もしも投影品がランクダウンしなかったら   作:プラチナ05

12 / 14
人類の敵を

「言峰!!」

 

殺す。アイツは人類に仇なすものだ。

「フッ、良い殺気だ」

 

そう言って、言峰は構えをとる。

あの構えは確か、八極拳だったはず。面倒なものを覚えていやがる!

 

「投影・開始」

 

投影するのは自分が一番使いこなせる剣。

両方の手には白と黒の夫婦剣。

ここは狭い為、あまりリーチの長いものでは戦いにならない。

 

「うおぉぉぉ!!」

 

突進。突き進む。この身は剣だ、相手を切り裂く剣だ。

 

「愚直にも突進か。私は得物を持っていないというのにか」

 

言峰は笑う。

もう目の前、俺は斬り掛かる。

 

「───ガッ!!」

 

「剣筋の才能は無い、か」

 

「─ハァ──うるせぇ。そんなん無くても俺は!

 

 

正義の味方として

お前を倒す!!!」

 

言峰は一瞬驚いた顔をして、フッと口を歪ませた。

「フッはははははっははは!!面白い、面白いぞ!!衛宮士郎!!!」

 

「何がおかしい!!」

何を笑っていやがる。

 

「いやはや、まさか父親と同じ思想を持っているとは。だが衛宮切嗣とは違う」

 

「なッ────」

 

「お前のそれは呪いのようなものだ」

言峰は嗤う。俺を嘲笑うかの如く。

「違う!!」

 

「気づいているだろう?お前は空っぽだ」

 

「あ────」

 

思考が止まる。否定使用とするが口が動かない。頭が働かない。

その言葉は深く刺さった。

 

「...ああ、そうだ。俺は空っぽだ。あの十年前の大火災で俺は全てを失った。心に穴が空いた。だが、そんな空っぽな俺に切嗣は中身をくれた!それを呪いとか、言うんじゃねぇぇぇぇ!!!」

 

勢いで俺は斬り掛かる。体制など整っていない、ぐっちゃぐちゃのまま。

 

「そこまで落ちぶれるか」

 

言峰は俺に失望の眼差しを送る。そのままスっと拳を俺に向ける。

避けられない───

「シロウ!!」

───頭がクリアになる。避けられないなら、叩き落とせばいい!

 

「ハァァ!」

 

サクッと浅く音が鳴る。それと同時に俺は右にずれる。

何とか回避したが腕を切りつけたというのにそこまでいいダメージにはならなかった。

 

「余所見して余裕かよ!セイバー!!」

 

「くっ!?ランサーァァ!!」

 

「お?いいねぇ!そのやる気!!滾るぜ!!」

 

あっちも中々苦戦している、流石にクー・フーリンというだけあって強い。

 

なら、とにかく早く倒すしかないな。

ドゴン!!と外から凄い音がする。

 

「おっと。お客さんが来たようだ」

 

「お客さん.....?」

 

『グルガァァァァァ』

 

「な!?」

 

「けっ、来ちまったか」

 

来てしまった、あの化け物が。

さっきの音は入口を開けた音だったようだ。

 

「やっほーお兄ちゃん。遊びに来ちゃった」

 

『ガァァァァァァ!!!』

雪の少女は無邪気に笑う。それに応えるかの如く、岩の様な巨人は叫ぶ。

 

「壊しちゃえーバーサーカー!」

 

『ガァァァァァァ!!』

 

ドゴン!!ドゴン!!どんどん壊されていく。

 

「さてどうするか....?」

 

目の前には悪。反対には化け物。

ただ、俺に出来ることはただ1つ。

 

投影・開始(トレース・オン)

 

ただ創るだけだ。




ということで久々の投稿でした。
忘れてしまった人も多いんだろうし、見てくれないかもしれませんが、見てくれたら嬉しいです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。