この素晴らしいゆんゆんの幼馴染になってイチャイチャしたいだけの人生だった   作:孤高の牛

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今回は待望のウィズさん登場

ウィズさんのおっぱいでパフパフされたい…されたくない?


第十一話「パンデミック★病んでミックⅡ」

 おもむろにドアが開かれる、この時間帯めぐみんの家は一応、本当に一応ではあるが営業時間内だ。

 来るとすれば俺達の様な店の事には一切関係の無い奴等が殆んどだが、今回ばかりは違っていた。

 

 

 「こんにちは、ひょいざぶろーさん……あっ、それにらんらんくんにゆんゆんちゃん、めぐみんちゃんも」

 

 「おお、いらっしゃい。また新作が何個が出来たんだ、見ていってくれよ」

 

 「ちっすウィズさん、お久し振りっす」

 

 「ど、どうも……」

 

 「また買いに来たんですね、全く物好きな」

 

 たまーにこのトンデモ魔道具を買いに来る物好きな人がいるのだ、そしてその中でも一番頻度が高いのがウィズさんなのである。

 

 ところでウィズさんは、実はあの魔王軍の幹部の一人であるが幹部らしい行動は何一つ取っていない。

 まあこんな優しい人が魔王軍幹部と言ったところで、まず誰も信じないだろうがな。

 そもそも幹部と言ってもほぼ中立寄り、魔王軍やモンスターを倒して生計を立ててる冒険者以外を殺す事を絶対に良しとせず、殺した場合魔王軍でも容赦しないらしい。

 

 そんな優しくて、アンデッドになった今でも人間が好きな非の付け所が無い……様に見えるウィズさんだが致命的な問題点が二つある。

 

 一つはお察しの通りセンスが壊滅的なひょいざぶろーさんのところにわざわざ来ては魔道具を買い占めていく致命的な魔道具センス。

 但しこれはめぐみんの家の生計の約九割以上を占めている為、一概に悪い事とは……いや、ひょいざぶろーさんがどうにかなれば済む話ではあるけどな。

 

 そんな訳でめぐみんはウィズさんに対して何とも言えない気持ちなそうな。

 勿論人間性やら何やらが良いのは分かってるんだがな。

 

 んで二つ目は商売センスも壊滅的だと言う事だ。

 そもそもウィズさんは、アクセルで魔道具販売を行っている。

 そこで、ひょいざぶろーさんから安く仕入れてアクセルの街でそこそこの値段で売り捌く……一見すれば悪くない商売方法だが商品が致命的に売れない、当たり前の話ではあるが。

 

 「新作ですか? 楽しみですね、是非仕入れさせていただきます」

 

 「……ほんと、良く懲りないよな」

 

 「今日はバニルさん、来てないんだ……」

 

 「そう言えばあの愉快な悪魔はゆんゆんの数少ない友人の一人でしたね、悪魔ですが」

 

 「数少ないって言わないでぇ!」

 

 新作に目がないウィズさん、何故毎度毎度売れないのに売れると信じてしまうのか。

 

 そしてバニルと言うのは、ウィズさんとゆんゆんの数少ない友人でもある。

 バニルもウィズさんと同様肩書きは魔王軍だが、ほぼ不干渉である。

 そんなバニルは、ウィズさんと魔道具店を共に経営していて度々来ていたりもする。

 ゆんゆんはそこでバニルと友人になったらしい、どうしてなれたのかは分からんが取り敢えずあの悪魔、悪い奴では無いしゆんゆんも何だかんだで嬉しそうだから良いんだが。

 

 「そんな事言って、その少ない中に入れてるのが嬉しい癖によ、めぐみんは素直じゃねえなあ」

 

 「なあっ!? そ、そそそそそそんな事無いじゃあないですか!」

 

 「……う、嬉しくないの? 私と友達な事……」

 

 「い、いやいやそう言う事じゃなくてですね!?」

 

 「ククッ安心しろゆんゆん、そいつ照れ隠ししてるだけでお前の事大好きだからよ。顔真っ赤で誤魔化してもバレバレだっての」

 

