この素晴らしいゆんゆんの幼馴染になってイチャイチャしたいだけの人生だった   作:孤高の牛

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愛情表現の一発一発が重たい子は好きですか?


第六話「愛が重たい(物理的な意味で)」

 「らんらん、昨日に引き続き本当にごめんなさい……」

 

 「いやいや、俺はあれくらいどうって事無いさ。寧ろ嬉sゲフンゲフンゆんゆんの手こそ大丈夫だったか?」

 

 「は、はい。私の手なら全く心配要らないと思いますよ?」

 

 「あっ、そうなの……」

 

 あの後、目覚ましが鳴ったと共にゆんゆんが奇声に近い声をあげ俺の顎をアッパーでクリーンヒットしてきた。

 

 あ、そこの貴方。言っておきますがゆんゆんは暴力ヒロインじゃありませんよ?

 ゆんゆんは極度の恥ずかしがり屋なだけで、悪意があったり謝らなかったり、ましてや理不尽な暴力は絶対に有り得ない。

 だから俺だって愛情表現で済ます事が出来るし、耐えられる。

 

 後妙に肌がツヤツヤになっているが、決してダクネスと同族でない事だけはご理解願いたい。

 これはゆんゆんのありったけのアッパー(愛情)を受けたからツヤツヤになっているだけなのである。

 決してあのドMくっ殺セイダーと同じにしてはいけない、いけないのである。

 

 

 と言うか思いっきりアッパーしたのに全く痛みを感じてない拳って、本当紅魔族ってチートだわ。

 

 まあ怪我が無いなら何よりなのだが。

 

 「あ、めぐみん。おはよう」

 

 「らんらんにゆんゆん、おはようです!」

 

 それはともかく、朝の登校時の日常は平和そのものだ。

 俺の前世ではこんな光景、まず有り得なかった。

 あの世界の大半はここと似た様な光景だったのだろうが、俺にはやはりいつ見ても新鮮で、それでいてこの上なく好きなのだ。

 

 「よ、おはよ。それは良いが今日も弁当、少ししか作れなかったけどお前の分とこめっこの分も作っといたぞ」

 

 「いやー、いつもすいませんね。こめっこの分まで」

 

 「こめっこの方がメインでお前はついでだけどな」

 

 「なぁ!? ぐぬぬ……」

 

 知っての通り、めぐみんの家はドが十個くらい付くド貧乏家庭だ。

 だからこうして、作れる日はなるべく二人の為に……こめっこ優先だが、作っている。

 

 めぐみんはもう12歳だがこめっこはまだ5歳、本来大量に栄養を採らねばならない時期。

 そんな子が『もう三日も食べてないんです、食べ物ください』なんて言ってきてみろ。

 

 即オチだ、即オチ。

 

 陥落が早すぎる? 何とでも言え、あのおねだりの仕方が卑怯過ぎるのだ、あんなのチートだよチート!

 

 「もう、らんらん。本当はめぐみんの事もちゃんと心配してるの、私は分かってるんですよ?」

 

 「ぐっ……アイツそういう事言うと調子乗るから、口に出すのは控えてるだけだ……ったく朝っぱらから恥ずかしい」

 

 「……そ、そうやって言われると正直、その。何とも言えない気持ちになりますね……」

 

 本当は面と向かって言えないだけで、コイツの事も妹みたいに思ってるけどな。

 いつもがいつもなだけに、どうも素直に言おうとすると恥ずかしい。

 

 え? これって恋愛イベントじゃないのかって?

