ライバルを超えるために幻想入り   作:破壊王子

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この小説はドラゴンボールと東方projectの二次創作です。

なんかハイペースでここまできてしまったのですが、内容が薄すぎてカルピスになってないか心配です。


【第8話】己の限界

 

 

 

 

 

紫はベジータに力の封印をさせてほしいと言った。

何のために?

それがベジータにはわからない。

 

 

 

「力の封印だと?」

 

 

「ええ、もちろん貴方の全ての力を封印することはできないけど… まぁ修行をするのであれば全ての力を封印する意味はないしね」

 

 

全ての力など頼まれてもベジータが許可する筈はない。

まずそんな事出来るのかすら怪しい。

 

 

「…」

 

 

ベジータは考えた。確かに幻想郷(ここ)の強者たちと闘うにあたって、実力が拮抗してるに越したことはない。

 

しかし、もし自分より強い相手が出てきたとき…自分は本来の実力を出しきれずに敗北することになる。それは誇り高いサイヤ人であるベジータにとって屈辱的なことだ。

 

暫く考えた後、ベジータは決断した。

 

 

 

「いいだろう」

 

 

ベジータは結局力の封印をすることにした。幻想郷には自分を超えるやつなどいるはずがない、そう確信していたからだ。

 

なぜ『力の封印』をするのかという理由は訊かなかった。紫が何か企んでいるとしても、何の問題もない。つまり絶対的な自信があったからである。

 

 

 

「…ありがとう。 でも力を封印するにしても貴方はトップレベルに強いと思うわ。だからやりすぎだけには注意して頂戴。幻想郷を護るのが私の使命でもあるから」

 

ベジータは考えていた。『力の封印』』をして修行をしているうちに己の限界を超えることができるかどうか。つまりスーパーサイヤ人2の壁を破れるかどうかを。

 

 

「やるなら早くやれ。オレはヒマじゃない」

 

 

「わかったわ。 藍!」

 

 

 

 

「はい」

 

 

紫の呼び声を聞くとすぐさま紫の式神である八雲藍が現れた。

狐の耳、尻尾が生えていたが、全体的に見ると人間達の容姿に近い。

 

 

 

「早速取り掛かるわよ」

 

 

 

 

 

 

こうしてベジータは、紫の一言により『力の封印』をすることになった。

他の誰の為ではなく、〝己の為〟に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『力の封印』中に、関係のない霊夢と魔理沙は、お茶を飲みながら話をしていた。幻想郷の住人には、この光景は見飽きたほど見ているだろう。

 

 

「なんかあいつらの言ってることよくわかんないよな。魔人なんちゃらだとか〜」

 

 

魔理沙は先程の話を上手く理解できなかった様子だ。それも当たり前と言っていいだろう。ベジータなど、普通に過ごしていれば一生会うことのなかった者なのだから。

 

 

「そうね。でもあのベジータが相当強いって事はわかったわ」

 

 

一方霊夢は要点だけは掴めている様子だ。ベジータの底なしの強さを感じ取っていたのだ。

 

 

「そうだな!なんたって私に勝ったんだからな!」

 

 

えっへん!と魔理沙は胸を張った。霊夢はいちいちツッコむのがめんどくさいのでスルーしておいた。

 

 

「…でもおかしいと思わない?これから幻想郷の強者たちと戦うって人にいちいち力の封印をさせるなんて」

 

「そうか?そのくらいベジータが強いって事だろ?」

 

 

魔理沙のいうことも霊夢のいうことももちろんわかる。

 

 

「それはわかるんだけど…なんかモヤモヤするのよね。なんたって紫だし」

 

 

「まぁそれは同意だな」

 

 

 

しかし唯一引っかかるのが、八雲紫という存在だ。

紫は常に何かを企んで行動していることは、幻想郷の殆どの者がしっている。故によく警戒されるのだ。

 

 

 

 

 

 

「人聞き悪いわね」

 

 

封印が終わったのだろう。紫たちは戻ってきた。

時間にすれば10分と経っていないだろう。

 

 

「あらもう終わったの?早かったわね」

 

 

「まあね。 …ベジータ、気分はどうかしら?」

 

 

『力の封印』中のベジータは、ただ魔法陣のようなものの中で立っていただけだ。それ以外は何もしていない。

 

 

「あまり変わった気はせん。だが〝気〟を高めたら嫌でもわかるだろう」

 

 

ベジータからすると特に変化はわからなかった。恐らく戦闘時になれば何かわかるだろう。

 

「…そう。 じゃあ私たちは用が終わったから帰るわね」

 

 

やるべき事が終わったと言わんばかりに紫はそそくさと退散しようとする。

そんな紫を、ベジータが「待て」と呼び止めた。

 

 

 

 

「封印を解除する方法を教えろ」

 

 

ベジータは万が一、の事を考えて問いかけた。当たり前である。

むしろ紫の口からそれが出なかったのが不思議な程だ。

 

