できるものなら毎回これくらいの頻度で更新していきたいですね。
原作通りにするために
『俺』を『オレ』に変更しました。
慧音はベジータの次の行き先は【博麗神社】だと言った。
「博麗神社? なんだそれは」
「そこにいる巫女に頼めばおそらくベジータは元の世界に帰れるはずだ」
ベジータは目を瞑って黙り込む。
「…キサマは勘違いをしている」
「えっ?」
「オレは自ら望んでここに来た。この世界の奴らと戦い、修行を積む。…帰れるかどうかは二の次だ」
「……」
慧音は言葉が出なかった。幻想入りをした者はどうやって自分が元の世界に帰るかを第1にかんがえて行動することがほとんどである。しかしベジータは自分が元の世界に帰れるかなどは考えていない。修行を積んで今よりもっと強くなりたいという向上心だけがヒシヒシと慧音に伝わってきた。
「会った時から思っていたけど…やっぱりベジータってとんでもない奴だな」
ベジータに会った者はほとんどがこういう感想になるだろう。いや、ベジータというより『サイヤ人が』なのかもしれないが。
「ふっ、一戦交えてみるか?」
「やめておくよ。でもそんなに戦いたいのなら尚更博麗神社に行けばいい。 博麗の巫女は強いぞ。 とても人間とは思えない強さだ。ただ…」
「ただ?」
霊夢の場合戦うこと自体をめんどくさがりそう、というのが慧音の本音だった。
「(まぁあいつは気分屋なところもあるからな。行ってみないとわからんだろう)」
「いやなんでもないよ。それよりどうするんだ?行くのか?」
「ああ…そのためにオレはこの世界に来たんだからな」
ベジータは戦闘本能剥き出しの顔をしてそう言った。
不安は全くない。あるのは好奇心とやる気だけだ。
「ふふっ そういうと思ったよ。じゃあ地図を…」
「いらん。方向だけ教えてもらえば気で探って飛んでいく。強い奴ならすぐにわかるはずだからな」
「気というのは便利なものだな。 あっちの方角にずーっと進めばあるはずだ」
「そうか、わかった」
慧音の雑な説明でも、気を探れるベジータなら簡単にわかる。
ベジータは立ち上がり出発する準備を始めた。
「ほんとに地図は大丈夫か?」
「ああ。世話になったな」
「こちらこそな…気をつけていけよ」
べジータは頷くと博麗神社に向かった。
物凄いスピードで、すぐに見えなくなった。
「おお!流石に速いな! サイヤ人…か」
ベジータは博麗神社に向かって飛んでいた。ベジータのスピードは桁違いなのでおそらくそろそろつくだろう。
「…ん?あそこか?でかい気が2つあるな。 …おもしろい 」
不気味な笑いを浮かべながら博麗神社らしきところに着地した。
目の前には見た目か弱そうな少女が2人で座って居た。
「ん?どうやら参拝客が来たみたいだぜ霊夢」
「魔理沙ほんと? …でもあんまりお金持ってなさそうね」
博麗神社の縁側に座っていたのは巫女の博麗霊夢。そして遊びに来ていた霧雨魔理沙である。
「どうやらここが博麗神社みたいだな…」
ベジータはキョロキョロと周りを見渡した。此処を一言で表すのなら〝和〟だ。なんとなく落ち着いた雰囲気がそこには漂っていた。
「よう、あんた参拝客か?ここの巫女はグータラしてるから賽銭なんて入れる価値はないぜ」
まずは魔理沙がベジータに声をかける。
初対面の相手でも軽々しく声を掛けられるのは魔理沙の長所の一つだ。
「っ! 魔理沙あんた余計なことを!」
続いて霊夢も声を出す。しかし2人の会話が続く前に、今度はベジータが口を開いた。
「博麗の巫女…オレと戦え…!」
「…………は?」
霊夢と魔理沙は一瞬何が何だかわからなかった。
急に出てきた怪しい者に戦えと、それも霊夢相手に。
「………ふふっ!」
「はははははははっ!いきなり来て一体なんなんだ?意味わかんないぜ!」
霊夢の実力は魔理沙が一番知っている。そんな霊夢相手に無謀とも言える戦いを挑んできたベジータが可笑しくて腹を抱えていた。
「…なに?」
「あんた外来人だろ?どこで霊夢の噂を聞いてきたのかはわからないが…少し腕っぷしが強いからって調子に乗るのはダメだぜ?」
確かに見た目ではベジータの方が圧倒的に強そうでなのは間違いない。
しかし人は見かけで判断するなという言葉ある。
何を言いたいのかというと、魔理沙は霊夢がこの変な男に負けるわけがないと思っているのだ。
「……」
こんな魔理沙の話し方と内容を聞いてべジータが黙っているはずがない。冷静を装っているつもりだろうが顔は本気である。
「ちょっと魔理沙…まだ話も聞いてないのに…」
若干、いや非常に失礼な物言いである魔理沙を止めようとする霊夢。何より自分が面倒ごとに巻き込まれたくないのだ。
「いいだろう…まずはキサマから相手をしてやろう…キサマとその変な帽子が無事で済むとは思うなよ…!」
「へ、変な帽子!? っ〜!」
今度はベジータが魔理沙を挑発する。ベジータにとって、罵倒や挑発は十八番なのだ。
立ち上がった魔理沙は帽子を馬鹿にされて怒りをあらわにしていた。
「こいよ!ゴングを鳴らしたのはそっちだぜ!」
手に取った箒をベジータに向ける魔理沙。敵意むき出しの表情は誰が見てもわかる。
「上等だ…このオレ様をコケにしたことを後悔させてやる!」
ベジータも怒り心頭とまではいかないが、明らかに魔理沙が気にくわない様子だ。
「はぁ…私しーらないっと」
霊夢は人ごとのようにお茶を飲みながら2人を眺めていた。
「それじゃあ行くぜ!」
「いつでもかかってこい…!」
ベジータの幻想郷での最初の戦いが始まろうとしていた。
はい、第5話でした。
この東方龍球伝のベジータはZの終盤らへんのベジータを意識してかいてます。
決して土下座なんかはさせない…
では第6話でお会いしましょう。
お疲れ様でした。