あと多分次は投稿するかわからないので期待しないでください。
───地獄を見た。
───炎で燃えさかる地獄を見た。
───地獄を見た。
───人の死体が転がっていた。
───地獄を見た。
───この子だけでもと、渡そうとされた赤子は形を失っていた。
───地獄を見た。
───その中で俺は生き残った、生き残ってしまった。
───俺は進んだ。生きるために進んだ。
───そして、正義の味方に救われた。
いきなり光が差し込んでくる。目が慣れなく少し眩しい。
「───っ」
「先輩、起きてますか?」
「...ん。おはよう桜」
「はい。おはようございます、先輩」
いけない、俺寝坊したのか。
「ごめんな桜、遅れちゃって。すぐにキッチンに行こう」
「いえ、昨日も先輩遅かったんでしょう?だから私がやるのでいいです」
「む、なら俺もキッチンで料理がしたい、とかじゃダメか?」
この言い方は少しずるいなと思う気持ちもあったが、桜だけにやらせるわけにも行かないからこう言ってみた。(因みに本音は普通に料理がしたいからです、はい)。
すると桜は少し困ったような顔をして、その後クスッと笑った。
「じゃあキッチンに向かいましょう、と思ったんですが...」
「どうした?」
桜は下を向き、顔を少し赤くさせた。
「その前に先輩は着替えた方がいいかと...」
「───あ」
そう言われて思い出した。昨日は作業中に寝てしまったものだから作業着のままだったんだ。
作業着であるつなぎは汚れていて、この格好のまま家に入ったら藤ねぇになんて言われるか。
「う...なんかまだ目が覚めてないみたいだ。なんか普段にまして抜けているな」
「ええ、そうかもしれませんね。ですから朝食の支度は私に任せて、先輩はもう少しゆっくりしてください。それにほらここを散らかしていると藤村先生に"また"怒られるでしょう」
「そうだな。それじゃ着替えていくから桜は先に戻っていてくれ」
「はい。お待ちしていますね、先輩」
そう言って桜は足早に歩いていく。
ふと、桜の足が止まる。どうしたのだろうか。
「そういえば先輩。その後ろに置いてある"剣"はおもちゃですよね?」
────あ。片付けるのを忘れていた。
「そ、そうおもちゃだよ。これは」
慌てて嘘を言う。自分でもこれは流石に怪しいと思うが。
じーっと桜はこっちを見ている。
「それならいいです。じゃあ先輩来てくださいね。」
今度こそ立ち去った。危ない、バレるところだった。昨日は剣を投影して"47本目を作ったところで確か寝てしまったようだ。それより、早く制服に着替えないとな。
この土蔵は親父には入るのを禁じられていたがよくここに入り親父に習った強化の魔術や"投影魔術"をよくしていた。投影魔術のモデルは夢の中に出てきた黄金の鞘、黄金の剣などが出てきてそれを作っていた。他にも展覧会などに立ち寄って解析してみたりなどしていた。
結果かなり多い数の剣や他のものも投影できるようになっていた。
「まあ、取り敢えずキッチンに向かうか」
と独り言を言いながらキッチンに走って向かった。
キッチンに行くとまだ桜がエプロンを着ようとしていた。
「ごめん桜。少し遅れた」
「いいえ、先輩。少し早かったくらいです」
「そうか?そう言われると助かるんだけど。じゃあ料理するか」
「はい。先輩。」
それで俺達は素材に目を向けた。
「これなら色々作れるな。何作ろうか」
「あ!先輩、これなら────」
料理を2人で言い合いながら何品か作っていった。
「よし、出来た」
「じゃあ皿を並べますね」
「いや、いいよ俺が全部やるよ。起こしてもらったんだし」
「いいえ、先輩?私に任せてください。だから先輩はゆっくり休んでいてください」
「む、そういうわけにもいかないだろ?後輩に任せるなんて。だから先輩の俺に任せろ」
「先輩はここの家主なんですから、どしっと構えて待っていてください」
「いや、そんな─────」
この後もこんなやりとりを10回くらい続けてようやく桜が折れてくれた。
そして皿を並べ終わったあと居間に座った。
「「いただきます」」
今日の朝食は、鶏ササミと三つ葉のサラダ、鮭の照り焼き、ほうれん草のおひたし、大根と人参のみそ汁、ついでにとろろ汁とまでほぼ桜が考えたものだ。
「うん。美味しい」
「はい。美味しいですね」
そこからは無言で、カチャカチャといった箸の音だけが響く。
自然、食事時には静かになる。普段はもう少しうるさいのだが、今はそのうるさい人が静かなので自然と静かになる。
そして時間はすぎ、登校の準備をしていると、桜がテレビをぼーっと見ていた。そこには"ガス漏れ事故,連続"と大袈裟なテロップが打ち出されている。隣町である新都で大きな事故が起きたようだ。現場はオフィス街のビルで、フロアにいた人間が全員酸欠になり、意識不明の重体に陥ってしまったらしい。
