大和が師範〜キラーマウンテンと呼ばれた陰陽師〜   作:疾風迅雷の如く

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第40指導 章末

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某所にて、一人の少女が何かに追われるように逃げていた。

「くそ、大和勇姿の細胞ですら、これほどの傷はキツイか」

角田がそう愚痴り、歩くのをやめて脇を抑える。

「(せめて第四世代を一体連れて来れば良かったのかもしれないが、余計に条件が厳しくなってしまう)」

その瞬間、角田は目の前が真っ暗になり、正真正銘角田として生きてきた人生やこの少女の身体を乗っ取って生きてきた人生が頭の中を巡る。

「これは走馬灯、か?」

口を動かし、角田が状況を確認すると自分を追っている男達の声が聞こえた。

「……もう、終わりか。人間、死ぬというのはこういうことを言うんだろうか?」

角田はその状況に絶望し、能力を作動させ逃亡する。しかし、角田が移動先の景色を拝めることはなかった。

 

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三日後、陰陽師協会本部会議室にて陰陽師協会の幹部会が開かれていた。ただしその中に陰陽師協会会長の九条はいなかった。

「九条会長はいつも通り不在だ。故に筆頭幹部たる私が会長に代わって話を進める。構わないな?」

九条がいない。それは即ち九条の代わりに会長代行の雄大が話を進めることでこの幹部会が纏まることになる

「無論だ」

「会長がいない以上、大和殿がやるのが筋ですしな」

会議室が騒然とし、勝手に話し始める幹部達。雄大達はそれを見て呆れていた。

「それで会長代行。今日の会議のテーマは?」

そんな最中透き通る声で雄大に質問したのは裕二だ。裕二は再び性を九条にしてこの場にいない九条に代わって九条家の人間として来ていたのだ。

「ああ。先日、私の弟である大和雄山が過激な妖怪の組織、妖魔連合会だけでなく日本セル研究所なる妖怪達を生み出す研究所を見つけ、雄山指揮のもとそれを潰した」

「日本セル研究所というとあのノーベル賞を受賞した角田の所属している研究所か?」

「そのようなものだったな。しかし、会長代行や裕二殿の弟がそこまでやれるとは想定外ですな」

またもや騒然とし、雄大はそれを無視して会議を進めることにした。

「そこでだ。九条会長が倒れている以上、会長代行である私の権限で雄山やその弟子達を西智学園都市部の陰陽師に任命する。異論はないな?」

それを聞いた一人の幹部が挙手する。

 

「何かな? 堂島殿」

「貴殿の弟君、大和雄山が優秀な陰陽師だとわかりました。しかし、その弟子達と言うのはどのような方々で?」

「将来性で言えば伝説の暴力団殺し(マフィア・キラー)、キラーマウンテンにも迫る素質の持ち主だ。二人ともな」

「では会長代行、その弟子達は見たことがあるのですか?」

「ああ。一人は大和宗家に乗り込んできた50もの妖怪達を単体で殲滅し、もう一人は日本セル研究所の妖怪達を雄山と共に殲滅した」

「それならば、私の所の時光も陰陽師にして頂けますか?」

「無理だ」

「理由をお聞きしても?」

「九条会長が入院する前に時光を陰陽師に任命しないよう九条会長から言われている」

「会長代行。何故九条会長は時光をお認めにならないのですか? 時光は陰陽師に入れてもすぐに活躍することが確信出来るほどの逸材です!」

「その理由は私ではなく見舞いの品でも持って九条会長にお聞きになった方が早い」

「会長代行!」

「さて、他に異論がなければ次の話に移る」

時光の話しはもう終わりだ、と言わんばかりに話しをぶった切る。一幹部たる堂島はその雰囲気に逆らえず座る。

 

「あ、会長代行。報告良いでしょうか?」

そんな最中、裕二が挙手し視線を合わせた。

「何だ?」

「日本セル研究所に関する報告です。日本セル研究所は会長代行のもう一人の弟君である大和勇姿の遺伝子を使い、クローンやホムンクルスを作成し、そのクローン達が各地で大和勇姿と名乗り大和一族の乗っ取りを企んでいたようです」

「何故会長代行の弟君の遺伝子を?」

「会長代行の弟君、大和勇姿に肉弾戦で敵うものはいない上に、術や能力を無効化されてしまう。我々陰陽師とは相性が悪い陰陽師殺しの兵器を作ろうとしていたのでしょう」

「確かに妖怪を作るよりも効率的だ。だが会長代行。何故大和宗家に妖怪達が押し込んで来たのですか? 日本セル研究所は既に勇姿のクローンを作り上げていたのに関わらず、それを使わなかったのには理由があるのではないのでしょうか?」

その幹部の言う事には一理あり、雄大は間を空け、答えた。

「それもそうだな。この件は大和一族が調査する」

その後も会議室で延々と、会議が続く。




二週間後更新する予定でしたが、諸事情により更新はしばらくお休みさせて頂きます。申し訳ありません

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