原作では1回くらいしか出番のなかったギャリック砲…
ゲームでは幾度とお世話になりました。
ベジータと魔理沙が睨み合っている。それもそのはずだ、これから闘いが始まるのだから。
場には緊迫した雰囲気が漂う
「用意はいいか?」
ベジータが魔理沙に問いかける。
「お前こそできているのか?私に負ける用意がな!」
冷静さを取り戻していたベジータはむしろこの展開になって好都合だと思っていた。
どちらにせよ幻想郷の強敵全員と闘うつもりでいたため、霊夢が先であろうと魔理沙が先であろうと関係ないからである。
「(なんやかんやいって相手はただの外来人だ。テキトーに一発食らわせてダウンさせればもう刃向かってこないだろ )」
「じゃあいくぜ!」
掛け声とともに魔理沙はすごいスピードでベジータの背後に回り込み、一撃を放った。
とても細腕の女の子が繰り出す拳打とは思えない。
「容赦ないわねあいつ…」
霊夢は座ったままお茶すすりながら見守っていた。
「どうだ!もうこの魔理沙様に刃向かうんじゃ…」
言い終わる前にベジータが振り向いた。けろっとしており、まるで効いていなかった。
「今のが全力か?」
「!!」
魔理沙は驚いた。いくら腕っぷしが強い人間でも今の攻撃を受けてなんともないはずはない。そう考えているうちに今度はベジータが攻撃を仕掛けてきた。
「なんだ? 手を…」
「ふんっ」
ベジータの手から気弾が放たれた。
「っ! 」
魔理沙は気弾を危機一髪でかわした。
スピード、威力共に
「(スピードと威力のある弾幕…あの人ただ者じゃなさそうね)」
魔理沙だけでなく霊夢も内心驚いていた。
「弾幕が打てるのか…正直甘くみすぎていたぜ」
「さっさと本気でこい。でなければ相手にもならん」
ベジータは腕組みしながら魔理沙に言う。
その時、ベジータの
「言ってくれるぜ…だが弾幕の勝負なら外来人に負けるわけにはいかないんだぜ!」
そう言うと魔理沙はすごい数の弾幕を放ってきた。しかしベジータはそれを見切って丁寧にかわしていく。
「(くそっ!簡単によけてくれるぜ! あいつホントに何者なんだ!)」
「そんな攻撃ではいつまでたってもオレには届かん」
避けながらベジータは言う。その通りだ。
この程度の攻撃では目を瞑っていたってベジータなら躱せるだろう。
「まだだぜ! 《 魔符「スターダストレヴァリエ」》」
「ほう?」
星の形をした弾幕がベジータに襲いかかってきた。先ほどよりもスピードでも威力もある弾幕である。 先程よりも凄まじい量であるためベジータもよけきれずダメージを食らう…と思った刹那。
「はあああああッッッ!!」
「な、なんだっ! くっ!」
魔理沙のスペルはベジータの〝気〟で全てかき消されてしまった。
無理もない。この周辺全体が揺れたのではないかと思うほどの圧だったのだから。
「(き、気合いだけて吹き飛ばしやがった…なんてデタラメなやつなんだ!)」
魔理沙は驚愕する。自分はトンデモない相手に喧嘩を売ってしまったのではないかと、今更気づいていた。
「オイきさま…」
ベジータの雰囲気が先程と変わる。
「(なんだ?雰囲気がいままでと…)」
「!!」
ベジータは眉間にシワを寄せ、こちらを睨みつけていた。明らかに怒っていた。
「さっきから言っているはずだ。本気でこいと。
なのにきさまときたらオレの様子を伺って大した攻撃もしてきやがらねぇ。なんだ?怪我でもさせたくないために手を抜いていやがるのか?」
ベジータの言っていることは当たっていた。
外来人と本気で戦ったりなんてしたら大怪我をさせてしまう。ベジータが強いのはわかってはいたのだが、魔理沙は無意識の内に手を抜いてしまっていたのだ。
しかしそれがベジータの逆鱗に触れてしまった。
「べ、べつにそんなことは…」
