イコセニ 作:中原 千
うぅ、まさか一条君と桐崎さんが付き合っちゃうなんて……
ハァ~……
トボトボとした足取りで家に向かう。
……二人とも凄くお似合いだもんね……
アイドルみたいに可愛い一条君とモデルみたいに綺麗な桐崎さんの組み合わせはとってもキラキラしてて眩しいくらいだったよぉ……
「おかえり小咲ー、
どら焼きの新作出来たんだけど食べるー?」
あれっ?いつの間にか家に着いてたみたい。
もうっ、動揺しすぎだよ、私。
しっかりしなくちゃ!
「んーん、今はいいや。
部屋にいるねー。」
お母さんに返事をして部屋に向かう。
机に倒れ込みしばらくボーっとする。
今日の一条君幸せそうだったなぁ、とってもご機嫌でニコニコしてたなぁ、うん、桐崎さんと恋人同士になれたんだもんね、当然だよね……
ウジウジしながら写真立てを眺める。
たくさんの家族に応援されて息を切らせて走る一条君がとっても可愛い一枚だ。
このときは、父兄も先生も業者さんも全員一条君にカメラを向けたから一位や二位の人が少しだけかわいそうだった。
……やっぱり一条君は可愛いな~。
……どうしよう、何にもする気が起きないよぉ。
このまま半開きの口から魂とか出ていっちゃいそうだよぅ。
ハァ~……
ブルルルル ブルルルル
「ふえっ?!って、あわわわわわっ!」ドタッ
うぅ、ボーっとしてたら急にポケットの中身が振動して、驚いてイスから落ちて机に頭をぶつけちゃって痛いよぉ……
ポケットに何入れてたっけ?
って、ケータイ電話?でも、私のと機種が違う。
それにメールがきてたみたい。
……見ていいのかなぁ?
うん、勝手に見ちゃダメだよね!
……やっぱり気になるなぁ。
……これの持ち主は
無くして困ってるかもしれないよね。
……よしっ!
件名:ゴメンねm(_ _)m
本文: 一条です。
ゴメンね小野寺さん、驚かせちゃったよね 人( ̄ω ̄;) スマヌ
さっきのは複雑な事情があって桐崎さんと一緒だったんだ。
見られちゃって恥ずかしい(*ノ▽ノ)イヤン
詳しいことは明日説明するよ。
もうっ、小野寺さんすぐ行っちゃうんだもん、僕達に気を使ってくれたのは分かるし、小野寺さんのそういうトコロ好きだけどとっても困ったんだからね(`≧ ^≦*)マッタクモウッ!
小野寺さんに誤解されたままなのイヤだったからつい送っちゃったよ(/ω\) ハジュカシィー・・・(/ω・\) チロ・・
ps.このメールに返信すると、最悪の場合この街が滅ぶからしないでね(^人^)オ・ネ・ガ・イ
……えっ?えっ?
一条君からっ?!
何でっ?!
明日説明するって何をっ?!
……それにっ!それにっ!
一条君が私のことを……その……すっ、すっ……
好きって書いてた?!
それに誤解されたくないって?!
うぅ、心臓がバクバクして落ち着かないよぉ……
……あっ、誰か部屋に入ってきた。
「小咲ー、夕飯できたから食べなさ……
何をニヤニヤしてるの?
気持ち悪いわね……」
あぁ、今の私ってニヤニヤしちゃってるんだ……
初めて男の子と、それも一条君とメールしちゃったんだもん、仕方ないよね。
うん!今日はなんだか良い夢が見られそうだよ!
……街が滅ぶってのは気にしない方が良いんだよね……
「坊っちゃん、私のケータイ使ってどうしたッスか?」
「ああ、僕の落としちまったから場所確認したんだよ。
見つかったからとってくるわ。」
「気をつけていくッスよ!」
メールって難しいですね……
作者は事務的なメールしかしたことがないので不自然な所があるかもしれません。
友達とのメールのやり取りに少し憧れます。