 「ぬああにおぉ!? ……ま、まあ嘘かどうかと言われれば、その。否定はしにくいですが」

 

 「ありがとうめぐみん! 大好き!」

 

 「ふふ、みんな仲良しですね」

 

 「はぁーあ。本当にそうですね、溜め息出るくらいめぐみんに焼き餅焼いちゃいますよ」

 

 大好き、なんて言われてゆんゆんに抱き着かれてるめぐみんを見ていると本当にそう感じる。

 女の子同士の友情だし俺が嫉妬する事なんてありゃしないのだろうが、ゆんゆんのめぐみんへの好感度が余りに高い為何かめぐみんがムカつくとまでは行かずとも対抗心が燃えたぎってくるのだ。

 

 「……フッ」

 

 「おいめぐみん、何で勝ち誇った様な表情と嘲笑をしやがった。ドロップキック喰らわすぞロリっ子」

 

 「誰がロリっ子じゃボケエクスプロージョン打ちますよ」

 

 「それだけは勘弁してくださいお願いします跡形も無く吹き飛ぶからマジで勘弁してください」

 

 そう言えばめぐみんは、数ヵ月前に爆裂魔法を習得している。

 原作同様それ以外の全ての魔法を捨てて手に入れた待望の爆裂魔法故にか、一日一発が限度のそれを一日一発必ず自己満足でぶっぱなしている、主に平地か雑魚モンスターに。

 

 はっきり言って宝の持ち腐れ過ぎる、原作知ってるから今更だけど。

 

 「あ、ひょいざぶろーさんひょいざぶろーさん、これ下さい!」

 

 「おっ! お目が高いねえ、それは女の人の中に眠る男の人への愛情を爆発させるガスなんだ。だから厳重にビンに保管してあるって事だ」

 

 とまあ俺達がコントをしている内に、何だか商談の方はいつも以上に怪しい方向へと向かっていた。

 

 愛情を爆発させるガス、更にビン保存って単語だけでろくな目に合わなさそうである、使わずウィズ魔道具店のオブジェクトとなる事を願う他ないだろう。

 きっとバニルでも同じ事を願っていたに違いない。

 

 (あと一歩告白に踏み出せない私も、その中に眠る愛情を爆発させればゴールイン……い、いやいやそんな事しちゃダメよゆんゆん、私は私の意志で告白するんだから)

 

 「ん、何かブツブツ喋ってるけどどうかしたのか?」

 

 「え、えっと、だ、大丈夫ですっ! らんらんには関係の無い話ですから!」

 

 しまった、ウィズさんとひょいざぶろーさんを警戒し過ぎたせいでゆんゆんの一人言が聞こえなかった……

 いや、何も無いとは思うんだが何故か悪寒と言うか、嫌な予感がしてならないのだ。

 何か今後のフラグに直結する事を言っていた様にも聞こえたが……聞き出せそうにもないか、残念。

 

 

 

 まあ、大丈夫だろう。

 

 

 

 「それじゃあ、ありがとうございました。今日はちょっと用事があるので、このまま帰りますね」

 

 「また暇な時にでも魔法、教えてください」

 

 「勿論です! 可愛い愛弟子ですから。ゆんゆんさんとめぐみんさんも、さよなら」

 

 「はい、また何時でも来てくださいね」

 

 「あ、あはは……そうですね、また来てください」

 

 いつもの様にウィズさんの見送り、何でも今日はバニルさんと用事があるのだとかで魔法の特訓を見てもらう事は出来ないが、まあ仕方の無い話だろう。

 また次の機会に教えてもらうとしよう。

 

 見送るウィズさんの後ろ姿は、やはり何処か風格があって少し格好良くも――

 

 「あっ」

 

 格好良くも見えた、そう思い掛けたその時ふいにウィズさんの身体が前のめりにバランスを崩す……と同時に盛大にコケる。

 

 何とも締まらない、しかしその人らしい感じもあり微笑ましく思える……はずなのだが。

 

 何かとても、とっても嫌な予感がする。

 

 そしてそれは的中していた。

 

 「…………」

 

 「…………」

 

 「……ビン、壊しちゃいました」

 

 「…………ん?」

 

 数瞬の沈黙の末、ひきつった顔で壊れたビンを見せるウィズさん……って

 

 それが壊れたって事は、中は確実に漏れだしてると言う事な訳でして……ゆんゆんとめぐみん、二人が吸ってたら不味い!

