イコセニ   作:中原 千

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肝試しスタートです。





第42話

翌朝、

 

「えっ?!桐崎さんと鶫さんの二人が帰ったの?!なんで?!」

 

 

「ああ、桐崎さんがずっと冷水かぶってたらしくてな、風邪ひいたらしいぜ。誠士郎ちゃんはその付き添い。スッゲー心配して一緒に帰るって言って聞かなかったらしいぜ。」

 

 

あれかッ、原因僕じゃん!桐崎さんに悪いことしちゃったなぁ……謝罪とお見舞いのメール送っておこう。

 

 

「それで、これから山登りするのに女子が二人だけだと色々困るだろうから他の班の女子から班長以外を一人借りろだってさ。」

 

 

「僕は山に慣れてるし必要ない気も……いやっ!なあ集、誰にするか僕が決めてもいい?!」

 

 

「凄え圧だな……まあ、俺はいいけど。一応、二人にも聞いとけよ。まず反対はされないと思うけど。」

 

 

「サンキュー!聞いてくる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小野寺小咲と宮本るりは一緒に朝食を食べていた。

 

 

「桐崎さんの風邪、心配だね。」

 

 

「……そうね。」

 

 

「鶫さんも一緒に行っちゃったし、最後まで皆で楽しみたかったなぁ……」

 

 

「……そうね。」

 

 

「……るりちゃん、大丈夫?なんか様子がおかしいよ。昨日、お風呂をあがったあたりからだよね?るりちゃんも風邪ひいた?」

 

 

「大丈夫、少し考え事をしてただけよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっと二人を見つけた!

 

 

「おはよう!小野寺さん!宮本さん!ちょっと相談したいことがあるんだけど……どうしたの、僕の顔に何かついてる?」

 

宮本さんが僕の顔をじっと見ている。

 

 

「なんでもないわ。それよりも相談って?」

 

 

「えっとね、登山の時の班員のことなんだけどね、女子を一人他の班から借りなきゃいけないらしくてね、僕に呼びたい人がいるんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「不肖佐藤、皆様の班の助っ人を仰せつかりました!粉骨砕身励みます!一条君と同じ班で登山できるなんてサイコー!林間学校に来て良かった!」

 

 

佐藤さんに助っ人をお願いした。

なんでも、佐藤さんは昨日の件で登山中の謹慎も検討されていたらしく、そんな事になったら本当に申し訳ないので、助っ人を口実に先生達を説得した。

 

 

「アハハ、無茶しない範囲で頑張ってね。約束だよ?」

 

 

「はい!……一条君と約束……イイ!凄くイイ!」

 

 

身悶えする佐藤さんを眺める。

佐藤さんのこの感じ、なんか安心する。

 

 

「それにしても白、意外な人選だったな。そんなに仲良かったっけ?」

 

 

「……うん。結構前からそうだよ。」

 

 

集に聞かれたが、まさか昨日の件を話すわけにもいかないので誤魔化す。

 

 

……なんか、宮本さんからの視線が、強くなった気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、

 

 

「……よーし、全員注目!これより恒例の肝試し大会を開始する!準備はいいかーーー!!」

 

 

「「「「「おおーーーー!!!」」」」」

 

 

 

先生の宣言で肝試し大会が始まる。

クラスの皆は色めき立つ。

 

 

ペアはくじ引きできまる。男女の生徒数の差が大きいため、くじ引きは同じボックスからになる。

これで、男同士のペアができようものなら大ブーイングだろう。

逆転前で考えると百合ップルと考えられなくもないから、中にはそれはそれで楽しめる人もいるかもしれない。

 

 

皆が次々にくじを引いて行く。

 

こっそり確認すると、宮本さんが4番、小野寺さんが12番、佐藤さんが16番だった。

 

僕の順番が回ってくる。

4、12、16来い!4、12、16来い!

 

念じなが引いた数字は……「4」

 

 

エウリュアレ様(宮本さん)とペアだぜ。!

僕はウキウキしながら宮本さんのところへ行く。

 

 

「宮本さん!僕も4だったよ!」

 

 

「……なんで私の数字を知ってるのかしら?……これじゃあ小咲に渡せないじゃない ボソッ」

 

 

最後の方が聞こえなかった。

 

 

「どうしたの?」

 

 

「なんでもないわ。……それに、話したい事があったからちょうどよかったわ。」

 

 

話したい事ってなんだろう?

 

 

 

 

少しして、僕達の番になる。

 

 

「じゃあ、そろそろ行こっか。」

 

 

「そうね。」

 

 

森の中にはたくさんの人の気配がある。お化け役の生徒だろう。

夜の森は慣れているから恐怖はない。むしろ、少しの高揚感もある。

 

 

中頃で、宮本さんが意を決した様な表情で口を開く。

 

「ねえ、一条君。」

 

 

「なあに、宮本さん?」

 

 

「昨日、女湯にいなかった?」

 

 

「……え?」

 

 

 

 

 




登山中のストーリーも何かの機会に書きたいです。

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