イコセニ   作:中原 千

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他の作者様方がアンケートをやっていることに密かに憧れている中原です。

近日、何らかのアンケートをアップしようと考えています。

内容は未定です。


第14話

日課の素振りをする。

今日も三段突きを物に出来なかった。

 

やはり剣術の極致に簡単には至れない。

 

僕も燕を斬れる位には鋭い剣筋なのに……

 

やはり、あのNOUMINが斬ろうとしたのは燕ではなく、幻想種TSUBAMEだったか、じゃないと今僕は燕返しガンガン放てることになってしまう。

 

果たしてTSUBAMEとは何処に居るのだろう?

山での修行では終ぞ出会えなかった。

山ではなくYAMAに籠らなければならないということか。

 

 

思考が脇道に逸れているが刀捌きは乱れない。

 

 

山修行で秘剣は修得出来なかったが、宗和の心得は獲得していたのだ。

最も、本家には遠く及ばないが、

ランクにすると、DかD+位だろう。

 

 

そんな風に暫く刀を振っていると……

 

 

 

 

 

 

「坊っちゃーん、お客さんッスよー!」

 

 

 

龍の声が聞こえた。

 

今日もワンコは元気一杯である。

昨晩、僕は龍の晩飯の削減を決行したのだが、美味しそうに食べる姿を見ていたらいつの間にか僕は龍にお代わりをよそっていた。

世の中の子供を叱れない親ってこんな心境なのだろうか。

しかし、あんな満面の笑みで来られたら仕方なかろう。

 

大嘘憑きの先輩くらい、僕は悪くない。だって、僕は悪くないんだから。

 

 

 

玄関に着き、扉を開けると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご……ごきげんようダーリン!

突然で悪いんだけど、今からデートに行かない??」

 

 

プルプルしながら大量の汗を浮かべた桐崎さんが震えた声で誘ってきた。

 

 

盛り上がる組員達とは裏腹に、僕は不安で一杯である。

 

 

 

 

 

 

……そして、僕たちは適当にぶらついているわけであるが……

 

尾行が3人ずつ4組、およそ500メートルごとに定点監視が2人ずつ、高所からの視線が複数で詳細は不明といったところかな。

 

 

ビーハイブも集英組も入り交じって見事な連携である。

この出歯亀どもめ、やっぱり仲良いじゃねーか。

 

 

桐崎さんのメンタルに限界が来る前に解散しようと思ったがこの分では無理そうである。

 

 

……自分で蒔いた種である。

良い機会を貰ったと思って関係修復を図ろう。

よく考えると、桐崎さんが逃げずに会話してくれるなんて滅多にない事である。

逃げないはぐれメタル程貴重だ。

今のうちにレベルを上げよう。

 

取り敢えずの目的地であるが、見事に何も思い浮かばない。

そもそも、今はクラスの憧れの人的なポジションに収まっているが、僕は前世でボッチだったんだ。

全部の人生含めて、これが初デートである。

要領よく出来る訳がない。

 

……知らねーよ!こういうときって女子は何処に行きたいんだよ!僕は男だ分かるわけないだろ(逆ギレ)

 

 

……あれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムシャムシャ ガツガツ バリバリ

ムシャムシャ ガツガツ バリバリ

ムシャムシャ ガツガツ バリバリ

 

 

 

僕は物凄い量を食べている桐崎さんをニコニコと眺める。

 

うん、そういえば此処ってあべこべ世界だった。

テンパって忘れていた。

僕の宗和の心得はE位しかないかもしれない。

あべこべ世界だった事を思い出したらもうこれは勝ったも同然だ。

だって、僕の行きたい所に行けば良いのだから。

 

桐崎さんと接しているとついあべこべ世界であることを忘れてしまう。

彼女が僕を恐れているからだ。

 

まったく、こんな美少年捕まえて失礼な話である。

 

いつか童貞男子みたいな反応させてやるからな、覚えてろよ桐崎さん。

 

 

……そういえば、昨日鼻血勢だった。

既に達成された目標だったか。

 

 

そうなると、俄然関係修復へのやる気が湧いてくる。

目指せデレデレの桐崎さんである。

 

 

しかし、現状を再確認すると改めて絶望的である。

僕の殺気ってそんなに威力あるのだろうか。

……あるんだろうなぁ。ヤクザの時期当主だもんなぁ。

 

まあ良い、どうにかする策を考えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……やべぇ、何も出ねぇ。

前世のコミュ障引き摺ってるんじゃないかってくらい頭が真っ白だ。

 

こうなってくると、チート主人公達が羨ましい。

僕もニコポナデポとかでサッと即オチさせたい。

 

 

 

 

……仕方ないから僕もナデナデに挑戦してみよう。

こんな恐怖心が刻まれてる桐崎さんが簡単に靡くとは思えないが、やれるだけやってみよう。

 

 

幸い、桐崎さんは食事に夢中だ。

何かから必死に目を反らそうと一心不乱に食器を動かしている。

 

 

 

 

………えいっ!

 

 

ナデリナデリ

 

 

 

 

 

 

へにゃあ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あれっ?あれっ?

 

今、桐崎さんから急激に力が抜けて顔もだらしなく緩んだような……

 

もう一度……

 

 

 

ナデリナデリ

 

 

 

 

 

 

へにゃあ

 

 

 

 

 

 

……マジかよッ!

 

 

 

 

 

 

 

僕は、幸せそうにニヤニヤしている桐崎さんを眺めつつ、暫し頭を撫で続けた。




千棘攻略へ大きく前進したオリ主です。

オドオド千棘卒業も間近かもしれないです。

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