この素晴らしいゆんゆんの幼馴染になってイチャイチャしたいだけの人生だった   作:孤高の牛

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こめっことホーストさんの絡み大好き
ところでホーストさん再登場はまだですかね…

こめっこに『にーさま』なんて呼ばれたら昇天不可避、これは世のこのすばファンなら誰しもが理解出来ると思いますわ


第十二話「パンデミック★病んでミックⅢ」

 「ぜえ、ぜえ……ま、まさかあの後あの二人にあっさり見付かるとは思わなかった……」

 

 こめっこの事が心配だからと意を決して飛び出した俺だったが、その僅か二秒後にはゆんゆんとめぐみん、二人に背を向けて逃走していた。

 軽くどころじゃなくてまあ中々の恐怖体験であった。

 特に追い掛けてくると言うか、そもそも催眠ガスの効果を受けたとしても俺を標的にする理由すらがこれと言って浮かばないめぐみんに関しては既にガチホラー案件である。

 

 何とかフリーズ・ショット……相手の足元に打って踏ませ、踏んだ瞬間魔力を纏った氷が相手の足を覆い固め動けなくする魔法、因みに今回は俺の大事な大事なゆんゆんと、その心友兼俺ともそこそこ仲の良い……多分良いめぐみんを気遣い凍傷を防ぐ術式も組み込んだ魔力消費の高い方のやつで足止めしたがまた何時見付かってもおかしくない。

 

 「てかめぐみんにあのガスが効いたって、もしかして俺に好意が……? ……無いな、とも言い切れないか、現状」

 

 先程めぐみんがガスの催眠に掛かる理由は見当たらないとしたが、保留している候補なら一つだけある。

 それはめぐみんが俺に好意を抱いている、という何とも現実味の無い話だ。

 

 良く考えれば分かるが、アイツが俺に対して異性としての好意的言動を見た覚えは何一つ無い。

 バレンタインデーに関してはあくまで義理チョコ、更に多少俺の発言が災いしたとは言え取っ組み合いになりかけたあれが唯一何とか異性としての好意的言動として見れなくも……微妙なところだが、見れなくもないという事にしておくとしてもそれだけだ。

 

 めぐみんに直接言った事は一切無いが、確かにめぐみんは見てくれは可愛いし、料理も上手くてその他の家事も万能で嫁力は流石としか言い様の無い高さ、食いしん坊なところも可愛いげがある。

 

 だが、俺はめぐみんの事は『手は掛かるけど可愛い妹兼友達』としか認識していない、あくまでそこ止まりだ。

 

 だからそれ相応の接し方でやって来て、異性として好意を抱かれる様な事態になるとは想定しにくい。

 やって来た事と言えば、昔から友達としてつるんで、餌付けして、ちょっと勉強教えて、妹LOVEにさせて、それくらいなもんだ。

 

 やはり分からない、アイツにとって俺の存在は何だと言うのだろうか。

 

 ……まあでも、何もアプローチが無かったという事はまだ運が良かったと言えるか。

 それなら有耶無耶にすれば良いだけの話だ、めぐみんには悪いがその恋心は芽吹く前に地面に押し込んでおいてやろう……原作通りカズマと良い雰囲気になってほしいのと、何よりアイツが傷付かない為に。

 

 「さて、それより結果オーライとは言えめぐみんの家のすぐ近くまで来れたな。後は中にこめっこがいれば良いんだが」

 

 その事は一旦さておき、当初の目的であるこめっこの現状確認が最優先事項だ。

 連れ出して何処かに隠れさせておくか、最悪一緒に逃げる事も視野に入れないといけない。

 正直こめっこを無事に逃げさせる事が出来るか不安ではあるが、こうなれば身体を張って多少の傷は致し方無しと見るより他ないだろう。

 

 「おーいこめっこー、いるかー?」

 

 「にーさま?」

 

 「おお、こめっこ! お前大丈夫だったか!?」

 

 ビンゴ、見事にこめっこは家の中にいた。

 出歩いてたらと思うと青ざめてしまうが、これで何とか一安心出来そうだ。

 