またか、どうせこれも"魔術師"の仕業だ。よし、"また"バイト帰りにでも倒しておくか。
「俺達も気をつけないとな」
「大丈夫です、先輩。いつも元栓をチェックしていますから」
「いや、そういう話じゃなくて」
....前から思っていたけど桜は少しずれている。
「それじゃまたな。部活、頑張れよ」
校門で桜と別れるのはいつも通り。
桜は弓道部に所属しているので、朝はここで分かれるようになる。
「..............」
というのに。今朝にかぎって、桜は弓道場に向かおうとはしなかった。
「桜?体の調子が悪いのか」
「........いえ、そういう事じゃなくて......その、たまには弓道場によってきませんか?」
「いや、俺はもう弓道部を辞めたんだ。そこに行く資格はない。それに一成の手伝いだってあるしな」
「そう....ですか」
桜は俯き少し悲しそうに言った。
俺だって少し行きたいという気持ちはある。だけど、流石に弓道からもう降りた身だ。よく顔を出しに行くと迷惑になるからな。
「じゃあ桜。また後で」
「はい先輩。また後で」
別れの挨拶をして生徒会室に向かった。
そして一成との約束が終わって教室に向かった。
「すまん衛宮。もう少しでちこくになってしまうところだった」
「ん。いや大丈夫だ。結果間に合ったんだし、それに俺は遅れても大丈夫だ。むしろ生徒会長の一成が遅れたらまずかったと思う」
「ああ。だからよかった。間に合って」
そう言って一成は席に戻って行った。
「よぉ衛宮。相変わらず生徒会のことを手伝ってるな。大丈夫か?そんなに人のことばっか、偶には自分のこともちゃんと考えろよ?」
「なんだ慎二か。」
「なんだとはなんだよ衛宮。僕はお前のことを心配してやったんだからな」
「いや俺は別に自分のことを考えていないわけじゃないぞ。」
「うーん。ほんとにこいつは自覚がないんだよなー。どうしたらいいんだよこいつ」
「む。流石にそこまで言わなくていいだろ。やりたくてやってることなんだから別にいいんだよ」
「んーまぁそーゆうもんか。まぁいいや。あ、そういえば桜はお前ん家で今どんな感じ?」
「どんな感じか?」
「うんうん」
「いや普通じゃないか?一緒に料理してるくらいだろ」
「それくらいか。で、正直桜のことどう思ってる?」
「後輩じゃないか?」
「いやそういうのじゃなくて...」
「どういうのだ?」
「んー。頑張れ桜」
「?」
等話をしているとホームルームのチャイムがなった。
そこから走り込んできた藤ねぇが転んだり色々あった。
放課後になると一成が話しかけてきた。
「衛宮。この後時間空いてるか?」
「いや、すまないこのあとアルバイトがあるんだ」
「そうかこちらこそ済まなかったないきなり聞いてしまって」
「ああ大丈夫だよ。じゃあ今日はごめんな」
と言ってアルバイトに向かった。
アルバイトが終わり帰宅する。
おかしい。いくら夜だからって人気がここまでないのはそう滅多にない。
おかしいと思っていると向こうの方に人影が見えた。
その人影の正体は少女だった。雪のような白い少女だった。
「早く呼び出さないと死んじゃうよ、お兄ちゃん」
「やっぱりそうか、ごめんな会いに行けなくて。イリヤ」
「え?今なんて?」
「親父にはずっとイリヤの話は聞かされていた。それなのに会いに行けなくてごめんな」
イリヤはいきなり何の話だかわからないようで混乱していたが少し経つと理解したみたいだった。こう見ていると罪悪感が湧いてくる。
イリヤに会いに行ければよかったんだが金が足りなかった。アインツベルンの城は外国だ。親父はなんとか会いに行こうとしていたが会えなかった。
「い、今更何?結局は私を見捨てたじゃない!」
「そうだよな。ごめんな、いきなりわけのわからないことを言って」
そう言うともっと混乱してしまったようだ。どういえばわかってくれるかなと考えても俺の頭では出てこなかった。
「いきなり言われても信じられないわ。そんなこと信じられるわけないじゃない!」
「.....」
俺は何も言えなかった。否、言いたくても喉が声を通さなかった。
「もういいわ!わたしのバーサーカーで殺してあげるんだから!」
「あ!待ってくれイリヤ!」
そう言ってイリヤは肌が黒い大男の方に乗ってどこかに行ってしまった。
危なかった。もう少しで殺されるかもしれない。あんなバケモノに勝てると思えない。多分あれがイリヤのサーヴァントか。あんなのがまた殺しに来たらたまったもんじゃない。いくらなんでも無理だ。
と考えながら帰宅した。
読んでくれた方はありがとうございます。
士郎の設定はいつか書きます。
矛盾点があるなら感想で書いてくれると助かります。
次回は投稿するかわからないので期待はしない方がお勧めします。