何が言いたいのか自分でもよくわからない話になりました。ぶっちゃけストーリー的には進展はないので飛ばしても大丈ゲフンゲフン
そういえばお気に入りが150人突破しました。これからもより一層頑張るので応援よろしくお願いします。
「よし!今日はここまでにすっか!」
「は、はい…」
ピッコロと話をつけて来た後、悟空は美鈴の元へと戻っていき、いつも通りに修行を眺めていた。
もちろん悟空から教える事はない。ただ見ているだけだ。
「疲れたか?」
「まぁ…流石に」
いつもならここで強がってみせるのだが、そんな余裕もない。
身体的にはもちろん、なぜ思うようにいかないのかという精神的な疲労感も溜まりに溜まり、美鈴は悟空が思っている以上に疲れていた。
「美鈴ッッッ!」
急に悟空が大きな声を出したので、丸まっていた背中がビシッと伸びた。驚きすぎて声も出ない。
「………はい?」
何が起こったか冷静になって考える美鈴。しかし何もわからないのでとりあえず返事をする。
「…ハハハハハ!なんでもないさ!」
悟空はケタケタ笑いながら美鈴の肩をポンポン叩く。美鈴は首を捻りながらも笑っていた。
やはり笑顔は大事だ。キツイ時、辛い時こそ笑顔。それができればなんの苦労もないのだが、人からの影響ならば笑う事もできる。その為なら例え今のような無意味な行動でも良いだろう。過程より結果が大事なのだ。
「そうだ!今日バーベキューすっか!」
「え?」
唐突に提案した悟空。いつだって悟空はそうだ。
しかし夕食について悟空が決めるのは珍しい。それはチチに出されたものならなんでも美味しく食べるからだ。
「なんだ?バーベキュー嫌か?肉好きだろ?」
「はい!大好きです!」
美鈴も肉は大好物だ。バーベキューが嫌な筈もない。先程より笑顔で答える。
むしろ最初からこう言ってればよかったと悟空は思い、またケタケタと笑った。
「むぅ…女の子がお肉を大好きじゃいけませんか?」
「いやいやそうじゃねえんだ。
んじゃちょっと早いけど帰るか!」
悟空は美鈴に手を差し伸べる。『瞬間移動』をするのだ。
美鈴も差し伸べられた手に自分の手を重ねる。すると「ピシュンッ!」とした音が耳に響いたかと思うと、いつの間に見知った家の前に着いていた。
「(…どういう原理なの?)」
もちろん『瞬間移動』についてだ。しかし考えたところで美鈴にはわからない。悟空も口で説明は出来ないのではないだろうか。
「じゃあ用意するか。
チチーっ!今日バーベキューすっぞー!」
悟空は大声でチチを呼びながら中へ入っていく。中へ入っていくなら大声で呼ぶ必要はないのでは?と美鈴は小さく呟いたが、悟空には既に聴こえなかった。
美鈴は悟空に続いて家の中に入る。
「…え?」
「え?じゃないだ。鉄板がないからバーベキューはできないぞ」
どうやらこの家にはバーベキューで使う鉄板がないらしい。だからバーベキューはできないとチチが言っている。
「うーん困ったなぁ… あ、そうだブルマに頼んでみっか」
「ぶ、ブルマ?」
ブルマというのは悟空の友人だ。ブルマは大金持ちなので大抵のことはなんとかしてくれる…というのが悟空の認識だ。
「またブルマさんに頼むだかー?なんだか悪い気がするな」
「大丈夫大丈夫!じゃあ行ってくる!」
また悟空は『瞬間移動』の構えを取る。
「あっ」
「えっ」
ーカプセルコーポレーションー
「きゃっ…!びっくりしたぁ…どうしたの孫くん」
「…な、なんでついてきたんだ美鈴!」
悟空が『瞬間移動』をする瞬間に、美鈴は悟空の道着を掴み、一緒についてきてしまったのだ。
「あの…何かお役に立てるかもと…」
「お役に立てるかもって…」
悟空は内心すごく焦っていた。それは美鈴がベジータと関係しているからである。
ブルマも、さすがにベジータがいつまでも帰ってこない事を気にしているだろうと思ったからだ。
「そっちの方は?まさか弟子?」
「いえ私は…」
「あ、あはは!まあそんなもんだ!