紫はベジータをジッと見つめる。その眼からは何を考えているか全く予測、予想がつかない。

黙り込んでいた紫は、急にニコッと笑って口を開いた。

 

 

 

 

「そんなの簡単じゃない。自分の限界を超えればいいのよ♪」

 

 

紫は満面の笑みをして言った。それがどういう意味なのか、ベジータ、霊夢、魔理沙は全くわからない。

 

 

 

 

「…なんだと?」

 

ベジータの目つきが鋭くなる。

これはベジータが『気に食わない奴』を見る時の目だ。

 

 

 

「貴方言ったわよね?異世界からまた戻ってくるには限界を超えて次元に穴を開ければいいって。

 

この封印は私からは解けないわ。解くとしたら貴方自身が今までもっていた力の限界を自分の力で超えるしかない。

…元から超える気だったんだから別に問題はないでしょ?」

 

 

 

 

紫の言っている事は滅茶苦茶であった。要は戻る確証はないのに念のために封じさせたのである。

それに言い方も軽く、これではベジータが怒っても仕方ない。

 

 

 

「紫…アンタ自分が何を言ってるのかわかってるの?」

 

「そうだぜ!もしベジータが限界を超えることが出来なければどうするんだ!」

 

 

これに関しては霊夢も魔理沙も黙って見ているわけにはいかない。

何か紫も考えがあってのことだとは思うが、それの説明すらもない。

 

 

「その時はその時ね。ベジータがその程度だったっていうだけじゃないかしら」

 

 

「アンタッ…!」

 

 

あまりにも自分勝手すぎる紫に、霊夢は怒りを覚え食って掛かろうとした。

 

 

 

「待てッ!!!」

 

 

しかしベジータの大声で霊夢はピタッと止まった。ベジータは何故ここまで冷静でいるのか、霊夢はわからなかった。

 

否、ベジータは冷静ではなかった(・・・・・・・・)

 

あまりの憤怒に、一度大声を出さなければ、今にも紫を消し飛ばしてしまいそうなだけだったのだ。

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

 

ベジータは息を吐く。ここでやっと冷静になれた。

 

 

「何をそこまで焦る必要がある? …他の奴にも言ったがな、オレはここに闘いにきたんだ。

 

己の限界を超え!さらに上を目指すために! …そいつが何かを企んでいることはわかっていた。だがッ!そんなことはオレには関係ないッ!」

 

 

 

「!!」

 

 

霊夢と魔理沙はこの一言に驚いた。

ベジータは、自分が限界を超えることが出来ない場合のことなど全く考えていない。前、いや上を。自分のさらに上を目指す事だけを考えてた。

これ程までの向上心を持つ者など、幻想郷には数える程もいないだろう。

 

 

 

「オレは必ず己の限界を超えてみせる。

オレが限界を超えた暁には、八雲紫…その時はきさまで力試しをするとしよう。 殺さん自信はないがな」

 

 

「…」

 

 

紫は黙って聞いている。紫の式の藍は、ベジータを最大限に警戒して見ていた。

 

 

「フン オレはもう行く… 待っていやがれ。オレの更なる力を」

 

 

そう言い残してベジータは凄いスピードで何処かへ行ってしまった。

ここで手を出さなかったのは、ベジータの大きな成長だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紫…アンタ一体何を考えてるの?」

 

 

「…いきなりきてごめんなさいね。今日のところは引き上げるわ。 …藍」

 

「はい、わかりました」

 

 

謝罪だけで質問には答えない紫。2人は先程のスキマで、帰ろうとしていた。

 

 

 

「ま、待てよ紫っ!」

 

 

「またくるわ。 じゃあね」

 

 

ヒュウン…

 

 

 

魔理沙の呼びかけも無視して、2人は帰った。この場には謎だけが残ってしまった。

 

 

 

「…行っちゃった。あ〜!何が何だかわかんないぜ!」

 

 

「(紫…)」

 

 

 

結局2人は何も理解できぬまま終わってしまった。

霊夢は、帰り際に少し哀しそうな顔をしている紫の様子が気になって、何とも言えない気持ちになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ!胸糞悪い女だったぜ…!」

 

 

ベジータは愚痴を吐きながら強い〝気〟を探して飛び回っていた。

これからどうするか、全くプランを立てていない。

 

 

「…あそこからデカい〝気〟がいくつか感じるな…まずはあそこに行ってみるか」

 

 

 

 

目的地を決めたベジータ。

その目線の先には、真っ赤な館が不気味に(そび)え立っていた。

 




はい、第8話でした。 そしてここで1章が終わりです。

紫をこんな役回しにするのは胸が痛みましたが…こうするのが1番だと思い、涙を飲んでやってみました。

次から2章が始まるのですが、皆さんに少しでも面白いと思ってもらえるように頑張るのでどうかよろしくお願いします。

あとこれまでの話を見てきた中で、良いところや悪いところ、気になったところがあったらコメントお願いします。

ではここまでお疲れ様でした。ありがとうございます。

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