イコセニ   作:中原 千

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やっぱり、イベントに乗りたくなって投稿しました。

一巻の最終話がちょうどいい話になってて良かったです。

時系列は少しズレます。


バレンタインデー特別編

なんだか桐崎さんが楽しそうである。

今日は、何かあっただろうか?

少なくても、何かの記念日ではないはずだ。

聞いてみよう、

 

 

「ご機嫌だね、桐崎さん!

何かあったの?」

 

 

「……今日は、調理実習……」

 

 

なるほど、確かに今日は、授業を2コマも豪華に使い調理実習が実施される予定だった。

課題はケーキだったはずだ。

 

授業の時間でお菓子を作って友人と食べる。

率直に言って絶対楽しい。

これはウキウキするのも仕方ない。

 

……よく考えると、ここはあべこべ世界だ。

僕の立ち位置はクラスの美少女、今日は調理実習。

完璧じゃないか!

 

僕も楽しみになってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調理実習が始まった。

 

クラスはざわざわしている。

 

 

桐崎さんの様子をチラッと見ると……

 

 

「……90gってこのくらいかな」ドサッ

 

 

量りの上に躊躇なく全部入れていた。

 

……僕といる時はそうでもないけど、桐崎さんって結構ワイルドだよね。

まあ、あべこべ世界だし普通か。

 

 

「知っているかい、一条君は。

今、クラスでケーキを好きな奴に渡すっていう流れが出来てんのさ、

だから、君にいつも以上に女子が群がる可能性があるのだよ。頑張りなされ。」

 

 

集が話掛けて来た。

 

 

「一応、彼女持ちってことになってるんだけど……」

 

 

「それはそれ。あげなきゃあげないで色々起きるだろうから極力あげた方がいいんじゃない?」

 

 

「フッ、そういうことなら仕方ないね。

いつも大人数の食事を作っている僕の実力を見せてあげるよ!

期待しててね、皆!!!」

 

 

「やったァァァァァァーーー!!!」

 

「流石、一条君!!!」

 

「一条君、マジ天使!!!」

 

「むしろ、一条君を食べたい!!!!!」

 

 

……今日も佐藤さんは平常運転である。

僕以外にはやめときなよ、セクハラ判定余裕でアウトだから。

 

……そういえば、桐崎さんはどうなっただろう。

 

 

うわっ、三メートルくらい卵飛ばしたっ!

凄え、しかもキャッチした!

 

 

ムム、小野寺さんは大作っぽい雰囲気、誰に送るんだろうか?

僕だといいなぁ。

確かめたいけど、手が離せない。

流石に、ひとクラス分並列で作ると思考の余裕はあっても、手を止める余裕がない。

仕方ない、覗き見は諦めよう。

 

……因みに桐崎さんは、

 

 

 

ボウッ

 

 

 

……あれはフランベじゃない、ボヤだ!

大丈夫なんだろうか?

だんだん、逆に出来上がりが楽しみになってきている僕がいる。

 

すまない、桐崎さん。

僕は自分の作る分に手一杯で助ける余裕がないんだ。

見守ることしか出来ない無力な彼氏で本当にすまない。

どんな出来になっても最悪、僕が食べるから頑張って作りきってくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、調理時間が終了した。

 

僕が作った分は全てラッピングを済ませた。

後で皆に配ろう。

 

 

さて、桐崎さんはどうなっただろう?

 

 

 

「出来た!ショートケーキ……」

 

 

 

 

……え?

 

なんか色黒くない?表面が硬質じゃない?

ショートケーキなの、アレ?

ガトーショコラじゃないの?

 

 

あっ!桐崎さん涙目だ……

このままだと近いうちに泣いてしまう。

 

 

 

チラッ チラッ

 

 

 

フォローに動こうとする人はいない。

これは、僕が行くしかない!!!

 

 

「桐崎さん、出来たんだね。

僕にも少し頂戴!」ニコニコ

 

 

僕は分かりやすい地雷は回避する主義である。

だがしかし、非日常がは大好きだ。

ヒロインのメシマズなんて滅多に経験出来るもんじゃないぜェ!

 

 

「いただきます!」サクッ

 

 

 

 

 

 

 

……ム、これはッ!

 

 

「美味しい?!」

 

 

 

「え?!嘘でしょ?!」

 

「……ホント?!」

 

 

騒めくクラス、誠に奇異なことであるが僕は嘘を吐いていない。

本当に美味しいのだ。

 

 

一口分、口に入れる桐崎さん。

 

 

「……おいしい!!」

 

 

 

「え……マジ?!

オレも食いてー!!」

 

 

「ホントだ、おいしい!!」

 

 

「なんで?!こんなに焦げてるのに……」

 

 

いっそう騒がしさを増すクラス。

……本当に何で美味しいんだろう?

 

 

桐崎さんがこっちを向いた。

 

 

「ありが……と……」

 

 

桐崎さんにお礼を言われたので、ニッコリ笑って頭を撫でる。

 

 

 

ナデリナデリ

 

 

偉いの~、

 

 

ナデリナデリ

 

 

美味しく作れたの~、

 

 

ナデリナデリ

 

 

さあ、桐崎さんよ、そろそろ皆の所へ行っておいで。

 

 

桐崎さんを加えてさらに盛り上がるクラス。

うむうむ、仲良きことは……である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後片付けを終えて部屋を出ると、

 

「小野寺さん!」

 

「一条君!」

 

 

小野寺さんに偶然会った。

そうだ、誰に送ったか聞いてみよう、

 

 

「小野寺さんはそのケーキを誰に?」

 

 

「これはね……」

 

 

『いつもありがとう お母さん』

 

 

なるほど、やはり小野寺さんは真面目である。

 

 

「おー!流石、小野寺さん!偉いね!

……でも、残念だなぁー、僕にはないんだー。」

 

 

 

 

「えっとね……実は私……一条君にも……」

 

 

「え?」

 

 

「余った生地で小さいケーキをつくったんだけど……

良かったら食べてくれる……?」

 

 

「もちろん!」

 

小野寺さんは僕の分も作ってくれたのか!

今の、一条君的にポイント高いよ!

 

物凄く綺麗に飾り付けされている。

流石、和菓子屋の娘だ。

 

 

 

「いただきます!」パクッ

 

 

 

カハッ

 

 

 

 

……なるほど、地雷は桐崎さんじゃなくて小野寺さんだったか……

 

 

「一条君!一条君!」

 

 

小野寺さんの声が遠くなっていく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あれ?何か笑い声が聞こえる。

 

 

『フォッフォッフォ、一条君……一条君……』

 

 

誰だ?

 

 

『一条君、ラヴ&ピースじゃよ、一条君。』

 

 

貴方は?!

 

聖ヴァレンティヌス様?!

 

 

『フォッフォッフォ、ラヴ&ピースじゃ。』

 

 

ラヴ&ピースですね!

 

 

『ラヴ&ピースじゃ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うう、ラヴ&ピース……」ガクッ

 

 

「そんなっ!一条君!起きてよ、一条君!!!」

 

 

「一条君くーーーーーん!!!」




あれ?オカシイですね。

バレンタインデーらしい甘い話にしたかったのに、またオリ主が気絶しました。

どうしてこうなった!

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