イコセニ   作:中原 千

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これにて、原作二巻該当部分完結です。







第34話

行ってしまった……

 

 

結局戦うことになってしまったよ(´・ω・`)

 

 

相手はプロだ。しかも、武器は銃である。

剣が銃より強いのは常識と反転した正義の味方さんが言っていたが、生憎と僕はそこまで至っていない。

殺す気で行けば可能性はありそうだが、転校生は桐崎さんと友人である。

殺しなどしようものなら、今度こそ桐崎さんとの関係は修復ふかのうなものになるだろう。

それ以前に、いくら寛容な僕のクラスメイト達も、流石に人殺しは受け入れられないだろう。

 

だから、わざわざこんなめんどくさい手段を取ったというのに……

 

 

まあいい、そもそも僕もこれだけで解決する可能性は低いと踏んでいた。

本来の目的は達成できたし、良しとしよう。

 

さあ、決闘することになってしまったからには準備しないといけないものがたくさんある。

急いで取りかかろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、

 

 

「……フッ、逃げずに来た事はほめてやる。」

 

 

「……いや、逃げたら殺されちゃうんでしょ。流石に意味もなく殺されるのは嫌だからね。

……それより一ついい?」

 

 

 

「キャーーー!!鶫く~~~ん!!」

 

 

「一条君頑張ってーーー!!」

 

 

「……大盛況だけどどうしたのコレ……?」

 

 

「それは私も知らん。」

 

 

騒動の中心に目を向けると……

 

 

「さあさ、張った張った!!一口、食券一枚だよ?!」

 

 

「鶫君に三口!!」

 

 

「一条君に二口!!」

 

 

 

……アイツか。

 

 

集め、いったいどこで聞きつけたんだ。

食券使って賭博紛いの事までしやがって。

 

 

……まあ、小規模だし目的も儲けじゃなくてばか騒ぎっぽいしギリギリセーフってところか?

 

我が親友ながらよくやるものだ。

 

 

因みに、内訳は6:4くらいで僕の方が少ない。

 

学校での僕のキャラを考えると当然と言えば当然だが、なんか悔しい。

 

こういう時、佐藤さんがいたらおそらく彼女一人で僕に20~30口くらい賭けて逆転できるはずなのに何故かいない。

 

……こういう催し物が好きそうなのに、肝心なときにいない人である。

 

 

 

 

「そろそろいいか?」

 

 

転校生に聞かれる。

 

 

「うん、いいよ。」

 

 

 

 

……僕が屋上で行った一連の、転校生にわざと拘束され、それを桐崎さんに止めさせるという行動。その主目的は、転校生の戦力分析である。

 

主力武器は何か?反応速度や移動速度はどのくらいか?

技量は?戦術パターンは?動きのクセは?

そもそも、僕が倒せる相手なのか?

 

 

それらの事を"僕の情報を秘匿したまま"知る事。

それこそが、今回の狙いであった。

 

 

分析の結果、勝算ありとなった。

 

 

戦術としては、とにかく速攻。

縮地で距離を詰め、清光で殴打し気絶させる。

その際に射撃されても、先程確認した銃種ならば、改造されて速射性能や弾数が割り増しされていたとしても回避できる。

 

 

「……このコインが地面についたら決闘開始だ。」

 

 

 

息を落ち着かせ、精神を研ぎ澄ませる。

 

 

 

カタン

 

 

 

一歩音を超……

 

 

 

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

 

 

 

 

 

……って、ええええええええええええええええ?!

 

 

 

僕はUターンして逃げる。

 

 

いやいやいやいや、ないないないないない!!!

 

 

転校生は大量の銃を取り出して乱射し始めた。

 

 

いや、その量どうやって収納してたんだよ?!

そもそも、そのデカイヤツは一つですら服に収納できないだろ?!

 

 

もうこれは避けるとかそういう次元じゃない!

開けた場所は危険だ!

 

 

僕は校舎内に逃げ込む。

 

 

 

「待てぃ、一条白~!!」

 

 

……やべぇ、もう追いついて来やがった、怖すぎる!

 

 

「……逃げるな!!正々堂々勝負しろ!!」

 

 

ヘイヘイヘイ!大量の重火器を乱射してるバーサーカーが何言ってんだ?!

これは、おまいう案件ですわ。

 

 

「フンッ!やはり貴様はお嬢にふさわしくない!!お嬢は私が守る!!」

 

 

「……さっきから聞いてれば守る守るって、桐崎さんだって女性だ!

守られてばっかじゃ自身無くすでしょ!

君も男なら、たまには齢ところも見せて、桐崎さんに頼った方がいいんじゃない?!」

 

 

……ここって、あべこべ世界だよね?!

なんで外様の僕の方がそれ指摘してんの?!

普通、逆じゃない?!

