イコセニ   作:中原 千

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IFルート、難航中です。







第39話

あのつぐみにも好きな人ができたんだぁ。

 

つぐみは昔から私にかかりきりだから少し心配だった。

相談されて力になってあげたかったけど、まるで自分の話を聞かされているようで恥ずかしくなって誤魔化してしまった。

 

つぐみには悪いことをしてしまった。

 

 

……そういえば、つぐみと話してる時に十年前の初恋の話になったんだった。

 

懐かしいな。クローゼットに思いでの品みたいなの残ってないかな?

 

 

開けてみると、

 

 

 

ドドドドドドドドドドドドドド…………………………

 

 

痛てて、なかの物が雪崩になって降ってきた。

中身のほとんどが服やぬいぐるみなどの柔らかいものだったからたすかったけど、ちゃんと片付けておけば良かった……

 

 

落ちてきたものを整理していると、古い日記を見付けた。

表紙には『5さい』と書いてあるので時期は一致する。

また、"DIARY"というアルファベットのうえに『にっき』と平仮名で書いてあるので、もしかすると私の初恋は日本での出来事かもしれない。

 

 

……頭に彼が思い浮かぶ。

 

 

顔が熱くなる。子供の頃の彼ってどんな感じだったんだろうか?

絶対に可愛かったに違いない。

……このままでは、日記どころではなくなってしまう!

 

 

頭を振って思考を切り替える。

 

 

気を取り直して日記を読むと、「かれ」とあんなところへ行ったや「かれ」と遊べて楽しいなんてことが書いてある。

 

 

「かれ」ってことはこれは本当に初恋の手掛かりかもしれない。

期待を込めて読み進める。

 

 

『8月2日

きょうはたいへんなことがあった。

やまでおっきないぬにおそわれそうになって、わたしはあしをくじいてにげられなくて、すっごくすっごくこわかったけどかれがまもってくれてすごくうれしかった。』

 

 

……男の子に守られるって、5才の私、情けなさ過ぎない?

 

続きは、

 

 

『だけど、かれはそのときにおでこにけがしちゃった。ごめんなさい。

わたしはかれのそばでずっとかんびょうした。

かれのけががはやくなおりますように。』

 

 

……うわっ、怪我までさせちゃってる。

 

 

『8月5日

すこしあとがのこったけどかれはげんきになったみたい。

またあそぶやくそくをした。』

 

 

最悪だ……男の子に怪我……しかも、顔……傷痕……

 

その人は今どうしてるだろう?

会って謝りたい。許してはくれないと思うけど……

 

 

さらに手掛かりを見つける必要性が出てきた。

 

 

『8月9日

やしきをぬけだしてまちあわせした。

きょうはいっぱいおでかけしてたのしかった。』

 

 

『8月12日

きょうはかれとつりをしてあそんだ。

かれがおっきなさかなをつかまえておもしろかった。

ぶらっくばすってなまえみたい。』

 

 

 

『8月15日

きょうはうっかりいわのすきまにおちてしまった。

くらくてせまくてせんたくきのなかみたいでこわくてないてたら、かれがたすけにきてくれた。

かれはわたしがないていたらいつもたすけにきてくれる。』

 

 

『8月18日

きょうもたのしかった。

またあしたもあいたいな。

かれとやりたいことはまだまだいっぱいある。』

 

 

続きにはずっと「かれ」と遊んだ話が書いてあって、全てに楽しかったや面白かったと書いてある。

私は本当に楽しそうだ。

さらに、結婚なんてませたこともかいてあった。

 

どうやら、素敵な恋だったみたいだ。

 

 

『8月22日

とうとうこのひになってしまった。

おわかれのひなんていやだ。

あしたがきたらかれとさよならだ。

でもそのまえにかれとあのやくそくをしよう。

ふたりできめたあのやくそくを。』

 

 

約束?!その内容って?!

次のページには……無記入。

 

 

何で続きを書かないの?!私のバカ!!

 

 

ああ、気になる……チヤリン

 

 

ん?日記から何かが落ちた。

 

これは……鍵?

 

何の鍵だろう?約束に何か関係があるのかな?

 

 

 

コンコン「お嬢……!」

 

 

窓の外から声が聞こえる。

この部屋ってけっこう高い位置にあったよね?

 

窓の外を覗いて見るとつぐみの顔があった。

 

 

「……何やってるの?」

 

 

「お嬢……どうされたのですか?

家に着くなり食事もとらずに……」

 

 

「あっ、忘れてた!

……ねえつぐみ、私が初恋の子と出会った場所ってわかる?」

 

 

「……おそらく、調べれば分かると思いますが……どうかなされたのですか?」

 

 

「ちょっと調べにいきたいの。明日、交通手段確保しといてちょうだい。」

 

 

「え?!し……しかし、学校は……?」

 

 

「学校?」

 

 

明日は土曜日のハズだけど……

 

 

「お忘れですか?明日は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「林間学校ですよ。」

 

 

忘れてた!!

 

 

初恋は気になるがイベントをサボる訳にはいかないと林間学校に参加する。

 

 

「よーし、全員班に分かれて集合~!

バス移動するよ~!」

 

 

先生が指示する。

 

 

……班ってなに?!

 

 

私がキョロキョロしていると、彼がやってきた。

 

 

「桐崎さん、どうしたの?」

 

 

「……ねぇ、班って何の事?」

 

 

「あー……班決めのとき、桐崎さん寝てたもんね。だめだよ、ちゃんと聞いてなきゃあ。

えっとね、六人で一班で桐崎さんは僕と同じ班だよ。

班員は出席番号順に……僕、小野寺さん、桐崎さん、鶫さん、集、宮本さんだよ。

それじゃあ、バスに乗ろう?」

 

 

「うん!」




林間学校編スタートです。

この分だとアンケートの締め切りは明日か明後日になりそうです。

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