ライバルを超えるために幻想入り   作:破壊王子

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この小説はドラゴンボールと東方Projectの二次創作です。

眠たい時に書いたり編集したりしてると、自分が考えてる展開とは全く違う事を寝ぼけて書いたりしてしまうことがあります。

自分で読み直して何が言いたいんだこれ?と…
なので変なとこや矛盾点を見つけた場合教えて貰えると凄くありがたいです。


【第43話】鬼

 

 

ーアリス宅ー

 

 

テーブルの上にはとても4人分とは思えないほどの料理が並んでいた。肉、魚、キノコなど、使える食材は全て使ったのだろう。

 

食卓を囲んでいたのはアリス、霊夢、ベジータ。そして先程会った魔理沙だ。

ベジータの物凄い食欲に3人は驚き、目が点になっていた。

 

 

「ほ、ほんとによく食べるのね。沢山作っておいてよかったわ」

 

 

アリスはほっと胸をなでおろす。

が、ベジータは食べながら思っていた。

 

〝まだまだ足りん〟と。

 

 

「凄いなベジータ。お前の強さの源は食欲か?

だったら私も食べるぜ!」

 

ベジータの真似といわんばかりに、魔理沙も料理を口にかきこむ。

しかし当然魔理沙とベジータでは、噛む速さも飲み込む力も胃の大きさも違う。

ゴホッ!ゴホッ!とすぐにむせてしまった。霊夢は「馬鹿ね」と言いながらも魔理沙の背中をさすってあげた。

 

 

「フンッ、食欲が有ろうが無かろうが強い奴は強い。弱い奴は弱い」

 

「先に言ってくれよ…」

 

 

ベジータに涙目になっていた魔理沙が言い放つ。

 

 

「それにしてもこんなに食べなきゃいけないなんて不便ね」

 

 

元の世界にいた時は不便という思いはなかった。

カプセルコーポレーションにいれば大抵のものはすぐに手に入るからである。

もっともベジータはあまり物欲などはなかったのだが。

 

しかし幻想郷ではそういう訳にはいかない。これまでは運良く食事など面倒を見てくれる者が多かったが、これからはどうだろうか。

 

アリスに面倒を見てもらう訳にはいかない。もちろんベジータ自身もずっとお世話になろうとは思っていない。

その気になればベジータは自給自足もできる。それに紅魔館で、テントや寝袋など最低限野宿に必要なモノは貰っていた。

魚や兎など捕まえれば腹も満たすことはできるだろう。

 

 

「キサマこそ不便そうだな。まえ神社を見た限りだと随分貧しそうな雰囲気だったが?」

 

「う、うっさいわよ!」

 

 

それでもやはり元の世界に比べれば不便であることは違いない。

が、ベジータはいちいちそんな事は口にはしない。弱みとは言えないほどの小さな弱みでも見せたら、霊夢がつけこんでくると思ったからだ。

だからあえて自分の話題をすり替えて霊夢のことをついたのだ。

 

 

「それにしても貴方どうする気?強い人を探すって言ってたけど」

 

 

ダラダラと口喧嘩になりそうな雰囲気があったので、アリスが話題を切った。

 

 

「そのままの意味だ。探して戦う。それだけだ」

 

「……」

 

 

呆気にとられる3人。

それもそのはずだ。今まで何人か戦い好きという者には会ったことあるが、ここまでの者は初めて会ったからだ。

 

 

 

「人生楽しそうねアンタ」

 

「……なんだと?」

 

 

軽い冗談のつもりだった霊夢の言葉に、ベジータが反応を示した。

明らかに苛ついているのは眼を見ればわかる。

 

霊夢にとっては何気ない一言だったと思うが、ベジータからすれば冗談には聞こえない。

ベジータの過去はとても綺麗な過去とは言えない。むしろ地獄だ。

今でこそ『家族』がいるものの、今の幸せだけでは過去を清算することはできない。

 

 

「お、おい…謝れよ霊夢!」

 

「なんで私が…」

 

 

魔理沙がヒソヒソとベジータに聞こえないようにそう言うが、霊夢の安いプライドはそれを許さない。

このままじゃまたベジータが〝キレる〟

3人はそう思ったが…

 

 

「それはキサマらの方だろう」

 

「…アレ?」

 

 