 「……だいじょぶじゃない、おなか空きました」

 

 「ふぅ……食料はお兄ちゃんが持ってきたよ、だから取り敢えず開けてくれ」

 

 大丈夫じゃないと聞いて一瞬ドキリッとしたが、空腹と聞いてホッと胸を撫で下ろす。

 ああ、こめっこはこの状態でも至って平常運転だった。

 

 「わかったー。ホースト、開けてあげて」

 

 「チッ……分かっt……分かりました」

 

 「おいちょっと待てや」

 

 しかし、めぐみんの家からまさかの声が聞こえてきた。

 知らない奴ではない、寧ろ親しい仲と言えばそうなるが、このタイミングで聞こえてくるのはおかしい。

 そもそもだが、当たっていればこの声の主はこの前、ゆんゆんとめぐみんに倒されているはずだ。

 

 「よぉらんらん、久々じゃねえか」

 

 「ええ……おまっ、やっぱホーストじゃねえかよ! この前の感動的な別れみたいなの何だったの!? あの感動を返せや!」

 

 「ハハッ、言ったじゃねえか……俺は将来的にコイツの使い魔になってやるってよ。だから、その、なんだ……約束を果たす為に、死なれたら困るからちょっと手ェ貸してやってんだよ」

 

 「はぁ……ま、良いよ、こめっこを守ってくれてありがとな。今度はアイツ等に見付かんなよ」

 

 コイツは悪魔のホースト。将来的にこめっこの使い魔になる事を約束し、俺ともそこそこ仲が良い自信家だけど気の良い奴だ。

 だがこの前、ボロボロになったホーストを見付けた時に『多分、もう暫くは会えねえな』なんて言って、そして倒されてったはずなのにそこからあれか、ものの少しで復活してるのは何のギャグだと小一時間問い詰めでもしようかと思ったが、こめっこを守る為にこの短時間で急いで復活してくれたと思うと、許してしまう。

 

 「そうだな……コイツが大体あの爆裂娘くらいにまで成長するその時までは、あの遺跡でのんびり暮らすとでもするか」

 

 「う~、にーさまごはんまだー?」

 

 「お、わりわり。取り敢えず残り物の肉じゃがしか無かったけど、良かったか?」

 

 「うん、ありがとにーさま。だいすきー」

 

 「あ^~」

 

 「おいらんらん、昇天しかかってるぞ……」

 

 それは兎も角相も変わらずこめっこが天使過ぎる件。

 俺はもう自分の中では認めざるを得ないロリコンだが、ロリコンでなくともこめっこの天使っぷりは分かるはずだ。

 最早そこに言葉など必要無い、ただひたすらに心をぴょんぴょんさせれば全て伝わるのだ。

 

 五歳の女の子になにデレデレしているんだって? 甘いな、兄たる者妹が可愛くない人間等存在し得ない、更に直球で好意を伝えられて嬉しくない、そんな事ある訳が無い。

 

 「ゴホン……どう、美味いか?」

 

 「おいしーよ、やっぱりにーさまの料理が世界一!」

 

 「良い……最高だ……!!」

 

 「惚けるのはこのパンデミックを止めてからにしろよ……お前こそ見つかっても知らねえぞ」

 

 「うっ……分かったよ、それじゃ俺は行くけどちゃんと守っといてくれよな」

 

 「ハッ、この俺様がそう何度も殺られるかっての」

 

 こめっこにデレデレし過ぎたせいで当初の目的を忘れるところだった、俺はそろそろここには居られなくなるだろう……何せあの二人の超強力連携プレイならもうすぐここを嗅ぎ付けてもおかしくはない。

 

 俺はホーストと軽く拳をぶつけ合い、外へと舞い戻っていった。

 

 

 

 

 

 「しかし、解決方法が分からないんじゃいつまで経とうともジリ貧のいたちごっこじゃねえか……」

 

 外は相変わらずパンデミック状態が続いていた、俺と同じく持久戦に回った連中が何とか生き残ってるらしい。

 勇敢に立ち向かった連中は……うん、見事に二コマ漫画オチの如く全滅している。

 

