち上がる。

 

「私がその一人だ。今回の…そうだな……陪審員とでも呼ぼうか。とりあえずその陪審員が誰か分かれば良からぬ事を考える輩出てこないとも言えないからな。だから極秘にさせてもらう。」

 

「それもそうですね。わかりました。」

 

長門はやはり頼りになる。

厳しくも優しいし、全てを話さなくても理解し助けてくれるのは皆を纏めたりしてるからだろう。

そんな長門は納得した大鳳が座るのを見届けてから自分も座る。

 

「ありがとう。長門。さて、他に質問はないか?」

 

他に手が上がることもない。

 

「では、次の議題なんだが…これは次の資料を見たら分かると思うが仮設寮の部屋割りだ。事前に申請してもらったメンバーでどの寮なのかを書かれてるだけだからこれを元に行動してくれたらいい。では、解散。」

 

皆はそれぞれ思い思いに移動を始める。

そして、先程私を助けてくれた長門が此方に近付いてくる。

 

「提督。今日から一週間は私が班長を務める班の部屋で寝てもらうが構わないか?」

 

「もちろんだ。迷惑をかける。」

 

「なに…構わんさ。」

 

「すまない。感謝する。」

 

長門は格好のいい笑みで任せろと言わんばかりに胸を張る。

何処とは言わないが揺れる。

おっきぃなぁ…。

 

「む?どうした。提督。」

 

「いや、何でもない。」

 

「そうか。では、執務が終わる位に迎えに行く。」

 

「分かった。」

 

短い受け答えをして私達は別れた。

 

――――――――――

現在の時刻はヒトナナサンマルだ。

工事関係の書類が多く終業時刻を少し越えてしまった。

因みに長門は来ていない。

 

「ふぅ…やっと終わったー。」

 

両手を上げて伸びをしていると仮設寮よりかなり狭いプレハブで作られた仮設の執務室の扉がノックされる。

 

「入っていいぞ。」

 

「失礼する。」

 

入って来たのは長門だった。

タイミング良すぎるような…って、もしかして。

 

「一つ聞いてもいいか?」

 

「なんだ?後、皆は仮設寮にいるし誰か来れば私が分かるから普通で構わない。」

 

「そっか。えっと…もしかして此処の前でずっと待ってた?」

 

「無論だ。終業時刻はヒトナナマルマルだからな着いたが提督は忙しそうだったからな。待たせてもらった。」

 

私の頭の中でこのプレハブ小屋の前で腕を組んで堂々と立つ長門を思い浮かんで申し訳なくなる。

 

「ごめんなさい…。」

 

「いや、構わんさ。」

 

「ありがとう。じゃあ、着替えちゃうからちょっと待ってね?」

 

「出ていようか?」

 

心なしか顔が赤い長門だが同性なのだから気にしなくていいのに。

 

「ん?長門が嫌じゃなかったら居てもいいよ?」

 

「そ、そうか。」

 

お風呂は寝る前派の私は女とバレない程度にラフな格好に着替え始める。

 

「ん、しょっと…じゃあ、案内してもらおうかな。」

 

「………ハッ!?あ、あぁ…行こうか。」

 

珍しくボーッとしていた長門は意識を取り戻したのか返事をする。

それから先に夕御飯を済ましてから寮に向かった。

 

「ここだ。さぁ、入ってくれ。」

 

「うん。」

 

中に入ると軽巡と駆逐艦を主としたメンバーが此方を見る。

中にいたのは以下の9名だ。

 

軽巡

球磨

多摩

五十鈴

 

駆逐艦

雪風

夕雲

清霜

初霜

朝霜

 

軽巡の三人は警戒し、駆逐艦は怯えている。

正直言うと心苦しいがこれも男性に慣れてもらうための訓練の意味も有るため心を鬼にする。

 

「今日から一週間よろしく頼む。」

 

やはり、寝床を共にすることもあり皆は返事もしない。

 

「そう警戒するな。何かある前に私が押さえるから心配はいらない。」

 

長門がそう口にする時の表情はどこか苦しそうで申し訳なくなる。

 

「提督にはこの一週間は私と行動を共にしてもらう。構わないか?」

 

「もちろん。」

 

私が返事をしてもう消灯時刻が近くなって来ている事に気付く。

 

「じゃあ、私は風呂に入ってくる。」

 

「では、私も行こう。」

 

「え?」

 

「なに、私も入渠がまだだからな。」

 

皆は最初は驚いていたが長門がそう言うと意味を理解したのか何も言わなかった。

そして、私と長門は寮を出る。

因みに入渠施設の隣に私のお風呂が作られている。

 

「提督。」

 

「ん?どうしたの?」

 

「今日は出撃も無かったから身を清めるだけだからそっちの風呂で一緒に入って構わないか?」

 

「へ?……い、いいけど…長門は嫌じゃないの?」

 

「私から提案したんだ。嫌なわけがないだろう?」

 

「そ、それもそうだけど…。」

 

急な長門からの提案に戸惑う私だが。

長門はなぜかこれ程にないくらいに真剣な眼差しをしている。

因みに顔は赤い。

どうしたのだろうか…?

 

「じゃあ…一緒に入る?」

 

「ああ。無理を言ってすまない。」

 

「ううん。大丈夫だよ?」

 

了承すると長門は小さくガッツポーズをしている。

……なんで?

まあ、いっか。

 

「あのお風呂は薄暗くて少し怖いし…。」

 

「なんだと?」

 

「あれ?聞こえてた?」

 

「ああ。薄暗いとはなぜだ?」

 

少し怒ったような険しい表情の長門。

私は少し戸惑いながらも理由を答える。

 

「えっと…元々使われて無かった風呂場を自分で掃除したの。湯は沸かせるんだけど小さな電球一つしかないけど入れるから気にしてないよ。」

 

「なぜそんな風呂を利用する必要があるんだ?建てればようだろう。」

 

「そんな無駄遣いはする気はないかな?勿体無いし。」

 

「……はぁ…変わっているな。」

 

「あはは…よく言われるかな。」

 

ため息を吐いた長門は困ったような表情をしている。

私は苦笑いで誤魔化すしか出来ない。

 

「もういい。ほら、行くぞ。」

 

「うん。行こっか。」

 

長門は手を差し伸べてくれて私は嬉しくてその手を握り返しながら風呂場に向かった。

 

―続く。




読んでいただきありがとうございました。

ながもん回ですよ!
さてさて…ついに本性が暴かれているながもんですね。
そして、皆さんお気付きかもしれませんが………ふっふっふっ…次回は楽しみにしていてくださいね♪

感想などをいただけると嬉しいです♪

では、次回もお楽しみに!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。