イコセニ   作:中原 千

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活動報告って、アップした方がいいんでしょうか?

企画検討中です。


第11話

僕と桐崎さんの二日目

 

 

 

桐崎さんは日本語の長文に苦戦しているようだ。

 

ティンときた。

ここで助ければもっと心を開いてくれるのではないだろうか。

我ながらありきたりな考えである。

僕って、こんなに殊勝な転生者だっけ?

 

 

 

授業が終わるとすぐに話かける。

 

 

 

 

「桐崎さーん!って、いない?!」

 

 

 

 

凄い勢いでサンクチュアリ(女子トイレ)に逃げられてしまったでござる……

 

仕方ないからメモ書いた付箋を貼って机に入れておこう。

必要だったら読むだろう。

読まなくともそれはそれ 。

所詮、僕が勝手に焼いたお節介である。

 

 

 

 

 

僕と桐崎さんの三日目

 

 

 

「……なあなあ白、」

 

 

「どした?」

 

 

 

体育中に集から話しかけられた。

 

 

「最近、桐崎さんにご執心だけど好きなの?」

 

「ほうほう、コイバナってヤツですか。

いいでしょう。答えて進ぜよう。」

 

 

競技を行う桐崎さんを見ながら言う。

ウムウム、自然な良い笑顔ではないか。

 

 

「好きだな。」

 

 

あっ、目があったら反らされた……

 

 

「なるほど、なるほど。

じゃあ、小野寺さんはどうするの。」

 

 

「もちろん、小野寺さんも好きだよ。」

 

 

 

「……そういや、お前ってそんな感じだったわ。」

 

 

 

「僕は欲張りだからね。」

 

 

 

「そういうトコ本当に尊敬するよ……

刺されない様に気を付けろよ。」

 

 

「むしろ、僕が刺す側じゃないの?」

 

 

「お前の場合特別だよ。

つうか、刺すお前は似合いすぎてて想像したくない。」

 

 

 

「……酷くね?」

 

 

 

「自分の腰に差してる物見ろよ。」

 

(´・ω・`)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕と桐崎さんの四日目

 

 

 

「姐さァん!!

三丁目でまたギャング共が!!」

 

 

「何ィ!?

今週でもう三度目ッスよ!!」

 

 

 

 

……また激化してるのである。

 

それにしても、龍って下っ端にもあの口調なんだね……

 

 

 

 

 

 

さて、朝から物騒な話題で荒んだ心を小野寺さんとの通学で癒すとしよう。

 

「……それで、桐崎さんはまだ僕の事を避けるんだ。

失礼しちゃうよね。」

 

 

「でも、そう言いながらも優しくしちゃうのが一条君の良い所だよね。

桐崎さんのためにノート取ってあげてたでしょ?

見てたよ。」

 

 

 

 

……最近、小野寺さんの聖母化が激しい。

もう正ヒロイン確定かもしれない。

 

えっ?エウリュアレ様(宮本さん)?

もちろん、殿堂入りですよ。

 

 

 

 

 

五日目

 

進展ナシ。

 

 

 

 

六日目

 

今日も今日とて、また桐崎さんに避けられてしまったと思いながら小野寺さんと宮本さんと三人で下校していると、

 

 

ドタドタとうちのモンとギャングが抗争していた。

 

……って、

 

 

「お前ェらァ!こんな往来で危ねェだろうがァ!!!」

 

 

「申し訳ないッス!」

 

 

……晩飯減らしてやろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七日目

 

まだまだ桐崎さんは心を開いてくれそうにないと思いながら家に帰る。

 

しかし、耐久タイムは延びている。

この分だと明日には一分の大台に乗るだろう。

これは長い目で見るべき長期的な問題だ。

 

 

……他にも先伸ばしにしている問題があった気がする。

タスクが増えるのは嫌だなあ。

 

 

そう思いながら家に帰ると親父が玄関で待っていた。

 

 

 

「お、帰ぇったか、白。

ちょいとオレの部屋に来な。」

 

 

 

またこのパターンか。

今度は何だろう。

面白い事を期待しよう。

 

 

 

「いきなり呼んでどうしたの親父?」

 

 

「てめぇもオレ達がギャングとやりあってたの知ってんよなァ。

それが全面戦争になりそうなのよ。」

 

 

 

僕は真剣な表情で聞いた。

 

 

 

「それで、僕はどうすればいいの?」

 

 

 

薄くワラって続けた。

 

 

 

「誰を斬ればいいの?」

 

 

 

親父はニヤリと笑って答えた。

 

 

 

「そう慌てんな。

この戦争を回避する方法が一つだけあってな。

しかも、てめぇにしか出来ねェ事だ。」

 

 

 

なるほど、少し残念である。

せっかく、家宝の刀を手に入れたのだから使ってみたい気持ちもあった。

素晴らしい刀なのだから、お披露目はそれ相応のの相手でなくてはならない。

 

 

 

「実ァ向こうのボスと古い仲でな。

奴にもてめぇと同じ年の娘がいるらしいんだが……

そこで、白よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめぇその子と恋人同士になってくんねぇか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このことに気付いたのは何時からだっただろうか。

 

 

 

 

 

「ねえ、親父。」

 

 

 

 

自己紹介の時?初めて会った時?

 

 

 

 

「ん?どうしたァ。」

 

 

 

 

鏤められたヒントはいっそ出来すぎな位で、

 

 

 

 

「その娘ってさあ、」

 

 

 

 

既に色鮮やかな絵画となっていた。

 

 

 

 

「パツキン?」

 

 

 

 

だから、これから起こることも手に取るように分かるし、

 

 

 

「あァ。綺麗な金髪のスラッとしたお嬢さんだ。

好みか?」

 

 

 

 

まして、それに不満なんてあるわけなくて、

 

 

 

 

 

 

「うん、とっても!」

 

 

 

 

 

 

 

僕は今、どんな顔をしているんだろうか。

 

 

 

 

 

「よしじゃあ入ってくれ。」

 

 

 

 

きっと誰もが見惚れるような笑顔だろう。

 

 

 

 

 

『……だからまだやるって決めたわけじゃ……』

 

 

 

 

 

 

さあ、もうすぐ幕開けだ。

 

 

 

 

 

 

『でも彼、なかなか可愛いらしいよ。』

 

 

 

 

 

 

愉しい喜劇となるだろう。

 

 

 

 

 

『え?!いやいやでも……』

 

 

 

 

 

相手の娘にも楽しんで貰えると悦しい。

 

 

 

 

 

「さあ、この子がお前の恋人になる……」

 

 

 

 

 

幕は上がった、万雷の拍手を!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まだ心の準備がって、

え?……」

 

 

 

 

 

 

 

嗚呼、この世界はやっぱりオモシロイ。




これにて原作一話まで進みました。

他のキャラも早く出していきたいです。

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