イコセニ   作:中原 千

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今日もギリギリになってしまいました。





第45話

「……この日誌どこに……?」

 

 

「ああ、それ?確か、準備室だったはずだよ。化学準備室の方だよ。生物準備室じゃないからね。人体模型がないほうだからね。間違えないように気を付けてね。」

 

 

「……ありがとう……行ってくる……」

 

 

歩いていく桐崎さんを見送る。

桐崎さんは相変わらずもしだ。

早く何とかしたいけど、どうにも突破口が見つからない。

 

 

「あれ、一条君?最近、桐崎さんと何かあったの?」

 

 

小野寺さんに聞かれる。

まあ、そうだよね。かなり分かりやすく変わったから不審にも思われるよね。

ある程度の事情を察している宮本さんと佐藤さんは微妙な顔をしている。

 

 

「うん、そうだね……あったっちゃあった、かな……?」

 

 

とりあえず濁しておく。

小野寺さんは不思議そうに首を傾げる。

 

 

「……おい、一条白。お嬢を見てないか?」

 

 

あ、ちょうど良い所に鶫さんが来た。

 

 

「桐崎さんなら化学準備室に日誌を置きに行ったよ。」

 

 

「そうか、それはちょうどいい。」

 

 

あれ?てっきり桐崎さんに用事があるんだとおもったけど違うの?

 

 

「実は、皆さんにお願いがあるのです。くれぐれもお嬢には内緒にしていただきたいのですが、お揃いのようですし、少しよろしいですか?」

 

 

鶫さんが桐崎さんに内緒か。ますます珍しい。

 

 

「実は、今日は千棘お嬢様のお誕生日なのです!なので、お嬢様を楽しませて差し上げるべくサプライズパーティー等を検討中でして、ぜひ皆さんをご招待したいのです。」

 

 

えっ!桐崎さん今日誕生日だったの?!全然知らなかった。

 

 

「えーと、じゃあ、プレゼントを用意しなきゃいけないね。でも、大人数で動くとバレちゃう可能性が高いから二人ずつに別れようか。」

 

 

既にプレゼントを用意してある鶫さんを除くと、僕、宮本さん、小野寺さん、佐藤さんの4人なのでちょうどに分けられる。

 

 

「じゃあ、僕が偶然持ってたクジを使うよ。」

 

 

クジ引きの結果は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一度桐崎さんを撒くために、各々帰宅してから待ち合わせとなった。

カフェで待ち合わせをしているんだけど、一人でカフェってなんか緊張してしまう。

今は僕はカフェにいてもおかしくないような立ち位置なんだけど、前世の感覚のせいでなんか自分が場違いなんじゃないかと感じてしまう。

カッコつけて待ち合わせ場所にカフェを指定しなきゃよかった。

 

……早く来てくれ。メンタルがもたない。

 

外の景色を見ていると、待ち合わせの相手の小野寺さんがやって来た。

 

よかったよかった。これでこの気まずい空間から抜け出せる。

 

小野寺さんは走ってきたのか顔に汗が浮かんでいる。

小野寺さんはキョロキョロと見渡して僕を探しているようだったがこっちを向いたので、気付いたのかと思って見ていると、小野寺さんは前髪をいじりだした。

 

……なるほど、ガラスを鏡に使ってたのね。

 

 

暫く眺めていると、不意に小野寺さんと目があった。

どうすればいいか分からなかったので、とりあえず笑顔で手を振ってみると、小野寺さんの顔はみるみる紅潮していく。

 

……なんというか、ドンマイ?

 

 

 

 

 

 

 

「……で……では早速、先棘ちゃんのプレゼントについて相談しようかな……?」

 

 

机に顔を突っ伏して言う小野寺さん。きっと、スルーしてほしいのだろう。

 

 

「大丈夫だよ!ちゃんと前髪キマッてるよ!自信持って!」

 

 

僕は追い打ちをかける。こんな面白い状況、スルーできる訳がないじゃないか!

撃沈する小野寺さんをニヤニヤと眺める。

 

 

その後、一連の流れを見ていたらしい店員さんにも笑われてしまった小野寺さんは一層涙目になっていた。

 

このままじゃダメだと判断して、とりあえず店に行こうと提案する。

 

 

 

 

 

デパートにて、

 

 

 

「……うーん、何がいいんだろう?」

 

 

プレゼント選びは難航している。

前世でプレゼント選びなんてリア充イベントをしたことなんてないし、そもそも前世で言う女子向けと男子向けのどちらを選べばいいんだろうか?

 

 

「ねぇ、女子って何を貰ったら嬉しいの?例えば小野寺さんはどう?」

 

 

少し考えてから言う小野寺さん。

 

 

「うーん、一条君が一生懸命考えて選んでくれたものだったら何でも嬉しいよ。でも、残るものだったらいつでも貰った時の事を思い出せるからもっと嬉しいかも。」

 

 

 

……なるほど、気持ちのこもった残るものですか……アレとかいいんじゃないだろうか!

 

 


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