ひじりです!!
ついに話数が二桁に乗りましたー♪
何とか続けられて嬉しい限りです!!
では、どうぞ!
「敵艦載機来ます!数およそ100!」
「空母、軽空母を優先で出撃!迎え撃て!」
通信器から大淀さんの声が聞こえて直ぐに指示を飛ばす。
緊急事態だが流石に女の格好では出れない私は急いで支度をしている。
支度は直ぐに終わり指令室に走る途中で赤城さんを始めとする空母達が次々に抜錨していきすぐその後に軽巡洋艦と駆逐艦も次々に出ていく。
そして指令室に着いた私は直ぐに状況を確認する。
「状況は?」
「現在交戦中です。敵艦載機は赤城、加賀、鳳翔、千歳により殲滅。制空権は此方が有利です。」
「そうか。護衛艦は?」
「軽巡洋艦から天龍、龍田、駆逐艦から電、響、暁、吹雪の六名が出撃しました。」
「わかった。出撃した全艦に通達!迂闊に手を出すな!戦艦、重巡洋艦の殲滅部隊が到達まで牽制と索敵を優先!」
「了解!」
戦況は此方が優勢で良かった。
内心ホッと胸を撫で下ろした私は指示を飛ばした後に一息つくと提督用の椅子に腰掛ける。
鎮守府にもこれといった被害もない。
精々撃ちこぼした敵機の機銃により弾丸が建物などに着弾したくらいで怪我人もいない。
それも直ぐに鎮守府に待機している艦娘により撃墜された。
「鳳翔から通信!繋ぎます!」
「頼む。」
通信は直ぐに繋がり、海を切る様に進む水音と風の音が通信器から流れる。
「鳳翔。状況を報告せよ。」
「…………。」
「鳳翔?」
私が声をかけるも鳳翔からは息を呑む音がなるのみでなにも言わない。
不思議に思い再度声をかける。
「司令官…私には………攻撃できません…。」
「どうした?なぜなんだ?」
「っ……すみません。」
謝罪の言葉が響いて後に通信が途絶える。
珍しく動揺していた鳳翔だが『攻撃が出来ない』と言うことは損傷をしている訳ではない。
しかし…。
「………何があったんだ。」
私は推測しようと頭をフル回転させる。
姫級だったのか?
いや、それなら鳳翔は率先して戦うだろう。
あの人は他の人が傷付くのが嫌いな人だから自ら殿を務めて皆を逃がす。
なら、どうして?
「深海棲艦!機動部隊に向かって移動開始!」
「ちっ…護衛部隊と機動部隊をスイッチ(入れ替え)!砲撃で足止めだ!」
「了解!」
今まで動かずに艦載機のみで攻撃していた深海棲艦は急に此方に向かって進みだし、私は思考していた頭を中断して指示をする。
「護衛部隊砲撃開始!……ダメです!深海棲艦止まりません!」
「クソッ!殲滅部隊はまだか!?」
軽巡洋艦と駆逐艦と言えど全艦に一斉射を受けても止まらないとなると相手は戦艦級かそれ以上の鬼や姫級かもしれない。
嫌な汗が背筋を流れる。
「殲滅部隊…合流まで10分後です!」
「出撃中の全艦に通達!砲撃と艦載機による牽制をしつつ後退!死ぬなよ!」
「了解!………え!?い、電から通信!」
「繋げ!」
砲雷撃戦の途中で通信が入るのは緊急事態の時以外はあり得ない。
直ぐに繋いでもらう。
「電!どうした!?」
「そんな…なんで………。」
「電!?」
電は鳳翔以上に動揺…いや、錯乱と言ってもいいだろう。
うわ言の様に言葉が繰り返されるだけだ。
「護衛部隊、深海棲艦と完全に接触!!」
「電!!」
「…………雷ちゃん。」
なんだと?
今、電はなんと言った?