「オレは『闘う』ためにここにきた。仮にきさまが強く、オレがこの戦いで命を落とすことがあってもそれはオレが弱かった、ただそれだけの話だ。まぁそんなことはありえんがな。
それともなんだ?幻想郷とやらではこの遊びの事を闘いと呼んでいるのか?」
「ッ! ちがうっ!」
すぐさま魔理沙は答えた。なんだか今まで異変を解決してきた自分や、仲間たちの努力を否定された気がしたからだ。
「ならばこい。キサマの闘いをみせてみろ」
ベジータの言葉で魔理沙の眼の色が変わる。
先程とはまるで違う。〝本気〟の眼だった。
「言われなくても見せてやるさ…私の本気をな!」
魔理沙は上空で攻撃態勢に入った。おそらくこれが奥義のようなものだろうとベジータは感じ取った。
「ち、ちょっと落ち着きなさいよ魔理沙!そんなもんぶっ放したら神社が…」
「…悪いな霊夢。もう後には引けないんだぜ…。私はこいつと決着をつけるまで終われない!」
「このバカッ…!」
身の危険を感じ止めに入ろうとした霊夢に向かった。
が、その霊夢に対しベジータは言った。
「闘いの邪魔をするならキサマも倒す」
冗談ではない。ベジータがこんな所で冗談を言うわけがないことは、さっき会ったばかりの霊夢でも簡単にわかる。
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!ここら一帯木っ端微塵になるわよ!」
確かに魔理沙の全力の一撃が、そのままの威力で地面に当たるものなら大変なことになる。
「いいから見ておけ!」
ベジータも攻撃態勢に入る。魔理沙の一撃を相殺しようとしていたのだ。
「真逆だな…あの時カカロットが思っていたことが少しはわかる気がするぜ」
そう呟きながら〝気〟を高める。
「いくぞ!これが私の正真正銘の全力だ!」
「いっけぇぇぇ! 恋符「《マスタースパーク》」!」
全身全霊の一撃が魔理沙から放たれた。これと似たような技をベジータは嫌でも脳裏に浮かんだ。
「使うのは随分と懐かしい気がするな… いくぞ!」
「『ギャリック砲』───!!!」
ビーム状の一撃がベジータから放たれた。2人の一撃は似ていた。
実際にぶつかり合うと質、密度はケタ違いだった。勿論ベジータの方が上だということは魔理沙、それと眺めていた霊夢にもわかった。
「な、お、押され…」
「…終わりだ!」
〝気〟を解放したベジータのギャリック砲は、マスタースパークを突き破り魔理沙にあたる直前で軌道がずれた。いやベジータがずらしたのだ。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
全ての力を出し切った魔理沙は地面に倒れこんだ。
こいつに勝てない…と心の底から思ったのは生まれてこのかた初めての事だ。
「悪くない一撃だった。大口を叩くだけの力は持っていたようだな」
「へ、へへ…簡単に跳ね返したくせによく言うぜ…負けだ…私の負けだよ」
「(よかった…)」
魔理沙が握手を求めてきたのでベジータもそれに応えた。
被害が最小限に抑えられたことに対し、霊夢は密かにホッとしていた。
「あんたはどこからきたんだ?こんな力…あっ、そういえば名前を聞いてなかったな」
魔理沙は今ごろ名前を聞いた。自己紹介の途中で闘いに発展したので仕方がない。
「オレは────」
「戦闘民族サイヤ人の王子ベジータよ♪」
「───きさまは!」
はい、第6話でした。
予定より長文になってびっくりしました。
ベジータと東方勢の強さについてなのですが正直能力なしで戦う場合ノーマルでも圧倒できると思うのでこのような形になりました。能力があっても圧倒的力の差があれば効かないというのがドラゴンボールなのですがそれでは話的にアレなので頑張って考えます。
長くなりましたが今回はここで終わりにします。
ありがとうございました。