イコセニ   作:中原 千

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もう1作品投稿しましたが、こっちの毎日投稿は続けます!






第37話

「キャー!!鶫さーん!!」

 

 

「カッコいい~!!」

 

 

「こっち向いてー!!」

 

 

 

……今日も鶫さんは大人気である。

 

 

男装している女子、逆転前に直してみると化なりヤバイ感じあがするが、この世界はそういうのに寛容らしい。

 

まあ、鶫さんは男装がよく似合ってたしね。

前世で言う、戸塚彩加やギャスパー・ヴラディみたいなものだろうか?

そう考えると結構しっくりくる。

 

前世では、僕も抱き枕カバーかったものである。

 

 

てことは、鶫さんのジャンルは男の娘じゃなくて何になるんだろう?

教えて、エロい人。

 

 

 

 

 

それはともかく、そんな鶫さんの人気は物凄く、ファンクラブまでできたらしい。

 

まあ、当の鶫さんは女性にキャーキャー言われながら追っかけられて、過去のトラウマが呼び起こされたらしく、青い顔で震えてるのだが……

 

 

鶫さんをここまで追い詰めるとは中々の逸材だ。

いつかぜひ会ってみたいものである。

 

 

 

 

「いやー、鶫さん大人気だね。桐崎さん的にはどうなの?」

 

 

 

「馴染めてるみたいだから嬉しい。」

 

 

「……いや、馴染めてるってレベルじゃないからね。ファンクラブまであるらしいじゃん。もはや、アイドルだよ……」

 

 

「ファンクラブだったら、ダーリンにもあるよ。」

 

 

「……えっ、本当に?!」

 

 

「うん。佐藤さんから聞いた。因みに佐藤さんは

……」

 

 

 

「会員番号001なんでしょ?」

 

 

佐藤さんだったらそれ以外あり得ない。

 

 

「000なんだって。」

 

 

「番外会員?!」

 

 

えっ、そんなのあんの?!

 

……流石、佐藤さんだ。僕の予想の斜め上を軽々と越えてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、

 

 

「……桐崎さん、先生が飼育動物のエサ買ってこいだってー。」

 

 

「……そういうのって業者に頼むんじゃないの?」

 

 

「ここには珍しい動物が多いから直接買い付けるしかないらしいよ。」

 

 

「お待ち下さいお嬢……!!」

 

 

茂みから鶫さんがとびだす。

 

……いつからスタンバってたんだ?全然気づかなかった。悔しい。

 

 

 

「お嬢にそのような雑事をさせる訳にはいきません……!!ここは私が!!」

 

 

 

「えっ、でも…………あっ、これはつぐみと彼を仲良くさせるいい機会かも ボソッ

じゃあつぐみ、お願いするわ。」

 

 

「お任せ下さい!!ほら行くぞ、一条白!」

 

 

……あれっ?桐崎さん、さっきなんかボソッと呟いてなかった?

完全に聞き逃してしまった。僕の非難聴系としてのプライドはボロボロだ。

 

 

「あっ、そうだ!つぐみ!ちょっと待って!」

 

 

鶫さんを呼び止めてどこかに連れていく桐崎さん。

 

 

……やっぱり桐崎さん、なんか企んでない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペットショップの前で待ち合わせになり、鶫さんを待っていると、なんか周りがザワザワしだした。

近くでカイジがギャンブルでもやってるのか?

 

 

人混みを割って誰かがやって来た。

 

 

……あれは!

 

 

「待たせてすまない。……ところで、さっきからジロジロ見られてる気がするんだが…………そこまで私の格好は変なのか?」

 

 

やっぱり鶫さんだった。オシャレな服を着てなんかメチャクチャ輝いてる。

 

 

「いや、変なんじゃなくて、むしろスッゴく似合ってるからだと思うよ!鶫さんモデルみたいだし!」

 

 

この視線は芸能人をみる視線だ。

 

 

「……!!なっ……!!