目の前が真っ暗になっていく。
そんなわけない…彼女………雷は…私のせいで…
轟沈したのだから。
「―ん――ぃ官!―――司令官!!」
「はっ!?」
大淀の叫ぶ様な声に意識を取り戻す。
「現在深海棲艦は停止してます!指示をお願いします!!」
「て、撤退!撤退しろ!」
「了解!」
撤退指示に従い機動部隊・護衛部隊共に撤退を開始すると深海棲艦も徐々に後退を始めて戦闘は終了する。
後で追い付いた殲滅部隊が捜索するも既に離脱したのかなにも居なかった。
――――――――――
あれから何名か小破以下の損傷があり、直ぐに入渠させた。
そして、鳳翔と電を執務室に呼び寄せた。
理由はもちろん深海棲艦の事だ。
「二人とも…私が聞きたいことはわかってるよね?」
「「………。」」
執務室の外に私の事を知っており、尚且つ真面目な長門を門番としてお願いしているため安心して口調を戻して問いかける。
でも、二人はなにも言わずに俯いたままなにも喋らない。
「ねぇ…お願い…何を見たのか教えて…。」
「………。」
「電ちゃん…。」
電はやはり微動だにしない。
お母さんは言えるが雷と姉妹である電に遠慮してか口ごもる。
「一応他の人からの報告で深海棲艦は容姿はレ級だとは聞いてるの。」
「「………。」」
「でも、レ級にしては艦載機の数もいくら軽巡洋艦と駆逐艦と言ってもそれを食らって小破にすらならない装甲も規格外。」
そう。
おかしいのだ。
確かにレ級は戦艦だが砲撃・雷装・艦載機の全てが使えるチートの様な深海棲艦だ。
それに加えてスピードもあるが本来は雷装と艦載機は重雷装巡洋艦と正規空母に言わば本職よりは少し劣っているのだが今回のは違った正規空母2艦と軽空母2艦と互角に戦う艦載機を放って来たのだ。
「始めにあれだけの艦載機を放っておきながら最後は何もせずに撤退していった。おかしい。」
「電は…見たのです。」
何かに堪えるように両手の拳を握り締めてポツリと言葉を漏らす。
「あれは雷ちゃんだったのです。見間違う訳がないのです。」
「私も偵察機で彼女を見ましたが…あれは雷ちゃんだと思います。」
「………。」
二人がやっと言ってくれるが今度は私が黙ってしまう。
だって彼女は私の目の前で沈んだのだ。
「雷は沈んだよ?私の目の前で私を庇って!!」
私は段々頭の中がチリチリと焼けるような感覚がして最後には叫ぶようにいい放つ。
「はっ…はっ………ぅあ…。」
その感覚が私の頭の中を埋め尽くすと同時に目の前が歪みプツリと視界が暗転した。
――――――――――
3年前 樹18歳
「長宗我部・ティルピッツ・樹です!よろしくお願いします!!」
「電なのです。此方こそよろしくお願いします。」
私はパパやママの様に提督になるために必死に勉強や訓練をこなして海軍学校を首席で卒業した。
そして提督になることが出来た。
「では、近海の哨戒に出撃してみるのです。」
「は、はい。」
初期艦を電に選んだのは元々引っ込み思案であがり症の私でも大丈夫な様にと大元師の源のおじ様が配慮してくれたのだ。
彼女は練度こそ低いが源のおじ様が秘密裏に特別な訓練をこなしており、私をリードしてくれる。
「司令官さんは電に敬語でなくていいのです。」
「は、は…うん!」
彼女がクスクスと笑い顔が熱くなる。
そんな私を見て彼女は優しく頭を撫でてくれた。
本来なら上官に向かってするのはおかしいが私はその優しさが嬉しかった。
「では、いってくるのです。」
「うん。気を付けてね?」
「はいなのです♪」
そうして電は出撃をしてはぐれていた駆逐イ級撃破。
そのまま帰投した。
そうして報告のために執務室に入って来た電に連れられて彼女と出会う。
「雷よ!かみなりじゃないわ!そこのとこもよろしく頼むわねっ!」
雷は初期艦を除いて一番始めに私の仲間になった艦だった。
「雷ちゃんは私の姉妹艦でお姉ちゃんになるのです。」
「そうよ。私になんでも頼ってね!」
「う、うん。よろしく。」
雷の元気のよさに戸惑ってしまう私に雷は近付いて握手をしてくれた。
「では、本日の大本営からの任務を達成したので次は建造をしてみるのです。」
「そうね!じゃあ、皆でいきましょ♪」
「ふぇ?」
「ほら!行くわよ!」
「ふふっ…司令官さん。行くのです。」
「え!?ちょ…きゃぁ!?」
二人に手を引かれて転びそうになりながらも何とか踏みとどまり、そのまま工廠に向かう。
「では、早速建造するのです。」
「まだ着任したばっかりで戦艦は資材的に無理ね。」
「電は空母が良いと思うのです。」
「あ、それはいいわね♪」
「ぇ…あの…ふぇ?」
二人は私の事をそっちのけで盛り上がる。
確かに空母が居れば戦闘を有利には出来るけど。
「てな訳で司令官。空母レシピでどうかしら?」
「なのです♪」
「え、あ…うん。」
二人が私に詰め寄るように提案してくるものだから私はつい頷いてしまった。
「よし!じゃあ、行くわよー!」
「はいなのです!でも、資材ギリギリで二、三日は極貧生活になるかもなのです。」
「極貧!?ちょ、待っ!」
ガシャン!