 ところでこめっこ達と別れた後、ぶっころりーを見掛けたがさめざめと泣いていたのでそっとしておいてやった。

 きっとそけっとさんが来なかったか、鉄の精神力でガスに耐えきったかしたのだろう、可哀想に。

 

 まあそれは良いが、何をすればこの騒動が終わるのかが分からない限り迂闊な行動が出来ない。

 

 「ん? ……あれは、ウィズさん!?」

 

 そう思っていると、何人かの女の人の足止めをしているウィズさんに出会した。

 しかしウィズさんには効いてないみたいで安心した、もし効いてたら終わりだった。

 

 「おーいウィズさーん!」

 

 「らんらんくん、無事だったんですね! 良かったあ私のミスで誰かに何かあったらと私気が気で無くて……」

 

 確かにウィズさんのミスでこうなったのは事実だが、来る途中で沸いたモンスターをしっかり駆除してくれるし、里のみんなに魔法のアドバイスやスキルを覚えさせてくれたりと助かってるし、何より派手好きお祭り騒ぎ好きの紅魔族と言う人種も相まって恨まれたり好感度が下がる、なんて事にはそうなりはしないだろう。

 

 「それより、一旦逃げましょう! 足止めしてても埒が空きません!」

 

 「そ、そうですね!」

 

 

 

 

 

 

 「い、一応ここまで来れば大丈夫か……」

 

 「本当にごめんなさい、私のせいでこんな事に……」

 

 「いやいや、いつも色々お世話になってますし、まあ大丈夫でしょ、多分」

 

 申し訳なさそうに語るウィズさんだが、此方としてはそこまで重い事でも無し、更に言えばめぐみんの様な好きと言う感情を表に出してない人も同じく感染しているのならば、男としてはその気持ちを拾ってあげたりする事が出来る。

 

 ……俺はヘタレだから、めぐみんの気持ちは拾ってあげられないが、な。

 

 「そう言ってもらえると、多少は心が落ち着きます」

 

 「それなら良かったです。……ああそうだ、そう言えばこれ収める為の方法とかってひょいざぶろーさんから聞いてませんかね? 何とかしないと俺の命がまずいんですが」

 

 ところでこの逃走中、一度もひょいざぶろーさんを見掛けてない為に今ウィズさんと会えた事で、漸く手掛りみたいなものを持ってる人と合流出来た事になる。

 正直良くそれまで逃げ切れたものだと思う。

 

 当のウィズさんはと言うと……何故か顔を赤らめ、物凄く申し訳なさそうな表情でこっちの様子を伺っていた。

 

 おい待てどうして不味そうな雰囲気になってるんですかね……嫌な予感しかしないんですが。

 

 「え、えーと……その。とても話しにくい事なんですが……」

 

 「それでも俺は、ゆんゆんを元に戻したいんです……教えて、もらえませんかね」

 

 やはり何かしら不味い展開にはなるらしい、だが俺はそんな事で躊躇っていてはいけない、いけないのだ。

 ゆんゆんの為なら例え火の中水の中、地獄の果てにだって赴いてやろう。

 

 「……分かりました。ですが、相応の覚悟はしてもらわないといけないと思います……大丈夫ですか?」

 

 「ゆんゆんの為なら、この命すら省みない志です」

 

 ふぅ、とウィズさんが大きく息を吐き出す。

 どうやら本当に覚悟しないといけない事案らしいが、もう腹は括った。

 

 何だって来いや。

 

 

 「みんなを助ける方法、それは……」

 

 

 「それは?」

 

 

 「それは……」

 

 

 「…………」

 

 

 

 

 

 「…………好きな人への唇へのキス、です」

 

 

 

 

 「………………はい?」

 

 

 

 どうやら俺には幻聴が聴こえてしまったらしい、とても疲れている様だ……

 

 「え、その、それって何かの」

 

 「冗談ではないです、本当にこれしか方法がないんです……」

 

 

 

 幻聴ではなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 その後の事は良く覚えていない。

 


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