意外にもベジータは怒らなかった。

いちいち過去を思い出す必要はないし、思い出したくもなかったからだ。

 

 

「怒らないみたいね」

 

「あーよかったわ」

 

「ふぅ…危うく夕飯が大変な事になるとこだったぜ」

 

 

何故かまだ3人はヒソヒソと喋っていた。

それが気に食わないベジータは魔理沙に向かってゆっくりと手を出す。

いつも気功波を打つ時のように。

 

 

「な、なんで私だけ!?」

 

「…チッ!とにかく戦えればそれでいいんだ!」

 

 

出した手をサッとベジータは下げた。

勿論こんな所で撃つつもりは無い。

 

 

「アンタほんとに戦い好きなのね。まるで鬼…」

 

 

何かを思いついたように霊夢はアッと声を上げる。

 

 

「ベジータ、アンタ強い奴と戦いたいなら『地底』に行けば?

どうせ行くところもないんでしょ?」

 

 

『地底』 と霊夢は言った。

ベジータはそれに聞き覚えがあった。

 

 

「地底…そういえば誰かがそんなことを言っていたな…」

 

「誰かって誰だ?」

 

「知らん。もう忘れた」

 

 

実際は顔と話した内容はちゃんと覚えていた。忘れたのは名前だけだ。

しかし説明するのが面倒だったので、忘れたとベジータは魔理沙にウソをついた。

 

 

「で、鬼とやらは強いのか?」

 

 

ベジータが一番気になることはコレだ。

自分が戦って楽しめる相手であるかどうか、これが最重要事項なのだ。

 

 

「強いんじゃない?ま、行ってみればわかるわよ。もし萃香がいたらよろしく言っといて」

 

 

「スイカか。フンッ、変な名前だな」

 

 

「「(アンタが言うな)」」

「(お前が言うな)」

 

 

3人は心の中で意気投合した。

あくまで心の中だ。当然口には出さない。

 

 

「(確かあいつは1本角だの2本角だの言っていた。その内の1人かもしれんな)」

 

 

ベジータはワクワクして笑みがこぼれた。

すぐにでも行きたい気持ちに襲われたが…

 

 

「アリス、おかわりだ」

 

「まだ食べるの!?」

 

 

出発は明日の朝と心の中で決めた。

 

 

「(鬼だか魔人だか知らねえが…

待っているんだなッ!)」

 

 

と口をもぐもぐさせながら、ベジータは思っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー修行場ー

 

 

 

 

「……なんで?」

 

 

渾身の一撃を放った後、美鈴は信じられないといった表情をしながら前を見る。

相手の〝気〟を探る必要などない。爆風が舞った後に1人のシルエットが見えていた。

〝その影〟は右腕をグルングルン回しながら爆風が晴れるのを待っていた。

 

 

「今のはけっこう効いたぞー!」

 

 

もちろんその人物は孫悟空だった。

傷といった傷も全く見当たらない。顔にも余裕が見られる。

 

 

「…なんで…ですか?」

 

「ん?」

 

「なんで…効かないんですか!?」

 

 

戦闘中に、それもその戦っている相手自体に聞く言葉ではない。

ないのだが、〝聞かずにはいられない〟

口が勝手に開いてしまうのだ。

 

 

「オラは〝効いた〟って言ったんだぞ?」

 

 

確かに悟空はそう言った。

しかし美鈴はそれを納得していない。

 

 

「逆に問いますが、

悟空さんがいま自分のできる〝最高の一撃〟を放ったとして、受けた相手が笑顔で、それも無傷で出てきて〝効いた〟と言われて信じますか?」

 

 

美鈴の問いに悟空は顔を歪める。

暫くしたら参った、と言わんばかりに笑い始めた。

 

 

「わりいな美鈴。ホントは全然効いてねえ」

 

「…でしょうね。

なぜ効いてないのかを私は知りたいんです」

 

 

折角の手合わせだ。解らないことは是非知っておきたい美鈴は、詳しく悟空に聞く。

 

 

「…おめえが弱いからじゃねえか?」

 

 

「……」

 

 

しかし予想していた答えとは違っていた。

 

美鈴は〝悟空が〟何かをしたから技が効いていないと思っていた。

しかし実際は悟空は何もしていない。ただガードしただけだ。

それで効いていないということはただ〝美鈴が〟弱いだけであるのだ。

 

