「その心臓
貰い受ける」
相手は決まり文句のようにその言葉を口にした。
「──体は剣で出来ている──」
こっちは精神を落ち着かせるために自分を表す言葉を口にする。
「行くぜ、小僧」
「─────フッ」
キィィィン、キィィィンとさっきのサーヴァントと今戦っているサーヴァントが戦ったような音が聞こえる。
さっきのサーヴァントが使っていた双剣の事を思い出す。
あの双剣は干将・莫耶だった。だが干将・莫耶に使い手はいなかった筈。それにあれは複製品だった。
「─────うぁ!?」
「おいおい、小僧考えごとかよ。いくら今の俺が弱ってるからって俺相手に集中しないとはな。舐めてんのかよ」
「いや別に舐めてる訳じゃない。そうだなお前ら相手に集中しないのは死につがるな」
そう言って俺は相手に突っ込んだ。
「───はぁ!」
「いいぜ来いよ。少し面白そうじゃねぇか」
俺は少しずつギアを上げて行く。
だが今の相手はそんなんじゃ叶わない、人外だ。なら俺は俺の戦いをするまで!
「───シッ!」
俺はこのままでは確実に逃げきれずに死に至るだろう。だがそんなんじゃ終わらせない。
終わらせる訳ない!
「はぁぁぁぁ」
「ん?なんだ?なんかするのかよ。でもな、俺がそんなの見逃すわけねぇだろ」
そんなこと分かっている。ただあの剣を作るしかもう方法は少ないだろう。
思い浮かべろ!!あの時見た"剣の丘の記憶"を!!
「投影・開始!!!!」
バチバチッと手の中で音が鳴る。イメージしろ!!最強の自分を!!!!
「はぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!」
「!?おいおい何の冗談だよ。その剣は」
「こいつでお前を倒す!!!」
「けっ、やってみろよぉぉ!!」
さっきよりも音が大きくなり火花が出る。サーヴァントのスピードは早くなっていく。
早すぎて目で追いきれない。奇跡でギリギリとっているようなものだ。
強すぎる。もうやられるのはここら辺で頃合だろう。
仕方ない。ここは学校の中で撃ちたくはないが。
「行くぞ、アイルランドの大英雄!」
「けっ!よく言った!!ならばこの必殺の一撃、受けてみろ!」
思い浮かべるは"最強の自分"!!あの夢で見た、最強の"サーヴァント"としての自分を!!!
『永久に遥か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)!!!!!!!!』
『刺し穿つ死棘の槍(ゲイボルク)!!!!!!!』
お互いの技でぶつけ合う。負けてたまるか。こんなところで、死んでしまったら。死んでしまったら!!
「うぉおぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!!!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
体焼き切れるように痛い。だがこんな痛みどうってことない。あの夢が叶わない、それに比べたら!どうでもいい!!!!
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!」
「くっ!!ぐぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」
「勝ったぜ、クー・フーリン」
「....おう、負けたか。でもな、もうお前は動けない」
「ああそうだよ。あんなの使ったからもう体は使い物にならない」
「じゃあな小僧。案外楽しかったぜ」
俺は....ここで死ぬのか。あぁ、なりたかったな。正義の味方に。誰もが望むヒーローに。
そこで俺は槍を刺されて死んだ。
遠坂side
「ハァハァ、何なのよこれ...」
「さぁな、こんなことがありうるのだろうか」
今、私は言葉を失っていた。目の前の光景に。ランサーと戦っている時、まだ生徒がいてそこにランサーが殺しに行ってしまった。
その時はうっかりがまた、とか考えていたがとにかく追いかけなきゃと思い、探しに向かった。校舎の中に入るといきなり爆発音が聞こえた。
そしてその音の元に行くと、なんと廊下が消えていて、天井まで消えていた。大変開放的になっていた。
「おい、凛。そこに生徒が倒れているぞ?」
「え?あぁ。やられちゃったのか。そうだよね。顔くらいは看取ってあげ───!?」
そこには心臓が貫かれた、私の好きな人がいた。
「───なんで!?何であなたなの!?あの子にどんな顔してあったらいいか分からないじゃない!!あ、そうだ。でもこれはお父さまの遺した宝石...。でも仕方ない、使おう」
「良いのか?凛。そんな小僧に使ってしまって」
「えぇもういいわよ。使ってやるわ!使ってあげるから絶対目、覚ましなさいよ!」
躊躇無くもう使ってやった。あーあこれで勝率がグンッと下がっちゃった。心の贅肉だなぁー。
「─────ん?」
「え?」
「ここは、学校、か?」
「え、えーとそのーこ、ここは校舎の中よ」
私は今、とにかく混乱してた。心臓を貫かれたのにあんな2分も立たずに起き上がるなんて....。
「えーと何でここに、!?思い出した!!そうだ。ランサーと戦ったあとに動けなくなって....!」
「えーと衛宮君?」
「え?なんだ?って!遠坂じゃないか!!」
え?何で?なんでそんなに早く?ていうかランサーってなんで分かるの?なんでそんな言葉知ってるの?
士郎side
死んだはずの俺が目を覚ました。それだけでありえない事だった。隣にいた人を見ると遠坂だった。なんか混乱しているみたいだが。
そうだ!俺はなんで生きて?ランサーに殺されたはずでは?
「なぁ、遠坂」
「なんで、早すぎでしょ。いくらなんでも。人外?おかしいでしょ」
「おい遠坂」
「それにランサーって今言ったわよね。なんで知ってんのよ....」
「おい!遠坂!」
「ひゃう!?あ、え、衛宮くん?な、なに?」
「なんで俺生きてるんだ?」
「え、えーとそれは夢よきっと」
はぁ、そういうことか。
「じゃあ遠坂。俺を魔術で直したのは遠坂か?」
「───衛宮くん、あなた魔術師?」
もとはボブみやは認められなかったが、(見た目)話を聞いて好きになってしまった。