イコセニ   作:中原 千

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中原です。

何分初めての投稿でありますので、何かと至らぬことも多いでしょうが、優しめにご教授頂けると幸いです。作者のメンタルは豆腐です。


プロローグ

私の名は一条白、転生者である。

転生といえば何かしらの超常的存在によって行われる場合と前世の記憶を知覚しそれに気付く場合がある。

前者の場合は何らかの異能力、いわゆる転生特典が与えられる場合が多いが残念ながら私は後者である。

 

しかしながら私は新たな自分、新たな人生に、何よりも転生という非日常に胸を高鳴らせた。

 

その後に知ったことなのだが我が家は暴力を生業とする履歴書に書けない職業らしい。

 

さらに、幼少の折に少女達や美人な姉さんと交流し、将来について考えたり、何やら約束をしたりなんとも甘酸っぱい、前世では考えられないような経験をした。

 

ああ何と刺激的なんだ。これぞ思い描いていた非日常だ。と、ここまでは良かった。

 

しかし私には転生を知覚した頃から憧れ続けていたものがあった。

「魔法」である。もしくは超能力といった前世には存在しなかった特別な力がほしかったのだ。

転生があったのだから魔法もあるだろうと自分の中の魔力を感じようとしたり、サイコロを八つ転がして異常性を調べてみたり、魔方陣を描いて我が家の家宝の刀を触媒に英霊召喚しようしてみたりしてみたがどれも上手くはいかなかった。

 

それでも諦めきれずに山で修行をしてどうにか燕返しやら無明三段突きやら修得できないかと四苦八苦したが、ついぞ形にはならなかった。

因みに縮地までは修得できた。

 

 

 

そんなことを続けていたら、幼少の約束という数少ない大事な非日常の記憶まで薄れてきた。 哀しいやら彼女達に申し訳ないやらで感情がぐちゃぐちゃになった。

 

斯くの如く過ごした結果、私が低学年を過ぎる頃には魔法への欲求も落ち着きを見せ前世の知識や修得で身に付けた身体能力でテストやスポーツで無双した。自分の思い描いていた無双と微妙に違うとは思ったがそれなりに楽しい日常を過ごした。

奥底では非日常への想いを未だ燻らせたままで。

 

これが私の略歴であり人物像である。

生まれた時から厨二病であり今も深層心理では厨二病であり続ける誰にも知られたくない恥ずかしい秘密である。

 

それでは、私のつ不甲斐ない見窄らしい内面を語り終えた所で、輝かしい劇的な外面について話そう。

 

日常を拒み、非日常に縋った幼少とは違い、

非日常を諦め、日常を容認した現状である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の名は一条白、凡矢理高校に通う学生である。

学業も充実し、特定の部活には入っていないが運動が得意で好きでもあるため様々な部活に助っ人として参加している。

 

凡矢理高校を選んだのは純粋に家が近かったから、刺激的な面倒事はウェルカムだけど日常的な面倒はお呼びでないのだ。

 

家は大きな声では言えない仕事をしているけど、僕にとっては当たり前だからあまり気にしてない。

 

母さんは家を空けてるけど、父さんは優しいし、組の皆もいるし、友達もいるからあまり寂しくない。

 

昔、夢見ていた事はあったけど、今は特に将来については明確なものはなく日々を楽しく過ごしている。

 

今日はどんな日になるだろうか。


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