イコセニ   作:中原 千

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確認した時は思わず変な声を出してしまいました。

読者様には感謝が絶えません。


第8話

「やだな~坊っちゃん。私ッスよ!」

 

 

いや、誰だよ!

と、言いたい所だが話す時の圧に覚えがある。

非常に考えたくない可能性だが、この食いぎみな感じと暑苦しい感じは……

 

 

「……竜か?」

 

 

「そうッスよ坊っちゃん!!龍子ッスよ!!

もしかして会わない内に私が成長し過ぎてて分かんなかったッスか!!!」

 

 

 

(´・ω・`)

 

 

当たっちまってたよ……

 

最悪だよ、何だよこれ、もしかしてあのムサい連中全員こうなってんのか?!

 

確かに見た目は華やかになったけど嫌だよ。無理だよ。

僕は、前のムサいあいつらを知ってるから、どうしてもそっちが浮かんじゃうよ。

フラットな気持ちで見れねーよ。

 

……つうか、胸デケーよ。何カップだよ。

 

本来は物凄く眼福なんだろーけど前がチラついて素直に楽しめねーよ。

 

 

ムグググ……

竜にこんなに動揺させられるなんて……

 

 

 

 

 

ハッ!!!

 

この時、僕に天啓が降りてきた。

 

 

この世界はあべこべ世界である。

 

 

男性より女性の方がチンピラになりやすい。

 

 

龍や虎何てチンピラにつけられやすい名前だ。

 

 

チンピラの喋り方何て大体皆一緒だ。

 

 

この人は、竜と似た雰囲気があるだけの只のエロいカラダのネーチャンだ。

 

 

 

 

 

 

 

これだッ!!!!!

 

うむ、我ながら完璧な理論だ。惚れ惚れする。

論文にまとめてNewtonに応募してもいいかもしれない。

 

そうと分かればすることは一つ。

じっくりと観賞させて貰うとしよう。

 

 

「???どうしたッスか坊っちゃん?そんなにジッと見て?何か付いてるッスか?」

 

 

「いやいや何でもないぞ。

それより龍よ、何か僕に用があるんじゃないのか。」

 

 

「あっ!そうだったッス!!!」

 

 

フムフム、アホの子っぽいがなかなか可愛いじゃないか。

僕は、結構好きであるぞよ。

 

 

 

「坊っちゃん!!!今日は朝ごはん作ってくれてありがとうございました!!!メチャクチャ美味かったッス!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ああ、そうか、コイツらもアイツらと同じなんだな。

僕の料理を美味そうに食ってくれて、僕のことを一心に慕ってくれる。

 

龍の癖にすごく綺麗な顔するじゃねえか、満面の笑み浮かべやがって、ブンブン振られる犬尻尾まで幻視されてくる。

 

今日の小野寺さんに並ぶ程キちまったじゃねーか。大変遺憾なことに。

 

 

「なんだ、そんなことか、そんなに美味かったなら期待しろ。

今から晩飯も作ってやっからよ。」

 

 

 

「はいッス!!!」

 

 

「それと……

龍、お前を僕の右腕に任命しよう。

僕のために励めよ。」

 

 

「はいッス!

……って、えぇッーーーーーーー?!」

 

 

 

 

「なんだよ龍、嫌なのか?ショックだな。」

 

 

 

ブンブンブン「そんなことないッスよ!!!謹んでお受けするッス!!!」

 

 

 

「そうか、期待してるぞ。」

 

 

ブンブン首を振った後、早口に捲し立てた龍の肩をポンポン叩きながら返事する。

 

 

忠犬ゲットだぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、帰ったか、白。

ちょいと来てくれるか?」

 

 

「すまない親父。これからも晩御飯作るから後でいい?」

 

 

「おう、そうか。別にいいぞ。」

 

 

親父に呼ばれた。

何の用事だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムシャムシャ ガツガツ バリバリ

 

ムシャムシャ ガツガツ バリバリ

 

ムシャムシャ ガツガツ バリバリ

 

 

 

 

うん。これはアレだな。

コイツらが女だろうと、やっぱり暑苦しさが勝つ。

ナニコレ、運動部の打ち上げ並みに暑苦しいんだけど。

いや、行ったことないけど。

 

しかし、そんなコイツらの姿を見ると、案外安心するものもあるわけで、意外と気に入っていたりする。

 

せっかく手に入れた面白おかしい日々であるが、安らぎも大切だ。

割りと切実に。

 

 

 

 

 

「……それで私は坊っちゃんの右腕になったんスよ!!!」

 

 

「「「「「「「「「「うぉー!!!スッゲー!!!!!」」」」」」」」」」

 

 

 

「流石、龍の姐さんだァ!!!」

 

「羨ましいッ!!!」

 

「アタシも頑張ればチャンスあるかも!!!」

 

 

 

 

 

 

……やっぱコイツらが安らぎとかねぇわ。

世界が変わっても騒々しいどころか姦しさまで合わさって強力になってやがる。

 

高音は響くからまだ前の方がマシだった。

 

 

 

 

 

飯を終えて親父の所へ行ってみると、

 

 

 

「お、来たか。

てめぇを呼んだのは他でもねぇ、これを渡すためだ!!!」

 

 

 

「……ッて、おいおい親父ィ!!!

これって家宝の菊一文字正則じゃねぇか?!

いいのか、おいっ?!」

 

 

「カッカッカ 一人息子の護身のためだ、安いもんよ。

ついでにこっちも貰っとけ、乞食清光のレプリカだ。

刃引きしてあるから普段はこっちがいいだろうよ。」

 

 

「うっひょー!ありがとおッ、親父ィ!!!

大事に使うよ。」

 

 

 

って、これってやっぱりアレだよね……

 

 

 

 

「……やっぱりこれ、今街にいる外国人対策?

白人多かったよね。どこのマフィア?

アメリカ系?イタリア系?それとも、イギリス系?」

 

 

 

 

「何でィ、気づいていやがったか!

イギリス系ギャングの「ビーハイブ」って奴らだ。

気ィつけろよ。」

 

 

「了解したよ。」

 

 

部屋を出ていこうとすると、

 

 

「そうだ、白!

おめぇ、彼女でもできたか?」

 

 

「む、彼女?

気になってる人はいるけど、まだいないよ。」

 

 

「そうか、懸想してるヤツがいやがんのか。」

 

 

 

 

「けど……」

 

 

 

「お?」

 

 

 

「僕は、たった一人と結ばれて満足する程小さいタマじゃないよっ。」

 

僕は、ニコニコと笑いながら答える。

 

 

 

 

 

「ッ?!」

 

 

 

 

あれっ?正直過ぎた?

ヤクザの頭やってるくらいだから許してくれると思ったんだけど、何か親父の様子が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ップハァッ、クハハハハ!!!

そうかい。そうかい。

豪気なことでィ!流ッ石俺の息子だァ!デケェ奴だなァ!!!」

 

 

 

「ムフン。当ッ然!」

 

良かった。親父は怒ってないみたいだ。

ヤクザの頭の癇癪なんて絶対受けたくない。

 

 

「それじゃあ親父、おやすみ。」

 

 

 

「おうッ、白 ゆっくり寝ろよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうかそうか。白は吹っ切れたか……

今日は目出度ェなァ!

高ェの空けるかァ!!!」




最初は竜を意識してセリフを書いていた龍子でしたが、途中から別の何かになってしまいました。

ご意見ご要望 等ありましたら感想欄にお願い致します。

読者様に少しでもご満足頂けるよう精進を続けます。

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