ライバルを超えるために幻想入り   作:破壊王子

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この小説はドラゴンボールと東方Projectの二次創作です。

ついに40話です。お気に入りも80人を超えました。皆様いつもありがとうございます。
ついでに言うと、作者は感想や評価も大好物です(小声)


【第40話】不安

 

ー幻想郷ー

 

 

ベジータから無慈悲な一撃を受けた魔理沙は、アリスの家に戻った後手当てをされていた。

 

何がなんだかわからないまま攻撃を受け、何も説明されずに治療だけされているこの状況、ハッキリ言って異常である。

 

「……」

 

魔理沙はムスーッとしながら頬っぺたにテープを貼られる。手当てをしているのはもちろんアリスだ。

 

「いっ痛てて!もっと優しくしてくれよ!」

 

「何言ってんの。はい、これで終わり」

 

アリスは手当てが終わったあと魔理沙の頭をポンと叩いた。

 

「だから痛いって!全身筋肉痛になったみたいだぜ…」

 

テープを貼られた頬を撫でながら魔理沙は嘆く。

 

「アンタも馬鹿ね。状況判断ができないからそんな事になるのよ」

 

霊夢の言葉に魔理沙が素早く体ごと反応した。

 

「はぁ?私が悪いのか!?」

 

霊夢に向かって魔理沙は叫ぶ。全くもって納得できていない様子であった。

 

「そうね…それが原因の3%くらいかしら」

 

霊夢の代わりにアリスが顎に手をつけながら答える。

 

「……残りの97%は?」

 

なんとなく答えがわかった魔理沙。しかし念のために問う。

 

 

「「ベジータの機嫌よ」」

 

霊夢とアリスは口を揃えて答えた。2人でタイミングを計っていたわけではないが、自然とタイミングがマッチしてしまったのだ。

 

 

「こんな馬鹿げたことがあるか!まるで災害じゃないか!」

 

答えを聞いてもやっぱり魔理沙は納得できない。もし霊夢とアリスが魔理沙と同じ立場だったとしても、魔理沙と同じように納得できないだろう。

 

しかし、相手は〝あの男〟 納得せざるを得ない。

 

「そうね…まぁ運が悪かったってだけじゃない?」

 

「運が悪かったら挨拶しただけで弾幕を食らうのか?」

 

魔理沙が言っていることはさっきから正論なので霊夢は何も言い返せない。

 

「まあまあ。でもあれほどの弾幕でこの程度しか食らわないなんて修行した甲斐があったじゃない」

 

「修行?アンタいつの間にそんな事してたのよ」

 

アリスが笑いながら口を滑らすと、霊夢はそれにすぐ反応した。それにビックリした魔理沙はアタフタしたながら周りを見る。

 

「馬鹿!それは秘密の話だったじゃないかアリス!」

 

「あ、あら?そうだったかしら…」

 

簡単に口を滑らしてしまったアリスは必死に惚ける。口に手を当ててオホホ…と苦しく笑った。

 

「別にアンタが修行しようと私には関係ないからいいじゃない」

 

「違う!別に霊夢に知られたくないわけじゃない!アイツに…」

 

 

ガシっと何かを掴む音がする。

 

言ってるそばから〝アイツ〟は現れた。

 

 

「ほう…修行をしただと?詳しく聞かせてもらおう」

 

 

そう。〝アイツ〟とはもちろんベジータの事である。魔理沙はベジータの顔を見た瞬間、はぁ〜…と大きくため息をついた後アリスを睨んだ。

 

「エヘヘ…とりあえずご飯にしましょうか…」

 

 

気まずくなったアリスは夕食の準備をしに、逃げるようにキッチンへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー龍球の世界ー

 

 

 

「ぷはーーー!!!食った食ったーーー!!!」

 

孫一家と共に食卓を囲んでいた美鈴は、悟空の驚異的な食欲に驚いた。ベジータもそうだが、『サイヤ人』とは一体何処に料理を詰め込んでいるのだろうか。

 

「あの…先ほどの話の続きなんですが」

 

「おっとそうだったな。で、なんだ?」

 

食事が終わり、美鈴が早速本題に入ろうとする。悟空も真面目に聞いてくれそうな雰囲気だったが…

 

「ところでおめえこれからどうするんだ?」

 

「えっ?」

 

チチが2人の話に水を差す。ワザとではないのだろうが美鈴にとっては間が悪かった。

 

チチをスルーするわけにもいかず、仕方なく答えようとした。が…

 

 

「(アレ?そういえばどうしよう…)」

 

 

美鈴は何も考えていなかった。今まではベジータがいたため何とかなっていたが、今はもう1人である。紅魔館から出た時も、簡単な荷物を持って来ただけで、テントなどの野宿用の道具は持ってきていない。

 

〔私泊まるとこないんです!泊まらせてください!〕

 

 

とは言いづらい。既に食事までもらった挙句、こんなことをお願いするのは図々しいのではないかと思ったからだ。

 

「……」

 

どうすればいいのかわからなくなった美鈴はまた黙り込んでしまった。

正直、これは美鈴の悪い癖である。

 

「…はぁ。おめえホントわかんねえ奴だな。いいだ。しばらくウチに泊まってもいいぞ」

 

