イコセニ   作:中原 千

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なんとか間に合いました。

三月はもっと余裕のある月にしたいです。





第35話

「……で、本当にさっきのは誤解ってことでいいの?」

 

 

「「そうだよ(なんですよお嬢)!」」

 

 

……ふぅ、なんとか桐崎さんを説得できた。

 

一時はどうなるかと思ったが良かった良かった。

 

 

 

……先程、半裸で抱き合う僕と鶫さんを見た桐崎さんは、何も反応しなかった。

正確に言うと、"しなくなった"のである。

 

どういう事かと言うと、固まって動かなくなったのである。

 

立ち尽くしたまま、手をひらひらさせても、呼びかけても全くの無反応でメチャクチャ焦った。

 

睫毛に触れたところ、睫毛反射がみられたため、意識自体の存在は確認できたので、ひたすら一方的に弁解し今に至る。

 

 

しかも、そんな桐崎さんを見て、鶫さんはどんどん悲愴な表情になり、終いには責任感じて切腹するんじゃないかって程になっていた。

 

 

……ビーハイブの関係者ってメンタル弱い人しかいないの?

少し不安になってきた。

 

 

「……じゃあ、なんでプールの更衣室じゃなくて、テニス部の更衣室にいたの?」

 

 

 

……ギクッ

 

 

そやったー!僕はわざわざピッキングして遠い位置にある更衣室に来て、鍵までかけたんだった!

 

 

「……えーと、ほら、あれだよ……」

 

 

「……何?」ジトー

 

 

ああ、桐崎さんめっちゃジト目だ。

やべぇ、冷や汗出てきた……

 

 

「……ほら、僕ってこれでも男子な訳でして、鍵のないプールの更衣室で着替えるのは不安だなーって……」ダラダラ

 

 

やべぇよ、冷や汗とまんねぇよ。

 

 

「…………」ジトー

 

 

「……アハハハ……」ダラダラ

 

 

 

 

「……うん、一応分かった。

……そういえば、先生が呼んでたよ。確かにプールの使用許可書を承認したけど、その使用法は想定されてないって。」

 

 

 

「……えっ、マジで?!」

 

 

決闘前に一応、学校内の一通りの施設の使用許可はとっていたのだが……

 

 

さすがに、廊下の窓からのダイナミック☆高飛び込みは許可の範囲外だったようだよ(´・ω・`)

 

 

「じゃあゴメンね!僕、いってくるけど、たぶん遅くなるから待たずに帰ってね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で?決闘はどうなったのよ?」

 

 

お嬢に質問される。

 

 

「……はい、私の完敗でした。」

 

 

「へー、珍しいわね、負けだって言いきるなんて。」

 

 

「そうですか?」

 

 

 

……認めない訳にはいかない。今回の決闘ので、ヤツは私を終始上回っていたのだから。

 

 

まったく腹立たしい。私はヤツを殺す気で戦ったのに対して、ヤツは私に対して殺す気がないどころか、怪我すらさせないように立ち回っていた。

 

私が今、目立った怪我もなくお嬢と話せていることがその証拠だ。

 

 

最後の跳躍で思い知らされたのだが、ヤツは私より遥かに速い。

 

だから、いくら私が銃を乱射したといっても、隙間をぬって接近し、四肢のどれかを負傷させるくらいはできたはずだ。

 

しかし、ヤツはそうせず、弾幕を避けつつ逃げるなど少し間違えただけで死につながるような危険を冒し、挙げ句に、私を掴んでプールへと跳躍するなどという訳の分からない事までした。

ご丁寧に着水の瞬間は私を庇って自分が下になったり、その時に絞め技を極めて私の意識を落としたりしていた。

 

 

ここまでされたら負けを認めない訳にはいかないだろう。

 

 

 

……悔しいから、お嬢に詳しい事は教えないが……

 

 

 

「……とは言え!負けは認めましたが、ヤツを認めた訳ではありません。

まだまだ、ヤツに関して分からない事はたくさん有りますから……!!」

 

 

「……あーそう。」

 

 

 

……そういえば、

 

 

「どうして私はこう男に間違われるのでしょうね?

ヤツにも間違われました……」

 

 

「う~~~~ん、なんでだろうね?

……あ、そうだ。」

 

 

お嬢に何か考えがあるようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、

 

 

「……あ、あの、お嬢……一体これはどんな意味が……」

 

 

私は今、女子の制服を着ている。

 

……うぅ、ヒラヒラして落ち着かない。

 

 

「わあーーー!やっぱりよく似合うじゃない!

……なんというか、可愛いわね。」

 

 

「からかわないで下さいよお嬢……!

そういうことはヤツに言って下さい!」

 

 

……か、可愛いなどと……

 

 

「……それに、必要ありませんよ……

私はお嬢を守り、お嬢とのや約束を果すために来たのですから……」

 

 

「……ごめん、つぐみ、その約束ってなんの事だっけ?」

 

 

「……やはりお嬢は覚えておられませんでしたか。無理もありません。」

 

 

 

 

……あれは、お嬢と出会い、仲良くなって初めて一緒にお風呂に入った時……

 

 

 

 

 

 

 

『私、きっとお嬢を守れる人になりますね!』

 

 

『? うん、よろしくー。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「想像以上に何気ない!!

もぉ~それをいままで大事にしてたの?!」

 

 

「私にとっては大事なのですよ。」

 

 

「……まあ、良かったわ。そもそも十年前なら覚えてないのもむりないわね。

……あ、そうだ。これあげる。」

 

 

なんでしょう?

 

 

「……これでもう男の子だって間違われないでしょ?」

 

 

……リボンですか?!

 

 

「お嬢!お気持ちは嬉しいですが、私には……」

 

 

 

「……あれ?鶫さん、今日は制服にリボンに女子コーデだね!すごく似合ってるし、なんか可愛い!!!」

 

 

教室に入ってきた一条白に言われる。

 

 

…………

 

 

「かわいくなんてない……!!!」

 

 

ああ、もう!一時退散だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ふぅ、落ち着いた。

 

 

一条白め、からかいやがって……!

 

か……可愛いなどと……

 

 

 

 

 

 

……そういえば、お嬢はさっき……

 

 

 

『十年前なら覚えてないのもむりないわね。』

 

 

 

……もしかして、お嬢はあの十年前の初恋の相手との約束も忘れてしまわれているのでしょうか……

 

 

 

 

 

 




アンケートの回答にあった、エウリュアレ様(宮本さん)をヒロインにするかどうかというのは、作者も悩んでいる課題です。

気持ち的には、ヒロインにしたいと思っています。

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