バッ……バカにしてるのか貴様はァ!!」

 

 

「えー、褒めてるのにー 。素直じゃないなー鶫さんはー。」

 

 

「その言い方はやっぱりバカにしているだろう!!」

 

 

しばらくじゃれあってから店へ入る。

 

 

 

 

「おおー」

 

 

鶫さんが食い入るように小型犬を眺めている。

 

 

「モコモコしてる……」

 

 

かれこれ一時間はこうしてるが、全く飽きる気配がない。

まあ、僕も犬を眺めている鶫さんの表情を堪能してるから、

全く問題ないんだけどね。

 

 

「……何をジロジロ見ている。」

 

 

あっ、やっと気づいた。

 

 

「可愛いなぁって思ってね。犬すきなの?」ニヤニヤ

 

 

「可愛いだと?!貴様ァ、またバカにして!!」

 

 

「あれ~、僕は犬が可愛いって言ったんだけど、鶫さんはなんの事だと思ったの~?」ニヤニヤ

 

 

「………ッ!もういい!!」

 

 

「キャー、鶫さんが怒ったー」

 

 

「まったく、用事が終わったならさっさと……」

 

 

立ち上がろうとしてふらつく鶫さん。なんか既視感…………っと!

 

 

今回は上手くキャッチできた。

 

 

「はっ……放せバカ者!!」

 

 

顔を真っ赤にする鶫さん。

 

 

「えー、せっかくの美少年との密着なんだからもっと有り難がればいいじゃん。」

 

 

「貴様との密着など有り難くなんてない!!」

 

 

フフフ、でも鶫さんの口角ちょっと上がってるよ?

言わないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、あの店宅配サービスやってたんだね。知らなかった。」

 

 

鶫さんと話ながら帰る。

 

……さっきからきになってたがやっぱり、

 

 

「ねぇ、鶫さん。右足どうしたの?」

 

 

「……何の事だ?」

 

 

「それは、本気で僕に対して誤魔化せると思って言ってるの?歩き方見ればそれくらいすぐ分かるよ。」

 

 

「……そうだな……貴様はそうだったな……」

 

 

観念した鶫さんが路肩に腰を下ろして靴を脱ぐと、足は痛々しく腫れていた。

 

 

「あー、靴擦れだね。ヒール初めてだったでしょ?」

 

 

そう聞きながら指で突っつく。

 

 

「痛ッ!貴様やめろ!」

 

 

「意地はって黙ってた罰だよ。すぐに言えば良かったのに……」

 

 

 

……ところで、怪我したところって舐めると速く治るらしいッスね……

 

いや、やんないよ!考えて見ただけだし!

……ホントダヨ、インディアン嘘ツカナイ

 

 

「しょうがないにゃあ……」

 

 

僕は鶫さんを背負う。

 

 

「バッ……バカバカ、キサマァ降ろせー!!

私はちゃんと歩ける!!」

 

 

「フッフッフ、観念するんだな鶫さん。今降りたら僕は君に即攻撃を仕掛けるぜェ。果たして、そんな足で対処できるかな?連敗記録を更新したくなかったら大人しくしてるんだなァ。」

 

 

「この卑怯者ー!!」

 

 

「ブアッハッハ!」

 

 

 

 

 

しばらくして、

 

 

「……ところで鶫さんっていつから桐崎さんといっしょなの?」

 

 

「……そうだね、5~6歳の頃からだから、もう10年ほどになるな。」

 

 

「ほえ~、10年か~。」

 

 

「当時のお嬢は初恋をしたようでな、よくその話を嬉しそうにしてくれたものだ。」

 

 

フムフム、桐崎さんはおませさんだったのか。

 

 

「ところで、鶫さんの初恋は?」

 

 

「わ……私のか……?!そんなのあるわけないだろう……!」

 

 

「えー、そーなの?勿体なくない?」

 

 

「……無いよ、今までもこれからも、私はお嬢にお仕えすることが使命だし、幸せだ。私はお嬢が幸せなら、それで……」

 

 

「でも、そんなに誰かの為に一途になれるって素敵だよ。だから、鶫さんを好きになる人は絶対いるはずだよ!」

 

 

 

「……まったく、腹立たしい男だ、お前は。」

 

 

 

「……あれっ?!僕、今良いこと言った?!言ったよね?!鶫さん!僕に惚れてもいいんだぜ?」

 

 

「……まったく、ムカつくな、お前は!!」

 

 

「あれっ?!なんか言葉が柄悪くなった?!」

 

 

 

 

 

 




1度、舐めるところまで書きましたがR18に引っ掛かりそうなので自重しました。

実はまだデータだけ残ってたりします。

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