それより鉄板をもらいにきたんだけど持ってねえか?バーベキュー用の!」
ベジータの話題を出させないように悟空は必死になっていた。
もしブルマが、美鈴とベジータが何か関係しているだろうとわかったら、しつこく言ってきて面倒になるかもしれないからだ。
「何よ急に…まあ孫くんはいつも急だけど。
バーベキュー用の鉄板ね。ちょっと待ってて頂戴」
悟空の家とは比べ物にならないくらい広い家だ。きっと鉄板も沢山あるだろう。ブルマは部屋から出て、心当たりがありそうなところへ向かった。
「はぁ………よかった…」
一安心した悟空は、部屋の隅にあるいかにも高価そうなソファーに座った。
「フフ…やっぱり悟空さんは面白い人ですね」
おめえのせいだよ…と悟空も愚痴を一つこぼしたかったが、ここはグッと堪えた。
「孫くーん!そういえばベジータの事なんだけどー」
「!!?」
何かを思い出したようにブルマは帰ってきた。
そして考えられる最悪の状況で、最悪の質問がブルマの口から出る。
「……」
「(……あれ?)」
しかし悟空の思っているようにはならなかった。ベジータについて美鈴とブルマが話し出すかと思ったらそうはならなく、美鈴は黙ったまま下を向いている。
「…どうしたの?孫くん」
「え?いやなんでもないぞ!ベジータがどうした?」
「いやね、ベジータが全然帰ってこないのよ。すぐに戻るから心配するなーとか言ってたくせに…なんかトランクスもパパの〝気〟を感じないって言ってるし」
美鈴は黙って聞いている。ブルマの方は見ずに足元だけを見ていた。
「ねえ孫くん。〝気〟を感じないってことは、ベジータは死んでしまった…とかじゃないわよね?
そんな事…ないよね?」
だんだんブルマの声が震えてきた。
やはり心配なのだろう。今まで溜めてきたものを悟空に明かしたら、それは目から涙となって溢れてきた。
「…心配すんなブルマ。ベジータは生きてるに決まってるだろ?
〝気〟を感じねえのも『精神と時の部屋』に入ってるからさ」
「でも…あまりにも遅すぎるわ!『精神と時の部屋』ってそんなに長くは入れないんでしょ?」
「『精神と時の部屋』は一回修理したらしいんだ。だからそん時にデンデ達が何時間でも入れるようにしたみたいだぞ」
悟空は嘘をついた。
確かにデンデが『精神と時の部屋』を修理した際に、今まで入った日数は全てリセットされた。
しかし、それでも時間制限は前とは変わらない。つまりベジータは48時間しか入ることはできないのだ。だから何時間も無限に入ることなど理論上不可能なのだ。
それでも嘘をついたのは、ブルマを安心させたかったからだ。
ベジータは生きてる。それは悟空も信じている。要らぬことでブルマを不安にさせたくはない。
「そ、そう…ごめんなさいね急に。
待ってて!すぐ探してくるから!」
涙を服の袖で拭いたあとブルマはニコッと笑った。少しは役に立てたかと思った悟空もにっと笑う。
しかしそんな2人の笑顔を見た美鈴は、なぜだか心が痛んだ。
「……」
「……」
あれから数分経った。ブルマはまだ戻ってきておらず、悟空はずっと無言のまま座っていた。美鈴も黙ったまま、悟空の横にちょこんと座っている。
「聞かねえのか?」
「…何をです?」
「ブルマの事だ。あいつがベジータって言った時、おめえすごく動揺してたぞ」
顔には出さずとも悟空にはわかる。
〝気〟と〝勘〟で。悟空の勘はよく当たるのだ。
「私は自分の素性もロクに話さない女です。
そんな私は師匠…いえ、ベジータさんの事を聞ける立場ではないでしょう」
聞ける立場ではない、と美鈴は言った。つまり聞きたいのを我慢しているのだ。
ブルマとベジータの関係、此処でのベジータはどんな感じなのかと。もちろん恋愛感情ではなく、純粋な興味だ。
「そっか。じゃあこっからはオラの独り言だ。聞き流してもらってもいいぞ」
「ブルマはベジータの嫁さんだ。子供もいて、トランクスっていうんだ。悟天と仲良しでなあ、あいつもつええぞ」
「家族…ですか」
「おめえは家族いねえのか?」
美鈴に家族はいない。確かに紅魔館のレミリア達がそれに近いものではあるかもしれないが、言っては悪いが所詮他人だ。本物の家族とは似て非になるものだろう。
だから血の繋がった家族の特別さは、どうあがいても美鈴にはわかることはない。これから10年、100年、1000年あるいはそれ以上の月日が経とうともわかる日は来ない。
「はい。 …でも、大好きな人達がいます。
私は彼女達を守るために強くなりたいんです。守るために……」
「…どうした?」
〔〝強さ〟とは…大切な人を守ることができる力…ですかね〕
守矢神社に行った際に、東風谷早苗が言った言葉を美鈴は思い出した。
あの時ベジータは綺麗事だと言っていたが、決して否定はしなかった。つまりベジータは知っていたのだ。
〝守りたいものがあるなら強くなれる〟 と。
守りたいと思う気持ちが、あればあるほど強くなれるのではないか?