 

 

 

「……誰が■■■■■■■■■■■■!!!!!」ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

 

 

 

ギャー、転校生の狂化ランクと弾幕の威力が上がりやがった(泣)

 

 

……仕方ない、こうなったらとっておきを使うか。

 

 

僕は球体を取り出して床に投げつけた。

 

それから、強烈な光りが溢れ出す。

 

 

 

……そう、閃光弾である。

 

相手はプロだ。こんなありふれた手段で致命的な隙を作れるなんて思っていない。

だが、これで一時的に視覚を奪う事ができる。

それなら、まだ転校生に見せていないアレを活かすことができる。

 

 

……僕は角を曲がり息を落ち着かせ、気配を殺す。

 

 

そして、追って来た転校生に向かって縮地を使い、硬直した転校生を掴んで、"窓の外へ"跳躍する。

 

 

「……一条白、貴様ッ……」

 

 

「銃は湿気たら使えないでしょ?」

 

 

この下はプールだ。

階層も低いし、上手く受身をとれば、死にはしないだろう。

 

 

 

 

 

ドボォン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ふぅ、なんとか上手くいった。

 

 

転校生は落下の衝撃で気絶している。

 

 

 

よく考えると、最近のヤツって防水性あるし、水中用の弾とかもあるから、今の手は悪手だった。

 

今回は相手が気絶したから良かったものの、次回からは切羽詰まっても冷静に判断するように気を付けよう。

 

まあ、こんなことがそう何度もあるとは思えないが。

 

 

……寒い。

 

 

まだ寒い時期だし、服に水が染みてしまってるからこのままだと、僕も転校生も風邪を引いてしまう。

 

とりあえず、上着を脱g……ファッ?!

 

 

……一先ず、更衣室に行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バッ……!!き……貴様、何をやって……!!」

 

 

……あっ、起きた。

 

 

「何って、あのままじゃ風邪引いちゃうから着替えをね。

武器探しても無駄ただよ?もう、武装解除終わらせてるから。」

 

 

「……ッ!」

 

 

「いやー、それにしてもびっくりしちゃったよ。

鶫さんって女子だったんだね。」

 

 

……本当に驚いた。

強さの方に着目しすぎてて、こんな初歩的なところを僕は見逃していた。

地味にショックである。

 

気づいたときに、最初は焦ったがかすぐにここはあべこべ世界だと思い出し、今に至る。

 

この世界なら、男子が女子を着替えさせるのは、あまり問題にならないはずだ。

 

因みに、ここはプールの更衣室ではなく、テニス部の更衣室である。

ピッキングしてはいったのだ。

ここなら、すぐには人は来ないだろうし、内側から鍵をかけたから安心できる。

 

 

「……やはり、勘違いしていたか。

なぜだか私は昔から男に間違われる事が多くてな。

まったく、不思議でならん……!

その上、女子に告白される事が多くてな、大抵は性別を告げると諦めてくれるのだが、女だといってるのに執拗に迫ってくるヤツもいてな。

……思い出したら体が震えてきた。」ブルブル

 

 

……なんというか……

前の世界で言うガチホモか。確かに怖い。

でも、桐崎さんに対する貴女も似たようなものですよ?

 

 

 

「……みじめだ……

男に負けて、あまつさえ助けられて、こんな姿を晒している……

こんな体たらくでお嬢の前に出られるハズがない……!!」

 

 

……いやいや、僕は特殊な例ですよ。

ジャンルでいったら、この世界の女子と一緒だし。

 

 

「元気出して、鶫さん!

自信もって!ちゃんと強かったよ!

一緒に桐崎さん守ろう?」

 

 

「……だって、私、男と間違われるようなヤツだし……」ウシウジ

 

 

 

………(#^ω^)イラァ

 

 

「鶫さん!僕の目を見て!

いい?鶫さんは素敵な女性だよ。鶫さんは強いしカッコいいよ。鶫さんは努力家だし、鶫さんは桐崎さんの事を大切にしてるし、鶫さんは「ストップ、ストップ!なんのつもりだ?!」」

 

 

真っ赤な顔の鶫さんに遮られる。

 

 

「……いや、なんか鶫さんが自分の事を卑下しすぎてて、イライラしたからやった。後悔はない。

それにどうだった?僕は嘘ついてた?」

 

 

「…………」フルフル

 

 

恥ずかしそうに首を振る鶫さん。

 

 

……ええのう。可愛えのう。

こんなに可愛い人を男と間違えてた自分を殴りたい。

 

 

「だから鶫さんは……」

 

 

ガチャッ「あー、せっかく一条君と鶫君の勝負なんて面白そうな事やってるのに、私だけ当番で部室を開けなきゃならないなんて最悪って、

……一条君?!」

 

 

僕は壊れた玩具のような動きで振り向く。

 

 

「……やあ、佐藤さん、奇遇だね。」

 

 

「なんでここにって、鶫君?!

って、ええええええええええええええええ?!」

 

 

 

ああ、そんな大声だしたら…………

 

 

 

「一条って聞こえたぞ!」

 

 

「鶫っても!」

 

 

「あっちからだ!」

 

 

……言い訳考えとこ。

 

 

 

 

 




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