俺たちの上にCongratulationの文字が浮かび上がった。
『う、うぉぉぉぉぉおお!!』
その文字を見ると皆、雄叫びをあげる。
まぁ、あれだけの強さを誇るボスにHPはほぼ赤から黄色まで削られはしたが、死者を1人も出さずに勝てたのだ。これだけの喜びはあるだろう。
だが、俺にはまだやるべきことがある。
俺はすぐにヒースクリフを見る。
やっぱりか…あれだけのボス相手にタンクとして前で攻撃を受け続けてたにも関わらずHPが緑から減っていない…
「ハチ君…」
と、俺の近くにギルドメンバーがよってくる。
「ああ…黒だな。作戦を始めるぞ。」
そう言って俺はサクヤを抜き、ヒースクリフに攻撃を仕掛ける。
ガキィィ!!
その音に他の攻略組のメンバーは驚く
「何をしているハチ!!」
と、リンドは叫ぶ。
「すまんなリンド、だが俺には疑問があった。ヒースクリフはボス戦の際前線でタンクとして働いている。しかし毎回HPが緑以下になったところを見たことがない。いくらユニークスキルの神聖剣が防御に特化してるとはいえ、これだけの防御力はゲームバランスを壊しかねない…
だから、何かしらの仕掛けがあると思っていた。
そして今、確信した。
なぁ、ヒースクリフ…いや、茅場晶彦!!」
「…ふぅ、そうか…気づいてしまったか。」
そのヒースクリフの一言に俺のギルドメンバー以外の全員が驚く
「なっ…ヒースクリフが茅場晶彦だと!?」
「団長…嘘ですよね!?」
と、各々が反応する。
「100層の手前で正体をバラして100層のボスとして出てこようと思ったのだがね…
ここでお別れだ。と、言いたいところだが、私の正体を見破ったという事で、ハチ君、君が私と決闘して、勝ったらこのゲームを終わらせてもいい。」
ふっ…やはりそう来るよな、茅場晶彦なら。
「その言葉を待っていたぜ、茅場晶彦!」
「では、やろうかハチ君。」
そう言うと茅場晶彦は画面を操作して俺以外に麻痺属性を付与する。
「んじゃ、決着つけるか…行ってくる。」
俺はギルメンにそう言って茅場晶彦に近づく。
「では、始めようか。」
「ああ。」
デュエルスタート!
その文字が浮かぶと同時に俺は間合いを詰める。
「おらぁ!」
そして切り上げの攻撃。
だが、予想通り防がれ、カウンターを仕掛けてくる。俺はそれを避け後退する。
「しゃあないか…トレース・オン」
俺は師匠の愛用武器、干将莫耶をトレースする。
「ふむ、やはりそんなユニークスキルを作った覚えはないのだがね…まぁいい」
「ま、俺は最初からバグだらけだったからな。これもバグかなんかだろうよ!」
ガキィ!
やっぱ硬ぇし反応速度が異常だな…
それから20分程の攻防が続く。
くっそ…これじゃジリ貧だ…
「トレース・オン!」
言うと同時に気づく…これで6回目のユニークスキルの使用だということに…
「しまっ…ぐぅ!?」
頭に痛みが走り俺はその場に崩れる。
それを見た茅場晶彦が間合いを詰めてくる。
ああ、これはやったな…すまん皆、死んだわ。
「サヨナラだハチ君。」
俺は覚悟を決めて目を瞑る。
「うぉぉぉぉぉおお!」
「は?」
「何っ!?」
俺が目を開けるとそこには俺の代わりに切られているディアベルがいた。
「ディアベル…お前、なぜ!?」
「ハチ君…君には色々と助けられたからね…恩返しさ。それに、ここで君がやられてしまったら、このゲームをクリアできる人がいなくなってしまうだろう…これは俺の1種の罪滅ぼしと考えてくれよ。みんなをこのゲームから解放してやってくれ…」
そう言ってディアベルは消えていった…
「ああ、わかったよディアベル…」
「邪魔が入ったが、今度こそ終わりだ!」
ガキィィ!!
「させないよ!」
「ぬっ!?なぜ動けるキリト君…」
「これが私のユニークスキル。『時限刀』あらゆる状態異常を無効化できる。また、スキルによっては攻撃すらも無効化できてしまうユニークスキル。」
「なるほど…それを君が持っていたとは。」
「ふぅ、ありがとなキリト。もう大丈夫だ。行くぞ茅場晶彦!!」
俺はサクヤを構える。
「暁流 居合 奥義 拾の型 『雷天一閃』」
鞘からサクヤを抜きコンマ0.1秒。茅場晶彦とのすれ違いざまに5回の斬撃を与える。
この技は極限の集中状態じゃないと使えない暁流最強の居合技。
「…見事だハチ君。君の勝ちだ。流石は慶真さんと咲姫さんの息子だ。」
「えっ…それってどういう…」
それを言う前に消えてしまった…
この日、SAOのゲーム内にゲームクリアのお知らせが鳴り響いたのであった…
次回、SAO編、最終話になります!
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