そう思った美鈴は、先程まで修行をしていた疲れなどもう忘れていた。一目散に修行したかった。今なら何かが掴めそうな気がしていた。
こんな事をしている場合じゃないと思った美鈴は立ち上がろうとした…が、急に悟空が手を自分の頭の上にポンと置いてきた。
そして暫くしてから悟空は口を開いた。
「それは違うぞ、美鈴」
「……!」
悟空の急な言葉で我に返った。そして今自分が思っていることに対し、〝違う〟と。確かに悟空はそう言った。
悟空は適当な事を言う人ではない。美鈴もそれを知っていたため、何が違うのか非常に気になった。
「何が違うのですか?師匠だって家族がいるから強くなれたんじゃ…もちろん悟空さんも!やはり守りたいものがあれば…私には沢山あります!もっともっと強くなれるはずです!」
「確かに守りたいモンがあればその分強くなれるかもしれねえ。
けど、オラが言ってんのはそこじゃねえ」
「…え?」
「オラ前に言っただろ?おめえにベジータみたいな修行の仕方は合ってねえって。
おめえは適度に休んで、ゆっくりゆっくり時間をかけていったほうがいい。もしこのままカラダを追い込んで修行をしていっても、おめえは大して強くはなれねえ。自分のカラダを守れてねえからな」
「………!!!」
完全に盲点だった。美鈴は周りの事ばかり気にしていて、自分の事を見失っていた。
悟空に言われた貴重なアドバイスも、自分自身で潰すところだったのだ。
「私は…馬鹿ですね」
此処へ来てから学ぶ事ばかりだ。しかし悪い事ではない。むしろ美鈴にとっては非常に有難い。
「焦る気持ちもわかる。でも一緒に頑張ろうぜ美鈴!」
「…はい!」
「あらあら、師匠から有難いお言葉でも貰ったのかしら?」
美鈴の威勢のいい声はブルマにも聞こえていた。手にはピカピカの鉄板があった。
「お!あったのか!さすがブルマだなー!」
「当たり前でしょ!ドラゴンボールを探すよりずっと楽だわ。
それより結構重いから早く持って頂戴」
悟空の代わりに美鈴が鉄板を受け取る。するとまたまた悟空は『瞬間移動』の構えをした。
「じゃあ帰るぞ美鈴。サンキューブルマ!またなんかあったら行くからな!」
「はいはい、いつでもいらっしゃい。
それと…美鈴ちゃん、修行頑張ってね」
「あ、ありがとうございます!」
別れ際にブルマがピースをしてくれた。美鈴はそれにお辞儀で返したのだった。
その後、悟空、チチ、悟天、美鈴の4人はバーベキューを楽しみ、終わった後に風呂に入り、そのまま寝たのだった。
悟空を除いて。
ー神殿ー
「む、遅いぞ悟空。もう夜中ではないか」
「わりいわりい。じゃ、作戦会議ってのを始めるか」
はい、第48話でした。
次の話こそはピッコロ大魔王戦になると思います(自信なさげ)
ではお疲れ様でした。