 

「今更私が弱いことなど否定はしませんが…貴方も相当おかしいですね。今の技は悟天さんですら避けたのに」

 

「なんだ、美鈴おめえ悟天と戦ったのか」

 

 

もちろん悟天は全力ではなかった。

美鈴もそれはわかっていた。

 

 

「はい。ちなみに勝敗はわかりますか?」

 

 

なんとなく気になった美鈴はそう言ってみた。

しかし悟空の答えはもちろん…

 

 

「悟天だろ。おめえじゃ逆立ちしたって悟天には勝てそうにねえ」

 

「…そうですよね。しかし私がーーー」

 

 

「オイ!」

 

 

悟空の大声は美鈴の細い声をかき消した。

先程のように笑顔ではない。真っ直ぐで真剣な眼だった。

 

 

「ブツブツ言ってねーでかかってこい!

それとももう終わりにすっか?」

 

 

話ばかりの手合わせに嫌気がさしたのだろう。

悟空はあまりこの戦いを楽しそうにはしていない。

 

 

「すいません…ではいきます」

 

 

気を高めて美鈴は悟空に向かっていく。

パンチ、蹴り、それに弾幕も交えるが悟空はアッサリ躱していく。

 

 

「(…やっぱり当たるわけない。私の攻撃なんて)」

 

 

「ゴチャゴチャ考えんなッ!」

 

 

美鈴が若干不貞腐れながらやっていたことは悟空も感じ取っていた。

しかし中断はしない。攻撃もしないで美鈴の技を全て躱していた。

 

 

「美鈴…闇雲に攻撃しても当たんねえぞ。

相手の〝気〟を読みながら戦わねえと」

 

 

ベジータにも同じことを言われた気がする。

すると美鈴はふと考えた。

 

 

「(私…〝成長していない〟?)」

 

 

 

 

 

なんのために自分はここに来たのだろう。

 

 

 

 

 

師匠のベジータのため?否。

 

紫に頼まれたから?否。

 

 

 

 

 

「私は…私のために此処へ来たんだ。

強くなるために…

こんな所で何をウジウジと……しているんだッ!!!」

 

 

 

「吹っ切れたみてえだな」

 

 

悟空はまたニヤッと笑った。

ここから(・・・・)は楽しめそうと思ったのだ。

 

 

 

 

 

「絶対に………」

 

「負けるもんかーーーッ!!!」

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

地面が美鈴の〝気〟と共鳴し、音を立てながら震え上がる。

美鈴の〝気〟自体も限界だと思われていた先程よりも大幅に上がっていく。

 

 

 

「(なんでだ…なんでかはわからねえけど…

 

こいつから〝魔人ブウ〟に似た〝気〟を感じる!)」

 

 

とんでもないことである。

美鈴から魔人ブウに似た〝気〟を悟空は感じた。

確かに悟空は魔人ブウを倒すときにこう言った。

 

 

〝今度はいい奴に生まれ変われよ〟と。

しかしそれにしても生まれ変わりなら早すぎる。まだ一年も経ってないのにそんな事はありえない。

 

 

「(美鈴は魔人ブウの生まれ変わりなのか?

………いや…これは魔人ブウじゃねえ……これはなんだ……!?)」

 

 

「惚けないでください…いきますよ悟空さんッ!」

 

 

答えを考えていた悟空は先程より隙ができていた。

しかしそんな悟空を倒した所でしょうがないと思った美鈴は、悟空に声をかけた。

 

 

「わりいな美鈴…ゴチャゴチャ考えてんのはオラだったみてえだ」

 

 

 

「はああああッ!!!」

 

 

悟空も〝気〟を高めて美鈴を迎え撃とうとした。

 

 

スーパーサイヤ人にはなっていない。通常の状態だ。

しかしもはや悟空が全力を出そうが出そうまいが美鈴には関係ない。目の前の敵を倒すしか美鈴はできないのだから。

 

 

 

 

「はッ!」

 

「たああッ!」

 

 

 

両者は真っ直ぐぶつかり合い、

 

 

 

勝負はついた。




はい、第43話でした。

この小説を始めたばっかりの時に、1人の読者様から案を頂きました。採用しようとしていたのですが、話の展開場ずっと出せなくてモヤモヤしていました。しかしここで出すことができてよかったです。

ではお疲れ様でした。

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