 

 「おいゆんゆん、めぐみん! それ絶対吸うなよ!?」

 

 「はい、大丈夫ですよらんらん」

 

 「そうです、ちゃんと息は止めてました!」

 

 何とか防御結界を即座に張り、二人に問い掛ける。

 因みに咄嗟に掛けた為詠唱は省略している、当たり前だよなあ?

 

 しかし二人共無事そうで何よりである。

 

 「だから……ワタシトキセイジジツヲツクリマショウ?」

 

 「ワタシ……ランランガホシイデス……」

 

 「あ、駄目だこりゃ」

 

 前言撤回、清々しいまでに手遅れだった。

 

 と言うか何故にめぐみんまで掛かってるんだ、強力すぎて効き目が暴走でもしたのかよ傍迷惑過ぎるわ。

 

 「ランラン、ズットワタシトイマショウ?」

 

 「……」

 

 しかしあれだな、愛が重たすぎるなゆんゆんは。

 うむ、今日も今日とて可愛いなあゆんゆんは!!

 

 でも無言で涎垂らして近付いてくるめぐみんは何なんですかね、俺はシマウマでアイツは虎かライオンかよ。

 俺の方が食われるのかよ。

 

 「そんな事考えてる場合じゃねえよ! かなりヤバイよこれ!?」

 

 ジリジリと近付いてくる二人、目にハイライトが無い。

 実にヤンデレであった、てか愛情爆発ってヤンデレ状態の事かよ。

 

 そんな冷静な分析をしながら、取り敢えず捕まったらヤバそうなので全力疾走で逃げる事にした。

 

 「っておい待て君達さっきそんな物持ってなかったよね!? ピコピコハンマー!? それどっから出したんだよ!? あとこの世界にもピコピコハンマーあったんだ!?」

 

 しかし逃げてる途中、ふと振り向くと二人して何故かピコピコハンマーを片手に振り回しながら全力疾走で追い掛けてきていた。

 

 下手なホラーよりよっぽどホラーだった、ちょっとだけ……いや結構ゆんゆんにピコピコされたいと思った事は押し込んでおく。

 

 しかしピコピコハンマー……ヤンデレ……待てよ、この設定何処かで……前世、そうだ前世の何処かで見覚えのある設定なんだよな。

 

 ……何故か思い出したらいけない気がした。

 

 まあ良い、兎に角ここは二人を撒かないといけない。

 

 またナンセンスな無詠唱魔法になってしまうのは心苦しいが、自分の命の方が惜しいから我慢しよう。

 

 「アイス・スモッグ!」

 

 スモッグと言ってはいるものの、ただの白い霧に軽度の催眠術式を織り交ぜて迷わせる攪乱魔法だ。

 

 これでもたかは知れているが、撒くだけなら何とかなるだろう、発動が上手く行ったのを確認し終える間も無く全力疾走で二人から出来るだけ遠くへと逃げる。

 

 

 「ふぅ、ふぅ……何とか一旦は撒いたか。しっかし改めて見ると……感染酷いなこれ、パンデミックだわ」

 

 五分後、大分撒いたと思った俺は一旦息をついて身を潜め、辺りの惨状を確認する。

 

 聞こえてくるのは男達の悲鳴と女性達の執念に駆られた声。

 正直怖すぎてチビりそう何ですけど、誰か助けてください。

 まあそんな半分冗談な事は置いといて、一つ気掛かりな事がある。

 

 それはこめっこの事だ。

 

 こめっこは他の子より栄養不足な為、このガスで体調を崩していないか自称兄である俺としては非常に心配でならない。

 

 「まあ余程の事は無いとは思うが」

 

 有毒なガスではないと思う、だからあまりそう言う事は想定しにくいが念の為だ。

 

 「待ってろよ……今お兄ちゃんが行くからな!」

 

 手には既に食料が握られていた、出所に突っ込んではいけない。

 


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