 笑止。俺に対して発生する恋愛イベントはゆんゆんのみと相場が決まっているのだ、ましてや妹にしか見れない言動と体型と身長のめぐみんで発生する等、まるであのアホみたいな機動要塞(暴走産廃)デストロイヤーの序でに名前ネタでゴ○ラでも作っちゃった並に有り得ない。

 と言うかアイツ作るだけでも一杯一杯だったのにゴ○ラとか無理ありすぎる話だがな。

 流石にそんな事してたら世界滅亡してるだろうし、そもそもそんな事があったら原作崩壊どころの問題じゃないって話だが。

 

 「え、えっと私こめっこにお弁当渡して来ますね!?」

 

 「お、おう……アイツいくら恥ずかしい状況とは言え、やけに恥ずかしがりすぎじゃないか?」

 

 「……もう少しめぐみんの事、気にしてあげてください」

 

 ゆんゆんに苦い顔で指摘されたが、一体何の事やらさっぱりである。

 やはり女の子同士にしか分からない事とか、あるんだろうか。

 俺はゆんゆんの全てを知りたいと思ってるんだがな……因みに本人に知れたらアッパーやちょっとした魔法で済まない様な事まで知ってたりするけどな。

 

 ……何なのかは言わん、言わんぞ。

 

 「まあ多少は気にしてやるさ……ゆんゆん第一だけどな」

 

 「らんらん……」

 

 「ゆんゆん……」

 

 「はいはーい! 二人共イチャつかない! 全く毎度毎度見てる私の身にもなってくださいよ! 爆裂魔法打ち込みますよ!」

 

 「おっ、嫉妬か? ん?」

 

 「貴方って人はああああああ!! エクスp」

 

 ちょっとやり過ぎたと思った、反省はしている。

 

 因みに勿論だがこの後二人して全力で止めた、俺のプリンは死んだ。

 

 

 

 

 

 「俺のプリンが……」

 

 「もうらんらん、自業自得ですっ。めぐみんの事からかいすぎたからですよ!」

 

 「分かってるって……」

 

  結局めぐみんは怒って先に行ってしまい、二人きりで久々の登校みたいな形となってしまっていた。

 済まないめぐみん、お前の犠牲はプリンでチャラにしてくれ。

 俺はゆんゆんと登校デートに洒落混むのだ。

 

 そこ、ゲス野郎とか言わない。

 

 

 「ちゃんとめぐみんに謝ってくださいよ?」

 

 「へいへい。んじゃ俺こっちだから」

 

 それから約十分後、しっぽりと楽しんだ俺は大満足であった。

 

 因みにここの学校は魔法学校と言い、本来なら『12歳』までの子どもが通う小学校みたいな場所だ。

 因みに教室は男女別になっている。

 俺もここに通ってはいるが、何もまだここで学んでいる訳ではない、俺は『14歳』だからな。

 俺は所謂教育実習生と似た立場にある。

 

 教師より年下で生徒との距離が近く、且つ魔法を簡単に教える立場だ。

 ただ教育実習生と俺が違うのは、俺は将来的に教師になる気は無く、まあゆんゆんの発作の件があるから居るのは構わないから折角だし教えてやってくれと言う、恩師陣たっての希望を快く引き受けた形になっている。

 

 

 ……まさか、学校が嫌いで嫌いで堪らなかった俺が学校でものを教える立場になるとは思いもよらなかったけどな。

 

 まあ、悪くはないし楽しいと思えてる辺り、ここの環境は良いんだろう。

 

 

 「よお、お前ら。元気か?」

 

 ドアを開け……る前から騒がしかったし、元気そうで何よりではあるが一応聞いておく。

 挨拶は大切だからな。

 

 「元気だぜー!」

 

 「おはよー!」

 

 「らんらん、良い事でもあったのか?」

 

 十者十様と言った形で挨拶が飛び交う。

 元気が有り余り過ぎて心配になるくらいには元気に見えたし、まあ平常運転だろう。

 

 「フハハッ、良い事か? 良く気付いたな……今日は運良くゆんゆんと二人きりッ! 登校デート出来たのだ!」

 

 「おー! やるぅ!」

 

 「憧れるなあ」

 

 「男の中の男だ!」

 

 済まないめぐみん、テンションが上がって自慢話をしてしまったが今朝のお前の犠牲は忘れない。多分、きっと。

 

 

 

 さて、そんなこんなで朝の自由時間を過ごし一通り談笑し終えホームルームも簡単に終わり、授業へと移る。

 

 まあ授業とは言っても、名乗り口上と詠唱時の決めセリフ、実践が五分五分くらいの授業なんだが。

 あ、因みに俺は名乗り口上とか詠唱とか大好きです、はい。

 