電の不吉な言葉に制止しようかと思うが時既に遅し、二人仲良く建造開始レバーを下ろして建造開始されてしまった。
因みに残った資材は【燃料20】【弾薬200】【鋼材10】【ボーキサイト0】だった。
私はその場で崩れてしまった。
「電。時間は?」
「2時間丁度なのです。」
「2時間ね?えーと……………わかったわ!鳳翔型ね!…って司令官!ちゃんと聞いてるー?」
真っ白に燃え尽きている私の肩を揺さぶる雷だが私は途方に暮れていた。
「なんで司令官元気がないのかしら?」
「はわわ…わからないのです。」
このあとバーナーを(無断で)使い高速建造をし、お母さん…鳳翔と出会う。
初期艦・始めて仲間になった艦・始めて建造した艦の3人とは特別な絆が生まれた。
――――――――――
そして私を含めて4人が出会ってから一年がたった日に私は3人にプレゼントをした。
「私達が出会って一年がたったよね。」
「そうね。」
「なのです♪」
「もうそんなにたつんですね。」
「だからこれは皆にプレゼント♪」
それぞれ懐かしむ様に微笑む3人に小箱を渡す。
「はわわ…そんなの悪いのです。」
「そうよ!」
「あらあら。」
3人は戸惑い小箱を返そうとする。
「そう言うと思ってた…でも、受け取って欲しいな…。」
「…司令官さん。」
「司令官…で、でも!」
「…2人とも。頂きましょう。司令官さんもそれを望んでるし…本音は嬉しいですよね?」
鳳翔が2人に声をかける。
二人は小箱を見つめる。
「司令官さん。開けてもいいですか?」
「もちろん。」
「では…。」
鳳翔がラッピングを解いて小箱を開ける。
それをみて2人も同じ様に開ける。
「……凄い綺麗なのです。」
「そうね…それにかわいいわ。」
「そうですね♪」
3人渡したのは私が前髪に着けてるのと同じ髪留めだった。
それは家で見つけたコンコルドタイプの髪留めで小さな白い花の装飾が施されているママのお気に入りだ。
ママの形見としてずっと着けいたが妖精さんにお願いして3人の分と何時か出会えると信じているお姉ちゃんの分を合わせて4つ作って貰ったのだ。
「司令官さん。」
「なに?」
「司令官さんが嫌でなければ…着けて貰えませんか?」
鳳翔が淡く頬を赤くしながらお願いする。
「いいよ。ぜひ、着けさせて♪」
「あ、お母さんずるーい!私も!!」
「い、電も司令官さんに着けてもらいたいのです!」
2人は慌ててお願いをしてくる。
私の答えは決まってる。
「いいよ♪でも、順番ね?」
「ありがと!司令官♪」
「ありがとうなのです♪」
そして、鳳翔が持つ小箱から髪留めを取って額に当たらないように気を付けながら前髪を留める。
「ありがとうございます…似合いますか?」
「うん。凄く似合うよ。」
「ふふっ♪照れてしまいますね…。」
「喜んで貰えて嬉しい…お…ぉかぁ…さん。」
前から鳳翔の事をお母さんと呼びたかった私は覚悟を決めて言う。
鳳翔は初めは驚いた顔をしたが直ぐに優しく微笑んで暮れた。
「はい♪ありがとうございます…樹ちゃん。」
この後2人から抗議の嵐が巻き起こるが4人の時だけだけど【いーちゃん】と愛称で呼ぶと言う事で何とか収まってくれた。
こんな幸せはずっと続くと思ってた。
お姉ちゃんとも再会して深海棲艦と和解できて争いがない幸せが訪れると思ってた。
私が…
私が…あんなこと…
言わなければ…。
「ごめんなさい…。」
―続く。
読んでいただきありがとうございます♪
あるぇー?
ほのぼのを書きたかったのにどうしてこうなったー?
まあ、今はまだまだ自分の考えてるプロット的には序盤ですから仕方ないの…かな?
とりあえず今は過去の話が多くなっておりますが、色々補足などを含めておりますのでご了承いただけると嬉しいです。
さてさて、今回はダメ提督製造機である雷ちゃんの登場です。
感の鋭い方などは気付いていたかもしれませんね。
今回の話をぶっこんだのは理由はありますがそれは次回にまた書きますので良かったら読んで下さい♪
感想などあると嬉しいです!!
では、次回またお会いしましょー♪