白い司令塔(仮)   作:0ひじり0

1 / 32
はじめまして0ひじり0です。
既に2つ書いてるのに書き始めてしまいました。
やっちまったZE☆
…ごめんなさい。


プロローグ

ここ横須賀鎮守府の廊下を一人の女性が歩く。

見た目は日本人とは思えない顔立ちに腰まで伸びる白髪のロングヘアー。真っ赤な眼は鋭く前を見据えている。

彼女の服装は白い軍服を身に纏い歩く姿は堂々としており、彼女から醸し出される雰囲気は他の男性提督と並んでも何ら遜色ない。

近年、再び男尊女卑が主に置かれる様になってしまった現代の日本では異様と言える姿だった。

彼女は一際豪華な扉の前に止まるとノックをして扉を声をかける。

 

「長宗我部(ちょうそかべ)・ティルピッツ・樹(いつき)です。」

 

彼女は呉鎮守府に所属する徳島牟岐海軍基地と言う小規模の海軍基地の司令官であり、規模は小さくもその戦果は目を見張るものがある。

そして彼女の両親は父が戦国時代に長宗我部水軍や長宗我部元親で有名な長宗我部家。母は第一次世界大戦ドイツの海軍大臣だったアルフレート・フォン・ティルピッツを輩出したティルピッツ家のクォーターだ。

 

「入りなさい。」

 

「はっ。失礼します。」

 

中から聞こえる厳格な声が入室を許可されたのを確認してから扉を開ける。

中は様々な勲章や歴代の大元帥の写真等が飾ってあり扉の正面に大きな机が置かれている。

男はそこに座っていた。

男の名は源 慎一郎(みなもと しんいちろう)。

彼の風貌は190cmを超える身長に広い肩幅、熊を連想させる太い腕に蓄えられた顎髭は彼のトレードマークと自称している。

 

「よく来たな少将。まあ、楽にしなさい。」

 

「はっ。」

 

敬礼をした後に後ろで手を組み足を肩幅に開いて休めの姿勢をする。

 

「ふむ。こうして会うのは10年ぶりか。」

 

「失礼ながら11年と記憶しております。」

 

「そうか…儂ももう歳かも知れん。引退も近いな。」

 

「未だに轟沈した艦娘もおらず、演習の成果も全提督の中でトップの大元帥はまだまだ現役かと思いますが。」

 

彼女の答えに源は顎髭をいじりながら立ち上がり、彼女に歩み寄る。

 

「世辞でも嬉しいぞ…樹。」

 

「本当のことですよ。源のおじ様。」

 

源は彼女の前に立ち肩に手を置いてニカッと少年の様に笑う。

彼女も先程の鋭い目付きは鳴りを潜め柔らかく微笑みながら源を見上げる。

 

「見た目はあれだが大人になったな。儂はお前を姪の様に思ってるからな。嬉しいぞ。」

 

「見た目は余計ですがありがとうございます。私もそうですよ。おじ様は父の親類がいない私には日本人の叔父の様に思っております。」

 

その言葉を聞いて源は豪快に笑う。

彼女と源は彼の父である轟児(ごうじ)はもともと同僚で幼馴染み…無二の親友だったのだ。

 

彼女の父は佐世保鎮守府の提督だったが11年前に深海悽艦に鎮守府を奇襲されて戦死しており母は運悪くその戦闘に巻き込まれ死亡。

母の母国であるドイツにある実家に行くが12歳の時に単身で日本に帰国。

提督になるため海軍学校に入学し、今に至る。

 

「さて、この度樹を呼んだのは異動の命令があったのだ。場所は佐世保鎮守府だ。」

 

「小さな海軍基地の私が、ですか?」

 

思い出話もそこそこに源は本題を切り出す。

 

「謙遜はいい。お前の戦果は聞いてる。」

 

「恐縮です。それにしてもいきなりですね。」

 

「ふむ。そこに配属されていた提督が罪を犯してな。逮捕したのだ。」

 

「なるほど。最近問題になっているブラックとか言われているものですか?」

 

「ああ、最低のクズだ。」

 

彼女の発言に肯定し、源は悔しそうに歯を食い縛り悪態をつく。

 

「理解しました。」

 

「有難い。日時や詳細はこの命令書に書いている。」

 

「はっ。」

 

「それと、お前の海軍基地から二名までなら艦娘を連れて行っても良いと許可も取ってある。」

 

「感謝します。」

 

「うむ。では、頼んだぞ。」

 

「はっ!この樹、両親から引き継がれたこの姓に誓ってご期待に報いてみせます!失礼します!」

 

彼女は最敬礼をしてから部屋を後にする。

源はその背中を見送ってから窓際まで歩き空を眺める。

 

「…にしても、あの樹ちゃんが…か。フッ…立派になっちまって。」

 

源はまるで娘の成長を見守る父親の様に優しく微笑みを浮かべた。

 

 




読んでいただきありがとうございます。

こっちの小説はゆっくり書いいく予定なので気長に待っていただけると有難いです。

――――――――――


人物紹介

長宗我部・ティルピッツ・樹(21)
日本人の父とドイツ人の母のクォーターで白髪のロングヘアーに赤色の瞳の女性。
父は長宗我部の血筋、母はティルピッツ家の血筋を引いている海軍のサラブレッド。
10歳の時に両親がなくなっており、彼女だけが生き残った。
父方の家は既に深海悽艦に滅ぼされていて母方の実家のあるドイツに渡るも12歳の時に中高一貫制の学校に入学するために帰国する。
学校での成績は文武両方とも主席で卒業している。


源 慎一郎(65)
現大元帥で横須賀鎮守府の提督で現時点で世界最強と言われる。
樹の父の轟児とは同僚で幼馴染みであり兄弟の様に育った。
性格は豪快にかつ、大胆不敵で情に厚い男である。
艦娘が轟沈したことがないのと自前の顎髭をが自慢。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。