 「はい、それじゃあ今かららんらんが名乗り口上のお手本を見せてくれます! お前ら良く見てろよ!」

 

 「それじゃあ行かせて頂きます――」

 

 

 「『我が名はらんらん! 何れこの里の守護者となる者! そしてこの里唯一の氷結魔法の使い手!』――みたいな感じでどうですかね」

 

 「うんうん、良いんじゃないか? お前らもしっかり名乗り口上を練習しろよ! それが上達すれば魔法も上達する!」

 

  まあこんな様な感じで名乗り口上をノリノリであげている。

 ただ果たしてこれが魔法の上達に繋がるかどうかは……うん、き、気持ち上手くなるんじゃないか?

 

 それと今サラッと出てきた『氷結魔法』だが、これが俺の魔法属性だ。

 物を凍らせたり、獲物を体内から凍らせて仕留めたり、魔力消費が大きくなるが物を氷に置き換える事も可能だ。

 

 対人戦闘から狩り、冷凍保存まで何でもござれな万能魔法を手に入れられたのは運が良かったとしか言い様が無い。

 

 「さて、この授業はここまでだ。次は詠唱時の決め台詞練習と、実際に名乗り口上から詠唱、打つまでの練習を通してやるからな」

 

 と、言っている内に授業が終わったみたいだな。

 今回は基本的な事しかやらなかったし、俺の出番と言う出番は大して無かったか。

 

 しかし問題はここからである……

 

 「らんらん、今日は死ぬなよ」

 

 「おいまるで俺が毎日死んでいる様な言い方は止めろ……ギリギリ生きてるから」

 

 「ゆんゆんのタックル……ハァハァ、ぼ、僕は受けてみたいかな……フヒヒ」

 

 「おい止めろ死ぬぞ」

 

 「その前にもっと違うとこに突っ込めや」

 

 「だからまるで俺が毎日死んでいr」

 

 そう、昨日話したが一時間に一回でも俺に会えないとゆんゆんは謎の発作を起こすのである。

 俺と言う心の支えが出来た代償なのかも知れないので、その辺は致し方ない事なのだ。

 だからこそ俺はここにいるのだ。

 

 それは良いが、会えない時間が一時間以内でも、長すぎると愛情表現がドギツイ事になる。

 それこそとんでもないタックルみたいな勢いで抱き付いて来たり鳩尾に顔をグリグリしてきたりそのまま叩き付けられるかの如くマウント取られたり、兎に角色んな意味で昇天しかかってしまう。

 

 まあ可愛いし愛情表現だから許しちゃうんですけどね!

 

 ゾッコン過ぎて申し訳ない。

 

 「まあ良い、今日は秘策があるのだ」

 

 「秘策……だと……!?」

 

 「まさか、遂にらんらんが勝ち名乗りをあげる日が……!?」

 

 「その技を盗んで習得すれば、僕にだってゆんゆんのおっぱいタックルを受ける権利が発生するんじゃないか……!?」

 

 「おい誰かこの変態を摘まみ出せ!」

 

 「ええいうるさい! 今日勝って、毎日のコントともおさらばだ!」

 

 そう、今日こそあの有り余る愛情を受け止めきるのだ!

 ゆんゆんの愛情を受け止めきれずに、俺は……俺は死ねないんだよ!

 

 「さあお前ら、良く見ていろ。今日であの忌々しき――」

 

 「あ」

 

 忌々しき日々に終焉を、何て格好付けようとした瞬間、何故か男子諸君から不味そうな声があがった。

 

 一体どうしt

 

 「ゴッハァ!?」

 

 急に腹部にとてつもなく強大な衝撃と激痛が走った。

 バカな……この痛みは間違いなく……い、今までは気配程度なら察知出来ていたと言うのに……

 

 「ゆん……ゆん……」

 

 「らんらんらんらんらんらあ~ん、漸く会えました辛かったですあと少しで発作で魔王軍に単独突げk」

 

 今日も愛情は俺をクリーンヒットしていった、まあ死にかけたが後悔は無い……グホッ。


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