美鈴を気遣ったチチはしばらく此処に泊まってもいいと言ってくれた。それに対し遊び相手ができたと思った悟天は喜ぶ。

 

「いいんですか?」

 

「いいも悪いも…年頃の女子(おなご)を野宿させるわけにはいかねえだろ。悟空さ、別にいいだろ?」

 

「ああ。オラは別に構わねえぞ」

 

少しツンツンとした言い方であるが、チチの優しさは美鈴にちゃんと伝わっていた。

 

「よし!じゃあ決まりだ!美鈴、皿洗手伝ってくれねえか?」

 

「は、はい!」

 

話が終わった後、テーブルの上に乗っている大量の皿を洗うために2人はキッチンへ向かった。悟天にはチチがいつもよりどこか楽しそうに見えていた。

 

「おとうさん、おかあさんなんだか嬉しそうだね!」

 

「ハハハ!確かにそうだな!」

 

いつも男たちに囲まれているチチ。もしかすると美鈴のことを娘のように感じているのかもしれない。

悟空にも2人がなんだか楽しそうに皿洗いをしているように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。これで終わりですかね」

 

皿洗いが終わった後も、美鈴は率先して家事を手伝っていた。しかし頑張りすぎて時間がかなり経ってしまった。

 

「美鈴、風呂に入っていいぞ」

 

「あ、はい」

 

先に風呂に入っていたチチ。濡れた髪をタオルで巻いている。

 

「あのう…悟空さんは?」

 

「悟空さ?もう寝たんじゃねえか?」

 

美鈴達が皿洗いをしていた最中に、既に悟空は悟天を連れて風呂に入っていたので、もう寝ていてもおかしくはないだろう。

 

 

「そうですか…わかりました!」

 

美鈴は風呂へ向かうのではなく、なぜか外へ向かおうとしていた。

 

「どこへいくんだ?」

 

「ちょっと夜風にあたりに!すぐ戻って来ます!」

 

「そうか。お湯が冷める前に風呂に入るんだぞ」

 

「わかりました!」

 

いい返事をした後、美鈴はドアを開けて外へ出た。

 

 

 

 

 

「うわぁ…!」

 

なんとなく空を見上げてみると、たくさんの星々が輝いていた。周りは真っ暗だったが、星の光がだけで随分明るかった。

 

 

「……んん〜!!!」

 

美鈴は背伸びをした。身体が随分と重く感じる。今の美鈴は肉体的にも精神的にもかなりきているだろう。異世界へ来たのだからそれもそのはずである。

 

「師匠は今頃何をしてるのかなぁ。そういえば私、師匠に何も伝えてないけど…まあ紫さんが言ってくれるか」

 

美鈴はベジータと紫の関係性を何も知らない。なのでそう言ってくれると信じていた。が、紫はいちいちそんな面倒くさいことをするはずはない。

 

「師匠のことだから私のことなんて考えずに修行してるだろうな。あの人のストイックさは並みじゃないから…」

 

ベジータのことを考えるとどんどん不安になってくる。美鈴が修行だとして強くなったとしても、ベジータがそれ以上に修行していたら…差は縮まるどころか大きくなってしまう。

 

「……はっ!」

 

そう考えていたら自然と空に拳を放っていた。拳だけではない。蹴りも続いて繰り出した。夜風に当たるだけのはずだったのに、美鈴はいつの間にか1人稽古をしていた。

 

「ふっ! ……はぁッ!」

 

体を動かしている内は何も考えなくてもいい。唯一美鈴が不安を感じなくてもいい時間だ。

 

 

 

「よっ!美鈴」

 

「え?」

 

稽古をしていたら後ろから声をかけられた。悟空である。

 

「悟空さん寝てたんじゃ?」

 

「ハハッ!つええ気を感じてな…おめえやる気満々だな」

 

ぐっすりと寝ていた悟空だったが、美鈴の不思議な気を感じて起きて来たのだ。

 

「…悟空さん」

 

稽古の手を止め、体ごと悟空の方を向いた美鈴。そしてカクッと体を90°に曲げて頭を下げた。

 

「私に修行をつけてくださいッ!」

 

「ああ!いいぞ!」

 

「…え?」

 

随分とあっさりOKを出されて、美鈴は一瞬戸惑った。が、すぐに弾けるような笑顔を見せた。

 

「本当ですか!」

 

「ああ!オラだって修行相手ができてうれしいぞ!オラももっともっと強くなりてえからな!」

 

やった!と美鈴は拳を握る。すると安心感からか、ガクッと膝が崩れ尻餅をついた。

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい大丈夫です」

 

「おめえちょっと疲れてっぞ。修行は明日の朝からだな!」

 

悟空は美鈴に手を差し伸べる。美鈴はその手につかまり、よいしょっ!と言いつつ立ち上がった。

 

「オラまた寝るから…美鈴もはやく寝ろよ〜」

 

そして悟空は再び家の中へ戻っていった。美鈴も、もう一度やった!と小声で呟いてから家へ戻った。

 




はい、第40話でした。

本当に40話もやったのかってくらい内容が薄いですね。でもこの小説を書くことが私の最近のモチベーションでもあるので、これからも頑張りたいです。

ではお疲れ様でした。

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